真菌感染症とは?症状・原因・診断方法を紹介!治療は塗り薬?内服薬?

タイプによっては発覚しにくいですが、皮膚表面を見てわかる症状として、爪が厚くもろくなったり、皮膚がむけたり、毛が抜ける、皮膚が白くなったり、赤くなったりしているといった変化がみられた場合は、真菌性感染症が疑われます。

真菌感染症の原因

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原因は、真菌(しんきん/カビ)です。皮膚にカビの胞子が侵入することや、口から体内へ侵入して増殖し、病変を出現させることで、身体に様々な納気を発症させます。

簡単に言うと、真菌というカビが皮膚に感染することで発症するということです。

真菌とは

まず、真菌とは一体何なのかを説明します。真菌は、キノコの総称やカビ(青カビ、コウジカビ等)、酵母(イースト菌等)といった真核生物です。要するに、「カビ」の事を指しています。それぞれ、酵母菌、糸状菌(白癬菌など)、担糸菌(キノコ類)に分かれ、全て有害になります。

原核生物である細菌とは全く異なる生物になります。原核生物と真核生物の違いは核の有無です。真菌は、人間の細胞と同様に核が存在し、細菌は核が存在しません。細胞の構造や代謝に関する機能が人間と類似しており、人間と同じ真核細胞を有していることで問題が生じます。

なぜ、問題となるのか、それは治療の際に関与していきます。項目「治療」の「外用薬」にある「抗菌薬の問題」を参照して下さい。

感染するパターン

感染源と直接触れる場合、真菌に感染している患者と患部が接触する場合、真菌が存在している環境で、その菌と触れる場合、これらのパターンで感染が起きます。

真菌が存在する場所

真菌が発生する場所になる原因は、湿気のある場所や高温を発する場所に生息し続け易いです。それでは、それがどういったところなのかを細かく紹介していくので、真菌が発生し易い環境や、生存し続け易い環境を作っている方はこれを見て気を付けていきましょう。

・建築物の中

真菌は、建物の中にある観葉植物を植えてある鉢の中の肥料や土、生花やドライフラワーの表面、花瓶の水、エアコンやヒーターの吹き出し口、コンクリートの壁の場所に多い浮遊粉塵といった物から検出されることが高い頻度でみられます。

・繁殖し易い環境

特に増加しやすい環境は、病院の改装・改築の時や、院内の空気中です。院内は、免疫力の低下している患者も多くいるため、注意が必要です。

・感染部位が直接触れた場所

その他、プールや海、銭湯といった場所や、帽子やスリッパ、タオル、マット等、感染者が感染部で触れた場所に触れるようなことも原因の一つになります。

・動物にも注意

場所や物だけではなく、動物が真菌を有していることもあります。つまり、どの動物が触れた物や土になります。土の中にも生息してしまうため、まだ自己免疫力が不十分である子供や赤ちゃんが土遊びをする時や動物に触れる時は厳重な注意が必要です。成人であっても感染するため、成人も、特に抵抗力や自己免疫力が低下してきている高齢者は動物に触れる際には最善の注意が必要です。

また、鳥の糞便にはクリプトコッカス症の原因となる酵母様真菌が含まれていることがあるので、こちらにも要注意です。

・高温・多湿の環境に要注意

高温・多湿の環境は特に菌にとって住み心地の良い環境になります。よって、感染後直ぐに発症しやすく、既に発症している方では症状が悪化しやすくなります。手を拭き過ぎたり、濡れた足を拭き過ぎて湿ったタオルやマットなどを、そのまま継続して利用するといった行為も危険です。

自己免疫力の低下

通常は滅多に感染することのない病気ですが、免疫不全患者などの自己免疫疾患を呈している方は、抵抗力や免疫が低下しているため、発症しやすくなります。

また、そういった方ではなくとも、幼児や高齢者といった自己免疫力が不十分または低下している年代にも発症しやすいです。

その他、疲労や寝不足、倦怠感といった身体的ストレスや、精神的に病んでいる・うつ傾向といった精神的ストレスをかかえている状態、風邪や軽い微熱、食欲不振や過度のダイエットによる栄養不足といった体調不良により、自己免疫力が低下します。こういった状態の時にも発症する可能性が高くなります。

原因となる真菌は4種類ある

真菌症の原因となる真菌は全てで4種類存在しています。それは、接合菌類、子嚢菌類、担糸菌類、不完全菌類の4種類です。上記に述べた様に、この4種類の菌に、白癬菌やキノコなどの様々な菌が分類されています。

臨床的に視ると、感染した部位によっては表在性の真菌と深在性の真菌の2種類に分類されます。2種類の真菌に関しては、以下の「発症する疾患と症状」にて説明をします。

真菌感染症が発症する疾患と症状

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まず、真菌感染症のタイプは、表在性と深在性の2つに分類されます。様々な疾患をまとめて表在性と深在性に分類されています。下記に簡単に説明をします。

表在性

皮膚の表面が真菌に感染するタイプが表在性です。「浅在性皮膚真菌症」と言います。真菌感染症の大多数の割合を占めています。

白鮮(水虫、たむし、しらくも)やカンジダ症、瘢風、マラセチア毛包炎、アスペルギルス症などが挙げられます。これらの中でも、白鮮が最も多いです。次いで、カンジダ症も多くみられます。白鮮は、俗に言う水虫のことを言います。

深在性

表皮以下の皮膚の深層、つまり内臓などが真菌に感染するタイプが深在性です。「深在性皮膚真菌症」と言われます。

皮膚クリプトコッカスやスポロリコーシス、黒色真菌症などが挙げられます。皮膚クリプトコッカスは、自己免疫能力が低下している方に多く発症し、スポロリコーシスは、潰瘍性や肉芽腫性といった病状を引き起こす方に多いです。黒色真菌症は、皮膚の下に結節や腫瘍を形成します。代表的な例はこれらになりますが、もちろん、他の疾病を発症する可能性もあります。

発症頻度としては、0.1%以下ととても低くなります。以上に記している、発症しうる疾患を見ての通り、深在性の場合は表在性とは異なり、重症化する可能性があります。

深在性真菌症は増加傾向にある

医療技術は年々高度かしており、高齢化が進んでいます。

これにより、抗ガン剤の投与や、骨髄移植・臓器移植などの移植手術による免疫抑制剤の投与などの長期的な薬物の投与を継続することや、血管内の留置カテーテルの使用といった長期的な医療的処置が原因となる深在性真菌感染症が、近年では増加傾向にあります。

症状の進行は多くが緩徐

真菌感染症の多くのケースは、緩徐(ゆっくり)に症状が進行します。そのため、症状が出現するタイミングが感染をしてから数か月後や、数年経過してからということがあります。

経過が急速である場合は死に至ることも!

ほとんどのケースが、症状が緩徐に進行しますが、急激に症状が進行する場合もあります。特に、深在性真菌症では内臓部にまで真菌症を呈することがあるため、表在性よりも重症化する可能性があります。

急激に症状が進行する場合は、病気を呈していて自己免疫機能が低下している場合(エイズ、風邪、熱波、抗がん剤治療中、その他)や、健常者ではあるものの、疲労や寝不足、栄養不足、うつ傾向など、身体的・精神的に身体が弱っていることで自己免疫機能が低下している時期です。こういった場合は、直ぐに他の器官へも病変が拡大し、死に至るケースもあります。

「感染力が弱く、感染するリスクが低い」ことが真菌の特徴ですが、自己免疫機能が低下している場合には、それは逆になるということです。

真菌感染症の検査・診断

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真菌感染症は、視診のみでは病気の原因が真菌であるかの診断が確定することが困難です。

では、他にどういった検査を行うと診断することができるのかを紹介していきます。

顕微鏡検査

皮膚の組織を一部採取して、顕微鏡で観察し、病原菌の有無とどういった病原菌かを調べます。

その他の検査

表在性・深在性と発症する部位によって必要となる検査が異なります。

カンジダ症や侵襲性アスペルギルス症(肺・副鼻腔・中枢神経)の血液疾患領域、肺アスペルギーマ、慢性壊死性肺アスペルギルス症(CNPA)、侵襲性アスペルギルス症(IPA)、肺クリプトコックス症(非HIV) といった呼吸器内科領域、口腔咽頭カンジダ症、食道カンジダ症、カンジダ血症・播種性カンジダ症、クリプトコックス脳髄膜炎、接合菌症などの内科領域、外科的領域に含まれるカンジダ症(カンジダ血症、腹腔内感染など)、カンジダ症は、その他に救急・集中治療領域や臓器移植領域、産婦人科領域、小児科領域、眼科領域、HIV領域、他アスペルギルス症に耳鼻咽頭領域と様々な領域に分類されます。これらの様々な領域・病状によって様々な検査が行われます。

それは、CT画像やMRI画像、内視鏡、超音波、単純X線(レントゲン)検査、エコー検査などの画像検査や、血清診断、培養を行う真菌学的検査、生検などの病理組織学的検査、遺伝子検査、血液検査などの一般的な検査所見と、その人その人に見られる臨床症状を確認して判断されます。

真菌感染症の治療

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基本的に、治療は抗真菌薬の塗り薬が適応されます。

しかし、これは皮膚のみの疾患の場合に限ります。なお、部位や症状によっては、真菌薬の内服薬が処方されることもあります。細かく分類された疾患によっても治療薬は細かく変わってきます。

薬はタイプにより異なる

表在性真菌症には、外用薬の塗り薬が処方され、深在性真菌症は、内服薬の飲み薬が処方されます。

外用薬

真菌(カビ)の細胞膜の主成分はエルゴステロールで構成されており、人間の細胞の主成分はコレステロールで構成されています。この違いを利用して、抗真菌作用のある「抗真菌薬」が適用されます。抗真菌薬には数種類あり、病状によって一種類のみを使用することや、複数の薬剤を組み合わせて使用します。以下に、幾つか紹介します。

・ポリエン系の抗真菌薬

これは、ポリエン系の薬であり、真菌のエルゴステロールを破壊することで白癬菌やカンジダ症といった表在性の真菌感染症の治療に効果が得られます。

エルゴステロールを破壊することで、真菌の細胞の機能に障害が生じますが、人間には、このエルゴステロールは関係がないため、この薬によってそれを阻害されても支障はありません。よって、身体への負担も軽く済むということです。負担は軽く済みますが、人間の細胞膜にも影響を与えることはあるため、抗真菌薬による副作用がみられることもあります。

・アゾール系の抗真菌薬

アゾール系の抗真菌薬は、エルゴステロールの破壊はしません。これは、エルゴステロールの合成を阻害する薬で、合成を阻害することでエルゴステロールの増殖を阻止します。

・キャンディン系の抗真菌薬

これは、真菌の細胞壁を構成するグルカンの合成を阻止する作用があります。人間の細胞膜には細胞壁が存在しないため、他の薬と比べると、比較的、副作用は少ないです。

抗菌薬の問題

抗菌薬、これは抗生物質になりますが、この抗生物質による治療は効果的であると言われていますが難点も一つあります。それは、真菌が人間と同じ真核細胞を有していることです。抗生物質が菌を攻撃して消滅させる時は、人間と菌の細胞の違いを認識して作用します。

しかし、細胞の構造に違いが少なければ少ないほど、類似しているものほど、抗生物質は菌のみを認識して攻撃することが難しくなります。抗生物質が選択ミスをして攻撃をすると、菌のみならず自分自身の人間の細胞にも攻撃をして傷をつけてしまうということです。

その他の外用薬

軟膏剤やクリーム剤、液剤などの薬剤が処方されることがあります。薬剤によって、作用や副作用は異なり、病状に合わせて選ばれます。

外用薬の保険の適応

外用薬の抗真菌薬は、保険が適応されないものが多く、特にカンジダ症や痛風の治療薬は保険が適応される薬は少ないとされています。

抗真菌薬は、いずれも基本的には効果が同等であると言われているので、薬を選ぶ際には医師と相談し、保険が適応されるものを選ぶと、金銭的にも優しい料金になるでしょう。

内服薬

基本的に、内服薬の治療はビタミン剤と乳酸菌整腸剤が効果的になります。それは、真菌感染症の中でも特に多いとされるカンジダ症は、ビタミンの欠乏症による自己免疫能力の低下が主な原因となり引きこされるためです。

また、悪玉菌の増加による日和見感染なので、乳酸菌の調整剤も内服すると改善される可能性が高いです。

感染・発症・再発の予防

感染や再発を予防するためには、なるべく常に清潔を保持することが大切です。手は細目に洗うようにし、清拭・入浴や洗顔などもしっかりと行いましょう。

また、感染している場合は、患部を清潔に保つようにしましょう。患部は湿っていると更に感染しやすくなります。なるべく、乾燥させるようにしましょう。それでは、他にどういった事に注意をすると良いのでしょうか。以下に、述べます。

・同居者にも注意をしましょう!

同居している方(家族、同棲者、居候者など)の中に感染者がいる場合は、スリッパやタオル、マット、クシ、衣類など直接肌が触れる物を共有しないようにしましょう。

また、感染者は、入浴も最後に行うようにし、その後に掃除を行う方は、肌がその後の面に触れないように、お風呂場用のスリッパを履いたり、手袋をするといった工夫をすると良いでしょう。

それらを装着せずとも、掃除終了後に肌が触れた部位を入念に石ケンで洗うことで、予防につなげることができます。もし、同居人に感染してしまったり、移された場合には治療が必要となります。

・自覚症状が軽減したとしても油断は禁物!

自覚症状が消失した後も、真菌が残存している可能性があるため、外観の経過が良くとも、長期に治療が必要となる場合があります。

外観が良くなったからと言っても、使用する物をシェアするなどして感染していくケースもあるため、注意しましょう。

・感染する前に予防が大切!

上記の「原因」の項目の「真菌が存在する場所」で述べたように、院内感染が取り上げられています。来院・入院中の方や、お見舞いに行く方も感染しないようにマスクをする、ウエルパスで細目に消毒をするなどといった予防・対策をしましょう。

また、真菌は空気中に漂っており、体内に容易に入り込んでくるため、院内に関係なく、日常からマスクをするといった予防も行うと良いでしょう。

自己免疫能力が低下しているなど、体調が崩れているような状態でなければ、体内に侵入したとしても容易に感染するわけではありません。しかし、念のために一応の予防はしておくようにしましょう。

まとめ

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「細菌やウイルスではなく、カビが原因の感染症だから特に心配はいらないだろう」と油断している方もいます。しかし、そのカビが原因となって死に至るケースもあります。

特に近年増加傾向にある深在性の真菌感染症はそのようになる可能性が極めて高いです。カビを侮らず、早期に皮膚科にて対応していく必要があります。

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これらを読んでおきましょう。

  
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