生理前になると気持ち悪いと感じることがあります。その症状はPMS(月経前症候群)かもしれません。
気持ち悪い、吐き気がするなどの症状は、生理の前になると、どうしてもあらわれてきます。めまぐるしく入れ替わるホルモンによって体調も少なからず影響を受けてしまうからといわれています。
生理前の気持ち悪い症状の対処法や、PMSと上手に付き合っていく方法などについて解説していきます。
生理に関わるホルモン
女性の生理に関わるホルモンは大きく2つに分けられます。妊娠のために必要なホルモンと、妊娠しなかったときに体をリセットするためのホルモンです。
女性ホルモン
女性ホルモンは次の2つのホルモンのことをいいます。約1ヶ月間、これらのホルモンが活動して、卵子や子宮内膜を育て、妊娠に向けて準備を行います。
エストロゲン(卵胞ホルモン):卵胞・卵子を育てるホルモン
プロゲステロン(黄体ホルモン):妊娠のためのホルモン
プロスタグランジン
妊娠がなかった場合に、準備していた子宮内膜を排出させるホルモンです。
プロスタグランジンとは?
プロスタグランジンは筋肉や脳、神経、循環器、血圧の上昇や下降などさまざまな活動に作用します。生理やPMS、生理痛に関わる働きは、主に次のようなものがあります。
- 子宮の収縮を促す
- 痛みを強くする、痛みに敏感になる
- 血小板の凝集、または凝集を抑制する(血を固めたり、固まらないようにする)
- 胃粘液の分泌を促進する
- 発熱を起こす
プロスタグランジンは子宮を収縮させて子宮内膜を体の外に排出させることが主な仕事です。それと同時に、いつもなら痛いとは感じないような弱い痛みでも、敏感に反応してしまったり、痛いと感じやすくさせる作用があります。
プロスタグランジンは陣痛が起きたときにも分泌されます。子宮を収縮させて、赤ちゃんを産もうとすることと同じ仕組みが、生理のときにも働いているということです。
プロスタグランジンには子宮だけでなく胃腸や血管を収縮させる働きもあります。冷えや痛み、だるさを感じるだけでなく、胃腸の機能も弱まってしまうと、気持ちが悪くなったり下痢や便秘などを引き起こしてしまうのです。
月経前症候群(PMS)の症状
PMSの症状は体の不調だけでなく、気分の変化など、さまざまな症状となってあらわれてきます。生理の1週間前から症状が現れ、生理が始まって4日目頃に症状がなくなるものを月経前症候群(PMS)といいます。
現れる症状には個人差が大きく、同じ人でも症状があるときと、ないときがあります。おおむね2〜3周期以上続けて同じ症状が見られる場合に、PMSと確定されます。
体の不快な症状
- 下腹部痛
- 下腹部の張り
- 下痢や便秘
- 頭痛
- めまい、吐き気
- 眠気
- むくみ
- にきび
- 胸が張るなど
精神的な症状
- 怒りっぽい
- だるい
- 注意力散漫
- やる気が起きない
- ヒステリック
- 不安など
つわりと月経前症候群(PMS)のちがい
妊娠を希望している人は、生理の日が近づくと、少しでも体調に変化がないかと日々祈るような気持ちで過ごしていることでしょう。
確かにどちらも症状は似ています。月経前症候群(PMS)による気持ち悪さなのか、妊娠初期のつわりで気持ちが悪いのか。残念ながら、症状だけでは判断はつきません。はっきりするのは、妊娠の検査をしたときです。
PMSの症状には、吐き気や胸の張りなど、妊娠初期症状と似ていることも多いのです。
逆に、毎月生理の前になると具合が悪くなったり、気持ち悪くなるのはもう仕方がないと割り切って、「今月もそろそろ生理かな」と思っていたら、実は妊娠していたということもあります。少しでも早く妊娠の兆候に気づくには、体調の変化に加えて、基礎体温の変化も参考になります。
プロスタグランジンを抑える方法
プロスタグランジンが過剰につくられないようにする方法は、冷えや日頃の生活習慣、食生活の改善にあります。寝不足や夜更かし、不摂生な食生活などを続けている場合は、一度見直してみることが必要です。
食事
体を温め、血液をサラサラにして血行をよくするような食事を意識しましょう。外食やコンビニ、ファストフードなどの味付けの濃い食事や、油ものを控え、健康的で栄養バランスのいい食生活を心がけることが大切です。砂糖を大量に摂取してしまうので、甘いジュースやスイーツなどもほどほどにします。
青魚などに多く含まれるDHA・EPAは血行の促進を助ける作用があります。ビタミンEはホルモンの分泌や血行促進などが期待できます。アーモンドやごま、アボカドなどに含まれています。
鉄分や亜鉛も血液やホルモンに必要な栄養素です。高野豆腐、レバー、黒ごまなどに含まれています。
人参や大根などの根菜類は体を温める働きがあります。適度な水分補給も欠かせません。
ストレス
ストレスは万病の元というように、自律神経やホルモンバランスに影響します。ストレスを抱えていると、自律神経は興奮状態が続きます。すると血管が収縮して血行が悪くなり、冷え性を引き起こす原因になります。
子宮への血流も、もちろん悪くなります。血行が滞ると、プロスタグランジンもそこにとどまって、生理痛などの痛みを長く引き起こしてしまいます。
運動
体を動かして体温を上げる、筋肉をつけて基礎体温を上げる、ストレスを解消する、など運動にはさまざまな効果が期待できます。骨盤の周りの筋肉を動かしたり、ほぐしたりして、血液をどんどん子宮に送りましょう。
暖かい子宮を保ち、経血の排出がスムーズになると、痛みが和らぐことがあります。
冷えを解消する
手足や体に冷えを感じている場合は、内臓や子宮も冷えている可能性があります。運動や食事に加えて、湯船に浸かったり、カイロやハラマキなどを利用して、冷えないように体を守りましょう。
シャワーだけでは体は温まらないので、きちんとお風呂に入るか、温泉や銭湯・健康ランドなども活用するといいでしょう。
漢方
妊娠を希望する人で、PMSなどの症状がつらい人は漢方を服用することが多いです。
通常婦人科などで行われる治療には、低用量ピルを使ったり、生理そのものを止めて子宮や卵巣を休ませることが多く、その間は妊娠が望めないからです。漢方による治療は、血行を促進したり、身体を温めるなど、体調を整えるのが目的です。
病院で処方される漢方薬は保険が効きます。オーダーメイドができる漢方薬局は保険が効きませんが、一人一人に合わせて調合してくれます。
まとめ
生理前の気持ち悪い症状について、おさらいしておきます。
生理前の気持ち悪い症状は、月経前症候群(PMS)のひとつです。
妊娠初期症状としてのつわりの可能性もあります。
気持ちが悪いというだけでは、PMSかつわりかは判断ができません。
冷え性や血行不良は経血の排泄を妨げ、プロスタグランジンを必要以上に分泌してしまいます。
身体を温めて血行を良くして、心や体の緊張を和らげ、便秘や冷え性は改善していくことが大切です。
女性はもともと体の筋肉が少ないので、体温が上がりにくく、冷えやすいという傾向にあります。積極的に体を動かしたり、暖かい食事を摂るようにしましょう。どうしても夜が遅くなりがち、自炊するほどの時間がないという人は、せめてお菓子やスイーツ、ジュースなどを控えて様子を見てみましょう。自分の体にあった対策を見つけて、生理にまつわる症状とうまく付き合っていくようにしたいですね。
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