目に「ものもらい」ができると煩わしいものです。人によってはまぶたに痛みがあったり、また目やにがたくさん出たり涙が止まらなかったりします。まぶたが腫れてしこりがあるのに、あまり痛くないということもあります。これもものもらいの1つである「霰粒腫」です。病院に行くべきか、どういう治療があるのかなどを悩む人も多いのではないでしょうか。
そして目の疾患というと眼帯を思い浮かべますよね。ものもらいの治療に眼帯は必要なのでしょうか。
そこで今回はものもらいのこと、またものもらいで眼帯をすることについて、必要なのか、必要ではないのか、などを調べてみました。予防法や対策法などについても説明しますね。
ものもらいとは
ものもらいは地方によって呼び方が変わる、目の疾患です。例えば大阪方面では「めばちこ」と呼ばれています。
目がかゆい、痛い、まぶたが腫れてきた、目やにが止まらないという症状があると、ものもらいではないかと心配するのではないでしょうか。またまぶたに硬いしこりができた時も、痛みがなくてもそれはものもらいかもしれません。
そのものもらいとはどのような病気なのでしょうか。
麦粒腫と霰粒腫
ものもらいには「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」の2つがあります。「ものもらい=麦粒腫」とする意見もありますが、ここではこの2つをものもらいとして説明しますね。ちなみにどちらも人に移る病気ではありません。
麦粒腫
麦粒腫は、まつげの根元が細菌に感染して炎症が起きたものです。まつげの根元やまつげの外側にできた麦粒腫は「外麦粒腫」、マイボーム腺に感染してできた麦粒腫は「内麦粒腫」と言います。
症状
最近感染して炎症が起きるとまぶたは赤く腫れ、痛みやかゆみを伴います。また目が充血したりゴロゴロしたりして、目やにがでることもあります。化膿が進むと、腫れや痛みが強くなり、さらに腫れが進むと、自然に破れて膿がでてくる場合もあります。
外麦粒腫では1週間ほどで膿が排出されて自然治癒することが多いのですが、内麦粒腫では自然に膿が排出されることは少ないのが特徴です。
原因は?
細菌感染が原因ですが、これは汚い手で目を触ったり免疫力が低下していたりしたことで発症します。細菌は黄色ブドウ球菌がほとんどです。黄色ブドウ球菌はどこにでもいる細菌ですが、体調不良や免疫力が落ちていた時などに感染しやすくなります。
またものもらいは糖尿病に合併してできることがあります。糖尿病があると、抵抗力が弱くなり細菌に繰り返し感染しやすくなるためです。あまりに頻繁にものもらいができる人は一度専門医に相談することをおすすめします。
霰粒腫
霰粒腫は、「めいぼ」と呼ばれることもある、まぶたに硬いしこりができてしまう眼の病気です。
症状
痛みはあまりありませんがしこりが大きくなるとまぶたが重く感じて、腫れてあけづらくなることがあります。
急性化膿性霰粒腫といって、詰まったマイボーム腺が細菌に感染してしまうことがあります。そうなると炎症が起きてしまい、この場合はまぶたが腫れて強い痛みが生じます。他にも目やにがでたり目がゴロゴロして充血したりするなど、麦粒腫に似た症状が現れます。
症状がひどい場合は手術をしてまぶたを切開し、しこりを取り出さなくてはならない場合もあります。再発を繰り返す場合は、悪性腫瘍である可能性もあるので、医師に相談しましょう。
原因
これは、目に脂肪を出す「マイボーム腺」という分泌腺が詰まってしまうことが原因で起きます。詰まってしまう原因としてアイメイクが挙げられます。アイラインなどをまつげの生え際まで塗ることでマイボーム腺をふさいでしまうからです。
また老化や体質によってはマイボーム腺の脂肪分泌がうまくいかなくなってしまう場合もあります。
中高年の人で、霰粒腫がなかなか治らなかったり、再発しやすかったりする場合は、まれに悪性である可能性もあります。この場合は組織を取り出して検査してもらいます。
ものもらいに似た目の病気は?
目のかゆみや痛み、目やにが出る症状、他に似たような間違えやすい目の病気はないのでしょうか。
結膜炎
結膜炎は目が赤くなる、涙が止まらない、目やにが出る、などの症状が起こります。結膜は眼球の前方の表面とまぶたの裏側をつなぐ薄い膜です。実は結膜はまぶたを開いている間は刺激を受けやすい部位なのです。ですから、感染症にかかりやすい危険性があります。
結膜炎の原因のひとつとしてウイルスがあります。これは人に移る危険性のある伝染性の疾患です。しっかり治療して人に移さないことが重要です。プール熱と呼ばれる咽頭結膜炎や流行り目と呼ばれる流行性角結膜炎などが有名です。
ウィルスに効く薬はないので、炎症を抑える目薬をさすか二次感染を防ぐための抗生物質の目薬をさすなどで対応します。だいたい10日くらいで治癒します。
細菌感染による結膜炎もあり、結膜が充血して涙が出るなどの症状があります。こちらは細菌感染なので抗生物質が入った目薬などで治療をします。
いずれにしても、目がかゆかったり赤くなったりなどの異常が現れた時は、眼科を受診しましょう。
ものもらいと眼帯
ものもらいができてまぶたが腫れたり痛かったりすると「眼帯」をするものと思うのではないでしょうか?眼帯は本当に必要でしょうか。
眼帯とは
眼帯とは目の病気や怪我の際に、目を保護するものとしてガーゼなどを患部当てるものを指します。目にガーゼなどを当てたら紐やゴムを耳にかけて装着します。
最近では貼るタイプのアイパッチといつ眼帯もあります。確かに目を保護してくれそうな気がしますよね。
ものもらいに眼帯は不要
では眼帯は本当にものもらいの治療に必要なのでしょうか。結論からいうと、ものもらいに眼帯は不要なのです。
なぜなら眼帯をすると、目に当てたガーゼなどに雑菌が繁殖しやすいためです。ものもらいの保護のために眼帯をしても、さらに細菌に感染しやすい環境を作ってしまうことになります。
また他人にものもらいを移さないために、と眼帯をする人もいますが、そもそもものもらいは人には移りません。ものもらいでの伝染予防のための眼帯は不必要なのです。
子供は特に注意
特に小さな子供がものもらいに罹った時に、目をこすらないように眼帯をつける保護者の方もいると思いますが、弊害があるのでやめましょう。
眼帯をして片目をふさいでしまうと、目から入る情報の入力を中断し、そして立体感を遮断してしまうことになります。そうなると弱視になってしまう危険性があるのです。
弱視とは
弱視というのはメガネやコンタクトレンズなどで矯正しても、視力がでない状態を言います。視覚情報が視神経を通じて脳へ行く間に何らかの支障がある時に、弱視になってしまいます。
子供の目は生まれてすぐにちゃんと見えるわけではないのです。生後1ヶ月から2ヶ月くらいではまだものの形や色がわかるという程度で、4ヶ月くらいで動くものを目で追えるようになります。そして3から4歳くらいでようやく視力が1.0くらいになるのです。目の機能の発達はだいたい6歳くらいで完成するといわれています。
この目の機能の発達の途中に、片目をふさぐことは弱視の原因となる危険性があるので、子供に眼帯はしないほうがいいのです。
医師の指示に従う
眼帯は不要といっても、大人の場合、治療の最中に医師の判断で眼帯を使うことがあるかもしれません。その際は医師の指示や指導を守って、使いましょう!
ものもらいの治療
ものもらいはどのように治療するのでしょうか。ものもらいに罹ったらまずは眼科に行くことが大切です。麦粒腫は痛みがあるためすぐに気づきやすいですが、痛みのない霰粒腫は気づきにくいかもしれませんね。痛みがなくてもまぶたに腫れやしこりがあったら、眼科に行くようにしたいですね。
麦粒腫と霰粒腫の治療について、それぞれ見てみましょう。
麦粒腫の治療
痛かったりかゆかったりしても、手で触ることはしないようにしましょう。かゆみがあるとかきたくなってしまいますが、我慢します。初期に治療すること早く治ることが期待できるので、なるべく早く眼科医で診察を受けることをおすすめします。
麦粒腫は細菌に感染しているので、抗生物質で治療をします。抗生物質の点眼薬で様子を見て、場合によっては抗生剤の軟膏を塗ったり抗生剤の飲み薬を飲んだりして治療します。薬がでた場合は、医師の指示に従うことが必要です。早く治したくて、指示よりも多く点眼したり、薬を飲んだりしないようにしましょう。
抗生物質を点眼しても、薬を服用してもなかなか炎症が治らない、腫れが引かないという時は、医師が患部を針で刺して膿を排出させ、ひどい時は手術をすることもあります。
目薬を指す、軟膏を塗る場合は清潔な手で行うことが大切です。一般的にはだいたい1週間から10日で治癒しますが、なかなか炎症が治らない、また痛みがいつまでも取れない場合は再度眼科で必ず診てもらうようにしましょう。
霰粒腫の治療
霰粒腫の場合は何もしなくても自然にしこりが小さくなり治癒することが多いですが病院には行くことをおすすめします。または眼科で抗生物質の目薬などで様子を見ます。痛みのない霰粒腫を放置しておくと、何ヶ月も同じような状態が続いてしまいます。
一度腫れが治っても疲れやストレスがきっかけでまた腫れてしまうことがあり、繰り返す場合があります。根本的には手術をして治すことになるので、眼科医に相談するほうが良いでしょう。
腫れやしこりが大きくなって。特に角膜を圧迫する場合は、視力の低下を招く危険性があります。こうなると手術をしたりステロイドを使用したりして治療することが多いようです。しこりが大きくなった時はすぐに眼科医にかかりましょう。
急性化膿性霰粒腫になった時は、黄色ブドウ球菌など細菌感染しているので抗生物質で治療をします。麦粒腫の治療と似た治療を行うことになります。
なんとなくしこりができそうな初期には、ホットタオルで目の周りを温めてマイボーム腺の脂肪が固まらないようにする、などの対策方法があります。
ものもらいの対策方法や予防法は?
ものもらいになってしまった時の対策方法や注意点、また予防法はどのようなものがあるでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう!
対策方法や注意点
まずは対策や注意点を説明しますね。
炎症がある時は
まずは炎症がひどいときのコンタクトレンズの使用はお休みします。また女性の方は特にアイメイクなど目の周りのお化粧もやめておきましょう。手は清潔を保つように気をつけます。炎症を起こしているので、お酒を飲んだり辛いものなど刺激の強いものを食べるのは控えましょう。
症状が軽い時は、使い捨てのソフトコンタクトレンズを使います。感染予防のためにもよく洗った清潔な指で装着します。
自分で膿を出さない!
膿が出れば麦粒腫も急性化膿性霰粒腫も、治りは早くなります。自然にでてしまえば、それがいいですよね。ただ、膿を出せばいいと自分で無理に膿を出すことはやめましょう!傷口から細菌に感染してしまったり、下手をすると眼球を傷つけてしまったりする恐れもあります。
花粉症がある人は
また花粉症だと目がかゆくてこすることが多くなります。特に子供は無意識のうちにかいてしまいます。目をこすったりかいたりすると、ものもらいにかかりやすくなります。
花粉症の時期は、感染予防のためにも目のかゆみを抑える目薬や、アレルギー用の目薬を指したり、薬を服用したりするなどしっかり対策をとっておきましょう。花粉症用のメガネをかけると、目をこすることが予防できるのでおすすめです。
霰粒腫になりかけた時は
マイボーム腺が詰まった時は体や目を温めるようにして、脂肪が固まらないようにします。体を温めるのにはお風呂がおすすめです。この時に清潔なホットタオルでまぶたを温めるのもいいですね。また寝る前も目の周りを温めておくといいですよ。この後優しくまぶたをマッサージするのも効果的です。強く抑えることはしないようにしましょう。
予防方法は?
では予防方法はどのようなものがあるでしょうか?
規則正しい生活をする
細菌に感染するときは、免疫力が弱っていることが多いものです。細菌感染してものもらいにならないためにも、まずは疲れやストレスをためないことが大切です。不規則な生活は免疫力低下の原因になってしまいます。
それにはきちんと睡眠をとる、疲労をためない、ストレスをためないことが大切です。栄養状態にも気をつけて、暴飲暴食などをしないようにします。これらはものもらいだけではなく、他の病気の予防にもなりますね。
やたらとものもらいができてしまう人は他の疾患が隠されている可能性も否定できません。安心のためにも、医師に相談をして場合によっては検査なども受けた方がいい場合があります。
アイメイクには要注意!
また女性ではアイラインなど、アイメイクなどに凝りすぎるのも注意が必要です。アイメイクの化粧品でマイボーム腺をふさぐ恐れがあります。あまり目のふちのメイクはやらないように気をつけましょう。またメイク用品で、目の周りを汚してしまうことで細菌感染を起こす恐れがあります。チップは定期的に取り替えると安心です。
またメイクをしたときは、いつまでもメイクをつけたままにしないように早めにきれいに落とすことを心掛けてくださいね。
コンタクトレンズにも注意!
直接眼球につけるコンタクトレンズの装着にも注意しましょう。コンタクトレンズの洗浄がきちんと出来て来なかったり、手が汚れていたりすると感染してしまう恐れがあります。ものもらいだけではなく、他の目の疾患にかかる恐れがあるので、清潔に保つことには十分注意をしましょう!コンタクトレンズを普段からつけている人は定期的に診察を受けておくと安心ですよ。
ものもらいになってもそれほど炎症が強くない場合は、コンタクトレンズをつけられる場合もあります。その際は1日で使い捨てのソフトコンタクトにすると安心です。その場合も必ず眼科医に相談してからにしましょう。
清潔を保つ
日頃から目の周りや、手指は清潔に保つようにしましょう。汚い手で目をこすったり、かいたりすることで、感染のリスクが増えてしまいます。
時々温める
霰粒腫の予防には、目の周りを温めることも効果的です。お風呂の時など清潔なホットタオルで目の周りを温めると、マイボーム腺の脂肪が固まりにくくなります。また、目の疲れなどにも効果的です。
まとめ
ものもらいは結構身近な目の病気です。それだけに移ると思い込んでいたり、眼帯をしなくてはいけないと思っていたりと誤解も多いものです。ものもらいは人に移りませんし眼帯は必要ないのです。正しい知識で対応すれば治りも早くなり、予防もできますよ。
不快なものもらいに罹らないためには、日頃から疲れをためない、休息を意識して取るなどを心掛けてください。もしも罹ってしまった場合は、早めに眼科を受診して治療をしましょう。
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