最近身体が重い・怠いと感じたり、疲れが目立つことはありませんか?もしそうだとしたら体重や体脂肪が知らないうちに増えているのかもしれません。
特に女性なら年齢を重ねるうちに身体には徐々に脂肪が付きやすくなり、少しずつまるみを帯びてきます。そうした状況を改善し痩せやすい体にするためにはどうしたらよいのでしょう?
本稿では痩せやすい体についてそのメカニズムを明らかにし、痩せにくい原因や痩せやすくするための体質改善法を探るとともに、日常の行動・習慣等で気を付けるべきポイントを検証していきます。
最後までお読みいただければ痩せやすい体になるためのあっと驚くヒントが見つかるはずです。
痩せやすい身体とは?
痩せやすい体とは体内に入ってくるエネルギー量(摂取カロリー)と出ていくエネルギー量(消費カロリー)が±0になっている状態です。エネルギーの生産と消費バランスが整っていれば太ることは理論上ありません。
そのバランスを保つ秘密が代謝にあります。この生体内システムの仕組みを理解し日常生活で実感できれば、痩せやすい体へと変わっていきます。代謝とは我々の身体にどんな影響を及ぼしているのでしょうか?その仕組みについて探ってみましょう。
基礎代謝とその仕組み
身体は食べたものを消化・吸収し体内で働く栄養素に変える過程(合成)で生きるためのエネルギーを生み出します。
例えば就寝時やほとんど動かない休息時といった安静状態でも、呼吸・心臓・体温維持等の様々な生命維持活動は継続しており、生きるために必要な最小のエネルギーを作り出すこうした過程を代謝(たいしゃ:metabolism)といいます。
代謝には体を合成する同化作用と、消費エネルギーとして使われる異化作用という二種が存在します。この同化・異化作用を物質代謝といいます。
同化・異化作用
新陳代謝は同化作用(anabolism)の一種です。新陳代謝とは体内の熱産生によって細胞が生まれ変わることですが、体内に摂りこんだ食物を各器官で分解し脳・内臓・血液・筋肉・皮膚・髪の毛・体脂肪を作る同化作用によって細胞が生まれ変わります。
異化作用(catabolism)とはエネルギー代謝のことを指し、分子をより小さく分解してエネルギーを作り出し利用する作業のことです。体の各機関である脳・内臓・筋肉・骨等を動かしたり、体温維持のためにエネルギー利用活動が主な目的です。
同化作用でも異化作用でも細胞の生まれ変わりやエネルギーへの転換が速いことを、代謝アップと呼びます。それだけ生体の化学変化に対する反応が良いことの証であり、生きていく上で体の機能が高まっているということに他なりません。
3種類の代謝
2つの大別した代謝のうちエネルギー代謝にはさらに3つの重要な消費過程が存在します。それが基礎代謝・生活活動代謝・DIT(食事誘導性体熱産生)です。
基礎代謝は前述したとおり、安静時でも生命維持活動に働くエネルギー生産のこと、活動代謝とは日常生活で体を動かすときに使われるエネルギー、DITは噛む(咀嚼:そしゃく)動作や腸で消化・吸収される際に使われるエネルギーです。
エネルギー代謝(エネルギー消費)のうち基礎代謝はその7割を占め、生活活動代謝は2割、DITは1割とほぼその割合が決まっています。例えば2500kcalを消費する人なら基礎代謝量:1750kcal、生活活動代謝量:500kcal、DIT:250kcalという具合です。
体を動かす、食事する以外はすべて基礎代謝に属しますが、体内の基礎代謝量は各臓器によって異なります。最も基礎代謝量の高い器官は肝臓で27%、次いで脳19%、そして3番目が筋肉(骨格筋)です。
痩せにくいのはストレスが原因?
なぜ痩せにくいのかを知るためには、逆になぜ太るのか?その原因を明確にしなければなりません。
その要因はどうやら人の心の問題にあることが多くの調査により明らかにされています。
ストレスの正体
ストレスとは人が受ける外部からの様々な刺激のことです。そのため嫌なことだけでなく楽しいこと、嬉しいこと、辛いこと、面白いこと等、あなたが感じるありとあらゆる外部からの刺激がストレスとなり得ます。
ストレスはない方がいいに決まっていますが、生きている以上大なり小なり何等かのストレスはあるものです。重要なことはストレスがあったら蓄積しないよう発散すればいいということです。ストレスは受ける側にとっては心の重荷や負荷となり得ますが、外へ放出することが可能なのです。
日々受けるストレスですが、その日の内に解消しておけば心の問題として蓄積することはありません。ストレスを発散できるあなた自身の術を身に付けておくことが充実した生活を送る上での鍵となるでしょう。
交感神経と副交感神経
人間は筋肉(骨格筋)を自分の意思によって動かすことはできますが、内臓を動かす、血液を意識的に流す、栄養を吸収する、老廃物を回収するといった作業は自らの意思で行うことはできません。
この“意識してもできないこと”、つまり無意識的に行われる生体内の動きはすべて自律神経によってコントロールされています。
自律神経には主に昼間、人が活動状態にあるときに優位となる交換神経(こうかんしんけい:Sympathetic nerve)と、夜間就寝時に優位となる副交感神経(ふくこうかんしんけい:Parasympathetic nerve)があります。
ストレスによる神経の反応
人はストレス状態が続くと日中であっても交換神経の働きが低下し副交感神経優位の状態になります。前者は脂肪分解や燃焼といった代謝作用に深く関与しているため、体内で脂肪がうまく使われなくなります。
さらに体内では脂肪蓄積を促すホルモンであるコルチゾールが大量に分泌されることで、食欲抑制作用ホルモンのレプチンが低下し食欲に歯止めがかからない状態になってしまうのです。
人類が有した最大の生体内ストレスは飢餓でした。食べ物を食べられないというそのストレス性遺伝子は現代人にも脈々と受け継がれており、ストレスを感じると飢餓に耐えられるよう脂肪の分解を抑えたり代謝を低下させてエネルギーを使わないようにする仕組みが備わっているわけです。
ストレス・コントロール法
人は年齢と共にストレスを感じやすくなります。
ストレス感受性が高まるのは単に加齢によるものだけではなく、副交感神経の働きが男女とも40歳頃を境に弱まるためと言われます。
心を無にする呼吸法
現代の社会的・心理的ストレスの大半は受けとる側の問題とされています。つまり交感神経優位状態が副交感神経のそれを長時間上回ってしまう、自律神経失調や変調を原因とするものというわけです。
このストレス感受性を低下させる方法として最近では呼吸法が注目されています。なぜなら深く長い呼吸を継続することで、副交感神経を優位に保つことができるからです。
腹式呼吸と言われる腹腔と胸腔を分ける横隔膜(おうかくまく:Diaphragm)を意識的に動かす呼吸法で、副交感神経優位の状態を比較的簡単に引き出すことが可能です。
7・8秒かけてゆっくりと長く息を吸い、10秒程かけてゆっくりと吐き出してみましょう。当初は呼吸に集中するといっても難しいかもしれませんが、慣れてくると比較的余裕を持って実践することができるでしょう。
こうした呼吸法を5~10セット繰り返してみると気持ちが落ち着いたり、考え方が前向きになってくると言われます。また深く長い呼吸は一時的にですが、食欲の亢進を抑えることにも貢献します。
痩せやすい体になる習慣
長い目で見れば痩せにくい原因を少しずつ解決していくことで体質の改善にも繋がるでしょう。最も大切なことはあなた自身の行動を習慣化することです。
習慣化のために必要であろう有効な手段を考えていきましょう。
運動習慣
痩せやすい体にするためには適度な運動習慣も必要です。その目的は身体全体の筋肉の質を改善すること、そして筋肉量を増やすこと、いわゆる日常的な筋トレやストレッチが効果的というわけです。
筋肉の質とは伸び縮みする能力、つまり柔軟性を高めることに他なりません。筋肉量とは筋肉を構成する筋繊維一本一本を太くすることで筋肉トレーニングが適しています。どちらも身体を動きやすくし疲れにくい体に変える働きがあります。
また、適度な有酸素運動を日常生活に取り入れることで、運動量とエネルギー消費量をアップさせダイエット効果を高めることも大切です。こうしたダイエット方法は筋肉の活性化が見込まれ代謝量も高まることから、体内の脂肪を効果的に使える体に変わっていくはずです。
食習慣の改善
運動と共に大切な食行動は痩せやすい体に変わるために見逃せない要素です。基本的には食事制限やその量は気にせず、必須栄養素をしっかりと摂ることを心掛けましょう。
たんぱく質・炭水化物・脂質・食物繊維・ビタミン・ミネラルといった6大栄養素は毎回しっかり摂取することが賢明です。夜が遅くなるようであればタンパク質を摂りつつ、食物繊維豊富な野菜等を補える料理にするとよいでしょう。
ダイエット法のひとつで、夕食から朝食の間を12時間は空けることをお薦めします。例えば夜の7時に夕食をすましたら朝の7時までは食べないようにすると、睡眠前の消化・吸収を促し内臓機能の改善にも効果的に作用します。
食事方法の中で特に糖質の摂取量を極端に制限するダイエット法が最近流行っていますが、医学的に検証されているデータはほとんどありません。
食事による血糖値の急激な上昇は大量のインスリン(血糖値抑制ホルモン)の分泌を促し、体内に脂肪を蓄える原因ともなりかねません。むしろよく噛むこと(咀嚼)や食べ物を口に入れる毎に箸を一度置くなど、食べ方の工夫や時間をかけることに目を向ける必要があるでしょう。
睡眠、その長さと質
自律神経の変調により睡眠の質が落ちている場合、食欲抑制ホルモンであるレプチンの働きが鈍り食べ物を食べたいという欲求が抑えられなくなります。対策のひとつとして長くゆっくりとした瞑想の呼吸法を習慣化させることで交感神経の興奮状態を抑えることも可能です。
もし不眠症等症状が改善されない場合、神経内科等の専門医を受診することもお薦めです。ストレスとして抱えている問題等をアウトプットすることで心が落ち着き質の良い睡眠を得られるケースも報告されています。
睡眠はその時間もそして質も大切です。最低7時間以上、深く熟睡を促すノンレム睡眠と浅いレム睡眠が交互に訪れることでメリハリができ、快眠効果が期待されます。
代謝促進の救世主
酵素は人の代謝作用に大きく関わっています。
例えばある酵素が不足すると代謝がうまくできず摂りこんだ栄養素がうまく使われなかったり、エネルギー生産ができなくなるのです。
酵素の役割
酵素が不足すると免疫力が低下したり、痩せにくい身体になってしまったりといった身体にとって悪影響を及ぼす要因になりかねません。また肌艶など見た目年齢に大きく関わることもあり最近ではこの酵素の働きを高めてダイエットにつなげる方法が注目を集めています。
酵素には大きく分けると内部酵素と外部酵素の二つが存在します。内部酵素には食物の消化・吸収に関わる消化酵素と、糖・タンパク質・脂質代謝・新陳代謝(シワ・シミ・抜け毛に関わる)や免疫に関わる代謝酵素があります。
酵素(ドリンク)ダイエットといわれるダイエット法は、この代謝酵素の働きを高めたり、外部酵素として食事以外から食物酵素を補える効果のある酵素ドリンクを定期的に一定量を飲用する方法です。
代謝作用を促進する働きがあると評判になり痩せやすい体へ変化させるには必要な飲料水として注目されています。
痩せにくい生活習慣
現代人は社会的にもさらに家庭内でもストレスを感じる機会が多く存在します。様々な情報が簡単に手に入る時代にあって外部からの刺激を受けやすい環境にあるため、自律神経の変調を訴える人は数多く存在し、生活習慣全般にまで影響を及ぼす機会が少なくありません。
食欲のコントロール
ストレスの影響を最も受けやすいのが食欲(食習慣)です。一般的にはストレスを感じることで食欲が亢進すると言われていて、これが太る原因の元凶として報告されています。
食欲に深く関与するホルモンとして「レプチン」と「グレリン」があります。双方とも食欲をコントロールしますが、「レプチン」は脳視床下部の満腹中枢を刺激して満腹感が得られることで食欲を抑える働きを有します。レプチンは痩せるために必須のホルモンなのです。
一方、「グレリン」は胃から分泌され脳視床下部の食欲中枢が刺激されることで食欲が高まります。元々はお腹が減った時、つまり体内エネルギー減少時に足りなくなったエネルギーを補充する目的で分泌されるホルモンですが、睡眠不足等ではこのグレリンの分泌が増えるため脂肪蓄積や肥満傾向が高まります。
つまり食欲を司るこの2つのホルモンのバランスを上手く保つことが痩せやすい体になる秘訣といえるでしょう。さらに言えばストレスを感じることで食欲抑制作用である「レプチン」が減少するため如何にストレスをコントロールするかも重要な要因となるわけです。
摂取カロリーVS消費カロリー
体重を増やさないためには、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを保つ必要があります。
消費カロリーが摂取カロリーを上回る場合、一見すると理想的と見られがちですが前者が後者を一定期間上回ることはほとんどありません。なぜなら消費カロリーが増え続けると一時的であれ飢えの状態に陥るため、身体にとっては危険信号と言っていいのです。
例えばボクサーや階級別スポーツで減量を強いられる場合等、食事量を(極端に)減らすといったケースでは脳が飢餓状態と勘違いし脂肪を蓄えやすくします。そのため一定期間の極端な食事制限は減量という意味からすれば殆ど効果はなく、逆に筋肉量や水分量が低下し動かしにくい身体にしてしまいかねません。
筋肉の質が低下した状態では消費カロリーも高まらず、ましてや動くことさえ億劫になってしまう可能性もあり、それは痩せやすい体のための習慣付けという観点からは大きくかけ離れてしまいます。
もし一定量を減量する場合、ゆっくりと時間をかけて行うことが高い効果を生み出す秘訣なのです。ウエイトコントロールと言われる方法ですが、1ヶ月で3~4kgを目安とすると身体への負担は最小限に抑えらえます。
運動習慣
食習慣の乱れと共に運動不足が現代の肥満を招き痩せにくい体にしている要因のひとつとされています。
運動習慣の現況を調べた厚生労働省の平成25年「国民健康・栄養調査」によれば、運動習慣は男性33.8%、女性27.2%と全体の3割となっています。また年齢別にみると男女とも30代が最も低いという結果がでています。
忙しい現代人にとって、特に子育て真っ最中の30代・40代の主婦やビジネスマンにとって体を動かすことを習慣化することは至難の業といってもいいかもしれません。運動にはある程度の心と身体の準備も必要なため一定時間の確保が絶対的な必要条件です。
多くの場合、この時間の確保がとれず、また交通・生活環境の利便性が増したことで基本的な歩行数も減っている状況が伺えます。
痩せやすい体
痩せやすい体とは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを保つ健康的な日常の生活習慣にあります。
社会的・精神的なストレスは自律神経に変調をきたし、食欲をコントロールするホルモンバランスを崩すことで、人の食・運動行動に悪影響を及ぼします。また加齢と共に副交感神経の優位性が弱まり、睡眠の質も落ちることから痩せにくい体に変化します。
痩せやすい体にするためにはストレスを上手にコントロールし、あなた自身に合った「楽しく、面白く、気持ちのよい」運動や食行動を見つけることが肝要でしょう。
日々の生活でちょっとした時間に、少しだけ心と身体に休息を与えてあげてください。ゆっくりとした長めの呼吸があなたの心を活性化してくれるはずです。落ち着いた雰囲気を少しでも味わえればそれが身体の変わる兆しとなるでしょう。
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