風疹は子供がかかる病気と思っている人が多いようですがそうではないのです!成人になってから風疹に感染するという場合が多いのです。成人になってから感染してしまうと、子供の感染よりも重症化してしまい大変になります。
自分はワクチン接種をしているから安心と思わず、風疹に対してしっかり知識を持っておかなければいけません。
風疹とは
風疹はウイルス感染症の1つで、風疹ウイルスによって急性熱性発疹性疾患になる状態の事を言います。三日はしかとも呼ばれていいます。トガウイルス科ルビウイルス属に分類される直径50~70mmの一本鎖RNAウイルスに感染した人の咽頭から排出される体液から感染します。
感染者がくしゃみや咳をする事でウイルスが飛散して感染しますが、風疹には特効薬が無く対処治療をする形になります。しかしウイルス自体はとても強いというわけではありませんので自然治癒します。ただ、風疹に伴う合併症にはとてもリスクがあるので、それに対しての予防が大事になります。
感染力が一番強い時期は発疹が出る2~3日前から発疹が出た後5日までになります。
症状
ウイルスに感染してから潜伏期間が2~3週間あり、その後全身に小さな赤い発疹が出来ます。発疹が出来る5日前あたりから初期症状が始まり「微熱」「咳」「鼻水」「腹痛」「倦怠感」などの症状が現れます。発疹に関しては痒みなどがほとんどなく、はしかのように発疹が大きくなるという事もありません。
リンパ腺腫脹の症状が出るので耳の後ろが痛んだり、後頭部や頸部が痛むといった症状が一緒に出るという事が特徴的です。目の結膜が充血したり肝機能に障害が出る時もあります。
これらの症状は3~4日ほどで収まります。
上記で示した症状は風疹の中でも重い方で、風疹患者の約半分は微熱程度の軽い症状で治る人が多いようです。
合併症
●先天性風疹症候群
妊娠初期(8~12週目)の人が風疹に感染すると、胎児に先天性風疹症候群を引き起こさせます。感染の確率は10~20%と言われていて妊娠20週目以降になるとまれに発症するとされています。
先天性風疹症候群の典型的な症状は「心奇形」「難聴」「白内障」とされています。その他には「脳性麻痺」「低出生体重」「髄膜脳炎」「流産」などがあります。風疹には無症状感染者もいるので、母親が無症状で気付かないうちに発症しているという事も有り得ます。
●関節炎
成人女性が風疹に感染した時に5~20%ほどの人が関節炎を合併しています。
●血小板減少性紫斑病
風疹に感染した3000人の1人が合併しています。風疹の発疹が出てから2週間ほどで発症する、血を止めるのに必要な血小板が減少してしまい、出血しやすくなってしまう病気です。急性型と慢性型に分類され、子供が風疹に感染すると急性型の症状が出ますがほとんどが自然に回復していきます。まれに慢性的に血小板が少なくなってしまう場合もあります。
成人の場合は慢性型が圧倒的に多く、難病に指定されているので申請をすると医療費の補助を受ける事も可能です。
症状としては手足にアザができやすくなり、血尿や消化器官からの出血が起こり便が黒くなります。女性がこの病気になると月経が重度になったり鉄欠乏性貧血を引き起こす場合もあります。
●脳炎
風疹に感染した4000~6000人に1人が合併しています。風疹の発疹が出てから1週間たたずに発症します。風疹からの合併症は急性脳炎になり、大きく分けると「免疫介在性脳炎」と「感染性脳炎」に分かれます。その中でも、免疫介在性脳炎の難治頻回部分発作重責型脳炎に分類されます。
ほとんどは後遺症なども無く治りますが死亡したケースもあります。
●溶血性貧血
この合併症になる可能性は極めて低いですが、風疹の発疹が出てから1週間以内に発症します。赤血球を何かの異物と誤認してしまい抗体反応によって赤血球が破壊されてしまう病気です。「黄疸」「胆石」「吐き気」「嘔吐」などの症状が見られます。
大人になってからの風疹
風疹と聞くと子供の頃にかかる病気というイメージが強いですが、風疹に感染する患者の9割が成人なのです。子供に風疹に感染してもほとんどが軽い症状で5日ほどすると完治します。しかし大人になってからの感染は重症が多く、合併症を引き起こす確率が高くなります。
予防接種を受けなかった成人
現在は1歳の頃・小学校入学前に1回ずつワクチンを接種する事になっておりますが、風疹ワクチンの接種制度が何度も改正されていた時代があり、接種を行われなかったり摂取率が下がった時代があるそうです。
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性
中学生の時に集団接種が行われていましたが対象は女子だけでした。
昭和54年4月2日から昭和62年10月1日生まれの男女
中学生の時に風疹のワクチンを接種する事になりましたが、学校で摂取するのではなく個人で医療機関に行き摂取するという形だったので、接種率が下がり受けていない人もいます。
昭和62年10月2日から平成2年4月1日生まれの男女
この世代は幼少期に摂取する機会がありましたが、受けていない人や1回だけの摂取だったので抗体が出来ておらず、成人してから感染している人がいます。
2014年度の感染症流行予測調査によると、30代前半~50代前半の成人男性の5人に1人は風疹の免疫を持っていませんでした。20代の男性は10人に1人、30代後半の男性では5人に1人です。
引用:http://www.myclinic.ne.jp/imobile/contents/medicalinfo/gsk/top_topic/topic_85/mdcl_info.html
成人で感染すると重症化しやすい
成人になってから感染すると合併症を引き起こしやすく重症化する可能性が高くなります。
東京都感染症情報センターが、去年から今年の5月1日までに報告された都内の患者2382人の症状を分析した結果、
・血小板が減少して内出血する血小板減少性紫斑病が9人
・肝機能障害が7人
・脳炎が5人
・髄膜炎が1人
と、合わせて22人に重い症状が出て、そのうち9割が大人だったことが分かりました。引用:薬剤師ネット
風疹の抗体数値について
風疹抗体価検査によって風疹に対する抗体(免疫力)が測定する事ができます。
抗体数値の検査と基準値
風疹抗体価検査には2種類あり、HI法EIA法があります。
・HI法
この血液検査の数値は8、16、32・・・と8の倍数で表されます。
- 8倍未満:免疫なし
- 16倍:免疫があっても不十分
- 32~126倍:十分な免疫がある
- 256倍以上:細菌風疹に感染した可能性が高い
このように判断されます。
・EIA法
この血液検査は使用するきっとによって値が変わります。日本で一番使用されているキットは、「8未満は抗体が無く十分な抗体を持っていない」「45以上は十分な抗体を持ってはいるが、最近風疹に感染した可能性も考えなければならない」とされています。
対処法
●数値が低い場合
数値が低いと風疹に対して抗体が不十分という事になるので、予防を徹底しなければいけません。自分や家族に風疹ワクチンを接種したり、抗体が出来るま人ごみを避けるといった予防策があります。
また、元の体の免疫力が落ちていれば風疹だけでなく病気になりやすくなるので、普段から健康的な生活を心がけるようにして下さい。
●数値が高い場合
数値が高いと最近まで風疹に感染していた可能性があります。風疹に感染すると体の免疫の働きがウイルスに対して抗体を沢山作ります。通常よりも高すぎる場合はこれが考えられるので最近の感染を疑わなければいけません。
自覚症状が無く気付かないうちに風疹になっていたという事もあるので、体に何らかの影響が無い場合は特に心配する事はありません。
予防接種を受けましょう
今まで風疹ワクチンを接種していない人は、早めに受ける様にして下さい。成人してからの風疹感染はリスクがあるのでとても危険になります。現在は麻疹と混合のMR2種混合ワクチンを接種します。1回のみの摂取は不十分になるので2回受けるようにして下さい。
「風疹は一度かかると安心だ」と思われている人もいるようですが、実は2度かかる人もいるのです。一度感染すると体の中で抗体が出来るのでその後安心してしまうようですが、なぜか抗体が出来ずに何回も経験してしまうという人もいます。
また、自分は昔風疹ワクチンを接種してると思っていたが、実は受けていなかったという記憶違いな人もいます。子供の頃の記憶ですし何かに記録していない限り忘れてしまうのも仕方ない事でしょう。一度自分には抗体があるのかを確認してみるのも大事になります。
女性が妊娠している最中は予防接種を受ける事が出来ないので気を付けて下さい。妊娠していない時期にワクチンを接種して、その後2か月間は必ず避妊が必要になります。風疹ワクチンが胎児に障害を与えてしまう可能性を考慮しての事です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。風疹自体はそこまで強いウイルスではありませんが、合併症を引き起こすととても厄介です。まずは自分には風疹に対しての抗体があるか無いかを血液検査で確認をしておきましょう。昔摂取していない場合は早めの摂取をオススメします。
万が一風疹に感染してしまったら人との接触を避けて安静にしましょう。何も合併症が無かった場合は1週間ほどで完治するようなので安心して下さい。