日本では10人に1人は悩んでいると言われている巻き爪。爪がどの程度巻き込んでいるかによって、巻き爪の種類も異なりますが、いずれの場合も痛みを伴い、重度になると炎症を起こし、化膿する場合もあります。
また、女性の場合は、足元のネイルを楽しめなかったり、ハイヒールが履けない、ストッキングが引っかかるなどの不便さも出てきます。
そこで、ここでは、巻き爪の治療法や、そもそもの巻き爪になった原因を探り、巻き爪を予防法をご紹介いたします。
特別な道具を使わない巻き爪の改善方法や治し方などを紹介していきますので、参考に自宅でも治療を行っていきましょう。
巻き爪の種類
巻き爪はその症状によっていくつかの種類に分けられています。基本的に巻き爪とは爪が指の内側に湾曲することで指の肉を傷つけてしまっている状態で、皮膚に食い込みそこから菌などが侵入し炎症や化膿などを引き起こす現象のことです。
痛みがあり、歩行困難な状態になってしまうケースもあります。一昔前までは女性に多く見られる症状でしたが最近では男女を問わず悩んでいる人が増えている傾向があります。
弯曲爪(わんきょくそう)
特に足の親指に症状が見られる事が多い巻き爪の種類です。足の爪先側から見ると馬の蹄の様な形だったり逆向きのU字型の様な形状に爪が曲がっています。また、爪の方向が横方向に傾いて生えるような形になる場合もあります。
爪周辺の皮膚や肉に突き刺さるように爪が成長するため痛みが生じます。この湾曲の具合が強くなるとさらに痛みは増してきます。ひどい場合は、ほとんど円を描くように爪が丸まり端の部分が尖ったような形になることもあります。
この症状の原因としては、遺伝による生まれつきの性質はありますが、サイズの合わない靴を履くことや先の尖ったヒールを履くことが原因となるため女性に特に症状の発生が見られます。
爪甲鈎弯症(そうこうこうわんしょう)
爪の全体が異常に肥厚した状態に成長し、湾曲したり弓なりのような形状になってしまった爪のことです。これも足の親指に発症するケースが最も多く状態が悪化すると痛みを伴います。
動物のくちばしや、角の様に厚く硬い状態になり爪をカットすることが困難になります。爪の表面はザラザラだったり凸凹になり光沢感は無くなり、色も変色し黒っぽくなったり茶色になったり、くすんだ色合いになります。
同様にサイズの合わない靴やヒールを履くことによる圧迫感が原因と考えられますが、加齢とともに発症が認められるため大きくは加齢とともに起こる遺伝的な要因が強いと感じられます。
陥入爪(かんにゅうそう)
巻き爪の症状の中では最も良く確認される症状で最も痛みの症状が出やすいものでもあります。爪の先の両角が鋭いトゲの様な形状に成長することでその尖った爪が肉に食い込み出血や炎症を起こします。
歩くたび体重が掛かることで爪が刺さるため痛みが出ます。
基本的にはこの3種類の症状が起こるのが巻き爪の症状になります。この内の症状が一つだけの場合もあれば2つの状態が同時に併発する場合もあります。
巻き爪の治療法【病院編】
巻き爪の治療法を大きく分けると、病院で治療する方法と、自宅で治療できる方法との2種類があり、それぞれ費用も異なるようです。
症状が悪化し、歩行が困難な場合や、化膿している場合は、病院での治療をおすすめします。病院へ行く場合は、外科、あるいは整形外科、皮膚科を受診しましょう。
それではまず、病院での治療法について、ご紹介いたします。
爪の部分切除
症状が軽度の場合は、この治療法が行われます。局所麻酔を使用し、指に食い込んでいる爪を一部切除します。比較的早く治り、痛みも少なく、手術時間も10分~30分と短時間で終わるというメリットがありますが、再発しやすいというデメリットもあります。したがって、術後は、根本的な改善をしていく必要があります。
費用は、医療機関によっても異なりますが、保険適用有で8000円前後(初診料を含まない)を目安と考えておきましょう。
巻き爪の治療は外科、整形外科、美容外科が専門で受けることが出来ます。
内服薬での治療
これも巻き爪の症状が軽い場合に行われる治療です。患部の爪を切るほどでもないし、痛みも軽度でとりあえずは症状の観察で大丈夫な場合にとられる治療法です。
痛み止めや細菌感染や炎症を抑えるための抗生物質とステロイドの外用薬や軟膏を使用して治療を行っていきます。同時にテーピング法やガーゼ法やガーゼ&パッキング法などの方法で患部を守っていきます。爪と炎症や化膿している部分が接触しないようにしてまずは化膿の症状を収めていきます。
とくに巻き爪と陥入爪が合併して起こっている時に行う治療で炎症が落ち着いてきた場合にはワイヤー矯正治療やプレート法などの矯正治療法の治療に移っていきます。
プレート法
これは、軽度~中度の巻き爪に有効な治療法です。プレート法は、プラスチックや金属製のプレートを爪に横一文字に貼り付け、プレートの両端が上に引っ張る力を利用して、爪の巻き込み部分を矯正するという方法です。
最近では、ドイツで生まれたグラスファイバー製の薄い板を貼り付ける「B/Sブレース方式」という無痛治療もあり、これはネイルサロンなどでも施術されているようです。
痛みを伴わず、日常生活への支障もないことから、軽度の巻き爪治療には大変効果的ですが、ほかの治療法に比べて、矯正力が弱いため、治療期間が半年~1年と長く、その分、治療費も多くかかるというデメリットがあります。
費用の目安としては、プレート1枚につき5000円前後、さらに処置費用として2000円~3000円をプラスした料金になります。しかし、保険適用されない場合が多く、何度か通院しなければならないため、トータルで数万円かかると認識しておいた方が良いでしょう。
フェノール法
これは、症状が進行した中度程度の巻き爪に行われる治療法です。フェノール法は、局所麻酔を使用し、巻き込んでいる部分の爪を切除した後、フェノールというヘンゼンから合成される薬品を使って、爪が生えてくる部分を殺してしまいます。そうすることで、変形した爪が生えてくるのを防ぎます。施術後は、1日~1週間程度、内服薬を服用します。
化膿していたり、巻き込みの度合いがある程度深いものでも施術が可能で、手術時間も10分~30分と短時間で終わらせることができますが、爪の幅が狭くなる、再発の可能性があるといったデメリットもあります。
費用は、保険適用有で6000円~9000円前後(初診料を含まない)と言われていますが、術後の通院を含めると、もう少し多く見積もっておいてもよさそうです。
VHO法(ワイヤー法)
これは、軽度~重度まで、巻き爪の幅広い症状に対応できる、ワイヤーを使った治療の一つとして知られている治療法です。
VHO法は、スチール製のワイヤーを爪の左右両端に引っ掛け、爪の中央部分にある専用のフックでひねりながら固定し、爪の両端を徐々に持ち上げることで矯正します。痛みは少なく、短い爪にも対応でき、こまめに通院する必要がないというメリットがあります。
一方、保険適用外のため、治療費用が高くつくことや、半年~2年と治療期間が長いというデメリットもあります。
費用の目安としては、1ヶ所10000円前後と思っておいて良いでしょう。しかし、通院回数が少なくても済むので、ほかの治療法のトータル費用と比べても、そう大差はありません。
マチワイヤー法(ワイヤー法)
これも、VHO法同様、軽度~重度までの巻き爪に対応できます。マチワイヤー法は、爪の両端に穴を開けて、形状記憶のワイヤー(ニッケル、チタンの合金)を通し、ワイヤーが元に戻ろうとする力で矯正する治療法です。
施術時間も痛みも少なく、日常生活に支障がないといったメリットがある一方、保険適用外のため治療費が高くつくことや、治療期間が半年~2年と長いこと、短い爪では施術できないといったデメリットもあります。
費用の目安としては1ヶ所10000円前後ですが、途中でワイヤーを入れ替える場合は、トータルで30000円以上かかる場合もありますので、事前に医師に確認しておくと良いでしょう。
爪母全切除法
これは、重度の巻き爪の場合に行われる治療法です。爪は、根元にある、白い爪半月と呼ばれる部分で作られているのですが、この部分を「爪母」と言います。
爪母全切除法では、この爪母を完全に切除し、爪を生えてこなくさせてしまいます。二度と爪が生えなくなってしまいますが、何度も繰り返す巻き爪や、重度の巻き爪による痛みに悩まされることはなくなります。
完治すれば、完全に痛みはなくなり、また、保険適用されるので、治療費も比較的安く済みますが、術後3週間は激しい運動や、長距離の歩行を避ける必要があり、術後しばらくは痛みが続くなどのデメリットもあります。何より、爪が生えてこなくなるのが、最大のデメリットです。これは最終手段と考えておきましょう。
費用は15000円~20000円程度が目安です。
巻き爪の治療法【自宅治療編】
軽度~中度の巻き爪の場合は、自宅での治療も可能です。病院での治療に比べ、比較的安価に、手軽に行えるので、炎症や化膿が起きていない場合には、これらを試してみるのも良いでしょう。
巻き爪矯正専用キット
インターネットサイトなどで手軽に購入できる、巻き爪矯正専用キットというものがあります。爪が指に巻き込むのを防ぐタイプと、爪の形を正常に戻すタイプの2種類が主となり、テープ系、プレート系、ワイヤー系、ゲル系など種類も様々です。
医療機器の許可を取得しているものもありますので、それらを使用すると安心して治療できるでしょう。
費用は、1000円~20000円前後と、キットによって大幅に異なります。高価なものは、医療機器の許可を取得しているものも多いようです。
コットンパッキング
これは、中度~重度の巻き爪には、あまり効果は期待できませんが、軽度の巻き爪であれば、簡単に効果が得られる治療法でもあります。
清潔なコットンを小さなボール状にして、爪が巻き込んでいる部分の、爪と、指の間に挟みます。用意する物も、コットンとピンセットのみなので、手軽に行える治療法の一つと言えるでしょう。
爪をスクエアカットにする
爪が短かったり、爪の形にそのまま沿って切ってしまうと、爪の両端が丸みを帯びるため、伸びるときに指の肉に食い込みやすくなります。そこで、爪を四角く切ることで、巻き爪を防ぐというわけです。
「そんなことで治るの?」と思う人も多いかもしれませんが、軽度の巻き爪であれば、これで改善されるケースが多々あります。
また、使用する爪切りは、刃の形状が丸みを帯びている物よりも、やや直線的な物の方が、上手くカットできるのでおすすめです。
パーマ液矯正法
パーマ液は爪を柔らかくする効果があるので、巻き爪を改善する際に使用すると効果的だと言われています。しかし、肌の弱い人は、事前にパッチテストをするようにしてください。パーマ液は市販の安価なもので十分効果が得られます。
まず、爪にやすりをかけ、巻き爪専用のワイヤータイプのキットを装着します。その状態で爪にパーマ液を塗りサランラップで指を包み、30分程度放置します。
30分経ったら、ワイヤーをつけたままパーマ液を洗い流し、その状態で数時間さらに放置します。数時間後、ワイヤーを外したら、爪がそのままの形をキープし、巻き爪を改善できるというわけです。
手間はかかりますが、通院するよりも安く済ませることができますので、試してみる価値はありそうです。
テープングを行う
細いテーピングを螺旋状に指に巻き付け肉を引っ張ることで陥入爪や弯曲爪の症状で肉に食い込んだ爪を離して圧迫感を取り除きます。
バネのようなイメージで患部の指の上から下へ右回りで一周させ爪の横の肉を引っ張るような形でテープを巻きつけます。螺旋状に巻きつけることで長時間テーピングを行っても血行不良を起こさず処置することが出来ます。
慢性的な陥入爪の場合はきちんとした治療を行う必要がありますが、爪切りでの切り方のミスなどによる一時的な応急処置には向いています。
巻き爪の原因を知って改善しよう!
巻き爪になってしまう前に、原因を改善し、予防することも大切です。巻き爪を引き起こす原因には、以下のようなことがあげられます。
靴のサイズがあっていない、ハイヒールを履く
本来の足のサイズよりも小さな靴を履いたり、足先の幅が狭くなっている靴を履くと、足指と爪が圧迫されるため、巻き爪になりやすくなります。
また、これと同じような原因で、ハイヒールをよく履く人も、爪先に体重がかかり、足指と爪が圧迫されるため、巻き爪になる傾向があります。
自分のサイズにあった靴(とくに足指部分の横幅)を履き、ハイヒールを履く機会の多い人は、あまり高くないヒールを選び、スニーカーやフラットシューズで過ごす日を作るなどして、爪先への負荷を軽減するよう、心がけましょう。
深爪
深爪をすると、爪の周りの肉が盛り上がり、爪が伸びてくるときに爪の成長を妨げます。そのため、爪が皮膚にくい込みやすくなり、巻き爪になる、あるいは巻き爪を悪化させることがあります。先に述べた「スクエアカット」を参考に、深爪しすぎないように注意しましょう。
スポーツ、怪我
スポーツなどで、爪先に大きな負荷がかかる場合や、怪我などで足指に大きな衝撃が加わり、炎症が起きると、その部分が腫れ、指の肉が盛り上がって爪を圧迫するため、巻き爪を引き起こす場合があります。
爪先に炎症が起きている場合には、まずはその炎症を抑える処置で、指の腫れができるだけ早く引くようにしましょう。
体質
とくに明確な原因がないのに巻き爪になりやすい人は、爪が薄く、柔らかい人が多いようです。このような場合には、爪の根元をマッサージしたり、ケラチンというタンパク質を積極的に摂り、食生活を改善することから、爪そのものを丈夫にすることが必要です。
また、乾燥も爪のトラブルを招きやすいので、ネイルオイルなどで爪をマッサージすることを習慣づけるのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。これからの季節、サンダルを履く機会も増えてきます。巻き爪でネイルが楽しめない、痛くて歩けないといったことがないように、早めに改善することが大切です。
とくに、化膿してしまった場合は、治療が長引くだけでなく、歩行が困難になるため、全身の骨格のバランスも崩れやすくなり、様々な不調を招きます。少し違和感を感じた時点で、改善方法を検討しましょう。
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