パソコンにスマホと目を酷使する機会がどんどん増えており、それに伴って目のかすみや疲れに悩まされる事が多くなったような気がします。
また、目のかすみには別の病気が潜んでいる可能性もあり見過ごす事はできません。病気の予防と同時に、つらい目の疲れが起きないような対策を行いましょう。
眼がかすむメカニズム
目がかすむという症状は、物がぼやけて見える事を指しています。
目はフィルムカメラのような作りをしており、レンズの役割をする水晶体から入った光が網膜に像を結ぶ事で、物が見えています。水晶体周りには、厚みを調整する毛様体筋と呼ばれる筋肉があり、この筋肉の働きによって、水晶体の厚みを調節する事でピントを合わせています。
近くを見る時には毛様体筋が収縮する事でレンズ(水晶体)を膨らませ、逆に遠くを見る時にはレンズを引っ張って薄くする事でピントが合うようになっています。つまり、この毛様体筋の働きが鈍ってしまう、またはレンズ硬くなってしまっていて、押しても引いてもレンズの厚みが変わりにくいという状態が起こるとピントが合わず、目のかすみを感じます。
また、レンズそのものが濁っている状態によって見えづらい、かすむといった症状が起こる場合もあります。
目がかすむ原因について
では、目がかすむ原因について紹介します。心当たりのある方は、改善するようにしましょう。
筋肉の疲れ
毛様体筋は常に縮んだり伸びたりする事でピントを合わせています。近くを見る時、つまり毛様体筋が縮んでいる状態は筋肉に力が入っている状態という事になり、この状態が長く続くと筋肉が疲弊してピントの微調整が出来なくなってしまうのです。
長時間のパソコン使用やスマホの使用により目が疲れるのは筋肉疲労が原因です。
また度の合わない眼鏡やコンタクトを装着している場合、合わない部分の度を合わせるために筋肉を酷使する事になり疲労が起こります。
乾燥
目の表面には常に涙があり、乾燥を防いだり異物からの保護、栄養の補給など様々な役割を担っています。また、目の表面はつるんとしている訳ではなく、微妙な凹凸があります。涙によってこれを覆う事で表面が術らかになり、光を網膜まで届かせる事ができます。
しかし、涙が少ないと目の凹凸をカバーしきれなくなるため、目から入った光が上手く届かずピントが合わせづらくなります。コンタクトレンズの装用や、まばたきが少ない事で起こるとされており、ひどくなるとドライアイという疾患となります。
涙には目を潤す基礎分泌と、悲しい時やごみが入った時に出る刺激性分泌の二種類がありますが、ドライアイの方の場合はこの基礎分泌が非常に少なくなります。涙もろいからといってドライアイになりにくい訳ではないのです。
必要な物質が追いつかない
光を感じる視細胞には、明暗を認識する「桿体細胞」と色を認識する「錐体細胞」の2つがあります。
桿体細胞にはロドプシンというタンパク質が含まれており、この働きによって物が見えていますが、ロドプシンは明るい所では分解され、暗い所で再合成されるという性質があります。
暗い所に居る時はロドプシンの働きで物が見えるのですが、目が疲れて来るとこの再合成が追いつかなくなり、桿体細胞の働きが鈍って物が見えづらいとう症状が起こります。
血行が悪い
体全体の血行が悪くなると、当然目にも悪影響を及ぼします。
角膜や水晶体には血管はありませんが、周りの組織から酸素や栄養分が補給されており、流れが滞ると水晶体が厚くなってしまったり、目の中全体の圧が上がってしまい視神経をいためる等の恐れがあります。
また、血行が悪くなる事で視神経の働きが悪くなる事で、物が見えにくくなる事があります。
老化によるもの
老化により、水晶体が硬くなる場合があります。
病気が原因の場合
目のかすみには、病気のサインが隠されている場合があります!特に目を使っていないのにと感じた場合や、心当たりがある場合は早めに病院に行きましょう。
白内障
白内障は、水晶体が白く濁ってしまい集めた光がうまく眼底まで届かず、視力が低下する病気です。目のかすみに加え、光がまぶしく感じられるなどの症状があります。
加齢により発症する事が多い病気です。
緑内障
緑内障は視神経に障害が起こり、視野狭窄が起こる病気です。
眼圧が上昇する事で、視神経を圧迫してしまい引き起こされます。目がかすむというよりは見える範囲が狭くなる症状ですが、初期の場合ではちょっと見えづらい程度に感じる事が多く、進行するまで気が付きづらいので注意が必要です。
ぶどう膜炎
目の中に炎症を起こす病気の総称をぶどう膜炎と呼びます。そのため原因は様々な物がありますが、全身の免疫疾患や感染、外傷、腫瘍などが原因として考えられます。
目に起こる症状としては、水晶体の前にある組織、硝子体に炎症性細胞がしみ出す事で濁りや浮遊物が生じ、かすみ目の症状を感じます。
病気じゃない場合の対処法
病気により目のかすみが発生している場合は、なるべく早めに病院へ行く必要がありますが、それ以外の原因の場合は、どのようにして対処するべきかを紹介します。
筋肉を休める
まず、筋肉を使いすぎないように定期的に目を休めましょう。
目の周りの筋肉をほぐすためには、どこかにピントを合わせる感じではなくぼんやりと遠くを見るのが最も良い方法です。大体6~7m程度遠くを見ながらまばたきをする(米国では20フィートを見ながら20回まばたき、というのが目安になっています)のが疲れ目に良いとされており、目を動かす事も効果的です。
乾燥を防ぐ
乾燥を防ぐことが目の健康には必要になります。
・まばたきを意識する
画面に集中していると、まばたきが非常に少なくなります。
・湿度を追加する
単純な事のようですが、ドライアイには環境の影響が非常に大きいので、部屋の湿度を上げる、水分をしっかり採るといった一見単純な対策が効果的です。
特に冬場は空気が乾燥するので、エアコンの運用を控えめにしたり加湿機を置く事をお勧め致します。また、近年では目を保護する眼鏡もあるので、長時間のパソコン操作などの場合は取り入れてみるのもよいでしょう。
・モニターを低く保つ
パソコンを長時間使う場合まばたきが非常に少なくなるのは前述の通りですが、モニターを目線よりも低くする事も効果があります。
ちょっとやってみるとわかるのですが、見上げる状態で物を見る場合、外に晒される目の表面積はまぶたが掛からない分広くなっています。
目を見開くとその分涙が蒸発してしまうので、モニターの位置は少し伏し目になる位にする事で目の乾燥を防ぐ事ができます。
・風は避ける
髪の毛を乾かすときと同様に、目も風を浴びるとどんどん乾いてしまいます。できるだけエアコンの風が直撃しないように注意しましょう。
ロドプシンの再合成を促す
ロドプシンは、光が当たると分解され暗くなると再合成されますが、ロドプシンの再合成には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが使われます。加齢に伴いアントシアニンは徐々に不足するようになるので、外から補給する事でこれを防ぐ事ができます。
ブルーベリーやビルベリーなどに含まれる成分で、目に良いというサプリメントに含まれる成分はアントシアニンである事が多いようです。目のかすみの原因が、ロドプシンによるものであれば非常に効果があるといえます。
普段から目の健康を保つには
体に良い生活は、すなわち目の健康にも良い生活です。疲れたらこまめに休める、ストレスを溜めない、睡眠を充分に採る、といった基本的な対策を心がけましょう。
また、忘れがちなところでは紫外線からの保護があります。日差しの強い日は日焼け止めだけではなくサングラスを直用し、直射日光が当たらないよう対策を行う事が有効です。
まとめ
非常に繊細な器官でありながら、外部に丸出しになっているという事で目はいろいろなリスクにさらされています。
目がかすむのは目の疲れが原因である事が多く現代病とも言えるものですが、中には病気を原因としているものもあります。こまめな眼科検診を受け、健康を維持するよう心がける事が大切です。
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