強膜炎の原因とは?症状や治療方法、診断方法を知ろう!

私たちの日常生活の中で目というのはとても大きな存在です。目からあらゆる情報を知り、色々な世界を見せてくれます。しかし、私たちはそんな目に様々な負担を与えていないでしょうか?

パソコンやスマートフォンが普及した時代だとそうなってしまうのも無理はありません。今回は目を脅かす病気のひとつ強膜炎について紹介していきます。目を酷使する現代社会だからこそ、目の事を十分知っておくのも大事だと思いますので、一度読んで頂きたいです。

強膜って一体何なの?

強膜

強膜炎に入る前に強膜って一体どういうものなのか疑問に感じた方も中にはいるはずです。まず最初は強膜について説明していきます。

強膜は膠原繊維(コラーゲン)からできていて、引っ張られる力に強い膜です。眼内圧と眼球の形を保つように働いてくれる膜なのです。要は目を守ってくれる心強い味方というわけです。これがあるから私たちの見る世界を提供してくれていると言ってもいいかもしてないです。

カメラで言うとボディに相当する所です。ちなみにフィルターが角膜、レンズは水晶体、フィルムは網膜といった所です。

強膜炎とは一体何なのか?

目の炎症

強膜炎は眼球にある強膜という部分に炎症が起きている病気のことです。強膜は私たちが呼んでいる白目と言われている部分を指します。眼球全体を外からの衝撃や圧力から守ってくれています。この膜に強い負担がかかり続け、炎症が起きることで強膜炎を発症してしまうのです。

30代~50代くらいにかけて起こりやすく、自己免疫疾患(関節リウマチなど)を伴っているケースが多いです。炎症は生体防御反応により起きるとされているからです。組織や細胞の変性や壊死といったことで起きうる。女性の方が男性に比べて発症しやすい特徴もあります。

目に様々な症状を引き起こすので、放ってはおけない病気と言えます。場合によっては失明など重篤なケースもあるので尚更です。

強膜炎の分類とは

強膜炎の種類として、強膜の表面に起きる上強膜炎、深部強膜に炎症が起きている前部強膜炎、眼球の後部にまで広範囲に炎症が見られる後部強膜炎の3つがあります。

また、強膜炎はびまん性強膜炎、結節性強膜炎、壊死性強膜炎の3つに分類されます。その中でもびまん性結膜炎がよく見られ、広範囲に症状が起きるということを知っておくといいと思います。この中では、壊死性強膜炎が最も重篤です。

強膜炎の原因って一体何なのか?

免疫

強膜炎の原因について移ります。自己免疫疾患や炎症性疾患、感染といった様々な理由が考えられます。関節リウマチや糖尿病、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、結核、梅毒、眼部帯状ヘルペス、糸球体腎炎、側頭動脈炎といった病気から発症します。ほとんどの場合は具体的な原因は不明です。

この中には身近な人が発症しているというものもあると思います。関節リウマチや糖尿病、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群は多分親戚がとか思った方もいるのではないでしょうか?その4つの部分に関しては補足させて頂きます。

原因となる物質は眼球表面に来るものもあれば、血流から来るものもあります。

関節リウマチから派生

関節リウマチは自己免疫疾患の代表的なもので厚生労働省の制定した特定疾患に指定されている病気です。全身に関節炎などを引き起こします。

もちろん、目も例外ではありません。関節リウマチの合併症として、強膜炎は代表的なもののひとつです。強膜炎を発症すると予後不良とも言われています。上強膜炎の場合は急性に発症し、多くの場合は数日から10日以内に治癒します。

詳しくは、リウマチの初期症状をチェックしよう!指のしびれに要注意!を読んでおきましょう。

糖尿病から派生

糖尿病は全身に症状が及ぶ病気です。目にも様々な症状を引き起こし、強膜炎をはじめ、白内障や網膜症を発症します。場合によっては失明する可能性もあるので、糖尿病において目は観察しておかなければならない特に重要な部位とも言えるのです。

血管も脆くなっている場合もあるので尚更です。詳しくは、糖尿病は完治する?症状や治療方法について!を参考にしてください。

全身性エリテマトーデスから派生

全身性エリテマトーデスは臓器など様々な場所に症状を引き起こす病気とも言われています。皮膚に赤い紅斑や発熱、全身の倦怠感といった症状が主に見られます。

ウイルスから身を守る際に異常をきたす自己免疫疾患のひとつで指定難病です。初期症状として目に現れたりします。

詳しくは、エリテマトーデスとは?原因・症状・治療法・経過について知ろう!を参考にしてください。

シェーグレン症候群から派生

シェーグレン症候群は女性に起きやすい自己免疫疾患です。目の症状が代表的とも言える病気でドライアイや目の疲労や痛みといった症状が表れます。

つまり

強膜炎は単一の病気と見るよりも何らかの病気から派生して起きる病気と見る方がいいのかもしれません。特に全身に症状が見られる自己免疫疾患などの病気を疑う必要が出てきます。特に関節リウマチに見られるのは特徴的です。

強膜炎の合併症として

強膜炎の合併症として、強角膜炎やぶどう膜炎、緑内障、白内障、網膜障害、虹彩後癒着といったぶどう膜炎と同じ合併症が発生します。

強膜炎の症状とは一体何なのか?

痛い

強膜炎の症状に移ります。症状は片方の目だけの場合もありますが、両方の目に表れる場合もあります。

痛み

まず目に強い痛みを伴います。場合によっては日常生活に支障をきたす可能性があります。突き刺すような激しい痛みのため、睡眠障害などを生じてしまうからです。人間痛みほど辛いものはないということです。

食欲不振

痛みなどから食欲低下も見られます。

充血

目が紫がかった赤色に充血するのが特徴的です。これを結膜充血と呼んでいます。場合によっては点眼薬で軽減することができず、虹彩毛様体炎を発症する場合もあるので注意が必要です。

涙量の増加

涙の量が増えるのも強膜炎の症状として代表的です。

羞明

羞明といい、光に対して目が過敏になってしまうのです。

視力低下

視力低下は強膜炎を発症した際、最も顕著に表れる症状です。1割~3割の人が視力を失ってしまう恐れがあります。

角膜の混濁

角膜にも炎症が及び、浮腫が起きたりすることで角膜が混濁します。これを硬化性角膜炎といいます。角膜炎が進行すると、炎症がおさまっても透明には戻らないです。

進行すると

強膜炎が進行すると、強膜が薄くなってぶどう膜が見える場合があります。眼球に穴が空いたり、隆起したりするので放ってはおけないです。そこから様々な合併症を併発してしまうので強膜炎単一では見てはいけないということになります。

場合によると

壊死性強膜炎が強膜炎の中で特に恐ろしいです。上記にあった強膜が薄くなったりするのは勿論、高い致死率で10年以内に50%が死亡するという気をつけなければならない病気と言えます。

ちなみに

強膜炎のひとつの上強膜炎は充血は強く見られますが、それ以外の症状は軽いと言われています。

強膜炎の診断方法

検査

強膜炎の診断に移ります。強膜炎は視力障害を伴う場合があるため、結膜炎や上強膜炎でないことを鑑別しないといけないです。

血液検査

採決を行って、リウマチ因子や抗核抗体といった自己免疫疾患に関するものなどがあるかどうかを調べていきます。

眼底検査

網膜の異常がないかどうか検査していきます。

細隙灯顕微鏡検査

眼の拡大像を見て、病態を把握していく検査になります。

胸部X線検査

他に感染症がないか等、原因を調べていくために行っていきます。

CT検査

目に異物が無いか調べていきます。

超音波断層撮影

断層写真を撮影し、目に炎症がないかどうか調べていく検査になります。

炎症の5兆候

強膜炎は炎症を伴う病気です。炎症には兆候があり、それらを見ていく必要があると考えられます。炎症部位が赤くなる発赤、痛み、発熱、腫脹、機能障害の5つです。

つまり

強膜炎の診断を行っていく上で関節リウマチなどの合併症の検査も並行して行い、全身状態の把握を行っていくことが重要となってくるというわけです。

強膜炎の治療法とは

治療薬

強膜炎の治療法に移ります。治療を進めていく上で炎症を抑えていくことが主体になっていきます。

ウイルスや細菌感染が原因となる場合はそれに対する投薬治療を行っていきます。炎症に対してはステロイド治療が行われます。局所の感染ではなく、全身の場合は重症度に応じて治療が進められます。ステロイドには副作用があるため、経過観察を行って状態を把握する必要が出てきます。穿孔の危険性がある場合、強膜移植が行われたりします。

点眼薬と内服薬を併用したり、点滴や注射を用いて治療するケースもあります。充血が強い場合は血管収縮剤を用いて軽減します。点眼薬を用いているため、負担も少ないです。痛みに対してはアスピリンやNSAIDsといった治療薬で軽減したりします。

また、強膜炎は単一で起きるというより、何か原因となる病気から派生して起きる可能性も高いです。そのため、原因となる病気に対する治療も怠ってはいけないのです。この辺りは他の治療チームと連携して行っていく必要があると考えられます。

目の合併症として、ぶどう膜炎や緑内障を発症している場合もあるため、それらに対する治療も並行して行うことも基本となります。

どの治療法も副作用に注意する必要があり、血圧上昇や感染症といった症状が起きる場合があります。そのため、患者の経過観察がより必要になってくると考えられます。一旦治癒しても再発しない人もいれば、数か月で再発するといった場合も十分ありうるのです。

ちなみに上強膜炎は点眼で比較的容易に軽快します。

まとめ

今回、目の病気のひとつ強膜炎について紹介させて頂きました。強膜炎は単一の病気と考えるのではなく、何らかの病気がその背景に存在し、合併症として発症する場合が多いです。なので、強膜炎を見る際は全身状態を把握し、強膜炎の治療と共に合併症の治療を進めていくことになると思われます。

目は私たちに様々な情報や世界を提供してくれる貴重な存在です。だからこそ、私たちは目を大切にし、日々の生活を過ごしていくことが大切だと言えるのではないでしょうか?

  
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