見捨てられ不安とは?原因や症状、克服する方法を知ろう!

親しい友達や恋人ができると、「相手に見捨てられるのではないか?」という不安が高まる人がいます。そのため、相手にしがみついたり、相手を試すような行動に出たり、あるいは、「見捨てられる」ことを恐れて、だれとも親しくできなかったり・・・これが「見捨てられ不安」です。

「見捨てられ不安」は、対人関係上の不安と言えます。「見捨てられ不安」が強いあまりに、よけい孤独に陥ってしまうのです。

「見捨てられ不安」の原因は幼児期の親子関係にあるといいます。「見捨てられ不安」とはどういう不安か?その原因を探り、対処の方法をお伝えしますね。

「見捨てられ不安」とは?

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「見捨てられ不安」とは、友人関係や恋愛関係において生じる、理由のない不安です。「自分は、いつか、相手から見捨てられるのではないか?」と思い、その不安のために、異常とさえ思われる言動に走ってしまうのです。

「見捨てられ不安」という対人関係の不安が強いために、友人関係や恋愛関係がうまくいかず、かえって孤独に陥ってしまう人が多いようです。

「見捨てられ不安」は、境界性パーソナリティ障害という精神障害の症状の1つでもあります。

[基本的な不信感]

だれにでも、「わたしは独りぼっちになってしまうのではないか?」「好きな人に嫌われるのではないか?」という不安があります。だからこそ、「人に嫌われないように」努力して、良い対人関係を築こうとします。

しかし、「見捨てられ不安」が強い人は、基本的に人間に対する不信感を強く持っています。「だれも信用できない」「自分は世界で孤立している」「自分以外の人間は、敵だ」と思っています。孤立する世界の中で「敵と戦う自分は、あまりにも無力だ」と感じています。

他人は、「気まぐれで、横暴、偽善的で得体の知れない存在」で、「共感できることは何一つない」と思っています。

自分は「何の能力もない」「愛される価値のない人間だ」と思い込んでいます。強い劣等感に苦しんでいます。

[見捨てられ不安の強い人の心理的特徴]

見捨てられ不安の強い人は、いくつかの心理的特徴があります。

①居ても立ってもいられない強い不安

「自分は孤立してしまう」「相手から見放されてしまう」という強い不安で、心が圧し潰されてしまうようです。頭の中が、常に不安でいっぱいです。

不安から、抑うつ気分・怒り・空虚感・虚無感・絶望感・孤立感が生じて、苦しみます。自己イメージが混乱し、自分の気持ちがわからなくなります。

この強い不安から、異常行動に走ることが多くなります。

②思考の二極化

たいてい、人は「あの人のこういうところは嫌だけど、こういう素晴らしさを持っている」というように、長所と短所を同時に見て、好きになったり、嫌いになったりします。

しかし、「見捨てられ不安」が強い人は、相手を全面的に好きになるか、全面的に嫌いになるか、どちらかです。好きになると、相手を理想化してしまいます。

ですから、自分のことも、無条件に全面的に受け入れてほしいのです。自分の一部でも受け入れてくれない相手は、「自分のことが嫌いなのだ」と思い込みます。ところが、何かのきっかけで相手に失望すると、「嫌われた」と感じます。そうなると、相手の何もかもが欠点に思えてしまいます。

「見捨てられ不安」のある人は、とても傷つきやすく、他人の感情に敏感です。少しでも「自分を嫌っている」と感じると、相手の評価を極端に下げることで、自分自身を護ろうとするのです。潜在意識による防衛反応です。

好き嫌いの感情が極端から極端へ走るので、安定した対人関係を築くことができず、人との付き合いが長続きしません。

③ちょっとしたことでネガティブな想像をして、決めつける

「見捨てられ不安」の強い人の思考は極端から極端に走ります。そのため、相手のちょっとした言動を悪く想像して、「あの人は自分を嫌っている」「あの人は私を嫌いになった」と決めつける傾向があります。

うっかり電話に出なかったり、メールの返事が遅れたりしただけで、「嫌い」という意思表示と受け取ってしまいます。ネガティブな思い込みをしやすいのです。

[見捨てられ不安の人の特徴的行動]

「見捨てられ不安の強い人」は、行動も極端に走りがちです。時には、反社会的な行動を取ることもあります。

相手にしがみつく

他人に強く依存するので、仲の良い友達に別な友人ができると、耐えられないほど寂しく感じます。恋人から少しでも否定的なことを言われたり、いろいろな事情で一緒いられる時間が短くなったりすると、絶望感に襲われます。

友達や恋人が「否定的なことを言う」といっても、たいしたことではありません。他意のない言葉でも、「見捨てられ不安」の強い人には、大きな衝撃となります。

そこで、見捨てられないために、友達や恋人に、1日に何十回も電話したり、頻繁にメールしたりします。相手のケータイの受信・発信履歴を盗み見たり、行動をしつこく聞き出したり、自宅に押し掛けたり、相手のプライバシーを詮索します。

相手を試す言動を繰り返す

「見捨てられ不安」の強い人は、他人に強く依存するので、自分が相手に全面的に受け入れられないと、ガマンできません。そのため、「相手が、どこまで自分を受け入れてくれるか?」を試すような言動をします。冷たくしたり、ワガママを言ったり、相手を怒らせるようなことをしたりします。

相手が無条件で自分を愛してくれることを、心の底で願っているのです。

相手の悪口を言いまくる

相手が少しでも自分に否定的な態度を取ると、「見捨てられ不安」の強い人は、ガラリと変わります。昨日までベタベタしていたのに、今日は「あの人、大ッ嫌い」と、相手の悪口を言いまくります。

「あんなイヤな人、好きにならないで良かった」という、いわゆる「酸っぱいブドウの論理」が無意識に働いているのです。相手の評価を下げることで、自己防衛しているのです。

(酸っぱいブドウ)

キツネがブドウを食べようとしたが、ブドウの木が高くて、手が届きません。そこで、キツネは、「あんな酸っぱいブドウを、だれが食べるものか」と、負け惜しみを言います。自分の言動の正統性を主張する心理です。

自暴自棄になる

相手に「見捨てられた」「受け入れてもらえない」と感じると、自暴自棄な行動に出ます。

リストカットなど自傷行為をして、友人や恋人の気を引こうとします。アルコールやドラッグに依存することがあります。

ストーカー行為に出る人もいます。

傷つくのを恐れて、人と親しくならない

「見捨てられ不安」の強い人は、自分に対する評価が驚くほど低いのです。「どうせ嫌われる」「私には何の価値もない」と思い込んでいます。

傷つくことに心配性です。そのため、周囲から孤立した状態を保ち、他人と親しくならないようにする人もいます。

愛着障害の抑制型に見られるパターンでもあります。

見捨てられ不安の原因

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「見捨てられ不安」の原因は、乳幼児期から学童期の親子関係にあります。親子関係は「養育者との関係」と言うこともありますが、はっきり言うと「母親と子供の関係」です。

乳幼児期から学童期にかけて、子供の情緒は著しく発達します。この時期に、母親との関係が健全でないと、子供は心に傷(トラウマ)を抱えたまま成長します。トラウマを抱えていると、アダルトチルドレン・インナーチャイルド・愛着障害・見捨てられ不安などのトラブルに苦しみ、良い対人関係を築くことができません。

母子の不健全な愛情関係は、境界性パーソナリティ障害という精神疾患の原因の1つにもなります。

[乳幼児期に安定した愛着が形成されない]

乳幼児は母親が世界の中心です。母親にしっかり抱かれてミルクを飲み、優しい言葉をかけられて、ぐっすり眠ります。これが、乳幼児の安定した世界です。

母親が少しでも見えなくなると、置き去りにされたように感じられ、とても不安になります。しかし、母親がすぐに戻って来て、抱きしめてくれれば、子供は安心し、幸福感を取り戻します。

やがて、「母親は時々見えなくなることもあるが、すぐに戻って来て愛してくれる」という安心感を持つようになります。これが、乳幼児期の「安定した愛着」です。

乳児期・幼児期に安定した愛着が形成されないと、子供は情緒の発達に障害を生じます。

置き去りの恐怖

「安定した愛着」が形成されると、子どもは自分の置かれた環境に精神集中できるようになります。やがて、外の世界に興味を覚え、外界と接触、探検するようになり、自立します。

童話作家の坪田譲二は「正太と母ちゃん」を扱った作品をいくつか書いています。正太は母ちゃんが大好きで、母ちゃんの傍で遊びます。時々、母ちゃんの傍を離れて、母ちゃんが見えない所まで行くと、不安になります。そこで、走って戻ると、母ちゃんは、ちゃんといます。正太は母ちゃんの背中にしがみつき、安心すると、また離れて行きます。

しかし、正太が走って戻った時、母ちゃんが居なかったら、正太は不安でパニックを起こします。泣いて、喚いて、やがて力尽きて諦めますが、「置き去り」にされた心の傷は残ります。

「置き去り」は、物理的に母親や父親、信頼できる養育者が見えなくなることだけではありません。子供を無視する(ネグレクト)行為は、置き去りと同じです。子供を抱きしめることも、優しく話しかけることもしなければ、子供と安定した愛着を形成できません。

置き去りの恐怖や不安、不安定な愛着が、成人してからの、見捨てられ不安やアダルトチルドレンなどのトラブルを生じさせます。

無条件の愛

子供は無条件に愛される必要があります。「母親の愛情」とは、無条件に子供を愛する心です。保育園・幼稚園、そして学校に行くようになると、子供は社会から様々なストレスを受けるようになります。しかし、母親や父親、家族みんなが、子供を無条件に受け入れることで、子供は安心し、外界に立ち向かって行くことができます。

それが、親の期待に応えた時だけ褒めたり、親の思い通りにした時だけ満足したりすると、子供は親の期待や指示に応えるために、必死で努力します。しかし、たいていの子供が、全て親の期待や思いの通りに行動することはできません。

子供が期待に反したり、失敗したりした時、厳しく叱るばかりでは、子供の心は深く傷つき、「自分は何の能力もない」「自分は価値のない人間だ」と思うようになります。親の期待に背くと、「自分は罰せられて当然だ」と思い込み、わざと自分を苦しめる「自己処罰」という行動をとることさえあります。

「親の期待に背かない良い子」でいようとするストレスに、子供は圧し潰されてしまいます。その心の傷が、成人してからも、対人関係にトラブルを生じさせます。

子供はどんなに失敗しても、「母親や父親だけは、自分を全面的に受け入れ、認めてくれる」という安心感さえあれば、立ち直って、新たな挑戦ができます。「良くやったね」「頑張ったね」「大好きだよ」という心からの励ましが、子供を強くします。

[機能不全家族]

「機能不全家族」とは、子育て・家族愛・団欒(だんらん)・地域社会との関わりという、本来家庭に存在する機能が健全に働いていない状態の家族のことです。

家族構成員(両親など)が、アルコール・ドラッグ・ギャンブルなどの依存症であったり、家族内で肉体的および精神的虐待が行われたり、家庭内暴力があったり、性的虐待、ネグレクト、家庭不和、生活の困窮などが、恒常的に存在する家庭です。

機能不全の家庭では、一番の被害者は無力な子供です。子供が身体的・精神的・性的虐待を受けることが多いのです。ネグレクトも、心理的虐待です。

機能不全家族では、母親も父親も、子供に安定した愛情を注ぐ心の余裕がありません。浮気や親の介護、依存症などで夫婦仲が悪ければ、母親は子供に自分の不平不満をぶつけてしまい、子供に「心から愛されている」という安心感を与えることができません。子供には、家族との一体感がありません。

機能不全家庭で育つ子供は、幼少期の人格形成において健全な愛着を得ることが乏しくなります。その結果、自己愛・自尊心・他者への共感・他者の痛みに対する理解に欠け、社会において健全な対人関係を築くことが困難になります。

[子供の心の傷は成長しても治らない]

親の離婚や死亡、多忙すぎる母親、愛情表現に乏しい母親、機能不全家族などにより、安定した愛着を形成できなかったり、無条件に愛された実感がなかったりすると、子供の心は大きく傷つきます。

「置き去りにしないで!」「一人にしないで!」「見捨てないで!」という不安や恐怖が、「見捨てられ不安」の強い人間を育てます。他人に依存するようになり、それが健全な人間関係を築く障害となり、救いようのない孤独に陥ってしまうのです。

傷ついた子供の心は、成長しても治りません。アダルトチルドレンやインナーチャイルドは、成長した後もトラウマ体験に苦しむ人々です。

アダルトチルドレン

アダルトチルドレンとは、幼少期の環境や境遇によって心に傷を負い、そのために、成人してからも「生き辛さ」を感じて苦しんでいる人間のことです。幼少期の愛情不足や精神的・肉体的虐待・性的虐待などのために、感情の表し方や思考、認識に独特の仕様を持つようになっています。略して「AC」といいます。

(アダルトチルドレンの心理的特徴)

トラウマ体験のある子供は、自己を過小評価するようになります。自己イメージが混乱し、自己主張が下手です。

相手に嫌われたくないので必要以上に相手に合わせたり、自分で気づかないうちに相手を不愉快にさせたりするので、対人関係が苦手です。

幼少時の精神的な抑圧のため、偏った考えをするようになり、社会的に不適応になります。人間や社会に強い不信感を抱き、常に緊張しています。そのため、不安感やイライラが強くなります。

詳しくは、アダルトチルドレンとは?その定義や概念、原因を知ろう!治療するにはどうすればいい?を参考にしてください。

インナーチャイルド

インナーチャイルドとは、「内なる子供」という意味です。人間は、幼少期の体験や感情を心の内に抱えたまま成長し、成人した後もその影響を受けるということです。

特にマイナスな経験や感情が、大きな影響を与えます。幼少期の愛情不足・ネグレクト・虐待などで心が傷つくと、「自分は無力だ」「無価値だ」などと劣等感や、「自分はだれからも愛されない」「だれにも必要とされない」などという思い込みに悩まされ、健全な人間関係を築くことができなくなります。

恋愛や結婚、職場の人間関係が巧くいかないのは、インナーチャイルドのせいだと言われます。

愛着障害

通常、母親と子供の愛着は、生まれてから2年目までに形成されます。生まれてから2~3年間に母子の愛着が形成されないと、愛着形成が遅れます。

乳幼児期に長期に渡り、虐待やネグレクト、離別や死亡などで、母親と安定した愛着が形成されなかったり、母親との愛着が断たれたりしたために、引き起こされる社会的関係障害を、「愛着障害」といいます。成長するにつれて問題行動を起こすようになります。

「甘えたいのに、甘えられない」「頼りたいのに、頼れる母(父)がいない」という経験は、里子や施設で育つ子だけでなく、機能不全家族の中で育つ子にも、心に傷を負わせます。

(愛着障害の症状)

愛着障害の子供は、強い恐怖と不安を隠し持っています。人を信じません。他人に威張り散らしたり、他人を操ろうとしたりします。

攻撃的で、激怒反応を示します。破壊的で反抗的、衝動的で過敏行動をとります。情愛や相手への尊敬心、責任感に欠けます。愛情表現能力や自尊心が不足しています。

愛着障害は進行すると、「抑制型」と「脱抑制型」に分かれます。「脱抑制型」の子供は、自分の両親よりも無関係な人々になれなれしい態度をとり、過剰な親しみを示します。「抑制型」は、自分の感情を抑え込み、人と関わることを避ける傾向が強くなります。

愛着障害の子供は大人になっても愛情表現が苦手です。猜疑心が強く、人間関係にトラブルを生じやすくなります。恋愛や結婚がうまくいかないことが多いようです。

見捨てられ不安の対処方法

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「見捨てられ不安」は、境界性パーソナリティ障害やうつ病などの精神障害(精神疾患)の症状の1つです。精神的な病気であれば、精神科・神経科で専門医による治療が必要です。

しかし、精神的な病気でなくても、幼少期の愛着不全や心理的虐待など親子関係の問題で心に傷を負った子どもたちは、大人になってからも悩み苦しむことが多くなります。「見捨てられ不安」は、その1つです。アダルトになってもチャイルドの時の辛い経験に苦しみ、人生を楽しむことができません。心の中で、傷ついたチャイルドが今も泣き叫んでいるのです。

心の中に傷ついた子供を抱えている人の「見捨てられ不安」や「愛着障害」に対処することは、決して容易ではありません。しかし、困難ではあっても、対処方法はあります。

[自分で自分自身を受け入れる]

「見捨てられ不安」がある人は、自己に対する評価が極めて低く、「こんな自分だから嫌われる」という思い込みが、心の底にあります。幼少期に親から十分な愛情を受けられなかった心の傷のせいです。

幼少期に両親から愛されなかった分、自分自身を愛するのです。欠点も短所も何もかもひっくるめて、無条件で自分を受け入れてしまうのです。「わたしは、こういう人間なのだ」と、開き直ってしまうと、気持ちがぐっと楽になります。

「嫌われてもかまわない」と開き直る

「酸っぱいブドウの論理」を利用します。「相手に嫌われたかもしれない」と思ったら、「わたしを嫌う人と無理に付き合うことはない」「嫌っている人と付き合うと、ストレスが増えるだけ」くらいに考えます。

ただ、その人の悪口を言うのは、未練がある証拠ですから、悪口を言ったり、冷たい態度を取ったりするのは、NGです。「嫌われたって、かまわない!」と開き直ることが大事です。

趣味や仕事に打ち込む

仕事でも趣味でも研究でも、何でもかまいませんから、自分が夢中になれることを見つけます。夢中で打ち込んでいると、「人が自分をどう思うか?」「見捨てられはしないか?」などと心配する暇がなくなります。

そして、「わたしは、よくやっている」と、自分を褒めます。他人が褒めたら、素直に喜びます。自分に自信が持てるようになります。

楽しかったことをノートにメモする

1日の終わりに、楽しかったことや嬉しかったことを、1つでも2つでもノートに書くようにします。自分の人生にも、幸せな瞬間があることを、実感できます。

毎日の生活の中で、小さな幸せを積み重ねていきます。

[カウンセリングを受ける]

「見捨てられ不安」が強い場合、独りで対処するのは困難です。心理カウンセラーや精神科医の助けを受けることをオススメします。

話を聞くことが問題解決に導く

心理カウンセリングは、不安に苦しむ本人の話を聞くことで、「なぜ、見捨てられ不安が生じるようになったのか?」を、本人が解明する手助けをしてくれます。心理療法士・臨床心理士という資格を持つカウンセラーは、「こうすれば、悩みは消える」などと教えてくれるわけではありません。クライアント(相談者)の話に耳を傾けるだけです。

しかし、幼少期のトラウマ体験、両親に対する不満や怒り、家族との一体感の無さなど、くわしく話すことで、自分の気持ちがよくわかるようになります。カウンセラーに話すことがきっかけとなり、距離を置いていた両親とも話すことができるようになります。

精神科でカウンセラーを紹介してもらう

インターネットによる無料診断、電話やスカイプを使用する無料のカウンセリングがあります。精神科・神経科では、資格のある心理カウンセラーを紹介してくれます。これは、保険が適用できないこともあります。

「見捨てられ不安」が強い場合、パーソナリティ障害やうつ病という精神疾患の可能性があります。無料のカウンセリングだけでは、病気が進行・悪化する危険性もあります。精神科・神経科で診断してもらってから、カウンセリングを受ける方が安心です。

[見捨てられ不安のある人への対処法]

自分の恋人や妻・夫が「見捨てられ不安」を抱えている場合、対処するのは極めて困難です。まず、恋人や配偶者が「見捨てられ不安」を抱えている事実、幼少期のトラウマ体験が大人になっても影響していることを、しっかり認識する必要があります。

ルールの確立

ルールを確立する必要性があります。甘えられる限界・ワガママ言える限界をはっきり決めておきます。その時の気分で接すると、「見捨てられ不安」の人は混乱して、よけい気持ちが不安定になります。

愛情は言葉で伝える

愛情は言葉にしてしっかり伝えます。日本人は「以心伝心」が好きで、愛情を言葉に表すのが苦手です。しかし、「見捨てられ不安」の人には、言葉で愛情を示すことが大事です。良い時も悪い時も、「あなたを無条件に受け入れる」という愛情を示すことが、何よりも癒しになります。

カウンセリングを勧める

精神科・神経科の医師や資格のあるカウンセラーに相談することを勧めます。一緒にカウンセリングを受けることも、1つの方法です。

対処する自信がなければ、早めに距離を置く

彼氏や彼女を最後まで見捨てないで付き合える自信がなければ、早めに距離を置くようにすることです。中途半端に付き合うと、「見捨てられ不安」が増強し、手に負えなくなります。

[境界性パーソナリティ障害]

「見捨てられ不安」は、「境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)」という精神疾患の症状の1つです。パーソナリティ障害(人格障害)の1種で、神経症と統合失調症の境界のような症状を示します。男性よりも女性に多く発症します。患者の80%が20代の女性です。

境界性パーソナリティの原因は、幼少期の親子関係(特に母子関係)だけでなく、遺伝も深く関わっています。「愛着障害」とも関連性が大きいようです。

感情が不安定で、突然、感情爆発を起こします。思考が二極化し、中間がありません。好き嫌いも極端で、安定した対人関係を築けません。自己イメージが混乱し、自己評価が低い傾向があります。自傷行為や自殺願望があります。離人感といって、自分の行動を本人が外から見ているような感じになります。

症状は「見捨てられ不安」の人と似ていますが、自殺する危険性が高いと言えます。うつ病の可能性もあるので、早期に精神科・神経科の専門医に相談する必要があります。精神科・神経科では、心理療法とともに薬物療法を行います。

境界性パーソナリティ障害は、早期に治療を開始すれば、完治する精神障害です。詳しくは、境界性人格障害の治療法や対応の仕方を知ろう!原因や症状、ガイドラインを紹介!を読んでおきましょう。

まとめ 「見捨てられ不安」は幼少期の親子関係が原因

「見捨てられ不安」とは、「友人や恋人、配偶者に見捨てられはしないか?」という不安が強いことです。対人関係上の不安です。

「見捨てられ不安」の人は、他人に強く依存しています。好きになった人を理想化してベタベタつきまといます。強い不安感から、1日に何十回もメールや電話をしたり、自宅に押しかけたりします。でも、相手がちょっとでも思い通りにならないと、「嫌われた」と思い込み、相手の悪口を言いまくります。思考が極端から極端に走ります。

安定した対人関係を築くことができず、かえって孤独に陥ります。

「見捨てられ不安」の原因は、幼少期の親子関係にあります。特に母親との関係です。幼少期に、死別や離婚、精神的・肉体的虐待などで、母親と安定した愛着が形成されないと、子供の情緒的発達が障害されます。母親の愛情表現が乏しかったり、厳格すぎたり、家庭不和で気持ちに余裕がなかったりしても、子供と安定した愛着を形成できません。愛着障害が生じることがあります。

幼少期の「置き去り」体験や虐待など、トラウマを抱えた子供は、成長しても生き辛くなります。それが、アダルトチルドレン、インナーチャイルドです。

幼少期に、母親と安定した愛着が形成されないと、境界性パーソナリティ障害という精神疾患を引き起こすこともあります。

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