デリケートゾーンのしこりにふと気が付いた、という場合、周りに相談するのもちょっと気が引けるし、そもそも病院に行く程の事なのか判断がつかず、気になる症状を放置してはいないでしょうか。
陰部にしこりができる原因は皮膚の炎症によるものも多いですが、中には感染症や重い病気の可能性も潜んでいます。そこで、陰部のしこりが症状となり得る原因についてまとめました。
しこりの状態やしこり以外の症状などを確認し、どの症状の可能性があるのか判断してみましょう。デリケートゾーンの問題ですので詳しい検査等はしっかり婦人科で行ったほうがいいですが、病院での検査に行く時間がなかなか無い場合や、病院に行くまでの応急処置の方法やどの程度の危険度のある問題が潜んでいるのかを知って確実に対処していきましょう。
しこりができた部分・痛みの有無について記載しているので、気になるしこりがある場合はぜひセルフチェックしてみて下さい。
陰部のしこりの原因(細菌の場合)
陰部のしこりの原因を紹介します。
まずは細菌が原因となった場合、どのような炎症が起きることでしこりが発生するのかを知りましょう。細菌が侵入してしまう問題は特に女性に起きやすくなっています。原因を把握し問題につながらないようにしましょう。
毛嚢炎
- しこりができた部分:外陰部
- 痛みの有無:かゆみや痛みがある
- その他特徴:ニキビのような症状
熱を持つような腫れ、痛みがあるしこりが出来ている場合は毛嚢炎の可能性があります。
毛嚢炎はブドウ球菌や緑濃菌が皮膚に感染する皮膚病で、生理の時や汗をかいた時やアンダーヘアの処理で毛穴が傷ついた時などに起こりやすい症状です。ニキビや吹き出物の様な症状が多くなりますが、周囲の皮膚まで隆起して赤く腫れ上がりしこりができる程の毛嚢炎は悪化しているものなので、かゆみ、痛みを伴う事が多く、熱を持っている場合もあります。
症状
症状としてはニキビに近いものなので、初期のものならば放っておけばそのうちに治るものですが、痛みがひどい場合や改善が見られない場合は、医療機関にかかる事をお勧めします。切開して膿みを出す事で痛みはなくなります。
悪化してしまっているものは自分でいじったり、無理に触って膿を出さないようにしましょう。
バルトリン腺膿瘍(バルトリン腺嚢胞)
- しこりが出来た部分:外陰部のバルトリン腺のある所(時計の5時・7時方向)
- 痛みの有無:強い圧痛(圧迫されると痛みがでる)
- 特徴:歩いているときや座っているときにも痛みを感じる
膣の5時と7時方向(おへそ側を12時方向として考えます)がはれている場合は、バルトリン腺膿瘍の可能性が高いと言えるでしょう。
バルトリン腺は外陰部皮下にある腺組織で、膣が乾燥しないよう粘液を出しています。腺がある場所が詰まって症状が出るので、しこりが出来る場所が決まっています。バルトリン腺が活動していると起こる症状なので、20代の女性に多く加齢により嚢胞は出来にくくなります。
ブドウ球菌、淋菌などによる炎症が起こり腺の入口が詰まってしまった場合、粘液が溜まりバルトリン腺膿瘍ができます。
治療法は?
温座浴(10~15分間お湯に患部を浸す)で改善する事があり、小さいものならば放置して自然治癒を待つというのも方法の一つです。しかし、バルトリン腺は入口が非常に小さい腺なので、膿みが全部出る前に傷がふさがってしまい症状を繰り返す事があります。
抗生剤、軟膏などで炎症に対処重症するか、重症の場合は切開して膿みを取り除く、嚢胞から外側へ固定した開口部を作るなどの外科的治療を行います。
関連するバルトリン腺炎に関する記事も合わせて参考にしてみてください。
・バルトリン腺炎とは?症状や原因、治療法を知ろう!予防するにはどうすればいい?
陰部のしこりの原因(感染症の場合)
陰部のしこりの原因が、感染症によるものである場合もあります。感染症は主に性行為や不衛生な手で陰部に触れることなどが原因になって感染が発生してしまいます。
ウイルスが問題となるもので治りにくい傾向があります。慢性化しやすいものでもあるので感染に注意しましょう。見た目でも確認できるので性行為前にパートナーの陰部を確認するようにしたほうが良いでしょう。
尖圭コンジローマ
- しこりが出来た部分:外性器・肛門周辺
- 痛みの有無:かゆみがある、痛みは殆ど感じない事が多い
- ・その他特徴:小さく柔らかいしこりがたくさんできる
尖圭コンジローマは、若い女性を中心に感染が広がっている性感染症です。男性性器にも女性性器にも陰部の表面にぶつぶつが発生する感染症です。女性の感染者のほうが男性に比べて平均感染者の年齢が5歳程若くなっています。
治療後の再率が高く、感染症である事から、症状に思い当たったらすぐに病院に行くべきでしょう。女性の場合、尖圭コンジローマになった人の中にHPV(子宮頸癌の原因になり得るウイルス)に同時感染した人がいる事があり、注意が必要です。他のしこりと異なり、小さなものがたくさん、という特徴があります。
治療法は?
治療としては、切除する方法と凍結療法が行われています。外科、肛門科では切除による治療、皮膚科では凍結による治療が行われます。ただし、広範囲の場合は外科治療が優先されます。
感染者と性行為を行ったとしても、しっかりコンドームをつけていれば感染が行われることはありません。日本での若い世代でのコンジローマの感染者が多い理由には性行為が活発な年齢であることと共にコンドームの使用率が低いことが挙げられます。
コンドームは性行為とその類似行為で感染します。稀にお風呂やサウナでも感染してしまう事もあります。家族に性病の症状がある人がいる場合は、入浴後にシャワーを浴びて陰部を洗浄するなどして感染を予防していきましょう。
喉に感染するかもしれない注意点
また性交時などに口と性器が接触することで喉に感染してしまうこともあります。最悪の場合口腔がんになることもあります。
さらに妊婦の場合は出産時に母親から赤ちゃんに感染してしまうこともあり赤ちゃんの喉に感染し再発性呼吸器乳頭腫症という症状により、呼吸困難などを引き起こし、死に至ることもあります。なので出産が控えている場合は出産までに完治させることが必要になります。
陰部のしこりの原因(その他疾病による場合)
細菌でも感染症でもなく、その他の病気にとりしこりが出来る場合もあります。病気の場合は自分では治療の施しようがないので早めに病院へ行く必要があります。
また、性行為が関係して発症するものでもないので予防しようがありません。早期発見を行うことがせめてもの自分が出来る対策なので病気の特徴を知っておきましょう。
外陰部脂肪腫
- しこりが出来た部分:外陰部
- 痛みの有無:なし
- その他特徴:やわらかく、弾力がある
しこりがやわらかく、脂肪の多い場所に出来ている場合に外陰部脂肪腫の可能性があります。外陰部の脂肪組織が増えることでできる良性の腫瘍で、痛みやかゆみは特にありません。更年期以降の女性、肥満傾向の女性に出る事が多い症状です。
悪性のものでは無いので放っておいても問題はなく、自然治癒する場合もありますが、気になって触っていると大きくなってしまう事があります。大きくなって歩行に困難をきたす場合などは外科手術で取り除きます。外科手術を行う場合は整形外科や形成外科、皮膚科、婦人科などで行います。
外陰ガン
- しこりが出来た部分:外陰部
- 痛みの有無:かゆみがある・うずくような痛みがある
- その他特徴:平らなしこり。皮膚の変色・引きつれを伴う
外陰部に白色、茶色、赤色の反転などが診られる場合は外陰がんの可能性があります。他のしこりと異なり、平らで赤くただれたような症状として現れます。
癌だったら怖いという理由で病院に行かない方も多いですが、外陰ガンは早期発見、治療が行われれば非常に予後のよいタイプの病気です。リンパ節に転移する前に発見、治療が行われた場合の5年後の生存率は96%と非常に高く、しこりを見つけたらすぐに病院に行く事を強くお勧め致します。
内科、婦人科などが近い診療科です。
陰部のしこりの予防方法は?
では、陰部のしこりを防ぐにはどうすれば良いかを、原因別に紹介します。しっかり予防法を行って感染を防いでいきましょう。陰部のしこりなどの問題は1度なってしまって抗体が出来て2度目は感染しにくくなる問題ではありません。
一度治っても菌などに感染したり、感染者と性行為を行えば再び感染してしまいます。注意点や有効な予防法を見ていきましょう。
細菌性の場合
細菌感染によるしこりの予防には、やはり陰部を清潔に保つ事が大切です。こまめにシャワーを浴びる、清潔なタオルを使うなどの対策を心がけましょう。過剰に洗い過ぎたりこすりすぎるのは、粘膜を傷つけてしまう可能性があるので避けた方がよいでしょう。
また、デリケートゾーンは汗をかきやすい部分で蒸れやすいため、締め付けの強いズボンなどを長時間履いていると症状が悪化する場合があります。ナプキンなどの長時間使用は避け、既にしこりが気になるという場合は、しばらくぴったりした服を避けて過ごす事で改善が診られる場合があります。
しかし逆に洗いすぎてしまうことで感染症になりやすくなる問題もあります。膣内部は分泌液によって程よい具合に弱酸性に保たれています。弱酸性になっているお陰で感染の危険性のある細菌などをある程度浄化する力があるので、洗いすぎると膣内がアルカリ性に近くなってしまい、次は膣内の感染症になってしまう危険線があります。
洗浄力の強すぎる物で洗浄しないことや直接石鹸を付けず泡立ててから陰部につけるなどの方法で洗浄を行いましょう。
感染症の場合
尖圭コンジローマの予防法は、性交渉の最初から最後までコンドームを着用する事が最も重要です。尖圭コンジローマ以外の性病からも身を守る事ができるので、大切な心がけです。
ただし、一度尖圭コンジローマに掛かってしまっている場合、ウイルスは性器周辺にまで潜伏する場合があり、コンドームだけでは感染を防ぐ事はできません。症状に気が付かないままウイルスを拡散する事のないよう注意が必要です。
尖圭コンジローマのウイルスの潜伏期間は3週間〜8ヶ月もあり、感染から発症までにかなりの時間がかかります。イボや出来物が出来ていなくて、痒みや痛みなどの自覚症状もない時に感染してしまう事もありますので感染を予防するのが非常に難しくなっています。
確率を下げるためには性行為を行うパートナーを増やさない事が重要です。性行為を行う人数が多いと誰から感染が起こったのかの特定も出来ませんし、全ての人に感染させてしまって、治療してもまた再発してしまうリスクが高くなります。
その他の疾病の場合
外陰がんの原因はいまだに全てが解明されているわけではなく、そのためこれといった予防法も確率されていないようです。がん全体に対する予防策としては、免疫力を高める事が重要とされているのでこれに準じ、日頃の健康状態を改善する事が適切と言えます。
また、注意点として外陰がんはリンパ節に近い部分できるため、早期発見が非常に重要であると言う点があります。
特に病気に関しては、生まれつきの先天性のものや遺伝による病気の発症が関連性として挙げられています。祖父祖母までの代に起こっている病気などを知っておくことでも自分が罹りやすい病気の傾向を知ることが出来ます。
がんなどは特に遺伝してしまうことが少ない確率ですがありますので、あらかじめ保険に加入しておくなどのたk策をしていきましょう。
日常生活での注意点
陰部はデリケートなため、日常生活の乱れが出やすい部分です。また、弱っていると様々なものに対する免疫力が下がってしまい、トラブルが起きやすくなります。
基本的な事ではありますが、寝不足や過労など抵抗力を弱めてしまう生活習慣を見直す事や、バランスのとれた食生活に気を使うなど、体全体のケアも合わせて心がけましょう。
また陰部は、ほかの部分に比べてデリケートな部分だといえます。なるべく清潔に保った方が良い部分なので、しっかりと洗浄するために専門的な石けんをやジェル、美容液を使うことをオススメします。
・生理中のニオイやムレに、コラージュフルフル泡石鹸
菌には様々な種類があるので、菌を抑える成分とカビが増えるのを抑える成分を配合している石けんです。一般的な石けんには含まれていない成分なので、陰部に繁殖しやすい菌に効果的です。さらにこの配合された成分は低刺激なものを使用しているので、「肌への低刺激」と洗浄力」が優れている商品です。
・ニオイ・おりもの対策ジェル inclearインクリア
こちらは膣内洗浄機になります。といっても、殺菌能力に特化しているのではなく、自浄作用を促進する効果のある膣内洗浄機なのです。つまり、購入するのを辞めたからといって、効果が薄まるのではなく、自発的に嫌な匂いを軽減する体質をサポートしてくれる製品です!
こちらは石けんにしては少し高価な商品です。しかし、これ1つで、保湿・洗浄・ニオイケア・黒ずみ対策・アンダーヘアのケア・引き締めの効果を得ることが出来る優れものです。ジャウムとは、天然素材を特別な製法で仕上げているもので、美容効果が高いものなのです。
デリケートゾーン黒ずみ・ニオイケア美容液【ピンキープラウド】
こちらはデリケートゾーンに高い効果を発揮する美容液です。オーガニック成分を使用しているので、生理の時期などのデリケートな時期にも使用することが可能です。少し価格は高めですが、オススメの商品です。
これらの商品はデリケートゾーンを洗浄するために開発された商品なので、非常に高い効果を得ることが出来ます。これらを上手く使用して、陰部を清潔に保つようにしましょう。
しかし、ものによっては痒みを誘発してしまうなど、肌に合わないことによる副作用が確認される場合があるのでその場合は、無理に使用を続けないようにしましょう。
自分に合った商品を探して使用し、トラブルに繋がらない様にしていきましょう。
陰部に近い股関節にしこりが出来ている場合は
・変形性股関節症の症状とは?原因や治療法を紹介!リハビリが必要なのはどんな時?
こちらの記事を参考にしてみてください。
まとめ
気になるけれど人に相談しにくい陰部のしこり、恥ずかしいのでついつい放置してしまいそうですが、放っておくと悪くなるものもあり、ひどい場合は歩行に困難をきたすようになります。
また、重い病気の初期症状である可能性もゼロではなく、感染症である場合もあり、早期の発見は不可欠です。不安を抱えたまま過ごすのは精神衛生上良くないですし、大した事がなければそれに越した事はないので、陰部のかゆみやしこりが気になった場合はぜひ早めの医療機関受診をお勧めします。
どの診療科に行けばよいのか分からない場合は婦人科の受診をお勧め致します。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!