へバーデン結節とは?原因・症状、治療法、リウマチとの違いを紹介!

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加齢のせいなのか、指が曲がってきたように見える。細かい作業をしすぎたのか、指先が痛くて曲げることが出来ない。

指の関節が腫れてるんだけど、病院ではリウマチじゃないって診断された。中高年の人の発症が目立つ、上記の様な指の関節の不調のお話です。

ここではその中でも指の第一関節のみに起こるヘバーテン結節と呼ばれる症状について掘り下げていきます。

自分の指に違和感が有る人、家族がへバーテン結節と診断されたけれど、どういうことなのか詳しく知りたい人へ、参考になればと思います。

へバーデン結節について

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ありとあらゆる関節がある中で、指の第一関節で起きた症状にのみへバーテン結節と名付けられています。

聞き慣れない横文字に対して、症状が重くなるような怖い病気なんじゃないか、奇病なのかと思ってしまうかもしれませんが、名前の由来は単純なものです。この指の第一関節の疾患を初めて報告したのがへバーテンさんという人だったので、そのまま病名として名付けられました。

ちなみに、第二関節に現れる症状ブシャール結節というものがあります。症状はへバーテン結節とほとんど変わりません。こちらはブシャールさんという人が疾患を発見、報告したので、そのまま病名になっています。

結節とは

広い意味では「結び合わせる」「結んで節となった部分」ということです。

医療では「皮膚内部、および内蔵組織から1センチ前後の大きさでできる隆起物」を指します。また「他の体内組織との境界がはっきりしている腫瘍や炎症の病巣」にも使われます。

へバーテン結節では「関節付近が腫れてコブのような状態になっている部分」と「関節付近から水ぶくれのようなものが出来ている部分」を指しています。

症状について

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指の骨に何が起こってこのような症状が出るのかをお話していきます。

変形性関節症

指を曲げ伸ばしする際に痛みを感じたり、今までより動かしづらくなります。この状態、症状を変形性関節症と呼びます。へバーテン結節は、その症状の中の一つです。

骨のつなぎ目である関節は、靭帯(=骨が離れない様にする筋)に包まれていて、その中で関節軟骨という物に覆われています。

関節軟骨自体には神経線維(痛み、疼きなどを感じるためのもの)や血行はありません。主成分は、軟骨細胞と呼ばれるコラーゲンとプロテオグリカン(糖とタンパク質の複合体)です。

変形性関節症を発症したとき、軟骨は衝撃や摩耗などの理由で変形しており、主成分のコラーゲン、プロテオグリカンの変性(分離、破壊など)がおきています。関節周囲では骨軟骨形成という増殖性変化がおきています。これは痛みを感じる原因になる、血管と神経線維の増生を伴った靭帯の線維化を指します。

この症状が悪化すると、更なる軟骨の摩耗による炎症で関節が腫れたり指が動かしづらくなったり骨棘形成(こつきょくけいせい=骨が変形して飛び出ること)の進行で、指が曲がって見える、などの見た目も大分変わってしまいます。

変形関節症と水ぶくれのようなものの関係

へバーテン結節に見られる水ぶくれのようなものは、ミューカシスト=粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)と呼びます。

変形性関節症で摩耗した軟骨から漏れでたコラーゲンを含む粘液が、溜まって袋の様な状態になり皮下組織まで出てきてしまう症状です。

かゆみを伴うので、ついかきむしってしまうと薄くなった皮膚から粘液が漏れ出る場合もあり、傷を作ってしまう原因にもなります。

関節リウマチとの違い

症状が似ているので、関節リウマチの可能性を疑う人も多いです。しかし、へバーテン結節では、関節リウマチにみられる以下の症状は見られません。
・寝起きのこわばり・・・関節リウマチの特徴に挙げられる一番の症状です。手足が動かしづらくなります。起きてからしばらく動かしていると少しずつ調子が良くなります。
・だるい、疲れやすい、など・・・他にも全身性症状として微熱の発熱、食欲衰退、体重の減少などがあります。
・貧血・・・貧血症状も関節リウマチの特徴です。
・気管支、胸膜などの炎症・・・呼吸の苦しさ等の症状が挙げられます。

考えられるへバーテン結節の原因

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へバーテン結節詳しい原因は解明されていません。しかし、多くの患者さんに共通する特徴で考えられる原因があります。

・40代以降の人

男女比は、病院に来院するのは女性が多いですが、ほぼ1:1なんだそうです。

軟骨の摩耗、靭帯の線維化等が見られる変形性関節症の性質を振り返ると、老化による発症と考えていいと思います。

・日本の人の発症が多い(1)

細かい手作業が多かったり、食事で箸を使うのが私たち日本人です。その為、老化と繋がる部分もありますが、指先の疲労も考えられます。

・日本人の発症が多い(2)

日本人の敵と言って良い生活習慣病と言えば、高血糖が挙げられます。

高血糖は体の糖化(=体内で蓄積した糖が軟骨の主成分と結びつくと、体内の老化に繋がる悪玉物質の生成が行われること)により軟骨、靭帯等の組織破壊につながり、変形性関節症を招いてしまいます。

へバーテン結節の治療法

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へバーテン結節の痛みや指の変形の原因である、すり減った軟骨の再生は難しいです。

しかし、痛みの症状、これ以上の進行を和らげる為の治療は有ります。

保存的療法

初期の段階、日常生活に支障が無い場合は、保存療法を薦められます。

そして人によって1年〜数年かかりますが、へバーテン結節での関節の変形が落ち着くと、腫れや痛みなどの炎症も消えていくので、保存療法を根気強く行う人が多いです。

腫れが引いた指は、少し節くれ立った感じになりますが、保存療法の結果によっては関節の変形を最低限にとどめられます。

患部のテーピング、固定

痛みの原因は、指を動かした際に骨同士がぶつかる事と、関節が増生された神経線維に触れるからだと言われています。

動作の制限が少し出てしまいますが、上記の様な状態にならないようにテーピング指ぬきのようなギブスで固定して痛みの緩和をします。固定する事で骨の変形の進行も緩和できます。

ステロイド注射

痛みが続く時は、関節内に少量のステロイド注射を打つことも有効です。

塗り薬にも使われるトリアムシノロンというものが、関節の炎症に効果を発揮します。

外科手術

保存的療法で改善が見られない場合などの進行した症状や、ミューカシストの除去には外科手術を行います。

関節固定術

関節が一番機能を発揮しやすい位置で、関節を固定する手術です。

症状の経過で出来た骨棘を削り、第一関節を挟んでいる末節骨(=指先の骨)と中節骨(=第一関節と第二関節の間の骨)の中央に穴を開けます。そしてピンを刺してから周わりにワイヤーを通します。この施術で関節を固定できます。

見た目が綺麗に仕上がり、痛みがなくなります。第一関節が動かせなくなるので、始めは慣れませんが、時間の経過で日常生活に問題なく過ごせる様になります。

関節形成術

変性した関節軟骨を切除して空間を作って、腱の一部を使って関節の動きの役割を補助できるようにする手術です。

腱を、切除の際に一緒に作った骨孔(=関節固定術で行う骨に穴をあける作業と似ています)に通して巻きつけます。巻きつけた腱が関節としての機能を果たせるような形になるまで、鋼線やギプスによる固定を行います。

ミューカシストの除去

ミューカシストの除去には、注射器で粘液を抜いてテーピングをする方法がありますが、再発防止には繋がりにくいのが難点です。

しかし、切開手術をした後、周りの皮膚を使って傷口にふたをする様なイメージで移植すると、再発率がかなり下がるそうです。

予防の為に出来る事

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あらゆる病状には原因があり、その原因から予防策がうてるものです。しかしへバーテン結節は、しっかりとした原因が分からない為、予防策もハッキリとしたものが無いのが現状です。

ここでは、関節の健康を保つ為に出来る事を挙げていきます。

血縁者にへバーテン結節の人が居る場合は、骨格の形成が遺伝する可能性が高いことから、同じく自身もへバーテン結節を発症するリスクが無いとは言えません。

どこの関節に対しても有効な手段なので、指にも効果が期待できます。

食生活の見直し

先にお話した高血糖による骨や関節の糖化を防ぐ為にも、食生活の見直しは大切です。

炭水化物の取り過ぎに気をつける

主食の米やパン、麺類などは炭水化物=糖分です。普段主食だけでお腹いっぱいにしている人は、野菜や肉、魚等もバランスよく食べるようにしましょう。

また、甘いケーキやクッキー等のお菓子も食べ過ぎには気をつけましょう。

ビタミンCの摂取を積極的に

ビタミンCは、軟骨の主成分であるコラーゲンの生成を助ける効果があります。そして不足してしまうとコラーゲンは減少しやすくなり、関節の不調につながります。

生野菜、果物に含まれるビタミンCが一番良質なものとされています。生野菜はサラダやスムージーに、果物はデザートの他にもおやつ代わりに積極的に食べましょう。

適度な運動、正しい姿勢を心がける

へバーテン結節になってしまった場合は出来るだけ使わない方が良い指ですが、普段は血行促進や、骨の周りの筋肉の強化の為にも動かしてみましょう。

指を固定して圧力をかけるような作業ではなく、じゃんけんで行うグー・チョキ・パーなどの全体的な指の運動が良いです。

指の正しい姿勢

指で姿勢を正しくするとはどういうことか、以下にまとめます。

・曲げっぱなしで過ごさない。・・・現代ですと、スマートフォンなどの小型機器の操作で指を曲げたまま、先だけちょこちょこ動かすような動作が多いです。これは指のこわばりの原因につながってしまいます。

・細かい作業が続いたら手を休める・・・細かい作業でも、時間が経過すると自然と指先に力が入りやすくなっています。指先に力が入っていると、骨や関節に圧力をかけてしまって、軟骨の摩耗につながることがあります。

適度に指の動きを止めて力を抜いてあげましょう。

まとめ

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へバーテン結節は直接の原因が解明されていませんが、変性関節症の一部であると考えると、少し身近に感じやすいものになると思います。

家族で悩んでいる人がいる、自身が症状で悩んでいる人に、なんらかのヒントになればと嬉しいです。

関節の不調は年齢との付き合いにもつながります。是非、体を大事に、健康でいられるようにしましょう。

  
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