いい子症候群とは?症状や原因、解消方法を知ろう!弊害はなに?

手のかからない子供は、親からすればとても良い子のように見えます。親の言うことを聞き、特に反抗期もない。家族の関係も良好。素直で、物事に感情的にならない。しかし、こういった子供にしばし問題が起こることがあります。

いい子症候群は親の顔を伺い、良い子を演じている状態をいいます。親から言われることをそのまま遂行し、自分の意見を持たず成長していく。これが社会に出た時問題になることがあるのです。

では、いい子症候群とは具体的にどういった症状・状態を指すのでしょうか。また、その状態のまま育ってしまうとどういったことが将来予想されるのでしょうか。詳しくみていくことにしましょう。

いい子症候群とは

いい子症候群

冒頭でも述べたように、いい子症候群とは子供がママ・パパの言いつけを守り、顔色を伺い、良い子を演じるというような状態をいいます。教育評論家として有名な尾木ママこと尾木直樹さんが言い始めた言葉です。

いい子症候群と思われる子供には次のような行動がみられます。(ちなみに長女や長男など一番上の子に多いといわれています。)

感情表現が苦手で自分の意見を持たない

親の意見を聞き入れ、その期待に対して応えるようになると、子供自身の感情が薄れていきます。このため、感情を表現することが難しくなったり、自分の意見を述べられなくなることがあります。

子供に対して親があれこれとレールを敷いてしまうため、子供はその物事に対して何の疑問もなく進もうとしてしまいます。考え方を親から押し付けられたり、考える時間を与えられなければ、感情表現ができなくなってしまうでしょう。

親がいなくなると不安になる

物事を考える基準が、自身の考え方ではなく、親の考え方なので、親がいなくなると途端に不安になります。自分で考えるということをしていないため、何をしていいのかわからなくなるのですね。

常に指示待ち状態なので、自分から行動するということもありません。親は主体性を子供に求めますが、あまりに強い期待を子供に求めてしまうと、このような状態になってしまうのです。自分の身体とは違う、どこか他人に操られているような感覚があります。

例えばその子供に何か考えさせるような質問をしたとき、その答えは親のいつも言っていることが多いです。それは根拠を聞いてみると「うちの親が言っているから」というような答えが返ってきます。

真面目で努力家である

親から気に入られるためであれば、努力を怠らない。いい子症候群の子供はそんな真面目で努力家であることが多いです。どちらもとても大切な性格なのですが、自分のしたくないことをしているとストレスが溜まってしまいます。

例えば本当はしたくない英語の勉強を、親のいいつけ、褒めてもらいたいとい気持ちでやっている。確かに勉強はできるようになるかもしれませんが、なんだか腑に落ちない気持ちに子供はなっているのかもしれません。

いい子症候群の原因とは?

しつけ

いい子症候群を発症してしまうのは、子供ではなく親に原因があることが多いです。

では、具体的にどのような原因が考えられるのでしょうか。以下のことがあげられます。

子供に過度な期待をしている

子供に期待することは親として当たり前のことです。テストの点数が良いことを期待する。学校での振る舞いに対して期待する。しかし、期待しすぎると子供の姿が見えなくなってしまうことがあります。

自分が育てたいと思う子供像と、自分の子供には差があります。その差を埋めるために色々なことを言いつけてしまうと、子供には過度なストレスがかかるでしょう。過度な期待は時として行き過ぎた押し付けになることがあるのです。

感情的になることがある

例えば親が何かのきっかけで感情的になってしまうと、子供は本能的にそれを鎮めようと良い振る舞いをするようにします。その原因が自分にあれば、なおさら良い子に振舞おうとしてしまいますよね。

子育てにおいて不安や心配はつきものです。しかし、親が感情的になることは、子供にとって最大のストレスでしょう。日常的に感情が高ぶるようであれば、注意が必要です。

子供の姿より評価を見ている

学校の成績やできたこと、行動、振る舞い。子育てをしていると、どれも他の人間より優れていた方がいいと思うかもしれません。しかし、それは子供の本当の姿ではなく、一つの評価でしかありません。

子供の外見的な要素ばかりを見て、本当の姿を見てあげられていない。そういった見方を親がしていると、子供は個を消し、親の理想とする子供を演じるということを始めてしまうのです。子供もかなり演じているという感覚が強くなるかもしれません。親子としての関係性も非常にいびつなものです。

子供に自由を与えない

子供時代に子供の好きなことをさせ、興味を喚起することは親の1つの役割だと思います。1つでも興味があることが発見できれば、そこから学ぶことはとても多いと気づくでしょう。

しかし、子供の自由を奪ってしまうと、子供は自分自身を束縛してしまいます。親が怒るから勉強をする。親の機嫌をとるために、嫌なことをする。そうすることで、子供は自分の個性を失っていってしまうのです。

様々なルールを課し、逐一チェックし、子供の自由を奪ってしまう。また、教育ママで勉強を押し付ける。だけど、子供は親の機嫌を伺うためにそのルールに自分を合わせていくことをします。しつけやルールに厳しい親を毒親ともいうようです。

自由を与えない理由は様々なケースが考えられます。子供のためを思って、習い事や勉強を強制的にさせる。しかし、子供にとってそれが楽しくなければ、身につくものも身につくことはないでしょう。そして、毒親育ちの子供は自分の意見を持てなくなっていくのです。自由を与えないというのは、将来自立できない人を育てる危険度を高くしてしまうでしょう。

いい子症候群の弊害

うつ

いい子を演じるように育ってきた子供がそのまま大人になり、社会に出ると、しばし問題が発生します。自分の意見を持たず、親の敷いたレールを歩いてきた子供にはどういったことが起こるのでしょうか。

新型うつ

従来のうつ病は自己否定や強い精神的な落ち込みなどの症状がみられます。日常の生活を営んだり、仕事をすることが難しくなってしまうなんてこともあるでしょう。うつの状態では食欲の減衰、慢性的な寝不足を発症し、心身共にぼろぼろになることもあります。

一方で、いい子症候群の子供が社会人になると新型うつ病を発症しやすいといわれています。このうつ病は従来のそれとは異なります。周囲からは病気にかかっているように見えず、一見して元気な姿でいることが多いです。具体的には以下の通りです。

仕事へのやる気がない

いい子症候群で育った子供が成長し、就職しても仕事に対するやる気のなさが姿勢にあらわれます。仕事の必要性の理解や主体性を欠いているために、やる気の低下が起こってしまうのです。

また、自尊心が高いということも1つの特徴です。仕事でおきたミスを認めたがらない、もしくはミスに対して過剰に落ち込むといったことがみられます。これは今までミスをしたことがなく、耐性がないことが考えられます。

プライベートでは元気になる

一方で自分の興味のあること、趣味などでは仕事での落ち込みは見られず、元気な振る舞いをします。主体性を発揮し、しばし仕事に影響を与えてしまうほど、プライベートの活動に没頭してしまうこともあります。

周囲に馴染めないことがある

親に押し付けられた価値観の元で成長した子供は自分を誰かと協調して生きるこということが難しいです。このため、会社に入っても周囲に助けを求められなかったり、自尊心から協調性が欠けてしまうことがあります。

アダルトチルドレン

過去に家庭の不和があり、子供時代のトラウマを抱えている人を総称してアダルトチルドレンという言葉があります。

心の成長が滞り、大人としての考え方が協調性に欠けていることがあります。新型うつと共通点もあり、具体的には以下の症状がみられます。

物事を極端に判断する

アダルトチルドレンの人は物事を極端に判断してしまう傾向があります。偏った意見を持ち、白と黒をつけたがる。中間の考えを持てず、決めつける傾向があります。相手の立場に立って物事を考えられないこともあります。

物事の意見というのは人の数だけあります。しかし、極端な考え方を持ってしまうと、相手の意見を受け入れることが難しくなり、しばし衝突が発生することがあるでしょう。

マイナス思考である

起こった物事に対して、否定的・ネガティブな感情を持ちます。また、それが元となって行動ができなかったり、協調性に欠けることがあります。

深読みしすぎてしまう傾向があるでしょう。マイナス思考はどのシーンでも出てきます。何かを始めるようとしても、できない理由をあげ、消極的になりがちです。

客観性の欠如

自分のことを正当化する傾向が強く、また客観的に自分を見られないことがあります。自分が悪いとはおもわず、仕事の相手や周囲に責任を周囲に転嫁します。周囲と関係を結ぶのが難しくなってしまう可能性があります。

自分が何をしたいのか。また自分が相手にどんなことをしているのか。自分は周囲からどういった風に見られているのか。周りと強調するために大切なことが欠けてしまうのです。

失敗を避ける日本の子育て

子供が成長する過程でなるべく失敗がない道を選ばせようとするのは親心の1つかもしれません。しかし、失敗は成長のために必要なものです。失敗の数が多いほど、学ぶものが多いというものです。

親が子供に対して、失敗しないよう仕向けてしまうことは、将来子供のためにならないことがあります。学ぶべきことを学ばないまま大人になってしまうと、とても困ることを招くのです。

なるべく失敗を避ける子育て文化が日本にはあるのかもしれません。もしくは、一つの失敗を人生の終わりのように捉えてしまう風潮もあるかもしれませんね。ですが、それは長い目で見ると悪い結果に繋がることがあるのです。

背景にある「機能不全家族」

いい子症候群を始めとする、子供の自発性を失わせる症状の原因はその家庭環境にあります。その原因は先に述べたような具体的なこともありますが、その多くは家庭内に根ざしていることが多いです。

特に自我を消失させる言動を制限されると、不健全な成長をしてしまいます。機能不全家族として以下の特徴があげられます。

言動の抑制

言葉や行動のしつけをするのは親として当たり前のことですが、それが行きすぎてしまうと子供の自由を奪ってしまうことがあります。

○○を言ってはいけない、○○をしてはいけない。したいことを抑制されると、心に強い束縛を生んでしまい、それがトラウマとなってしまうこともあるでしょう。

感情の抑制

感情を表すことが悪だと教わると、感情表現が難しくなります。泣くことはカッコが悪いこと。誰かに怒ることは悪いこと。ただ、子供は当たり前に感情を表現しているだけです。また、感情を表現することで、コントロール方法を学ぶのです。

抑制してしまうと、感情表現が乏しい、またはコントロールができなくなる人になってしまうでしょう。

人間関係の抑制

○○な人と付き合ってはいけない。もしくは、友人関係より勉強を優先させる。社会性を身につけさせず、家庭内のみの人間関係で終始すると、健全な人間関係を結ぶことは難しいでしょう。

いい子症候群では上記のようなことを制限される環境で育ってしまうので、子供の感情表現、自発性が失われていきます。子供にいい子症候群の兆候が出てきたら早めの対策をする必要があるでしょう。

いい子症候群の解消・予防の方法

自由

では、実際に自分の子供にいい子症候群の徴候がみられたとき、どういった対処をすればいいのでしょうか。

いい子症候群の解決の鍵は医師ではなく、家族として触れ合う親にあるのかもしれません。その解消法、予防法についてくわしくみていきましょう。

子供の自由を優先する

子供は好きなことを好きなだけやる集中力があります。興味のあることがあれば、時間を忘れてやり続けますし、そこから学ぶものも多いのです。この子供の自由をまず優先させてあげることが大切です。

一方で子供がやりたくないことを、親の言いつけでやらせてしまうと、非常に強いストレスを子供は受けるかもしれませんね。無理やり英会話をさせたり、習い事をさせたり。本人がやりたくないことをやらせる必要はないでしょう。それはもしかしたら親のエゴなのかもしれません。

こうなってほしいという親が持つ子供像は、子供からすれば関係ないのでしょう。子供は親ではありませんからね。子供には子供の好きにする権利があり、そうやって成長していく方が主体的な性格が身につくと思いますよ。

子供を受け入れる

子供は自分のやりたいことをわかっています。自分が没頭でき、集中でき、心から楽しいと思うことを知っているのです。こういったものがどういうことでも、親としてはきちんと受け入れることが大切です。

例えば、親は子供がゲームのしすぎると、ついつい怒ってしまうものです。ですが、ゲームの中で学べるものは実は多かったりします。RPGであれば地図の読み方や戦略なんてものが自然と身につくこともあります。

表面だけをみて、子供の行動を否定してしまうことは非常にもったないないことでしょう。子供が興味を持っているもの、楽しいと思っていることに親自身も興味を持つようにしましょう。

その子の個性を褒めてあげる

親が子供に褒めてあげることは、とても重要なことです。しかし、褒め方を間違えてしまうと、いい子症候群のきっかけになってしまうことがあります。ポイントは個性を褒めてあげることです。

例えば親が子供に思っているいい子を演じている時、そのことを褒めてしまうと子供は「自分がこうすると親は喜ぶ」と学習します。しかし、これは子供の本心と違うことがあり、感情の喪失につながってしまいます。

子供が得意なこと、興味があること、好きなことに対して褒めるようにしましょう。時間を共有し、目の前にいる子供の本来の姿を褒めてあげることで、きちんとした発育が期待できるでしょう。

まとめ

自分の理想ばかりを子供に押し付けてしまうと、子供の成長に悪影響を与えることがあります。子供のうちはいいかもしれませんが、社会に出たとき、その影響が出ることがあります。

子育てはあれこれと悩むことがありますが、子供の好きなようにさせるというのが子育ての基本的なスタンスなのでしょう。そういった中で子供は成功や失敗を経験し、成長していくというものです。

親が敷いたレールは安全かもしれません。ですが、そのレールから外れてしまった時、子供はどう対処していいかわからなくなります。自立した力を身につけるためには、自らの道を切り開かせるというのが近道なのかもしれませんね。このことにパパ・ママ自身が気づくことも大切でしょう。

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