自傷行為。自分自身を傷つける行為。リストカットや拒食症などのイメージがあり、自殺目的や自殺願望と同じようなイメージに捉えられやすいですね。
行為をした人だけでなく、その状況を見てしまった人や周りの身近な人にとってもとてもショックな出来事であると思います。どうして死のうとしたのか?などと考えがちです。
しかし、自傷行為は自殺願望と同じではありません。ここでは自傷行為について正しい認識と、自傷行為を目の当たりにした場合、どのような対処を考えればよいかをまとめてみました。
自傷行為とは?
自傷行為と聞くと、自殺願望などのイメージが湧き上がる人も多いのではないでしょうか?
自傷行為は、意識している・していないに関わらず、リストカットに代表されるような自分の身体を傷つける行為のことを言います。
しかし自傷行為は自殺願望とは違います。
自傷行為をするのはなぜ?
自傷行為は自殺するために行っているものではありません。ではなぜ自分の身体を傷つけるようなことをするのでしょう?
それは自分の心の痛みを身体の痛みにすりかえることで、自分の心の苦しみを消化しようとするからです。
一時でも自傷行為に集中し、没頭すると何も考えられなくなります。そしてその行為が、心の悲しみや苦しみを身体の痛みや苦しみにすり替えます。その後痛みは身体だけとなります。もしかしたらその傷が治ったときには、心まで治ったような錯覚に陥るのかもしれません。
また心の中にある悲しみや怒りなどの感情で、自分自身が押しつぶされそうなときにした自傷行為が一時でもその思いから逃れられたと感じると、その人にとっては自傷行為が苦しみから逃れられる唯一の行為となってしまい、その行為に依存するようになります。そして苦しみを感じるたびに、自傷行為を繰り返してしまうようになります。
自傷行為をする人の心理とは?
では、自傷行為をする人たちの心理状態はどのようなものなのでしょうか?
一般的によく言われているのは、こんな心理です。
- 自分の悲しさや辛さなどを理解してほしい。周りに対する無意識のSOS。
- 病気が原因でそのつらさを少しでも解消したい。
- 何らかの病気や原因による幻聴や幻覚、または一時の衝動など。
これらの原因の中でもよく言われるのが、①の無意識のSOSです。自傷行為は傷をつけた本人だけでなく、周りの人を巻き込みやすい状況から、「自意識が過剰だ」とか、「構ってほしいだけ」などといわれることが多いのですが、実はそうではありません。
もちろん、苦しみを知ってもらい、理解してほしいという気持ちは誰にでもあると思います。しかし自傷行為をした人は決して自分の不幸や悲しみ・苦しみをアピールするためだけにしているのではありません。むしろ、無意識にそのような状況にならざるを得ないと認識したほうが良いでしょう。
また②のような病気が原因の場合は、うつ病や妄想症状や自責の念が強すぎるなど精神的な疾患が原因で自傷行為に走る人です。疾患によって自分は生きている資格がないとか、大変な過ちをしてしまったなどと感じる結果、そのような行為をしてしまったり、または離人感といって自分が自分でないような感覚や自分のことを他人のような感覚で見てしまう疾患などの場合は疾患が完治しない限り続きます。
③のような一時の衝動や幻覚などは、疾患などの原因や薬剤による副作用の可能性もあります。突然錯乱状態になった後に自傷行為をしたり、常に死を示唆する声が聞こえる幻聴などもこのような原因によるものと言われています。このような一時の精神状態などは薬によりコントロールすることが可能な場合もありますので、早めに対応の医療機関に受診したほうが良いでしょう。
どんなタイプの人が自傷行為を起こしやすい?
自傷行為は特定のタイプの人がなるのでしょうか?いいえ、誰でも可能性があります。
もちろん疾患が原因の場合はそのような場合があるのでしょうが、疾患を除けば誰にでも起こりえる行為です。なぜなら自傷行為を体験した多くの人に共通しているのは、人生に対する無力感です。また自分の生き方や人生を上手くコントロールできないという気持ちです。このような感情は普段私たちが一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
自傷行為に走る人は、そのような思いが人より強く、上手くいかない、コントロールしたいのにできないというジレンマを抱えているのかもしれません。
自傷行為の種類
自傷行為と言われるものには、主に以下のようなものがあります。
- リストカットやアームカットと言われる、刃物などで身体を傷つける行為
- 根性焼きなどに代表される、タバコなどの火で身体を焦がすような行為
- 頭部や身体の一部分を物に打ち付ける行為
さらに下記のような行為も自傷行為に入ることがあるので注意が必要です。
- 爪を噛む
- 大量の薬の服用
- 過食や拒食(過剰なダイエットなどの行動も含む)
- 薬物の乱用
これらの行為は一見すると自傷行為のように見えないのですが、よく考えるとその行為をすることによって間接的に自分を傷つけている場合が多く、直接的に傷つけられないからという心理的なサインなのです。
自傷行為の治療法
対応の医療機関に受診するのが一番でしょう。もちろん、この場合は主に精神科になるでしょう。しかし、そのほかに身体的な不調がある場合は、ほかに大きな疾患が原因で精神的な疾患を患っている場合もあります。まずは医療機関に相談してみるのが良いでしょう。
さらに、身近な人に自傷行為をする人がいる場合、医療機関に受診することと同時に以下のようなことに気をつけましょう。精神的な要素の大きい行為です。周りの対応もやり方によっては大きな力となります。
自傷行為を非難しない
行為をした人にとっては唯一の自分を救える方法なのです。非難したり、過剰な応援は、かえって本人を辛くさせます。自傷行為をするほど辛い状況や精神状態であることへの配慮を忘れないようにしましょう。
本人の感情に寄り添うことで、本人も理解してもらえたと思うようになります。
過剰な正義感をださない
よく心が弱いからだ。とか根性がたりない。などの理由をつけて私が治してあげようとがんばる人がいます。何とかして治してあげる!という正義感はおせっかいです。してあげる。という行為や思いはあくまでもする側の立場であって、本人の気持ちには寄り添っていません。
その結果「なんで分からないの?」など周りの正義の押し付けをして本人がかえって辛い思いをすることになるのです。まずは本人の気持ちや状況を理解して心に寄り添うことが大切です。
一人で抱え込まない
この自傷行為はさまざまな要因が考えられます。疾患から来るもの、精神症状・一時的なものそれぞれにつながりもありmすぐに治ると言うものでもありません。
一人で悶々と悩み抱え込まずに相談できる人を作りましょう。または対応の医療機関に受診しましょう。本人でも身近な人でも同じです。
自傷行為の予防法
この自傷行為は、リストカットなどの大きな自傷行為以外、程度の差はあれど多くの人が無意識にしている行為だと思います。多くの人は、その行為が自傷行為だとは思わずにしているものがどうしてエスカレートしてしまうのでしょう?予防する方法はあるのでしょうか?
まずは自分の日頃の感情のコントロールを気にしてみましょう。自傷行為の多くは無意識にしています。まずはその行為をしたときの自分の心理状態、周りの状況などを冷静に見ることを意識してみましょう。どのような感情の時に爪を噛んでいるか?どういう状況の時にそうなりやすいか?などふっと立ち止まって自分を振り返るのも次の自傷行為の予防になります。
また日頃からストレス解消の手段などを考えておくのもよいでしょう。信頼の置ける人、相談できるような人を作っておくのも良いでしょう。なかなか近くの人と打ち解けられなくてもお医者さんなどなら大丈夫という人も多いです。困ったときに気軽にSOSを出せる人や所を考えておくのも予防になります。
まとめ
いかがでしたか?
自傷行為は自分を傷つけることで精神的に自分を癒している行為でもあるということがわかりました。しかしそのような行為は自分だけでなく周りの人も悲しませることになります。
自分を傷つけずに心を癒し身体を大切に守るために日頃から精神的な健康、ケアも必要だということがわかりました。大切な人を悲しませないためにも日頃から気をつけたいですね。
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