頬が痙攣する病気って?症状や検査方法、治療方法を知ろう!

皆さんは、自分の意思とは関係なく勝手に頬がピクピクと痙攣をしている、といった経験はありませんか?また、これを対処せずに放置してしまっていることはありませんか?放置をしても命に関わることではないので大丈夫ですが、仕事や生活には影響を及ぼして困る方もいらっしゃいます。

この症状が出る病気は、顔面痙攣または、片側顔面痙攣(hemifacial spasm)と呼ばれています。多くの場合は片側顔面痙攣です。その他、腫瘍や血管奇形などの脳血管疾患が原因の二次性片側顔面痙攣も稀に見られるため、CTやMRIといった画像所見での鑑別も必要となります。

では、可能性の高い顔面痙攣・片側顔面痙攣について、どのように症状が進行するのか、どのように対処していくのかを述べていきます。

顔面痙攣(片側顔面痙攣)が生じる原因

顔 病気

顔面痙攣の主な原因は、顔面神経に血管が接触して圧迫されることが挙げられます。なぜ、圧迫されるかと言いますと血管の内側に悪玉コレステロールが付着し、弾力性を低下させたり硬くなることがあるためです。

また、それでだけではなく、脳動脈瘤や脳腫瘍、動静脈奇形、小脳橋角部腫瘍、乳突炎、キラリⅠ型奇形、耳下腺腫瘍、ぺージェット病、多発性硬化症などにより顔面神経を圧迫している可能性もあり、こういった脳血管的な障害が影響している可能性があります。この場合は、二次性片側性顔面痙攣と呼ばれます。

その他、精神的なストレス負荷(睡眠不足や過度の疲労、緊張、人間関係によるストレス負荷)により自律神経に異常をきたして生じる場合もあります。これらの要因で出現頻度は増加する場合があります。よって、子供や大人まで年齢関係なく生じる可能性があります。

顔面痙攣の発症年齢

好発年齢は、中年です。片側顔面痙攣は、30歳以下が全体の6.5%を占めています。その内、80%が女性ですと、若年の女性に多いようです。20歳未満ではごく稀です。出産直後や幼少期に発症した例では自然軽快しており、これらもごく稀となっています。

両側顔面痙攣は、顔面痙攣の数%と発症する確率は極めて低いです。二次性片側性顔面痙攣はこれらの血管圧迫によるものとは別に少数の人に見られます。

なお、白人と比較し、東洋人では頭蓋骨の大きさが小さく、より脳の神経や脳の血管が押されやすいことから、発症率も東洋人の方が高いと言われています。

顔面痙攣の症状とその進行

顔隠す

初期症状は、片眼の周囲がピクピクと軽く痙攣します。徐々に痙攣の頻度が多くなったり強くなったりします。また、範囲も広がり、同じ側の頬(頬部筋)・額・口(口輪筋)・顎・首(広頸筋)と、一側の顔面神経が支配している筋全体に痙攣が生じていきます。

口元の方へ症状が進行していった後には痙攣時間が延びて睡眠時も更には一日中、痙攣が続くということもあります。また、内耳に影響も生じて耳鳴りが起こることもあります。メニエール病とは異なります。

顔面痙攣の影響で生じる他の症状

この顔面痙攣によって生じやすい他の症状としては、うつ病や高血圧が挙げられます。うつ病は、特に若年の女性に見られやすいです。また、顔面痙攣の症状の重症度とうつ症状の重症度が比例していると言われています。

顔面痙攣によって生じると言っても、年齢・性別・性格・既往・家族の既往や元々もっている持病や服用している薬などによっても左右されるので、いずれも顔面痙攣が原因であるとは言い切れないことを注意しましょう。

顔面痙攣に対する検査と診断

注射

顔面痙攣が生じた場合、早期に医者にかかることをオススメします。ではここで、顔面痙攣に対する検査や、診断、治療法がどういったものがあるかを述べていきます。

問診、視診、触診

最初は、問診・視診・触診を行います。それだけではわからないこともあるため、試験も行います。

一つは、眼を思いきりつぶってパッと開く検査です。こうすると瞼の下に痙攣が誘発されます。

もう一つは、口元を横に引き延ばすような顔をすると、瞼の下に痙攣がでます。これらは顔面痙攣の特徴となります。

誘発筋電図

電気生理学的所見の検査の一つになります。片側顔面痙攣の患者には多数施行されている検査です。顔面神経の分岐を刺激して、その神経が支配している筋肉に認められる筋電図の反応が正常か異常かを診る検査になります。

画像所見

血管の圧迫を確認するためにはMRIとMRAの画像検査が有用です。3D-MRI(three-dimentional MRI)は3次元で血管や神経を写すため、特に有用とされています。圧迫されている血管を写し出すためには、造影MRAよりも、血管や脳神経、脳の実質が明瞭に写し出されるMR-CISS(Constructive Interference in Steady State)法が有用とされているようです。画像所見には様々なものがあり、検査にかかる料金も異なります。

病院で検査をする際には恐らく、「この画像検査は○○円します。こちらの画像検査は○○円します。検査結果の出方は検査によって少し異なりますが、どれにしますか?」と浅い内容で聞かれることが多いと思われます。より明確な検査結果を得たい方はその辺りも担当医としっかり相談して決めていく必要があるでしょう。

顔面痙攣の治療

内服薬

顔面痙攣の治療方法の選択に関しては、診断を確定した状態で、患者の主訴や症状、経過を踏まえて相談し、治療方法を提示し、患者自身が治療方法を選択する形が必須です。医師によっては、これがちゃんと成されていないことがある為、患者自らが自分の意思を尊重した治療を行ってもらえるように伝えることも大切でしょう。

治療方法は、内服薬による薬物療法、ボツリヌス毒素治療、神経血管減圧術(Jannetta手術)があります。

内服薬

薬物療法のなかでも、内服による治療は確立された物が存在していません。効果は不十分であり、副作用も多くみられる為、他の治療法が実施困難であると時に処方されます。

ボツリヌス毒素治療

ボツリヌス毒素療法は、対症療法となります。日本においても、海外においても一般臨床試験や用量比較試験が実施されています。2000年には保険の適応も認められ、第一選択の治療とされています。

これは、食中毒の毒素になります。これは、体の筋肉を麻痺させ、呼吸苦にし死に至る物ですが、これを逆に利用しています。これを顔の筋に注射することで筋肉が麻痺して痙攣を起こさなくなります。1回の注射の効果は3~4カ月です。注射で一時的に症状を落ち着かせるため、これによって完治がするということではありません。メリットは外来通院で済むという点、副作用がほとんどないという点です。

ちなみに、保険適用内の治療法ですが、研修受講した専門医以外の施術は不可となっているため、受診ができる場所は限定されます。また、受ける事ができない禁忌対象者もいるため、受診時は自身の既往を医師に伝えてよく相談をしましょう。

手術療法

手術室

神経減圧術(脳血管による顔面神経の圧迫を除去)を施行します。ボツリヌス毒素治療とは異なり、根本的に治療をすることが可能ですが、そこには手術のリスクや入院が必要であるというデメリットもあります。

全身麻酔での開頭手術なので1週間~10日間の入院が必要です。顔面痙攣は血管の圧迫によるものなので、神経への血管の圧迫を除くこの手術を受けてもなお、痙攣が治らないこともあります。2年以上痙攣が止まらないといった事はないと言われているので、完治はすると思われます。

リスクと言えば、顔面神経と隣接する聴神経が損傷して聴覚障害(難聴など)等の合併症を引き起こす可能性があります。手術ミスは無いに等しい手術あり、寛解率は80~90%と高いです。

後々の事を考えると、注射での対症療法を行うよりも有効的な手術で根本的なところを治療することが良いかもしれません。

経過観察

必要な検査を行い、病状の説明を受けますが、治療を行わずに経過を観察してみるという方法もあります。発症から1カ月以内の経過で、且つ症状が軽度の場合は治療を直ぐに行う必要性は低いです。後述するような「日常生活の中で注意すること」を踏まえて状態の経過を観察することも一つの対処法です。

日常生活の中で注意をすること

顔面痙攣は、上記で述べた様に血管による圧迫や精神的ストレス負荷によるものが挙げられています。これらのストレスがかからないように予防をしていくと良いでしょう。

しっかりと睡眠と休養をとる。

休養をとらないことや睡眠不足だと、いつの間にか身体的にも精神的にもストレスがかかってくるので気を付けましょう。また、睡眠をとると言ってもなかなか眠れない!といいう方で睡眠薬を飲まれる方も多いです。睡眠薬も良い方法ではありますが、薬の服く作用もあるのでなるべく避けた方法をとりましょう。

例えば、落ち着く音楽を流す、寝る時は部屋の電気を真っ暗にする、寝る前の電子機器作業(光刺激が睡眠を阻害します)を避ける、安眠効果のあるアロマを付ける等の工夫をしてみましょう。

ストレスを発散しましょう。

自身のストレスが解消される時間を作りましょう。音楽を聴くことや、自然の中に行くなど、自分自身がリラクゼーションを感じる事をすることをオススメします。特に、爆発的な大きな音を聞く(音楽のフェルティバル等)はストレスの発散効果があると言われています。

適度な運動と栄養バランスの整った食生活をしましょう。

どの病気を予防していくにもそうですが、適度な運動をして体の血液の循環を良くして代謝効率を良くすると動脈硬化など脳血管の病気を防止することができます。これも、ストレスにならない程度に行いましょう。

飲酒・喫煙には注意をしましょう。

過剰に飲酒や喫煙をすると循環器の病気を発症する可能性が高くなります。吸われている方はほどほどに、受動喫煙もあまりしないような環境作りが大切です。

しかし、軽いアルコール摂取にて体を麻痺させることで軽減する傾向もあるため、ある程度のアルコール摂取は良いと思われるでしょう。

まとめ

どうでしょうか?顔にもし痙攣がでてきたら、しばらく様子を見たりせず、早めに医師にみてもらいましょう。お金もかかりますし、体にもリスクがいろいろと出てくる病気なのでじっくり考えて対処していきましょう。

  
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