最近リンパという言葉を良く耳にしますが、はっきり目にした事がないのでリンパが何なのかについてはそれほど知られていないのではないでしょうか。
いまいち実態のはっきりしないリンパですが、リンパの流れが滞ると肩こりを起こしてしまう、肌の老化を招くなどとにかくいい事がありません。中でもたくさんのリンパが集まって来る鎖骨のリンパは流れを良くしておく事が大切で、ここが詰まっているのはゴミ箱にゴミを入れているばかりでゴミ出しにいっていないようなもの、という事で、鎖骨のリンパを流す方法についてまとめました。
一カ所でも大きな効果が期待できるので、リンパマッサージの入門としてもおすすめです。
この記事の目次
鎖骨のリンパとは
リンパマッサージやリンパドレナージュといった言葉でよく耳にする「リンパ」ですが、そもそもリンパとは何なのでしょうか?
リンパとは
血液の中には血小板や赤血球などの他に血漿という液体成分があります。血液の55%を占める血漿は、細胞内に栄養やホルモンを運び、老廃物を改修する働きを持っています。この血漿の一部が血管の外ににじみ出て来たものがリンパ液です。
人の体内にはリンパ管という管が毛細血管とは別に広がっており、この中をリンパ液が流れています。
リンパ管は全身を網の目のように走っていますが、何カ所かの部位で合流して太くなっており、ところどころに空豆くらいの節を作っています。この節をリンパ節といいます。リンパ節ではリンパ球や免疫に関わる抗体が作られ、細菌や異物の処理をしています。
さらに、リンパは静脈で回収しきれなかった老廃物を回収する役目を持っています。ここで老廃物や毒素が濾過されて血管に送られ、腎臓で尿となって体外に排出されます。また、外から入って来た細菌やウイルスに抵抗し、それを記憶する免疫システムを担っています。
リンパ節は扁桃、脇、鎖骨、鼠径部など、全部で800カ所も存在しています。
血液が心臓のポンプ機能で押し流されているのに対して、リンパ液は筋肉の動きによって流れています。そのため、筋肉の働きが弱いと滞りがちです。
鎖骨のリンパの特徴
どこの節においても、リンパ液の流れが滞ると、むくみや疲労、肩こりが起こります。さらに老廃物が排出されない事で、免疫の低下につながる場合もあります。
リンパの滞りによって起こる症状は、滞っている場所によって若干異なり
- 首のリンパ:偏頭痛、耳鳴り、首が回りにくい、むかつき
- 脇のリンパ:肩こり、手腕のしびれ、バストダウン
- 鎖骨のリンパ:肩こり、疲れ、顔のくすみ
- 鼠径部のリンパ:冷え、むくみ、便秘、静脈瘤、外反母趾
- 膝裏のリンパ:足のむくみ、膝に水がたまる
等が代表的なものとされています。
特に鎖骨のリンパが重要なのは、全てのリンパがこの鎖骨リンパに合流しているためで、鎖骨のリンパ節が老廃物が流れ出る最終地点になっているためです。ここで滞りが起こると、毒素や水分が溜まり、セルライトが溜まります。
また、肩こりや肌トラブル、疲れやすさ、老化などが起こってしまうのです。肩こりが起こっているので肩ばかりマッサージしてもいまいち効果が感じられない場合は、鎖骨のマッサージで解決する場合があります。
老廃物の排出に大きく影響するにも関わらず、鎖骨のリンパはとても詰まりやすくなっています。他の部位のリンパを幾ら流しても、鎖骨のリンパが詰まっていてはあまり意味がなく、ここだけをマッサージするのでも充分に効果があると言われています。
特に左側の鎖骨リンパには合流するリンパが多いので、特に重点的にケアする事が有効です。
リンパを流すには
鎖骨のリンパをマッサージする事で、小顔を目指したり二の腕をすっきりさせる事ができ、それ以外にもくびれの対策など様々な効果が期待できます。
どの方法もリンパの流れる方向へ流す事と、事前に水を飲んでおく事が重要です。
一番簡単な方法
人差し指と中指で鎖骨を挟み、内側から外側に20回程度滑らせます。あまり強くマッサージする必要はないので、なでる位の力加減で構いません。
鎖骨のマッサージ
左の鎖骨のくぼみ(内側のくぼみ)に右手を当てて、時計回りに10回程なでるようにマッサージします。終わったら逆側も同様になでるようにマッサージします。
次に、鎖骨の始点(内側のくぼみ)に指を三本おき、終点にむかってすべらせます。左右5回程度づつマッサージしましょう。
鎖骨周りの筋肉が固まっているとリンパの流れが悪くなります。上記に加えて鎖骨の周りの筋肉をほぐすストレッチをするとよいでしょう。
- 鎖骨の下に両手をクロスするように置き、上下を3~5回、左右を3~5回向くような動きをします。
- 手はそのままで、首を左右に傾けます。
首筋のマッサージ
鎖骨のリンパを流すだけでも充分効果はありますが、時間がある場合やもう少し効果を上げたいという場合は首筋のマッサージを追加すると効果的です。
首筋のリンパは、首の付け根(背中側の付け根)から鎖骨の内側のくぼみにかけて、人差し指と中指を使ってらせんを描くように行います。
注意すべき点
病気によってリンパ節が腫れる事がありますさ。細菌、ウイルスの侵入が起こった場合、まずはリンパ節でない部分にいるリンパ球がこれを撃退に向かいます。しかし、リンパ球をかいくぐった細菌やウイルスがリンパ節に到達し、ここが最後の砦となって敵を撃退しているのです。つまり、リンパ節が腫れている場合は、身体と外敵が結構な戦いが行われている事を示しています。
虫歯や風邪など、ちょっとした不調によって首のリンパ節が腫れてしまう場合や、良性の場合も多いですが、鎖骨のリンパ節が腫れてしまう場合悪い病気の可能性があるため注意が必要です。
病気によってはマッサージ自体を禁忌とする場合があるので、マッサージ中にいつもと違うなという部分に気が付いたら医療機関での受診をおすすめします。痛みがない場合の方が悪性の可能性が高いという説もあり、左鎖骨上部のリンパ節が腫れている場合、胃がんの徴候と考えられる事があります。
リンパマッサージをしてはいけない人
気軽に行う事ができ、美容への効果も高い事から積極的に取り入れたいリンパマッサージですが、以下のような方はマッサージをしてはいけません。
- 感染症に罹っている
- 心臓の病気によりむくみがある
- がんを患っている
部位にかかわらずリンパマッサージは禁忌とされています。主治医の許可のもと行われる事もありますが、自己判断でのマッサージは危険なので避けて下さい。
また、バセドウ病、頸動脈の病気や不整脈がある人、動脈硬化のある人は、首周りのリンパマッサージを避けて下さい。また、生理中、妊娠中の方、クローン病の方なども注意して行うべきとされています。
まとめ
リンパ節は体中に存在しており、筋肉の力で押し出されて身体の中を循環しています。病原菌、毒素に抵抗し、老廃物を運ぶという重要な役割を持っていますが、きっちり流れていないとせっかく運んで来た老廃物を外に排出する事ができません。リンパの流れを正常に保つ事は、免疫力を高める事はもちろん、セルライトの蓄積や老化を防ぐ事にもつながるので、気を配っておくに越した事はありません。
特に鎖骨のリンパ節は、老廃物の最終地点のためここを整えておけばいらないものがスムーズに運び出されます。あちこちマッサージをするのが面倒な方も、まずは鎖骨のリンパマッサージを試してみて下さい。
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