『あれ?なんだか耳が詰まっている気がする』と思ったこと、閉塞感を感じたことのある事は誰でも一度はありますよね?
飛行機の中やエレベーター、プールで泳いでいる時など耳が塞がっているように感じる事は多々日常生活内で起こります。耳鼻科の専門用語で耳閉感(じへいかん)というそうです。
音が聞こえづらくなったり、自分の声も遠くなってしまう様になります。つばを飲んだり耳抜きで治る閉塞感であればあまり心配はいりませんが長く続く閉塞感は病気の前兆である可能性があります。
『耳が塞がっていて聞こえづらい…』『塞がってしまって音がエコーしてるように聞こえる』といった症状別に病名や原因についてお伝えします。難聴や障害に繋がってしまう可能性もありますので、しっかり原因を突き止めて病気を治療していきましょう。
なぜ閉塞感があるの?耳が詰まる原因は?
耳が聞こえづらくなる、閉塞感が強く発生してしまう問題はなにが原因で発生してしまうのでしょうか。耳に発生していると考えられるいくつかの原因を見ていきましょう。
耳が聞こえづらくなる問題が耳の構造部分のどの部位に発生している問題が何かで原因が分けられます。それぞれの部位ごとに発生する可能性のある問題について紹介していきます。
鼓膜の外側に原因がある場合
鼓膜よりも外側の外耳道と呼ばれる部分に問題が発生してしまうことで問題につながっている場合があります。
耳垢が溜まりすぎていたり、異物が混入している事で耳に閉塞感があります。
原因を取り除けばすぐに治りますが、無理やり自己流で出そうとしてしまうと耳の中を傷つけ、他の病気になる可能性がありますので無理をせず耳鼻科で安全に取り出してください。
耳垢は1年以上掃除していなくても、自然に排出されることもあるので問題に繋がりにくいですが、粘質性の耳垢の人や自然に排出されない場合には問題につながってしまうこともあります。
逆に耳垢を頻繁に掃除してしまっている場合は虫が嫌がる匂いを発している障害物がなくなっている事で虫が侵入しやすくなってしまい、蜘蛛やゴキブリやアリなどの虫が侵入してしまう問題が発生しているケースもあります。
虫が侵入した場合は耳鳴りや頭痛などの症状も確認されていますので、耳鼻科で検査をしてもらいましょう。
鼓膜の内側に原因がある場合
耳管(じかん)という鼓膜の内側から鼻にかけてのびる管があります。この管は耳の中の換気を行ったり、耳の中と外との圧力を調整する役割をもっています。
この耳管が開いたり閉じたりすることによって、圧の調整を行います。圧が変わってしまうと閉塞感が生まれ耳が聞こえづらいといった症状が出てしまいます。
飛行機やエレベーター、水の中など急激な気圧の変化が起こると鼓膜の中と外で空気圧が変化して耳が聞こえにくくなりますが、通常は耳管がその調整を行っています。
鼓膜の内側に閉塞感の原因がある場合、多くはこの耳管の働きが弱くなっている、なにかで妨げられている事で空気圧調整がうまくいかずに閉塞感が続く、ということになってしまいます。
脳や神経に問題が発生してる場合
音の振動は耳介(頭から外側にでている音を集める為の耳の外殻)で音を集積し、外耳を通り、中耳、内耳から聴覚神経、脳へと信号が伝わり音を認識します。
この内耳から脳までを繋いでいる神経などに炎症や異常が発生している場合に難聴が発生してしまう場合があります。感音性難聴と呼ばれるもので、音が聞こえづらくなってしまうことで脳がより多くの音を感知しようと働いた結果、逆に音を集積しすぎて耳鳴りを発生させ更に難聴を引き起こす症状です。
もし、耳が聞こえづらい症状が発生していたら、神経障害につながっているのかもしれません。
音を聞きすぎることによる障害
最近では高音質で大きな音でも音漏れが少なく、音割れもせず音楽を聞くことが出来るヘッドホンやイヤホンなどの道具が多く販売されています。
大音量で自分の音楽の世界に浸っている人も多いのではないでしょうか。しかし、この行為が逆効果となり耳を疲れさせてしまって耳の閉塞感を発生させている可能性があります。
本来自然から排出される音は空気を伝って耳に届くまでの間に振動が和らぎます。しかしヘッドホンやスピーカーなどの道具では周波数が高い数値のまま内耳に届くので、内耳へのダメージが大きく長時間使用することで難聴となってしまうことがあります。
イヤホン難聴やヘッドホン難聴とも呼ばれる騒音性難聴と呼ばれるものになります。
難聴の病気に関しては、原因が解明されていない事が多くストレスも原因の一つとも呼ばれています。耳を使用しすぎていないか確認してみましょう。
耳に閉塞感がある場合の応急処置
まずは耳に閉塞感がある場合の応急処置をご紹介します。応急処置で治るケースもみられますので、こちらの対処法を試してみてください。
注意点として、応急処置中耳の痛みを感じる場合は耳の病気である可能性が高いため、すぐにやめて受診するようにしてください。
耳抜きをする
耳抜きとは、鼓膜の内側と外側の圧力に差がある場合の解消法です。
一般的に顎を動かして耳の管に空気を入れる方法が有効的ですが、その中でもダイビングをする方たちがよく使っているものに
「バルサルバ法」「トインビー法」の2つがあります。簡単で効果的なので、まずは試してみてください。
1.バルサルバ法
鼻をつまみ、口から息を吸って鼻にゆっくり送り込みます。鼻は閉じているので、出口がなくなった空気が耳の管に流れ込み空気圧の差を戻します。
2.トインビー法
鼻をつまみ、つばを飲み込みます。つばを飲むことで鼓膜の内側の圧が下がり、空気圧の差を戻します。
あくびや飴で耳の管を開く
あくびをやつばを飲む動作をすると、耳の管が開き閉塞感が治ります。
飴を舐めていると顎が動いて、継続的につばを飲み込みますので飛行機や新幹線のトンネル内などでは飴を舐めておくと閉塞感が改善されます。
耳かき、耳掃除をする
耳垢が原因で閉塞感が発生していると考えられる場合は耳掃除をして耳垢を取り除くことで改善できる可能性があります。
しかし耳かきのやり過ぎは逆に外耳道を傷つけてしまう可能性があり、外耳道炎を引き起こしてしまう可能性があります。耳かきを行う頻度としては月に1〜2回程度が最適になります。
それ以上の耳かきは敏感な外耳を傷つけてしまったり、虫が侵入しやすくなる環境を作ってしまいます。適度な間隔での耳掃除を行って問題を解消、予防しましょう。
補聴器を使用する
騒音性難聴や老人性難聴などの場合には、大きな音を極力避けることなどが有効な改善する手段になりますが、特に更年期障害として現れやすい老人性難聴などの長期間の音の蓄積による難聴はかなり治療による改善が難しい難治性のものになります。
補聴器などを使用して閉塞感を改善する方法が有効でしょう。重度の症状の場合は補聴器だけでは改善されないことも多いですが、人工内耳を埋め込むことで完全される可能性は高くなるでしょう。
耳の閉塞感と考えられる病気
応急処置中に痛みを感じた、耳の閉塞感が治らない、持続してしまうといった場合に考えられる病気についてお伝えします。
当てはまる症状がありましたら、念のため耳鼻科で受診をお勧めいたします。
突発性難聴
歌手の浜崎あゆみさんが発病した事で知名度があがった「突発性難聴」という病気があります。
閉塞感以外の症状として
- 耳鳴りが止まらない
- めまい、吐き気がする
- 片方の耳に閉塞感があり、正常な耳から反響音のようなものが聞こえる
- 片方の耳が全然聞こえない
以上の症状に当てはまる点が一つでもあれば、念のためすぐに耳鼻科検診をおすすめします。なぜなら、突発性難聴においては『早期発見、早期治療』が一番大切だからです。
発症から7日たつと即入院と言われているこの病気は10日以上放置すると聴力が戻らない可能性が高くなる、恐ろしい病気です。発症から2日以内に受診すれば、ほとんどは薬の服用で改善されます。
先述の浜崎あゆみさんは多忙の為すぐに受診できず左耳の聴力が弱いままになってしまったそうです。おかしいと思ったらすぐに受診をおすすめします。
はっきりした原因は分かっていませんが、疲れやストレスが溜まっているときによく起こる病気といわれています。
メニエール病
メニエール病は耳の中のリンパ液のバランスが乱れることで起こると言われており、30代から40代の女性に多い病気です。主な症状は眩暈からくるものが大きいです。
閉塞感以外の症状として
- 回転性(目の前がぐるぐるする)めまい
- 低い音がやたら入ってくる(ワーン、ボーなど)
- 音が響いて聞こえる
- 頭を傾けると、鼻から粘度の低い水のような体液がしたたり落ちる
この中の回転性眩暈からくる
・吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸
も症状の一例です。
眩暈が急に訪れるので貧血を疑い内科を受診するケースも多いそうです。
また、妊娠中の方もリンパ液のバランスが崩れやすいため、このメニエールに似た症状が出る事がありますが、妊娠中でも服用できる漢方薬で症状を和らげることが出来、出産後には自然と治っている事がほとんどです。
治療法について
ビタミン剤や循環治療薬などを使用して治療して行くことが主な手法になります。
メニエール病の原因はまだはっきりとしていないため、残念ながら根治する事はありません。
しかし、リンパ液のバランスを整えるため利尿剤を使って耳の中のむくみを改善する治療法や、塩分を控えた食事で水分量を調整する治療もあります。
一説によるとストレスや疲れが原因とも言われており、十分な睡眠やバランスのとれた食事などを心がけた結果、症状が改善されたという例もあります。
ちなみに、低音が聞こえにくくなる難聴で強い回転性めまいがないものは
「蝸牛型メニエール病」の可能性があります。
これはメニエール病の前兆ともいえる病気で、めまいより聞こえの症状が強い状態が治ったり発症したりをくりかえしている症状が特徴です。
どちらの症状でも、病気が進行すると症状の緩和が難しくなっていきますので、早めの受診が先決です。メニエール病については、メニエール病の完治の期間は?原因や治療方法についてを参考にしてください。
耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)
耳管とは、耳と鼻の穴をつなぐ管の事で、中耳(鼓膜の内側)の中の気圧を保つために換気をする役割を持っています。
新幹線でトンネルに入ったとき、耳がつまった感じがしますよね?
原因は気圧の変化で耳管が塞がれていることによります。
あくびをしたり、つばを飲み込む動作で一時的に耳管が開き、閉塞感がなくなるといった仕組みになっているのですが、耳管が塞がれたままあくびをしたりしても開かず閉塞感が続く状態を耳管狭窄症といいます。
閉塞感以外の症状としては
- 耳の聞こえが悪い
- 耳鳴りがする
- 自分の声が大きく聞こえる
- 浮動性(ふわふわした)めまいがする
です。突発性難聴と似た症状でもありますが、違う点として
めまいの頻度
が挙げられます。
突発性難聴は字の通り突然起こる難聴で、発病した瞬間にめまいを感じる事があってもその多くは眩暈を伴いません。
しかし、耳管狭窄症は浮動性のめまいを伴う事が多いので、ふらふらして閉塞感がある場合は耳管狭窄症の可能性が高いといえます。逆に周りの音が響きすぎて耳管が開きっぱなしの状態が続く病気のことは耳管開放症(じかんかいほうしょう)といいます。
どちらも耳管の異常であるため、耳鼻科への受診をおすすめします。治療法としては鼻から耳管に管を伸ばして空気を通す耳管通気治療などの治療法があります。
自律神経失調症
自律神経とは、単純に言えば『無意識でも動いてくれている身体の機能』の事です。
心臓が動いたり、悲しくて涙が出ることは無意識でやっていますよね?しかし私たちの体は無意識の状況でも自動的な機能として動いてくれています。
自立神経失調症とは、その自動機能がストレスなどによってきちんと動かなくなった病気の事をいいます。
閉塞感以外の主な症状としては
- 頭痛
- 眩暈
- 耳鳴り
- めまい(平衡感覚が狂う)
- 疲れやすい
- 微熱が続く
などがあげられます。自動機能に不具合が生じる為、症状は全身に広がってしまう事が特徴的です。
原因
自律神経には「交感神経」といって昼間元気に活動するモードと「副交感神経」といって、寝たり休むときにリラックスするモードの2種類があります。
このモードの切り替えがストレスや疲れでうまくいかない事が原因で自律神経が乱れてしまいます。
自律神経の整え方は、規則正しい、リラックスした生活です。しかし、仕事が激務だったり、どうにもならない人間関係の悩みを抱えている人にとって生活改善は簡単なお話ではありませんよね。
そこで、簡単で効果的な方法として入浴から改善する方法をお伝えします。
38℃から40℃のぬるめのお湯に浸かると副交感神経が働きやすくなります。逆に熱めのお風呂は交感神経が働きます。
就寝の1時間前に、身体を洗ったりしながら数度入浴すれば就寝時には副交感神経がきちんと働いて睡眠がとれ、自律神経を整えてくれます。
長風呂をする必要はありませんので、湯船に少しつかる週間を作ってみてはいかがでしょうか。
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎
中耳炎は主に耳の中に細菌が入り、炎症を起こしてしまう病気です。
一般的に中耳炎は痛みを伴う症状が出る事で有名ですが、滲出性中耳炎は痛みを伴わない中耳炎です。
閉塞感以外の主な症状として
- 中で水が動いている感じがする
- あくびをするとガボっとした変な音がする
- 耳の聞こえが悪い
などがあげられます。
その中で特徴的な症状が、中で水が動いている感じがすることです。プールで泳いだ後、耳に水が入ってしまうことがありますよね?あの状態がずっと続いているとイメージしてください。
滲出性中耳炎は風邪や鼻のかみすぎ、加齢などで鼓膜の奥に水が溜まってしまう事が原因とされています。また鼻腔炎が原因となり問題に繋がる場合もあります。
溜まっているのが鼓膜の外側であれば、自然に流れ出てくれるのですが鼓膜の内側の水は出てきませんので治療が必要です。そのままにしておくと中の水が細菌感染し、炎症を起こすことがありますのでご注意ください。
耳の閉塞感を予防することは出来る?
鼓膜の内側の場合は気圧が変化する場所になるべく行かない事で予防できるケースもありますが、あまり現実的ではないので発生したら応急処置で対処する方が簡単です。
閉塞感から生じる病気についてはまだ原因が分からないこともありますが、ストレスや疲れから発病する可能性が高いと言われているため自分の疲れを貯めない、ストレスを定期的に発散する事で予防になりそうです。
違和感を感じたら耳鼻科での聴力検査などで原因を明らかにし、早期に治療することで重量化を防ぐことにも繋がりますので、他の病気同様難聴や閉塞感を感じる場合は耳鼻科などの病院での検査を行っていきましょう。
まとめ
耳の聞こえが悪かったり、閉塞感があるとそれだけでストレスになります。
ストレスや疲れは耳の病気を悪化させる事が多いので、悪循環になる前にまずは診察を受けるのがベターです。
また、耳の閉塞感はよくある症状なので気に留めない事も多いですよね。
しかし放置してしまうと症状が悪化して聴力が戻らない病気もありますので、早めの受診を心がけるようにしましょう。
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