顎がしゃくれていると言うのはどういうことを指すのか一般的に理解している人は少ないと思います。しゃくれとは、下顎が長く前に突出して出ている人の事をいいます。
受け口もその同義語的に使われ同じ意味として使われています。実際には違う意味で顎のしゃくれのことではないです。受け口はというのは、上の歯より下の歯が前に出ていることを指します。上下の歯の噛み合わせの機能が良くない人をいいます。
ですが、ネットの曖昧な解説などではそういった説明を省略することがあったり、下顎が長い=下の歯の方が前に出ているという前提でコラムやブログを書く人が沢山いるのでそういう間違った認識が広まったと思います。
しゃくれと受け口は身体的特徴として、コンプレックスに思う人も多いです。
では、しゃくれと受け口は先天的で遺伝が関係しているのでしょうか、それとも後天的な原因でしゃくれになるのでしょうか、下記の項目で解説説明していきます。
顎の形や歯の形は遺伝するのか?
しゃくれ、受け口は先天的に遺伝するのか?
遺伝子学を研究している研究者の論文やコラムを読むと、最新の研究では、身体だけではなく人の内面の心まで遺伝するということまで分かっています。
ではしゃくれと、受け口などは遺伝するのか、答えは遺伝する可能性があるです。断定は出来ませんが、生物学上、顔の輪郭、エラの出方や、顎の長さの骨格や歯の形などは、両親のどちらかの家系の遺伝子を子である子供が受け継ぐ可能性が大いにあります。
必ずしもその全てが遺伝するとは断定出来ないものだが、遺伝子が先天的に親の身体的特徴や気質などを引き継ぐ可能性があるということです。
しゃくれ、受け口は後天的な原因はないの?
では、他にしゃくれや受け口になる原因はないのでしょうか、それは、生活する環境や歯や顎が成長する過程での顎や歯の成長を妨げる悪習慣などです。
変な癖によってしゃくれた顎になったり、歯並びの悪い受け口のような歯になる可能性があります。顎や歯が成長する過程として、第一次成長と、第二次成長と二つ存在します。
第一次成長として、0歳~6歳までの間に顎と上顎の形成がなされていき、急激に成長していきます。この6歳までの間におおよそ、顎と上顎が八割ほどが形成され完成してしまいます。
第二次成長として、子供の成長の個人差が有りますが、だいたい10歳の頃から、下顎の成長が始まり、残りの二割、上顎と下顎バランスを取りながら、形成し、大人の顎として形成され完成されます。
しゃくれ、受け口は子供の頃癖が原因?
第一次成長、第二次成長、この二つの顎の成長時期に子供に顎や口にまつわる、手癖や悪い習慣を見分け、癖があるのなら直せないと後天的に下顎が長くなったり、受け口になり歯並びの悪い子供になってしまう恐れがあります。
悪い習慣としては二つほど有ります、一つは顎が成長、形成されていく際に、その成長を抑え付けるような癖、二つは、顎の成長を無理やり促進させようとする癖です。
前者は頬杖をするという行為が顎の成長を抑え付ける癖です。顎の下顎の成長を抑制します。睡眠をとるときなど、子供さんによっては、寝相が悪く寝返りを打って、うつぶせ寝で寝るのは顎の成長期に悪く、歯のかみ合わせに影響を及ぼします。
後者はしゃくれとなる原因となる下顎に力を加えるような癖、歯ぎしりをしたり、下歯を舌で押したりなど、下顎に圧力を加えると、下顎前突、所謂しゃくれになりやすいです。
ですので、家庭内で子供がこのような癖をしているのを見たら、止めるように何度も言い聞かせるのが肝心になります。前項目で、しゃくれや、受け口は遺伝の要因が強いと書きましたが、後天的なものとして家庭環境の物が全てです。
下顎前突している親御さんでも、遺伝すると諦めず、子供が頬杖、下顎を押している癖をしているなら、止めるようよく言い含めれば、子供がしゃくれや受け口にならない可能性があるのです。
しゃくれ・受け口の治療
根本的な解決になると、病院での受診による、場合によっては外科手術になってしまうのが現状のしゃくれや受け口の治療方法です。
具体的にどの病院に来院すればいいのかというと、軽い噛み合わせの問題ですと歯医者、しゃくれを根本的に直したいと思う方は口腔外科、形成外科がある病院に受診するといいでしょう。
受け口など症状の治療
比較的に軽い症状、受け口の歯の噛み合わせが悪いなどの症状の場合、まずは地元の歯医者さんに相談すると良いです。ただし、しゃくれや受け口の治療するに辺り、前提として、永久歯が生え揃う14歳以下は根本的な歯の噛み合わせや、顎の骨組みの矯正など中学生位の時期が一番、治療をして劇的に噛み合わせや、しゃくれなどの見た目が改善されます。
しゃくれや受け口など、成人してからの治療となると、顎の骨格は大人になると前項目でも述べたように成長しきってしまうので、成長過程でのマウスピースタイプの矯正装置等は効果が薄いです。ただ、軽度のしゃくれや受け口などすとマウスピースタイプの矯正治療を行う時もあります。
成人の受け口、しゃくれの治療となると、歯の移動による治療によるものが主流であり、唇側矯正装置や舌側矯正装置等の、歯を金属ワイヤー様な物で固定し徐々に歯並びを移動させ矯正し整えていくといった治療方法になります。
下顎前突症、しゃくれの治療方法
しゃくれとは酷いものになると病気として認知されます。顎変形症の一つに呼ばれ、その病状の種類としては、非対称症、開咬症、下顎後退症、上顎前突症、下顎前突症などがあり、この中にしゃくれと呼ばれている症状の病気としては、下顎前突症がそうです。
下顎前突症の治療についてはまず、初診のときにカウンセリングを行います。そこで、患者と医者とが、今後行う治療を行う装置、治療方法の説明、治療期間、治療費用などの説明を行います。
そして、術前矯正など実際に精密な検査が行われます。下顎前突症の治療なら、顎や歯のレントゲンを撮ったり、原則として、手術前処置を必ず行います。その後、手術、顎矯正手術を行い、下顎前突症を治療していきます。
手術を行うに際して、時期を考えて医者は、顎の骨の成長が止まっている時期を選んで手術を行います。下顎前突症は手術後すぐに治ると言う病気ではなく、術後、定期的に通院を行って顎のかみ合わせを調整していき、治療には2~3年かかると言われています。
期待できる効果
下顎前突症の手術を行なうとまず、顎の形と歯の上下のバランスが良くなり、顔の外見が以前と変わります。下顎が突出が治る為、呼吸や、言葉を発するのが以前よりも楽になります。
手術方法
全身麻酔を行い顎の骨にメスをいれて切っていき、上下の顎のバランスを整えて、骨接合材などでチタンプレートや、金属プレートで、顎の骨を固定しネジなどで止めます。
手術後のリスク
近年ではよっぽどの事がない限り、合併症などは起こりませんが、こういう事も起こりえるという事を理解し、手術を行うか判断しましょう。
- 術後、顎骨などからの傷口から感染症
- 骨から直接感染する感染症
- 顎の周囲にある神経の損傷
- 肺炎などの症状
- 骨接合材が何らかの要因で故障、破損する。
- 骨接合材など、人工物を体内に入れる事による拒絶反応
- 気道閉塞
- 唇・舌・歯などの知覚感覚の異常、口が腫れたり、しびれた感覚を自覚する
必ず、手術をする前に、執刀する担当医師にどんな危険があり、事故が起こり得るのか相談し、説明を真摯に聞き、手術を受けるか判断をするとよいでしょう。
手術後の注意点
下顎前突症の手術後は、必ず、処置をした顎などに負担をかけないようにしましょう。
術後一ヶ月~二ヶ月、固形物を食べる事はできません。なので、お粥など流動食が全般になりますが、そうなると身体の栄養が偏ってしまう為、ミキサーなどを購入して、固形物の野菜などをミキサーなどで細かく砕き、スープ類に混ぜ、野菜などの栄養素が摂れます。
治療期間
軽度、重症関わらず、歯や顎の矯正治療の期間としては、1年~3年位掛かります。手術をした、矯正装置を付けただけでは、すぐに治るといものではなく、徐々に歯の形、顎の形を整える為、時間が掛かります。
時間を掛けずにセラミック治療と呼ばれる、歯の形を根本的に変える処置も有りますが、デメリットとして、セラミック治療は保険が効きません、大変高額な治療方法です。後噛み合わせの調節等が難しく、のちにセラミックの歯が欠けてしまう恐れもあります。
美容外科という手段
しゃくれ・受け口の治療手段として、美容外科に来院するのはよくある間違いです。美容外科とは鼻、目、口などの顔のパーツ、一重、二重や、二重顎などの顔を整える処置が専門です。
今回のしゃくれ、受け口の問題を抱える患者は、まず、顔の骨格の整える処置が必要であり、顔の骨格を整える専門となると、顎を専門として外科手術を行う専門機関、顎矯正外科、もしくは口腔外科、形成外科の担当部門になります。
まとめ
受け口で歯並びが悪いから、人前で話すのが嫌だとかコンプレックスを抱え心理的ストレスを感じる、顎のしゃくれもそうですが、身長が低い、身長が高いなどの身体的コンプレックスは誰しもが一度は感じることです。思春期の頃は特に、他人との比較をして持たざることを羨んだりします。
ですが、そんなことを考えるだけ無駄で、精神的にストレスを感じるだけです。心に良くないです。自分の存在を受け入れて、他の外見をよく見えるように磨きましょう。例えば、女性の方なら特に、化粧や、髪型、服装、靴、これらを厳選して選べば、他人から受ける印象なんてガラリと変わります。筆者個人の見解です。
おしゃれをしたって、根本的に見た目が変わる訳ではないのも現実です。しゃくれや受け口を持ってる方にしか本当の気持ちは分かりません、どうしても、その外見を治したいと思うのでしたら、上記で説明した矯正手術や外科的処置を考えるしかないです。
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