クラミジアと聞くと性病の一つである、とわかる人は多いと思います。性行為をきっかけとして感染する病気ですが、その症状が咽頭まで広がる「咽頭クラミジア」という病態もあります。
咽頭クラミジアはその名の通り、喉や口内にクラミジアの細菌が繁殖することで発症します。では、具体的な症状や原因、そして治療法や予防のためにできることについて詳しくみていきましょう。
この記事の目次
咽頭クラミジア感染のきっかけとは?
冒頭でも述べたように咽頭クラミジアは細菌に感染することで発症します。その多くがオーラルセックスという、口を用いた性行為がきっかけで起こります。
挿入といった性行為までいかず、オーラルセックスのみで終わる。そういったことを好む人ほど、感染のリスクが高まるでしょう。
その他、感染としては珍しいですがディープキスによる経口感染。また、唾液によって感染することもあります。このように感染力が最も高まるのは粘膜の交換といった、比較的接触が多い行為をするときです。
一方で、コップの飲み移し、入浴、咳といった日常生活の中では感染することはありません。これは細菌そのものの感染力は非常に低いためです。仮に身近な人が保菌していたとしても、感染のリスクはないので安心してください。
咽頭クラミジアの症状って何?
通常のクラジミアの場合、症状は性器の炎症やかゆみ。女性であれば、おりものの増加やにおいが強くなるなどがあげられます。一方で咽頭クラミジアの場合、以下の症状がみられます。
喉の炎症や腫れ
咽頭に感染したクラミジアの細菌は炎症を発症し、腫れをつくります。喉のつまり、食事の際の喉の痛み。これら症状が1週間以上続く場合は注意が必要でしょう。
耳の周辺の痛み
症状は咽頭ばかりに収まりません。周辺部位、特に耳の周辺にも影響を及ぼします。耳が痛いといった症状を始め、耳が聞こえにくくなったり、水の中にいるような閉塞感を伴います。
その他、目やその周辺に細菌が感染し、充血や目に見える形で腫れを発症することもあります。複合的に症状がみられるようでしたら、すぐに病院へ行くようにしましょう。
風邪との判断
喉の痛みや炎症がみられたとき、普通であれば風邪を疑うかもしれませんよね。仕事が忙しかったり、休めていない。そんなことに心当たりがあれば、そちらを疑うでしょう。
では、咽頭クラミジアかどうか判断するためにはどうすればいいのでしょうか?以下のチェック項目に注意してみてください。
- 1ヶ月以内で性行為、特にオーラルセックスをした
- コンドームを使わないセックスをした
- 疲労が溜まっているというほどではない
- 風邪の症状(倦怠感、熱、咳)がない
咽頭クラミジアの潜伏期間
ウィルスや細菌には潜伏期間といって、症状を発症するまで時間差があります。潜伏期間から発症まで時差があるのは、感染後、細菌が増殖するまで時間がかかるからです。
咽頭クラミジアの場合、潜伏期間は1週間〜3週間程度といわれています。ただ、この病気の場合、注意すべき点があります。それは自覚症状が少ないという点です。
潜伏期間中でも細菌は他の人に感染することができます。例えば彼氏が風俗へ行き、細菌に感染した。そのあと、彼女と性行為をしてしまうことで感染してしまう、ということも十分にあるのです。
前回の性行為から時間が経ち、そのことを忘れて次の人としてしまう。また、自覚症状がないからこそ、病気が広がりやすいのです。他の人と性行為をする場合には十分な注意が必要でしょう。
咽頭クラミジアの治療とは?
病気の治療は抗生物質を主としたものになります。抗生物質を服用することで症状の原因となっているクラミジアの細菌を死滅することができます。
治療をする上で重要なポイントがあります。それは服用された抗生物質をきちんと飲み終わるということ。これが意外と忘れられがちですが、大切なことです。
抗生物質は細菌が完全に死滅する量を処方されます。しかし、症状そのものは途中で快方に向かいます。喉の痛みなんかもだんだん引いてきます。その時に薬を飲むのをやめてしまうと、細菌が再度繁殖してしまうのです。
せっかく症状が改善し、病気も治ってきたのに、症状が再発する。薬を飲み切らないことでこのようなことが起こります。症状が良くなったからといって、途中で服用をやめないようにしましょう。
咽頭クラミジアは自然治癒する?
喉の炎症が長く続くものの、風邪症状はみられない。また、ここ細菌でオーラルセックスをした。そんなことに心当たりがあれば咽頭クラミジアを疑った方がいいかもしれません。
では、咽頭クラミジアだったとして、症状は自然に治っていくものなのでしょうか?この答えはごく稀であるといえます。
クラミジアの細菌は基本的に体の免疫力のみで治癒することは難しく、症状が長引きやすいという特徴があります。症状を発症したのであれば、すぐさま病院で診察・検査を受けることをオススメします。
咽頭クラミジアを放置するとどうなる?
どんな病気でも放置することはとても怖いことです。咽頭クラミジアは自然治癒することがほとんどありません。それゆえ、細菌が繁殖を続け、症状が悪化することがあります。
女性の不妊症につながる
特に女性であれば子宮にある頚管に炎症が起こる「子宮頚管炎」を発症することがあります。経管とは子宮を膣をつなぐ道のことです。この部分が炎症を起こすと不妊症の原因となることがあります。
子宮頚管炎がさらに進行すると、卵管炎までに発展します。この段階では治癒が困難になり、不妊症の症状も重くなります。
また、これら性器の炎症のほか、エイズや淋病をはじめとする他の性感染症にもかかりやすくなります。
最初は自覚症状が少なく、発見しにくい咽頭クラミジアですが、どんどんと症状が重くなり、自身でもその異変に気付くでしょう。そんなときはすぐさま病院で診察を受けるようにしてくださいね。
男性の場合はどうなる?
男性の場合、細菌の繁殖によって性器にダメージを与えることがあります。尿道炎をはじめとする炎症を招き、伴って生活が不自由になる程の痛みを感じるでしょう。
クラミジアの感染源になるということも、最も危険なことでしょう。細菌が繁殖し、性行為をした人に容易に感染させてしまう。それは相手に大きなショックを与えることにもなります。
男性の場合、外に性行為を求めていくとそれだけ感染のリスクが高まります。これら病気のリスクを考えた上で、行動を考えるようにしましょう。
咽頭クラミジアの疑いがあるのなら…
風邪のような喉の痛みがあるにもかかわらず、熱や咳はない。だけど、症状は長引いているし、最近性行為をした覚えもある。その場合はクラミジアの疑いがあるでしょう。
実際に病気かどうかを判断するために検査をすることをオススメします。検査には大きく2つのパターンがあり、以下の通りです。
病院で検査を受ける場合
病院で検査を受ける方法があります。性病科、耳鼻咽頭科などで受けることができます。診断料はだいたい8,000〜10,000円ほどです。検査目的の場合、保険適用外となります。
自宅で検査をする場合
クラミジアは市販の検査キットで検査することもできます。申し込みを行い、キットの説明に沿ってうがいした水を郵送することで検査してくれます。
どのぐらいの時間がかかるの?
病院で検査を受けた場合、結果が出るまで約1週間程度です。一方、検査キットでの検査の場合、数日程度で結果が出ます。すぐに結果が知りたいという人は検査キットをオススメします。
咽頭クラミジアを予防するためには
クラミジアを始めとする性感染症の予防には、基本的な配慮が必要です。では、具体的にどのような行動を取っていけばいいのでしょうか。
限定的な範囲での性行為
パートナーと性行為をするのは至極当たり前のことです。しかし、その枠を超えて性行為をしてしまうと、性感染症にかかってしまうことがあります。
特に男性であれば、風俗といった外部要因が病気の原因になることもあるでしょう。それはパートナーがいない時期でも気をつける必要があります。
枠を超えた性関係の構築は病気の感染拡大につながります。咽頭クラミジアは潜伏期間も長く、容易に広がってしまいます。性の関係を持つことには十分に気を配るようにしましょう。
体を清潔にする
細菌は不衛生な環境ほど繁殖しやすいです。性行為の際、入浴をしない。そのまま性行為へ至ってしまう。このようなことはなるべく避けた方がいいでしょう。性行為の前の少しの配慮が性感染症を予防することにつながります。
リスクを避ける心がけを
性感染症は人から人へ感染していきます。多くの人と性行為をすればするほどそのリスクは高まっていくでしょう。反対に言えば、パートナーといった限定的な付き合いであれば、基本的に感染はしません。
自分が病気を持ってきてしまうような行動をしてしまったり、症状があっても放置をしてしまう。これは自分にとっても相手にとっても悪い結果になるでしょう。
相手との信頼関係はこのような一つ一つの行動で築かれていきます。安易な行動に走らないよう、十分注意するようにしましょう。
まとめ
性感染症は誰かと性行為を持つことで、感染リスクが高まります。特に関係を初めて結ぶ相手とは慎重な行為が必要でしょう。後日、体に違和感があるようであれば注意が必要です。
どんな病気でも、小さな症状から始まります。しかし、その症状の小ささゆえ、ほとんどの人が大丈夫だろうという思いで放置してしまいます。
咽頭クラミジアはその心の隙をついて感染・発症するのです。ただの風邪が実はクラミジアだった。検査を受けてみて、ショックを受けたという人も多くいます。
風邪とは違う症状。誰かと性行為があり、その日を境に体の調子がおかしい。このようなことに心当たりがあるのであれば、きちんと病院へ行くようにしてくださいね。