イチゴ舌になるのは病気?気をつけるべき合併症や治療法を紹介!

「イチゴ舌」という症状をご存知でしょうか?その名のとおり、舌に赤い発疹が出て、まるでイチゴのような舌になってしまう症状を示します。とくに免疫力の低い子供によく見られる症状ですが、大人でもストレスや慢性疲労などによって免疫力が低下したときに、このような症状が見られることがあります。

イチゴ舌の症状が現れる病気には「溶連菌感染症」と「川崎病」の2つの疾患があり、どちらも似たような症状ですが、病気の原因も異なれば、治療法もまた違ってきます。

いずれの場合においても、的確な治療を施さなければ後遺症や合併症を招く恐れがあるので、注意が必要です。

そこで、ここでは、イチゴ舌の症状が現れるこれら2つの疾患についての症状や治療法などをご紹介いたします。

イチゴ舌の原因となる2つの疾患

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イチゴ舌の原因となる「溶連菌感染症」と「川崎病」は、どちらも高熱を伴うため、発症してある程度日にちが経過し、症状の変化を見なければ見分けがつかないこともあります。

また、風邪と症状が似ていることもあり、病院での治療を受けずにそのまま放置してしまうというケースも希にあるようです。まずは、この2つの疾患の原因や症状について見ていきましょう。

溶連菌感染症

小さな子供がいる方ならば、「溶連菌」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。正式名称は「溶血性連鎖球菌」と言い、A群・B群・C群・G群に分類されますが、感染症を引き起こす90%以上がA群の溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)によるものだと言われています。

感染すると、2日~5日の潜伏期間を経た後、咽頭炎や扁桃炎、猩紅熱などを引き起こします。主に3歳~12歳の小さな子供が感染しやすく、12月~3月の気温が低く、空気が乾燥する季節に流行する傾向があります。

また、溶連菌はくしゃみや咳などによって飛沫感染します。子供だけでなく、大人の場合でも妊娠している人が感染すると、赤ちゃんの命に関わることもあるので、身近に感染者がいる場合には、二次感染しないよう細心の注意が必要です。

具体的な症状は以下のとおりです。

<喉に感染した場合:咽頭炎や扁桃炎の症状>

  • 38~39度の高熱
  • 喉の激しい痛み・発赤
  • 扁桃に白い膿が付着する
  • 咽頭部に小さな点状紅斑が出る
  • イチゴ舌
  • 手足に赤い皮疹が出る
  • 頭痛
  • 首筋などのリンパ節が腫れる
  • 腹痛

<皮膚に感染した場合:猩紅熱の症状>

  • 38~39度の高熱
  • 喉の激しい痛み・発赤
  • イチゴ舌
  • 悪心・嘔吐
  • 関節痛
  • 全身にかゆみを伴う赤い発疹が出る

詳しくは、溶連菌は自然治癒できる?合併症のリスクを理解しよう!を読んでおきましょう。

川崎病

川崎病とは、全身の血管に炎症が起きることで様々な症状が現れる病気です。現在のところ、明確な原因は分かっておらす、何らかのウイルスが原因となっているウイルス説や、細菌感染による感染症説、あるいはアジア人に多く見られることから遺伝子説など、いろいろな原因があげられていますが、これらは可能性に過ぎません。

川崎病になった場合、急性期(症状発症から10日以内のこと)と呼ばれる時期に、以下のような症状がみられます。

<症状>

  • 5日以上続く38~39度の高熱
  • 両目の充血
  • 口腔内や喉の粘膜が赤く腫れる
  • イチゴ舌
  • 不定形の赤い発疹
  • 手足が浮腫む、赤く腫れる

これらの代表的な6つの症状のほかにも、リンパ節が腫れる、BCC接種した部位が赤く腫れる、下痢、関節痛などの症状が見られることがありますが、川崎病と診断される際には、上にあげた6つの症状が基準となるようです。

このように、溶連菌感染症と川崎病では、非常に症状が似ていますが、目の充血や手足の浮腫み、BCC接種した部位の腫れなどは川崎病特有の症状と言えるでしょう。いずれの場合においても、早めの治療が必要です。

詳しくは、川崎病の後遺症とは?症状や予防方法についてを参考にしてください。

気をつけたい後遺症や合併症

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溶連菌感染症や川崎病は、きちんと治療しなければ後遺症や合併症を引き起こす可能性があり、場合によっては命に関わることもあります。それぞれの疾患で生じる後遺症や合併症にはどのようなものがあるのでしょうか。

溶連菌感染症の場合

溶連菌感染症の場合、発症してすぐ、あるいは的確な治療を行わずに細菌が体内に残っている場合、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。

<急性糸球体腎炎>

溶連菌に感染し、腎臓を形成する糸球体と呼ばれる毛細血管の塊が炎症を起こすと、糸球体の網目が詰まった状態になり、血液を濾過する腎臓本来の機能が働かなくなります。

すると、血圧が上がったり、身体の浮腫み、血尿や蛋白尿、乏尿といった症状が現れます。ひどい場合には腎不全を起こす可能性もあります。

<リウマチ熱>

医療技術の発展とともに現在ではあまり見られなくなりましたが、溶連菌感染症によってリウマチ熱が生じる可能性もあります。心臓に細菌が感染した場合は重症化しやすく、心臓弁膜症などの後遺症が残る場合もあります。このような後遺症が残った場合には、長期に渡って薬を服用する必要があります。

症状としては、手足の関節の激しい痛みや、高熱、輪状の紅斑や皮下のしこりなどが見られます。

<アレルギー性紫斑病>

アレルギー性紫斑病とは、体内の免疫システムが関連するアレルギー反応によって、血管が炎症を起こし、身体に赤や紫の斑点が現れる病気です。とくに臀部に出やすいと言われていますが、全身どこにでも発生する可能性はあります。

症状としては、皮膚疾患意外にも、足や踵などの関節痛や浮腫み、吐き気や嘔吐、血便血尿などの症状も見られます。アレルギー性紫斑病が、腎炎や腸重積症などのさらなる合併症を引き起こすこともあるので、早めの治療が大切です。

川崎病の場合

川崎病が引き起こす合併症は、命に関わることもある危険なものもあります。合併症として出てくる疾患は以下のとおりです。

<冠動脈瘤>

川崎病の合併症で最も気をつけなければならないのは、このような心疾患です。川崎病は血管が炎症を起こす病気ですが、冠動脈と呼ばれる心臓の血管に炎症を起こすと、血管が拡張することがあります。このような症状がさらに進行すると、冠動脈内に瘤ができ、心筋梗塞に至る場合もあります。

どこかが痛むなどのわかりやすい症状はなく、多くの場合は無症状のまま病気が進行するため、小さな子供が突然ショック症状を起こし、死に至るケースも少なくありません。

また、川崎病を発症してから比較的早い段階で冠動脈瘤ができた場合には、後遺症としても瘤が残ることがあると言われています。

<肝機能障害>

肝臓が正常に機能しなくなる肝機能障害も、川崎病が起こす合併症としてあげられます。肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれるほど自覚症状が出ず、はっきりと症状が現れるときには、かなり病気が進行しているケースもあります。

しかし、川崎病の場合、入院治療になるので、その際の経過観察で肝機能の状態も診察されるため、見逃されることはほとんどないと言われています。

<モヤモヤ病>

川崎病の後遺症として知られているのが、モヤモヤ病です。これは、脳の動脈がつまり、足りない血液を補うために、周りから細い血管が発生する病気です。この細い血管がモヤモヤして見えることからこのように呼ばれています。

明確な原因は分かっていないのですが、10歳以下の小さな子供に見られる傾向があります。症状としては、痙攣、半身麻痺、歩行障害、めまいなどの症状が現れる一方で、まったく症状が出ないケースもあるようです。

モヤモヤ部分の血管は弱いため、出血した際には緊急手術が必要になります。

それぞれの治療法

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イチゴ舌の原因になる溶連菌感染症や川崎病になった場合、合併症や後遺症を避けるためにも、できるだけ早い段階で治療を受けることが大切です。

先に述べたような症状に当てはまる場合には、早急に病院を受診しましょう。

溶連菌感染症の治療法

イチゴ舌の原因が溶連菌感染症によるものだとわかったら、抗生物質による治療を開始します。主に投薬による治療がほとんどで、抗生物質のほかにも、喉の痛みや頭痛などを和らげる薬や、皮膚疾患がある場合にはかゆみ止めなどが処方されることもあります。

抗生物質を服用すると、大体2~3日で熱が下がり、喉の痛みも改善してきますが、それまでの間、喉の痛みによって食事が困難な場合は、刺激物を避け、粗熱をとったお粥やゼリーなど、のどごしの柔らかいもので栄養を摂りましょう。

また、症状が改善してきたからといって、自己判断で抗生物質の服用をやめるのは避けてください。完全に菌が死滅するまで抗生物質を服用することが、後遺症や合併症のリスクを軽減させます。医師の指示に従って、処方された抗生物質は全て飲みきるようにしましょう。

発症から約10日ほどで完治しますが、二次感染を防ぐためにも、登園・登校などのタイミングについては医師と相談するのがベターです。発病から2週間後と、3~4週間後に念の為に尿検査を受けておくと安心です。

川崎病の治療法

川崎病の診断は非常に難しいのですが、先に述べた6つの症状が全て当てはまらない場合でも、エコー検査などで血管に異常が認められた場合は川崎病と診断されます。

イチゴ舌の症状が現れて病院を受診し、溶連菌感染症と診断されたものの改善が見られず、別の病院を受診したら川崎病だったといったケースもあるようです。少しでも症状や診断に疑問を感じた際には、別の病院を受診するなどして、早い段階で治療を受けられるようにしましょう。

川崎病の治療は、入院が必要になり、「免疫グロブリン療法」と呼ばれる治療がメインとなります。これは、血管の炎症を抑える免疫グロブリン製剤という薬を投与する治療法で、急性期に多量投与するのが効果的だと言われています。

しかし、点滴などで免疫グロブリンを投与する際には、ショック症状や無菌性髄膜炎などの副作用が見られる可能性もあるため、投薬速度に注意しなければなりません。

また、免疫グロブリンとともに、血管の炎症や血液凝固を抑制するアスピリンを併用する場合もあります。ほとんどの場合、これらの治療法で改善が見られますが、十分な反応が得られない場合には、ステロイド薬を投与することもあるようです。

川崎病の治療のポイントは、いかに早い段階で血管の炎症を抑えるかということです。急性期に治療を受けることで、後遺症などのリスクも軽減できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。イチゴ舌の症状が見られた場合は、いろいろな心配をする前に、まずは早急に病院で検査を受ける方が安心です。

また、小さな子供の場合、痛みや不調を上手く表現できず、不機嫌になることで身体の異変を訴えてくることもあります。はっきりとした原因がないのに、ぐずったり、不機嫌になっている場合は、イチゴ舌になっていないか、熱はないか、目は充血していないかなどを確認し、これらの症状が見られた場合には、小児科や内科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

  
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