ウイルスに感染すると、種類によってはわかりやすい形で症状が現れることがあります。例えば水疱瘡なんかは皮膚に発疹や疱瘡がでることがありますよね。一目で病気だとわかります。
口内ヘルペスもそんなわかりやすい形で症状を発症する病気の1つです。口唇ヘルペスと同じ種類のウィルスによって、感染・発症します。違うのは場所が口の中だということです。
では、口内ヘルペスはどういった症状を発症させるのでしょうか。また、治療法や対策法などはどういったことがあるのでしょうか。これらのことについてみていくことにしましょう。
口内ヘルペスとは?
ヘルペスは感染力の強いヘルペスウイルスに感染することで起こる感染症です。口唇ヘルペス(単純疱疹ともいわれます)といって、唇に発疹を発症するのが一般的ですが、稀に口腔内に起こります。それが口内ヘルペスです。症状として以下が挙げられます。
- 口内の違和感
- 舌などにピリピリとした感覚
- リンパ節腫れ
- 炎症
- 水泡
- 痛み
- 発熱
ヘルペスに感染しても、すぐに目に見える症状を発症するわけではありません。個人差がありますが数日から数週間の潜伏期間ののち、症状を発症します。
初期症状として違和感やピリピリとした感覚が起こります。
二時的な症状
ヘルペスを発症すると、口の中に食べ物をいれたとき痛みを感じます。結果、食欲の低下が起こることがあります。痛みが大きいこともあり、食事量がかなり減るでしょう。これは精神的に辛い部分もありますよね。
また、症状が進行すると神経や喉まで症状が広がることがあるので十分注意が必要でしょう。抵抗力が弱い子供は特に気にしてあげる必要があります。異常があったときは早急に対処するようにしてください。
そのほかの特徴
口の中に異常を発症させる病気はヘルペルだけではありません。口内炎や手足口病。そしてヘルパンギーナという聞きなれない病気もあります。こういったものとヘルペスを区別する必要があります。
口内ヘルペスの特徴としては、口の中だけでなく、唇の周りにも発疹がみられます。隠したくなるような炎症ができるので、外に出るのが億劫になるかもしれませんね。口内炎であれば、症状は口の中のみ。相変わらず食べ物がしにくいので、なるべく安静にするようにしましょう。手足口病であれば、症状は手足といった全身に。ヘルパンギーナであれば、早い段階で高熱がみられます。
様々な病気の可能性があるので、症状が長く続いているようであればきちんと病院・皮膚科へ行くようにしましょう。安易な自己判断をしてしまうと悪化することがあるので注意です。
口内ヘルペスの原因
口内ヘルペスはヘルペスウイルスに感染することで発症します。感染後すぐに症状を発症するわけではなく、数日から数週間の潜伏期間を経て、症状を発症します。
ヘルペスウイルスそのものは、ほとんどの人が感染しているといわれています。体力・免疫力があるうちは症状を発症することはなく、害を与えることはありません。
反対に言えば、体力・免疫力が落ちてしまったとき、ヘルペスを発症することがあります。ヘルペス発症のきっかけとなる原因として、以下のことがあげられます。
免疫力の低下
体には菌やウイルスから身を守る免疫システムがあります。この免疫システムがなんらかの原因で低下してしまうと、ヘルペスを発症してしまうことがあります。免疫力の低下は他の病気にかかってしまっていたり、子供や高齢者といった年齢的な要素が絡んでいることもあります。
例えば、日頃疲れが溜まっていて、休息がとれていない。このようなときは体の免疫力が下がっていることが予想されます。疲労は自分が思っている以上に溜まっていることがあるので、こまめな休息が必要です。
ストレス
日常的なストレスや体に負荷のかかる環境は、体の免疫力を低下させてしまうことがあります。そして、ストレスが継続されればされるほど、免疫力は弱まっていくでしょう。
大人の人でもヘルペスは十分に感染・発症することがあります。その背景には、慢性的なストレスによる免疫力の低下が隠されています。普段からストレスを発散するよう意識しましょう。
食生活の乱れ
普段から栄養の偏った食生活をしていると、体の免疫力を始め、機能が低下します。栄養不足が起こるからですね。代謝や内臓活動が健全に行われなくなり、体調が悪くなるなんてことがあるのですね。
外食が多かったり、野菜を食べずお肉ばかり食べるような生活をしている。そのようなことに心当たりがあるようでしたら注意が必要でしょう。バランスよく食べることが体調管理の第一歩です。
その他、体が弱まっているときは注意
女性であれば生理中などのときは、比較的体の抵抗力が弱まっていることがあります。体温が低くなったり、体が重いと感じたり。こういったときこそ、ヘルペスに注意する必要があるでしょう。
また、アトピーなどの皮膚バリアが弱まっているときなんかも、感染を容易にしてしまうことがあります。そして、再発が癖になってしまうこともあります。感染・発症予防のためには、生活環境を清潔に保つ必要があります。
口内ヘルペスの治療方法
病気の治療は症状によって異なりますが、基本的には薬の服用と生活環境の改善、体力の回復などがあげられます。それほど重症化することはありませんが、異変が出た時は早期治療を心がけ、安静にすることが大切です。
では、それぞれの治療法についてみていきましょう。
薬の服用
抗ウイルス薬を服用することで、ヘルペスを治療していきます。ウイルスの増殖を抑える薬や、皮膚の水疱の拡大を予防する即効性の高い薬、抗生剤などがあります。症状に合わせて投薬していきます。
症状が軽度であれば、市販薬(アクチビア軟膏)で対応することもできます。ただ、素人判断ではなかなか症状の診断が難しかったり、軟膏などの類似薬品を間違って買ってしまうこともあるので、なるべくであれば医師にかかるようにしましょう。
一方、症状が重症化しているケースでは、点滴を行うことがあります。また、体の免疫に影響をあたえるような基礎疾患がある場合も、注意が必要でしょう。
生活環境の改善
体調を悪くするような生活環境や衛生状態が悪い環境では、体力の低下を招き、症状を悪化させてしまうことがあります。このため、治療中は生活環境の改善が1つの治療の方法なります。
こまめな掃除を行い、風を通しをよくする。こういったことをするだけでも、体に良い影響を与えてくれるでしょう。掃除を意識して行ってみてくださいね。
体力の回復
ヘルペスは体の免疫力が低下したときに発症することがあります。このため、治療中は体力を回復させることが、投薬治療と合わせて大切な対処方法でしょう。アレルギー症状等を抑えることにも効果が期待できます。
体力の回復のためにできることは、安静と睡眠です。なるべく体を動かさないようにし、十分な睡眠をとるようにしましょう。病気の時は休むに限るのです。
治療中の注意点
口内ヘルペス発症中は、生活をしているなかでいくつか注意したいことがあります。症状を悪化させないためにも大事なことなので、ぜひ意識してみてください。
刺激物は避ける
唐辛子や塩辛い食事は刺激によって口内状況を悪化させることがあるのでなるべく避けるようにしましょう。そもそも、痛みで食事ができないということもありますが、避けるのが安全性の高い対処法として無難です。
手洗いうがい
外出先から帰ってきたときや室内にいても掃除をしたときなどは、きちんと手洗いうがいをするようにしましょう。体を清潔にしておくことは感染拡大予防にもなります。
タオルもこまめに取り替える
使い古したタオルはヘルペスウイルスの感染拡大の原因になります。取り替え頻度が低ければ、感染の可能性・危険性が高まります。そのため、使ったらなるべくこまめに取り替えるようにしましょう。
あとはバスタオルなんかを交換しないという人も多いかもしれませんね。確かに風呂上がりの体は清潔で、体を拭いたバスタオルはなんとなく清潔なように思えます。しかし、ヘルペス等にかかっていれば、その温床になってしまうことがあるでしょう。やはりバスタオルもこまめな取り替えが大切です。
マスクの使用には注意
ヘルペスを隠すためにマスクをする人がいますが、この使用には注意が必要です。というのも、マスクをすると空気がこもりやすく、衛生状態が悪くなることがあります。これが症状を悪化させてしまうことがあるのですね。
マスクを着用するのであれば、こまめな取り替えをするようにしましょう。また、自宅など人目を気にしない状況であれば、なるべく取ってしまうようにしましょう。皮膚の換気をよくすることが症状改善のために必要です。
赤ちゃんの感染にも注意
ヘルペスウイルスは唾液から感染することがあります。それは例えば赤ちゃんなんかにキスをすると、容易にウイルスがうつってしまうことがあります。
愛する気持ちはわかりますが、そういったことはなるべくしないようにしましょう。
口内ヘルペスの予防対策
ヘルペスウイルスを持っている人は多いです。しかし、症状を発症しないのは体の免疫力があるからでした。元気な体であれば、それほど心配する病気ではありません。
しかし、疲労が溜まっていたりすると、発症することがあるヘルペス。では、病気を悪化させないためには普段からどういった予防方法を心がければいいのでしょうか。
疲労をためない工夫をする
疲れがたまるというのは誰でもあることです。仕事が忙しかったりすれば、それだけ疲労はたまりますし、週末の休日だけでは回復できないこともあるかもしれませんね。
疲労をためないための工夫はとにかく休息をとることでしょう。夜更かしをせず早めに寝る。これだけでも十分体を休めることができます。電子機器の使用で寝る時間が遅くなるなんてことのないよう早めに寝るようにしましょう。
ビタミンBを意識して摂取する
ビタミンBは皮膚や粘膜を保護する効果があります。ヘルペスに感染すると皮膚や粘膜のバリアが弱くなりますから、ビタミンを意識して摂取してみてください。
原因治療、早期回復、再発防止が期待できるでしょう。また、リジンという成分もヘルペスに効果があるとされています。
紫外線を避ける
強い日差し・紫外線は体力を奪う1つの要因です。そして、それがヘルペス発症のきっかけになることがあります。特に体力の弱い子供は注意が必要です。もちろん、大人でも長時間太陽に当たっていると疲れてくることがあります。日焼け対策などをきちんと行い、体力を奪われないような工夫をするようにしましょう。
また、紫外線は皮膚の乾燥や免疫力を下げてしまうことがあります。日焼けをしてしまえば、それだけ肌のバリアも失われてしまうので注意が必要です。疲れてきたときは、屋内へ入り、休息をとるようにしてくださいね。
唇や口内の乾燥を防ぐ
乾燥した環境はウイルスの繁殖の原因となります。唇や口内は乾燥しやすいことがあり、注意が必要でしょう。特に冬場はなるべく意識したいものです。対策としては唇にはリップクリーム。口内の乾燥対策としては加湿器をつけることをおすすめします。
特に就寝中は口の水分が奪われやすいので、加湿器をつけてみてくださいね。安いものでもいいので、ぜひ購入してみてください。寝起きの口の乾燥が全く違うのでおすすめです。
また口呼吸の人は改善した方がいいでしょう。呼気が口を通れば通るほど、口は乾燥します。ヘルペスだけではなく、口臭の原因になる口呼吸。少しずつ改善していけば、無意識に口呼吸ができるようになると思いますよ。
風邪予防をする
風邪は体調がガクッと悪くなったときに起こるものです。疲れや睡眠不足などの疲れる要因が積もり積もることで発症してしまうのですね。こういったことを予防することが大切です。大概、風邪をひくのは疲労が溜まっているときなのです。
風邪かな?と思ったときの初期対応も大切です。寒気や熱が出たときは無理をせず、すぐに休む。初期対応が早ければ早いほど、回復も早くなるものです。決して無理をしないようにしてくださいね。
ヘルペスの付き合い方
ヘルペスウイルスに感染している人は多いものの、その症状を発症することはそれほど多いわけではありません。それは体の抵抗力がきちんと働いていて、ウイルスを抑制しているからに他なりません。
しかし、ひとたび体調が悪くなれば、ウイルスは増殖し、症状を発症させてしまうことがあります。症状が長く続けば続くほど、仕事にも家庭にも影響をあたえることになるでしょう。
病気を予防するためにできることは、とてもシンプルできちんとした休息をとることに尽きます。体力が低下してしまうと、一気に体調が悪くなることもありますから、普段から気をつけなければなりません。
休息をとる、というのは口で言うのは簡単ですが、そういかないケースもあります。仕事が忙しければ睡眠が少なくなることもあるでしょうし、食事がおろそかになることもあるでしょう。
ですが、そういったことを繰り返し、体に疲労が溜まっていくことで病気のリスクが高まっていくのです。少しずつ少しずつ、知らないうちに溜まる疲労が、一気に体調を崩す原因になるのです。
病気になる前に治療する
ヘルペスも、ふとした体調不良から発症することがあります。しかし、体調不良になる前には必ず原因があるものです。仕事が忙しかったり、睡眠時間が少なかったり。体は正直ですから、休息を取りたがるものです。
休息が足りないと自覚しながらも、なかなか休めていないとき。こういったときに病気は忍び寄ってきます。そして発症すると、一気に体調が悪くなるものです。
病気は初期段階であれば治療が最も簡単です。変に我慢したり、病院へ行かないようですと、どうしても病気はより悪化してしまうものです。それこそ休息を取らなければ、余計に悪化していくでしょう。
大切なのは病気になる前に予防をすること。体調が少し悪いようだな、と感じたらすぐに休息を取るようにしましょう。睡眠時間をきちんと確保し、食事もなるべく栄養価の高いものを食べるようにしてください。
まとめ
口内ヘルペスは稀な病気です。しかし、癖になってしまい、何度も発症してしまうこともあります。それは体質というよりも、生活環境に大きな原因があるのかもしれません。
体に負担がかかるような生活をしていないだろうか。睡眠は十分取れているだろうか、食事はきちんと食べているだろうか。市販の食事ばかりで過ごしていないだろうか。そして、こういったことに病気の原因があるのかもしれません。
規則正しく、体がリラックスできる生活リズムが健康を作ります。疲れが溜まっている時は無理をせず、きちんと休むようにしてくださいね。
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