陰部洗浄の目的や手順を紹介!効率のよい方法は?

なかなか人には聞きにくい陰部の洗浄。正しい洗浄方法はご存知でしょうか?自分自身の洗浄は勿論ですが、介護によって他人の洗浄を行う必要がある場合もあるでしょう。

意外とどのような洗浄が正しいのか分からないまま、自己流で行っている方も少なくないかと思います。そこで今回は、陰部の洗浄方法についてまとめてみましたので、是非ご参考頂ければと思います。

陰部洗浄の目的

シャボン玉

陰部洗浄はなぜ必要なのでしょうか。

尿路感染を防ぐ

陰部には、自然と菌を殺してくれるような作用や、体内に菌を侵入させないようにするといった自浄作用があります。

これは女性の場合ですが、女性ホルモンであるエストロゲンとラクトバチルスと呼ばれる乳酸菌が膣の中におり、膣内部が酸性に保たれていることでこのような自浄作用が働くのです。

しかし、陰部の周辺は尿や便といった排泄物や汗がこもることによって汚染されやすい場所とも言えます。

その為、長時間不潔な状態のままでいると自浄作用が低下していき、排泄物や汗から雑菌が繁殖して陰部に感染してしまう可能性があります。

特に気を付けたいのが尿路感染です。

尿路感染は細菌やウイルス、真菌が尿路に侵入し感染を引き起こすことを言います。

男性の場合は陰茎の先端、女性の場合は尿道の開口部から侵入し、膀胱、あるいは腎臓にまで菌が達し、感染を引き起こします。

感染によってどのような病気が生じるのかは後に詳しく説明しますが、このような感染を防ぐ為に、毎日適切な陰部の洗浄を行い、清潔を保つことが必要となります。

皮膚炎を防ぐ

上記で述べた通り、不潔な状態を続けることによって細菌等が侵入してしまうのですが、そこで感染はしなくても陰部周辺の皮膚や粘膜に炎症を起こすなどのトラブルを起こし、かゆみや痛みといった症状を発症させる場合があります。

不快感の解消

ご存知の通り、陰部は大変デリケートな部分です。

汚れてしまったり、不潔な状態が続くと臭いも発生しやすく、非常に不快な思いをすることになると思います。

認知症の方の場合は原因が分からずイライラしてしまうことがあり、実は原因は陰部の不衛生による不快な気分によるものだった、ということもあるそうです。

陰部に限らず、お風呂上り等体が清潔になると気持ちもスッキリしますよね。陰部の洗浄は心のリフレッシュや不快感の解消にも繋がるのです。

介護の場合は信頼関係を築く

病気や高齢によって介護が必要となる方も多いでしょう。

その中で排泄物の処理や陰部の洗浄をしてもらうということは精神的に非常に辛いことであり、誰にでも気軽にお願いできる気持ちにはなれないかと思います。

そういった部分を任される訳ですから、なるべくその辛さが軽減されるようにコミュニケーションを取り、毎日陰部の洗浄を丁寧に行うことで、「この人には安心して任せられる。」といった強い信頼関係を築いていける大きなきっかけとなるかも知れません。

陰部の感染症について

ウイルス

陰部の洗浄を怠ったり、誤った洗浄を行うことによって引き起こされる病気について幾つかご紹介したいと思います。

カンジダ症

カンジダ症は珍しい病気ではなく、意外と多くの人が経験しているものかも知れません。

原因は風邪等の病気の時や過労、女性の場合は妊娠によって免疫力が落ちている時にかかりやすいと言われています。そして勿論、不衛生な状態にしておくことで菌が繁殖しやすくなり感染することもあります。

女性の膣には元々カンジダ菌がいるのですが、免疫力が落ちることで増殖してしまい、強いかゆみ、酒粕やチーズのような白いおりものが出ることが主な特徴です。

男性の場合はカンジダ症を発症している女性と性交渉をすることによって感染します。

病院で膣内の洗浄と膣錠や塗り薬によって治療を受けることで治りますが、早く治療を受けないと日常生活に支障が出る程の強いかゆみに悩まされることになります。

予防方法としては、陰部を清潔にすることは勿論、免疫力が下がらないように栄養と十分な睡眠をとることが大切です。カンジダについては、カンジダの自然治癒させる方法は?症状や原因についても!の記事を参考にしてください。

細菌性膣炎

既に挙げた通り、膣の中には元々幾つかの菌が住んでいます。

そしてその中の乳酸菌等の働きによって酸性に保ち、悪いバイ菌の侵入や繁殖から守ってくれる自浄作用の働きがあるのですが、陰部の洗浄をし過ぎて、これらの守ってくれている良い菌まで洗い流してしまい自浄作用が崩れて細菌感染を起こし、細菌性膣炎となってしまう場合があります。

洗浄のし過ぎとはどういうことかと言うと、膣の中まで洗浄してしまっている場合や、ウォシュレットのビデ機能を使い過ぎている場合です。

特に洗浄成分の強い石鹸やボディソープで洗っている場合、注意が必要です。

逆に、ナプキンやおりものシート、タンポンを取り換えずに長時間使用するといった不衛生な状態にすることで細菌が増えてしまうこともあります。

症状としては魚の生臭いような臭いをしたおりものが増加し、排尿時に軽い痛みを伴うこともあります。かゆみはあまりありません。

症状が軽い場合は自然治癒することもありますが、症状が気になる場合は病院で薬物治療を受けることによって早く回復します。

ただし細菌性膣炎は一度発症すると再発しやすいと言われている為、適切な洗浄方法を知ることが大切です。また喫煙やストレスも発症の原因になりやすい為、心当たりのある方は注意が必要です。

接触性皮膚炎

肌に合わない合成繊維の下着を着用していたり、サイズの合っていない下着を着用していることにより何度も擦れて炎症を起こすことを接触性皮膚炎と呼びます。

ただし接触以外にも、洗浄した際に石鹸等の泡が綺麗に洗い流せていなかったり、不衛生な状態になることでかぶれて炎症を起こすことも少なくありません。

症状の多くは陰部や周辺の肌に赤い湿疹、あるいは水膨れが出来たり、激しいかゆみ、排尿時の痛みが生じます。

治療法は適切な洗浄で清潔を保ち、合わない下着を着用しないことで自然治癒することが多いです。

しかしかゆみが強く治まらない場合は、かゆみ止めの軟膏や状態によってはステロイド外用薬が処方される場合もあります。

症状が治まっても再発しないよう、陰部を傷つけさせないことが重要です。

いんきんたむし

いんきんたむしは、陰部に発症するいわゆる水虫です。

(原因菌は水虫と同じ白癬菌の為。)

男性でも女性でも発症します。

感染原因は人から人で、家庭内や不特定多数の人が集まるスポーツジムや大衆浴場、トイレで感染することが多いです。

自分が清潔にしていようが感染する為今回の趣旨とは若干ズレてしまいますが、いんきんたむしに感染した場合に必要なのが薬用石鹸で適切な洗浄をすることなのでご紹介してみました。

また、白癬菌が付着している手で陰部を触ってしまった場合にも感染する可能性がありますので、洗浄の際は手も清潔にすることがとても大切です。

陰部\\no洗浄方法

石鹸

それでは本題の陰部の適切な洗浄方法について、自分で洗浄をする場合と介護で他人の洗浄をする場合のそれぞれの方法をご紹介していきましょう。

洗浄のポイント

自分で洗浄する場合も介護で洗浄する場合も共通することは、

  • 優しく洗うこと
  • 石鹸やボディソープの液は直接つけず、泡立ててから洗うこと

です。

このことを踏まえ、次に具体的な洗浄方法をご案内していきます。

自分で洗浄する方法

1.洗う順番は前から後ろへ

陰毛→陰核→性器→会陰→肛門の順。

逆にしてしまうと肛門に付着している菌が膣に入ってしまい感染する場合があるからです。

また、膣の中まで洗う必要はありません。外側のみを洗いましょう。

2.指の腹を使って洗う

傷つけないように爪を立てず、指の腹で洗うように気を付けましょう。外側から隠れている部分は垢が溜まりやすい為、丁寧に洗う必要があります。

3.シャワーですすぐ

泡が残らないよう、しっかり洗い流して下さい。

4.優しくタオルドライ

濡れたままにしておくと雑菌が繁殖してしまいますが、かと言ってタオルで擦り過ぎると傷がついてしまいます。タオルを優しくあてるようにして水分を拭き取りましょう。

介護で洗浄する方法

1.ぬるま湯で予洗いする

お湯の温度に注意して陰部にかけます。上から下に向けてかけるのが良いでしょう。

2.洗う順番は前から後ろへ

自分で行う場合と同様、洗う順番は前から後ろです。皺を広げるように泡で優しく洗います。

男性の場合は、先から根元に向かって。最後に陰嚢を洗います。

3.ぬるま湯で洗い流す

洗い残しがないよう、よく洗い流して下さい。

4.タオルで拭き取る

拭き取る際も自分で行う時と同様、擦らず優しくタオルをあてて水分吸い取るようにして下さい。この時も前から後ろの順番です。また、同じ面で色んな箇所を拭くのではなく、都度あてる面を変えるようにして下さい。

5.おむつ交換

必要な場合は新しい紙おむつや尿取りパッドに交換します。

陰部洗浄の注意点

注意

洗浄を行う際、いくつか注意点があります。これらのことに注意して洗浄しましょう。

洗浄力に注意

通常の石鹸やボディソープでは洗浄力が強すぎる場合があり、中には乾燥を招いたり、かゆみが生じたりする人もいます。

その場合、多少割高ですがデリケートゾーン専用の石鹸や洗浄液が販売されていますので、使用してみるのをお勧めします。

刺激が少なく肌に優しい為、安心して洗うことができます。また、消臭効果に特化したもの等もありますので、自分に合った商品を選ぶと良いでしょう。

介護の場合の注意

介護で陰部の洗浄を行う際は、相手のプライバシーを考慮することが何よりも重要です。

不必要に陰部を露出させず、できるだけタオルをかけて隠しながら洗浄をしましょう。寒さ対策にもなります。

高齢者は赤ちゃんではありません。介護する側の人間よりも人生の先輩である場合が殆どです。敬意を持って接し、プライドを傷つけるような言動には十分に注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

洗い方のルールは非常にシンプルですが、意外と洗い過ぎている人や拭きすぎている人、洗う順番が適切ではなかったという人も多いのではないでしょうか。

デリケートゾーンという名前の通り、毎日優しく洗ってケアをし清潔を保つことが感染症予防となり、気持ちもスッキリすることに繋がります。

くれぐれも不衛生な状態を続けないように注意しましょう。

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