インフルエンザの流行る季節になると、保育園、小学校、中学校、高等学校などは外出禁止令を出しますが、いつまで自宅待機しないといけないのでしょうか?
感染症は、罹ってしまった人が不用意に外出するためウイルスをばらまいてしまいます。そのため、インフルエンザに罹った人は、人にうつさないため外出を控えなければなりません。
インフルエンザは成人以外外出禁止令が法律で決められています。インフルエンザは感染症なので、自分個人の判断で出歩くことはウイルスを空気中にばらまくことになります。
免疫力の弱い人が、あなたのウイルスで死に繋がったとしたら、自分個人の判断で出歩くことが免疫力の弱い人にとってどれほどひどいことかお解り頂けます。
インフルエンザの外出について詳しく見てみました。
インフルエンザについて
インフルエンザは風邪と違い、38℃以上の発熱が出て全身症状の頭痛、筋肉痛、関節痛などの症状がでます。
また、局所症状として喉の痛み、鼻水、クシャミ、咳などが出て、急激に発症するのが特徴です。そして、時期としては1~2月がピークで5月ごろまで続きます。
インフルエンザの型について
インフルエンザA型・B型
免疫低下で風邪をこじらせてインフルエンザA型・B型に罹る人は多く感染力も強くて、症状は関節痛、倦怠感、筋肉痛などの全身症状が強く出たり、喉・鼻の上気道炎症などの症状も出たりします。
1~2週間で体力のある人たちは自然治癒しますが、乳幼児や育児中のお母さん、高齢者などは気管支炎や肺炎を併発しやすく、重症化すると脳炎や心不全まで発展することもあります。
新型インフルエンザ
新型インフルエンザ等については、感染経路は未定ですが、発熱、咳などの初期症状や飛沫感染、接触感染などは通常のインフルエンザの特徴と同じです。
しかし、新型インフルエンザはほとんどの人が免疫を持っていなくてワクチンもありません。そのために、爆発的な感染が予想され被害が拡大されるものと予想されます。
過去に流行した世界的インフルエンザのデータを参考にして、医療公衆衛生分科会が厚生労働省において有識者会議で、下記のようにデーターを発表しています。
被害想定
政府想定 重度のケース
発症者数3,200万人(全人口の25%)、受診患者数:1,300万人~2,500万人
重度入院患者数~200万人、死亡者数約64万人(致死率2%)欠勤率:最大40%
中等度入院患者数~53万人、死亡者数約17万人(致死率0.53%)
出典:医療公衆衛生分科会
新型インフルエンザのワクチンは登録事業者に対して特定接種が行われます。
インフルエンザの検査を受けても、発症から12時間~24時間経過していないと陽性反応にならない場合があります。
緊急でない場合は、医師に発症からどれぐらいたっているか伝え、検査のタイミングを医師と相談することが必要です。
インフルエンザに罹ると外出禁止になる理由
インフルエンザは発症して完治するまで大体5日です。発症して3日ぐらいは高熱が出て、2日ぐらいまではインフルエンザウイルスは体内に存在しているといわれています。
自分の身体に免疫ができてくるので症状は治りますが、しかし、ウイルスが体内に潜伏している期間は子どもで解熱後3日、大人で解熱後2日となっています。
インフルエンザの外出について
インフルエンザの外出は感染者数が増えないために、保育園や幼稚園、小学校、中学校、高等学校までは法律で細かく規制されていますが、社会人となる大人の場合は、会社の経営方針で違いが出てきます。
幼稚園や保育園の外出禁止期間
幼稚園や保育園で、インフルエンザに罹った場合は登園禁止です。幼稚園や保育園のような集団生活をしているところでは、ウイルスはあっという間に広がってしまいます。
出席停止した後、いつから外出できるのか、登園許可をもらうためには次の条件を満たさなければなりません。
- インフルエンザ発症後解熱してから3日が経過している
- インフルエンザ発症後経過が5日あること
この条件2つが満たされていないと登園許可はもらえません。例えば解熱してから3日経過していても、5日経過していないと登園許可は下りません。
幼稚園や保育園の園児たちはまだ免疫機能が未熟です。ウイルスの増殖期間が他の年齢より長いため、また、保育園では学級閉鎖ができないので、安全対策として長めの外出禁止令が出ています。
小学生以上の場合の外出禁止期間
幼稚園や保育園だけでなく、小学校、中学校、高等学校などでも、集団生活を余儀なくされているので爆発的に感染してしまいます。
そのようなインフルエンザに罹って外出できるのはいつからなのでしょうか?条件は以下の条件となります。
小学校・中学校の場合学校保健法が定められ、それを守ることが義務となっていて下記の条項が設けられています。
- インフルエンザ発症後熱が下がってから2日経過していること
- インフルエンザ発症後経過が5日であること
しかし、小学生低学年の場合も免疫機能が完全といえないので、配慮が必要になるのではないでしょうか?次に例を見てみます。
- A君・・発熱が1日・解熱・解熱後1.2・発症後4日・発症後5日計6日で登校
- B君・・発熱が2日・解熱・解熱後1.2・発症後5日計6日で登校
- C君・・発熱が3日・解熱・解熱後1.2計6日で登校
- D君・・発熱が4日・解熱・解熱後1.2計7日で登校
- E君・・発熱が5日・解熱・解熱後1.2計8日で登校
幼児の場合は解熱後が3日になります。学校保健安全法または学校保健法の改定が平成24年4月1日にあり、発症日から数えると早い人で6日間目に登校できます。
社会人の場合の外出禁止期間
大人になると、子供のように法律で定められた出勤停止期間があるわけではありません。しかし、インフルエンザが治って体力が回復しても、解熱から2日はウイルスが身体の中に存在しています。ですから、周りの人に感染させないために外出は控えた方がよいでしょう。
社会人の場合は会社により違いがあるようです。しかし、会社でも集団生活をしていますので感染症のインフルエンザは社内にすぐに広まります。
免疫力が強い人でも無理をしたりしていると、免疫力が弱くなったときに感染する場合があります。
会社経営者の判断ですが、会社によって出勤停止になるところもありますので、会社に一応聞いてみた方がよいですね。
出勤停止期間はどれぐらいになるかは会社によりまちまちです。また、出社禁止になるところばかりではありませんので、もし、出社しなければならない時は、飛沫感染対策を十分行って外出することが必要です。
自分の身体を重症化しないようにすることも大切ですが、人にうつさないことも国民の義務として大切ではないでしょうか?
出席停止および出社禁止の基本となる解熱後の考え方
熱が上がってインフルエンザかも知れないと医療機関を受診して、そこで、インフルエンザの診断を受けた場合は熱が上がった翌日が1日目となります。
インフルエンザ発症1日目から5日まで外出はできなくなります。インフルエンザは熱の変化がとても重要になってきますので、1日3回朝・昼・夜の熱を必ず記録します。(医療機関でもらえます。)
解熱の考え方は、熱が平熱になって丸1日過ぎた日から解熱と考えます。
自宅待機なのに外出する人の割合
20~50歳代を対象にした(インフルエンザで外出が禁じられているにも関わらず、外出した人の割合)のデーターをみてみると、30.5%の人が自宅待機にも関わらず外出しています。
外出先は
- スーパー・・・・・55.7%
- コンビニ・・・・・43.4%
- 会社などの仕事・・32%
となっています。食べ物を調達するのに仕方がないといえば仕方がありませんが、スーパーやコンビニなど人の多いところですので、マスクをし周りに感染させないよう注意してほしいですね。
また、会社などの仕事のために無理をする人もいますが、無理をすると周りにウイルスを感染させ、自分もまた症状がぶり返すこともあります。インフルエンザに罹った時は、安静が一番ですので無理をしないようにしましょう。
薬でウイルスの力が弱まる経過から外出を判断
ウイルス感染でタミフルを処方された場合、以下のようにウイルスは消えていきます。
- 1日目・・・・・81%
- 2日目・・・・・43%
- 3日目・・・・・13%
- 4日目・・・・・8%
- 5日目・・・・・5%
というようにウイルス量は減少しますが、それでも5目で5%はまだ残っているのですね。
薬をきちんと飲まなかった場合
薬剤耐性ウイルスができるメカニズム
薬剤耐性ウイルスとは薬剤が効かなくなったウイルスです。そのメカニズムは次のようになります。
- ウイルスが人間の身体に入り自分をコピーして増えていきます。
- 最も多くコピーされるウイルスのよく効く薬(薬剤感受性)のウイルスはミスをしてコピーの不良品を作ります。
- 薬剤感受性ウイルスは薬剤耐性ウイルスに進化する能力を持っている薬剤耐性候補ウイルスが作られます。
- 薬をきちんと飲むことでこの薬剤耐性候補ウイルスは防ぐことができます
- しかし、飲み忘れたり自分の判断で飲まなくなると薬剤耐性候補ウイルスは薬剤耐性ウイルスに変化します。
- 薬剤耐性ウイルスが一度できると、そのあときちんと薬を飲んでも薬が効かなくなります。これが、薬剤耐性ウイルスができるメカニズムです。
予防接種について
厚生労働省の予防接種相談窓口は29年4月1日から電話番号が変わりました。
03-5276-9337
午前9時~午後5時 土日・祝日・年末年始を除く
予防接種やインフルエンザ、性感染症、その他感染全般について相談に乗ってもらえます。
インフルエンザの予防接種は予防接種法に定められています。予防接種法には伝染の恐れのある疾病の発生および蔓延を予防するためと定義されています。
予防接種情報などは厚生労働省にて見ることができます。
厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会副反応検討部会の予防接種会議について
予防接種の副反応死亡について
インフルエンザMRワクチンについて、企業から2件、医療機関から16件、そのうち重篤なものが7件報告されています。
後遺症および死亡者は存在していません。脳炎脳症が1件、けいれんが2件、血小板減少性紫斑病1件となっています。
1歳男児がワクチン接種後網膜症を発症して、後遺症で両眼の視力低下が残りましたが、これは今回の報告の分ではありません。
2017年2月の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の報告
2017年2月予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において製造販売業者からの報告で23件のうち死亡例が3件、医療機関からの報告で報告者数113件のうち、重篤患者数が34件、死亡者が3件あったと報告されています。
0~9歳児の副反応が一番多く死亡は高齢者が多くなっています。
インフルエンザワクチンの実績
インフルエンザワクチンの実績は平成27年10月1日~平成28年9月30日の実績をみてみると、5144万人が摂取して、業者報告で110人 死亡者3人、医療機関の報告で293人報告のうち重篤患者が101名、死亡数が4名です。
その前の平成26年10月1日~平成27年9月30日の実績を見てみると、5238万人が摂取して業者からの報告者数が70人、死亡が4人、医療機関からの報告では244人報告で、重篤患者が99人、死亡者が11人となっています。
重症化する危険度の高い人は
- 高齢者
- 幼児
- 妊娠中の女性
- 持病を持っている人
予防接種で健康被害が出た場合は、予防接種健康被害救済制度や医薬品副作用被害救済制度というものがあります。
予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働省が認定したときは、市町村により給付が行われます。
出典:厚生労働省
医療費は全て支給されます。また、後遺症が残ったときは18歳未満は障害児養育年金、18歳以上のばあいは障害年金が支給されます。
インフルエンザの感染予防対策について
インフルエンザから身を守るにはウイルスを体内に侵入させないことです。そのためには正しい手洗いが必要です。
外出から帰宅時、調理の前後、食事の手洗いなどこまめに手洗いの習慣をつけることです。
ウイルスは石鹸に弱いので正しい手洗いを実行しましょう。
ウイルスは免疫力の弱っている人に感染しやすいので、免疫力を日ごろから高めておくことが必要です。十分な睡眠とバランスの摂れた食事をするようにしましょう。
流行前の予防接種を行う
インフルエンザワクチンには、感染後に発症する可能性を低くする効果と、発症した場合の重症化を防ぐ効果が報告されています。
ワクチンには完全に感染を防ぐことができませんが、発症を抑える効果が少しあります。インフルエンザワクチンの最も重要視されてる効果は重症化を防ぐことです。
ですから、病気を持っている方、高齢者の方は重症しやすく、国立療養所三重病院の調査によると34~55%の発病を抑え、82%の死亡を抑える効果があったと発表しています。
インフルエンザの異常行動
治療薬のタミフルの医薬品で一躍有名になりましたが、他のインフルエンザ薬や、また、何も服用していない時でも、インフルエンザに罹ると異常行動が見られる報告事例ががあります。
そのため、家族は未成年者がインフルエンザに罹った時は一人にならないように、十分気を付けて子供が異常行動を起こさないように対処してください。
未成年者がインフルエンザに罹ると、異常行動を起こす危険性があることを頭に入れて対策をしてください。
感染対策を行っている機関
国立感染症研究所感染症疫学センター
- 1927年国立感染症研究所(旧国立予防衛生研究所)が設立
- 1950年細菌、ウィルス・リケッチア・結核などの12研究部に拡大
- 1961年武蔵村山市にワクチン検定庁舎
- 1963年ウイルス中央検査部
- 1965年麻疹ウイルス部が新設
- 1978年筑波医学実験用霊長類センター支所
- 1988年エイズ研究センター
- 1997年1月にハンセン病研究センターとして新たにスタートを切る
- 1997年4月に国立感染症研究所と名前を改める
- 1997年4月に感染症疫学部が感染症情報センターに名前を改める
- 2008年10月に新型インフルエンザなどの対応のためウイルス第三部に第六室が新設
- 2009年4月にインフルエンザウイルス研究センターが発足
このセンターの目的は国民の健康を守る予防医学として感染症を制圧し、感染症に関する研究を総合的に行って国民の健康に役立たせるため作られています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?インフルエンザに罹った時に症状が治って回復しても2日間はウイルスは身体の中で生きていることを知って、最低でも2日間は他人にうつさないためにも自宅で待機することが大切ですね。
感染者数が増えるのも自分が待機期間中に外出したばかりに、感染者数がうなぎのぼりに増えることになります。
国もさまざまな予防対策を行っていますが、国民が守らなければ感染者数は増えて免疫力の弱い人が死ぬことにもなります。そのことを考えてインフルエンザの後の外出は注意したいですね。
関連記事として、
・インフルエンザに解熱剤は使用してもいい?安全な解熱剤と危険な解熱剤を知ろう!
・インフルエンザで陰性の結果!でも症状は似ている!それはなぜ?
・インフルエンザの休み期間はどのくらい?日数や、その際の給料について!
これらの記事も読んでおきましょう。