ふと気づくと頬が痛くなるときがありませんか?
痛みの種類もジワーッとくる鈍痛や鋭い痛み、そして突発的に起こる激痛等多種ある頬の付近の痛みは、人から見られる最もわかりやすい顔に発症するため、表情の辛さを観られてしまうようで嫌なものですね。
頬の痛みにはどんなものがあるのでしょう?その原因が何かを理解すれば効果的な対処法も見つかるはずです。本稿ではこの「頬が痛くなる」原因を検証し、その改善法や取組方について必見の情報をお知らせいたします。
毎日を心から笑顔で過ごせるために顔の変調に敏感な知識やその対処法を観に付けて曇りのないクリアな表情を目指しましょう。
頬(ほほ)の構造
頬が痛くなるといいますが果して頬とは顔のどのあたりを指すのでしょうか?顔を含む頭蓋骨の構造や仕組みを知ればどうして頬が痛くなるのかも理解できるというものです。
まずは頬を含む頭蓋の構造とその仕組みについて確認してみましょう。
頭蓋骨とは?
頭部を専門用語で頭蓋(とうがい)といいます。頭蓋は22個ある骨がまるで立体的なパズルのように組み合わさってできています。頭蓋は大きく分けると脳を入れておくスペースの脳頭蓋(のうとうがい)と、顔を構成する骨の組み合せである顔面頭蓋(がんめんとうがい)の2つに分けられます。
脳頭蓋は22個ある骨の内の8個で構成されそれぞれが縫合(関節)と言ってまったく動かない、機能で言えば不動関節に属します。脳頭蓋は圧のかかり方によって歪むという専門家もいれば歪まないとう考え方もあります。
仮に脳頭蓋の関節に日常的に余計な圧が掛かった場合、左右対称であるべき両眉・目・耳の高さが違うことになります。
頬(ほほ)とはどこ?
顔の形を構成し14個の骨で繋がっているのが顔面頭蓋(がんめんとうがい)です。仮にこの顔面頭蓋に余計な圧力がかかると鼻・頬骨・口角(ほうれい線)、顎の位置や高さが変わってきます。
顔面頭蓋には頬骨(きょうこつ:Zaigomatic bone)があります。頬骨は眼球のはいる頭蓋前面のくぼみの約1/4を形成し上顎骨(:うわあご)、下顎骨(:したあご)、横にある側頭骨(そくとうこつ)と隣接しています。
頬骨は通称、ほお骨(Cheek bone)とも呼ばれており、女性のお化粧に欠かせないチークを塗る場所、鼻の両再度のでっぱり部分を一般的に頬(ほほ)と呼んでいます。
表情筋と笑顔
笑顔を見せることも笑顔が見れることもどんな人でも気持ち良くなるものです。笑うことは身体にも心にも栄養を与え健康にも多大な影響を及ぼすことは多くの研究結果が示しています。
笑顔(笑い)はどうやって作られるのかと考えると、そのポイントは口角です。口角とは上下の唇の交わる場所です。口角の位置を左右ともバランスよくあげることが表情豊かな美しい笑顔をつくるための要素です。口角をあげるためには頬と口周りの表情筋の機能が高まっていなければなりません。
表情を形づくる
笑顔の素となる口まわりにある5つの筋肉をみていきましょう。
①大頬骨筋(だいきょうこつきん):口角を頬(斜め外上側)に向かって強く引き上げる筋肉です。
②小頬骨筋(しょうきょうこつきん):上唇を外上方に引き上げます。
③頬筋(きょうきん):口角を斜め上に持ち上げてフェイスラインをシュッとさせたりスッキリさせるのに役立ちます。
④口輪筋(こうりんきん)は顔の表情を形作る際、その約7割はこの筋肉の働きによるものです。口を閉じたり口を突き出す筋肉です。
⑤笑筋(しょうきん)は口元を真横外側に伸ばします。チャーミングなえくぼを作る元になります。
表情はその人の心の中を現すという一説もある程、生きていく上で人の顔はその表情がとても大切です。頬に出現する痛みはその表情を曇らせ果ては生活状態も低下させることもあるため軽視することはできません。
頬が痛い原因と症状
頬が痛くなるのはいくつかの原因があります。大きくは神経痛、顎関節異常、鼻腔内異常、歯痛(はいた)、その他の症状からなる定型性顔面痛と呼ばれるもの、そしてストレスを主な要因とする心因性の痛み、原因が特定できない場合の非定型性顔面痛の6つです。
あなたの頬の痛みがどれに当てはまるかがわかれば治療の対策が立てやすくなります。ここでは頬が痛くなる原因を取り上げてみましょう。
神経痛によるもの
人の顔には様々な神経と分岐経路(枝分かれして各部分に伸びている)がありますが、その神経が血管やその他の組織により圧迫されて起こるものを神経痛、また顔に起きる場合を顔面痛と呼んでいます。
三叉神経痛(さんさしんけいつう)は顔の痛覚・触覚・温冷感を感じる神経です。脳幹に繋がり中継地点である三叉神経節から大きく3本に枝分かれしています。三叉神経の内、第二枝領域(だいにしりょういき)は上顎神経(じょうがくしんけい)と呼ばれ、ちょうど頬骨の神経支配に関係しています。
顔、特に頬のあたりに鋭い指すような激痛がでるのが特徴です。痛みは持続しませんが不定期に前触れなく起こるため非常にやっかいな症状となります。顔に出る神経痛症状はそのほとんどが三叉神経痛です。なぜならこの神経は顔のほぼ全体を網羅しているからです。
しかし稀に別の神経が侵される場合もあります。舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)と呼ばれ、舌と咽頭を通って脳幹に繋がっている神経です。唾液腺に関与して唾液の分泌を司る知覚神経です。喉の奥や舌の根元、または耳、扁桃等に激痛の発作が起こる病気です。食べ物や飲み物が喉を通るときにも激痛が起こるため食事に困難をきたします。
顎関節異常
耳の前辺りが痛い場合は顎関節症(がくかんせつしょう:Temporomandibular disorder)を疑うケースが多くあります。
上顎(じょうがく)と下顎(かがく)が連結することで顎(あご)を形成していますが、その連結部を顎関節といいます。顎関節は耳たぶ付近の前面にあり、口をパクパクと開閉するとそのギャップ(凹み)に触れることが可能です。
顎関節の上部が受け皿(凹:下顎窩;かがくか)、下部が突起(凸:下顎頭;かがくとう)の役割を果し間にはクッションの働きをする関節炎版(かんせつえんばん)があり滑液という摩擦を減らす油成分が循環してその機能が保たれています。
顎関節症はこの食べ物を咀嚼する力の配分が崩れることで関節円盤に変形やズレが生じてしまい痛みや口が開きにくくなる、時には「カクカク音」等の症状を呈します。
顎といっても非常に広範囲に及ぶため頬も含めた周辺エリア全体を指すこともあり、原因の特定が非常に難しい場合もあります。
急性的な副鼻腔異常
副鼻腔炎が原因となり頬が痛くなったり、頭痛を併発する場合もあります。特に眉間や鼻周辺等、どちらかと言えば顔の中心付近奥に起こる痛みが多いようです。
鼻の穴(孔:あな)は広義的に鼻腔(びくう)と呼ばれています。その鼻腔のさらに奥まった場所にある骨の空洞が副鼻腔(ふくびくう:paranasal sinuses)です。前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形洞と4つの空洞が鼻の奥周辺にあるわけです。
副鼻腔は重い頭を軽くする意味での軽量化・空胴によるクッション性・共鳴による音の性質向上という3つの役割があると言われます。特に風邪等のウイルスによる細菌感染で鼻づまりや鼻水が垂れている状態を急性副鼻腔炎と言います。
慢性的な副鼻腔異常
急性に対し、副鼻腔が細菌やインフルエンザウイルスの繰り返す感染・花粉症・アレルギー性鼻炎などが原因で炎症が起こり膿(うみ)が溜まることで腔が狭くなる状態を慢性副鼻腔炎(俗称:蓄膿症)と呼びます。
急性の炎症が慢性化すると、粘膜部が厚くなり、鼻腔への連絡路が塞がってしまいます。すると洞内の分泌物や膿が副鼻腔中に溜まってしまうことになり蓄膿症を発症するというわけです。
副鼻腔の炎症ではネバネバした黄色っぽい粘性の鼻水がでたり喉の方に流れていきます。鼻からでるのはいわゆるぶどうっぱなと呼ばれるあのいや~な鼻水ですね。
目の下の頬周辺に起こる痛みの場合はこの副鼻腔炎が考えられます。副鼻腔炎で特に上顎洞に炎症が起こる場合を上顎洞炎と言います。
歯痛
特に鼻の下辺りや顔の横の痛みの原因は歯にあるケースが多く見受けられます。虫歯や歯周病の痛みが原因となり頬の痛みを併発する場合です。
副鼻腔炎により歯の周りにある歯根膜への炎症や、歯茎に圧力が加わることで歯に痛みが広がる場合もありますが、直接の痛みは熱感や腫れからくるものです。
副鼻腔の特に上顎洞で炎症が起こることを上顎洞炎といいますが、虫歯や歯周病等、歯の病気に由来するものを歯性上顎洞炎と言います。上顎の奥歯3つが上顎洞と隣接するため、歯根骨の先端が溶けてしまいばい菌が上顎洞まで達し頬が痛くなるという症状です。
ストレス由来
自律神経とは内臓の働き、血流、栄養吸収、老廃物除去などの調整に関わる神経で、交感神経と副交感神経で構成されています。自分の意思で動かそうと思っても動かない動き・調整にはこの自律神経が関わっています。
自律神経には日中の活動時に亢進する交感神経と休息時に亢進する副交感神経があります。精神的・社会的な負担やストレスにさらされると顔が無意識のうちに引き攣ったり、痛みが出たりする場合もあります。これは自律神経の変調(失調)により交感神経の興奮が持続的に高まることで発生します。
交感神経は特に不安や恐怖、感情的に高ぶる時等で動悸・息切れ・発汗・手足の震え等の症状と共に血管や特に頸・肩といった筋肉の緊張が顔面の痙攣や痛み等を引き起こすとされています。
こうしたストレス由来の心因性顔面痛では特に目の奥やその周り、頬骨周辺の浮腫み等の症状が出現します。また舌の慢性的な痛みや痺れが見られる場合を舌痛症と呼びますが、病変が舌にあるわけではなく、心因性の問題と認識されています。
こうした精神的ストレスは顔面は元より身体の様々な個所に多種の悪影響を及ぼす遠因となります。
その他
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は耳の下にある耳下腺(じかせん)という唾液腺のムンプスウイルス感染が原因で起こります。小学生を中心に罹患しやすく療法の頬や耳下が大きく腫れあがり高熱がでるなどウの症状があります。
おたふくの由来は顎周辺が腫れ上がり、まるでおたふくのような顔になるからということでその名称がつけられました。頭痛・悪寒といった風邪と同様の症状を示し飲食がしずらくなる特徴もあります。
その他睡眠時の歯ぎしり等、余分な力が頸や顔面頭蓋部の筋肉に加わることで筋疲労・筋肉痛の症状を呈する痛みが頬周辺に出現する場合もあります。
頬が痛い時の対策
原因を特定したところで次は対策や対処法を考えましょう。病院での治療が必要な場合は速やかに受診することが肝要です。
頬が痛む原因によって受診する科は微妙に違ってきます。三叉神経等の神経痛が疑われる場合は脳神経外科や耳鼻咽喉科、歯痛や顎関節の問題であれば歯科や口腔外科、副鼻腔炎(急性・慢性)やおたふく風邪等は耳鼻(咽喉)科でも十分対応してくれます。
専門医を受診
簡単な方法としてあなたに掛かりつけ医(ホームドクター)がいれば相談してみるといいでしょう。多くは内科でしょうから様々な身体の問題に対処できますし、症状によって専門医を紹介してもらうことも可能です。
対処法として例えば急性(慢性)副鼻腔炎からくる痛みは炎症が副鼻腔に起こっているので、解熱鎮痛剤で痛みを軽減し、抗生物質を摂り細菌や炎症を抑える方法が一般的です。副鼻腔に溜まった膿は数日以内に流れて痛みはなくなります。
神経痛症状、特に三叉神経痛は日常の様々な動作で痛みが誘発されます。鋭くズキンズキンとする痛みは神経が周囲をの様々な血管により圧迫されることで起こります。飲食はもちろんのこと、洗を洗ったりお化粧したり等などでも痛みが出現します。
こういった神経痛治療にはまず抗てんかん薬等を用いて経過を観察する場合が一般的です。しかし症状が改善しない場合、外科的手術や放射線療法が行われます。
歯科治療で大切なことは歯垢(プラーク)と歯石を定期的に除去してもらうことです。歯垢は元々歯の表面に含まれるネバネバした物質です。多くの場合は唾液で流れますが歯の根っこや歯周ポケットに付着することが多く、1mgに1億個以上もの細菌がいるためすぐに増殖を始めます。
歯垢は歯周病や虫歯の最大の原因となり、歯茎や歯肉に炎症が起こり他の個所に広がることで様々が病態を引きお超すことから、定期的なスケーリング(歯垢・歯石除去)はとても重要な予防法です。
ストレス軽減サポート
心因性の痛みが疑われる場合はその多くがストレスに起因するため主となるストレスの除去が必要です。仕事や人間関係のストレスにおいても専門家の強力を必要とする場合がありますので、心療内科医や臨床心理士、精神科医等は心のサポートを行ってくれるのであなたにとって有益となるかもしれません。
規則正しい生活
これも一種のストレス軽減法ですが、毎日同じ行動パターンを取り入れることで心の不安定感がなくなり自律神経の調子が安定します。
日常の活発な状況時に働く交感神経の緊張と夜のリラックス時に働く副交感神経の亢進というメリハリがつくことで痛みの閾値(痛みを感じるレベル)も高まり、痛みや疲労をある程度まで耐えられ早期回復も促進されます。
軽度の有酸素運動やストレッチングは血流の促進や筋肉の緊張・弛緩という動きのメリハリをつけ、またストレスによって変調した自律神経を安定させる働きがあります。生活のリズムが整ってきたら短時間でも良いので是非、加えてみましょう。
頭蓋のセルフマッサージ
特に顔面頭蓋は日常の姿勢や行動の癖によって立体的な圧力差がかかることが少なくありません。一般的には“歪み”と言われるこの圧力差ですが、例えば右を向くクセがあるとかTVをみながらご飯を食べる等のちょっとした行為でも毎日行う習慣となれば頭蓋には多くの負荷がかかることになります。
表情筋の圧力差は顔の疲れや老けにも繋がるので定期的なマッサージや指圧等で症状を改善してあげましょう。特に頬骨弓(きょうこつきゅう)と呼ばれる頬骨の下のくぼみには頬筋・大(小)頬骨筋・笑筋・咬筋等の表情筋が集中しているので親指による適度な刺激は非常に効果的です。
まとめ:頬の痛み
頬に痛みがある場合、それは時にあなたの日常生活や行動に深刻な症状を与え、あなたの精神衛生状態を著しく阻害する場合があることを認識しておきましょう。
痛みが出現したときは早期に専門医を受診することが重要です。その際、痛みの特徴や発症時期、継続時間等を覚えておき医師に伝えると診断や治療の手助けとなるはずです。
口元の緩みや笑顔は全身の緊張を解きコミュニケーションを円滑にするばかりか、あなたの持つ優しさや美しさを際立たせてくれるものです。
様々なメリットがある笑顔をお顔の変調や痛みが出ることで失わないよう、日頃から身体全体も含めその調子をチェックしておくと良いでしょう。
関連記事として、
これらの記事を読んでおきましょう。