頻脈の原因を紹介!高齢者が注意しなければならない症状は?

運動をしている時、普通に生活している時に、突然胸がドキドキしたり、胸がつかえるような圧迫感を感じたりといった経験をした人は少なくないでしょう。とくに激しく脈打つ状態を「動悸がする」といいます。

また、このように何らかの原因によって、心臓が脈打つリズムが突然乱れてしまうことを「不整脈(ふせいみゃく)」と呼びます。

そのなかでも脈拍の間隔が平常時よりも短くなり、速く打つようになるものを「頻脈(ひんみゃく)」と呼びます。また、逆に心臓が脈打つ間隔が平常時より長くなって、遅くなってしまうことを徐脈(じょみゃく)と呼びます。

いずれも、脈の状態が不安定になったというだけならすぐに命に関わることはありませんが、何度も繰り返している場合や、この状態を永らく放置していた場合、痛みや目眩が伴う場合などは致命的な病態へと変化していることもあります。

脈拍について。心臓の違和感に気づいていますか?

頻脈頻脈になっていても、目に見える現象が少ないため、気がつかずにやり過ごしている場合があります。また短時間の頻脈も、気づきにくいものです。

この違和感に気づかないと知らない間に潜んでいる原因がどんどん悪化していく可能性があります。徐脈や頻脈などの不整脈は体の以上のサインでもありますので、その異常について気づけるようにしましょう。

頻脈の特徴

脈拍が速くなっている場合、またその状態が長めに続いている場合、呼吸数がそれに伴って多くなります。体はだるくなり、物を上げ下ろししたり、歩くのも難儀になります。

また、胸下みぞおちの辺りに圧迫感のようなものを感じることもありますし、ひどくなると締め付けられるような痛みを感じるようになります。拍動が速く激しい場合には、服の上から心臓の動きが分かるほど揺れます。

人によっては頻脈によって食事が喉を通らないこともあります。また胸の動悸だけでなく、足の甲の指の付け根あたりにドキンドキンとする拍動を感じたり、首筋や上腕右腕内側辺りに痛みや違和感を感じることもあります。

よく勘違いされるのは、「胸に違和感がある、痛みがある。頻脈だし心筋梗塞かもしれない」という訴えのなかに、左肺の側面辺りを抑えて心臓がおかしいとする場合です。

心臓は左側にあるという知識で、左胸の違和感を即心臓の問題と早合点する場合があるのです。しかしそこにあるのは肺です。心臓はどちらかと言えば胸の中心で、やや左寄り。もしも左胸が痛むのであれば、肺に問題があることを先に疑った方がいいでしょう。

頻脈の場合の脈拍は?

通常脈拍は1分間に50〜70前後が正常の値になります。

これが、100〜120以上になると頻脈。60回未満の場合には徐脈になります。運動時などは100以上の脈拍になることはありますが、そうでない安静時にこの脈拍数が確認される場合は何かしらの原因があるので、それを明らかにする必要があります。

子供の頃は脈拍数は若干高く、安静時に100近い数字になっていても特に問題ありません。大人になるにつれて脈拍数は落ち着いていきます。

頻脈の種類について

頻脈には幾つかの種類があります。そのそれぞれの脈拍について紹介します。

発作性上室性頻脈

心臓にある心房と心室の接合部分や心房などに異常な電気信号が発生し、頻脈が発生します。過労や緊張、過度なストレスが原因となって発生っする事が多い頻脈になります。

心疾患を抱えている患者の場合には注意が必要な症状になりますが、健康体であれば、特に問題はありません。

心室頻脈

心臓の清室内で発生した異常な電気信号が清室内を動き回って発生している頻脈です。1分間に100回以上の頻脈の場合にこの頻脈の可能性があります。

脳へ送られる血液量が減少し、めまいや失神が発生する場合もあります。心房細動や心室細動などの危険な症状に繋がってしまう可能性があるので3分間以上この発作が続いている場合はとにかく一人で行動せずに、人目のつくところや家族や救急センターなどに連絡だけでもしておきましょう。

期外収縮

これも電気信号の異常により発生しているものです。殆どの場合は無症状で、頻脈が発生していることに気づかない事が多くなっています。

心疾患がない場合は特に問題がある症状ではありません。

洞性頻脈

発作性の頻脈ではなく、長期的に頻脈となり規則的に脈拍が早い状態になってしまう症状です。

これはストレスや疲労、発熱、アルコールの摂取などをきっかけに発生しているもので、原因が比較的明らかな症状でもあります。

しかし稀に甲状腺機能亢進症などの病気が原因で発生していることもありますので、原因が明らかでないのに、頻脈が長時間発生している場合には他の病気の可能性を疑いましょう。

頻脈になる原因

原因

動悸が速くなる原因として、いくつかの理由が考えられます。よく見られるものからいくつか紹介してみましょう。

発熱

多くの人が三十八度前後の発熱で、脈拍も速くなっていくのが分かっています。生理作用のひとつです。

また、自信が発熱していなくても、部屋の室温が高いことや風呂上がり、暑い所で脈拍を計測していると熱を体外に放出するために脈拍が上昇することがあります。

ですので、適温の状態で脈の状態を観察することが必要でしょう。

運動時の呼吸数の増加

激しい運動をすると自然と脈拍は上がっていきます。生理作用のひとつです。運動時には酸素を必要とするためですが、逆に安静にしてじっとしていれば、自然と脈拍は落ちついてきます。

精神的なパニック症状(過呼吸など)

恐怖や不安、ストレスなどの精神的な状態によってパニックになったり、過呼吸を起こしたりすると、脈拍も上がっていきます。あまりにも過激に脈拍が変化すると失神したりする場合もあります。

また普段慣れない大勢の人前に立って話をしたりする時に、人によっては極度の緊張状態(血の気が引くと表現されることもある)から頻脈となることがあります。

ストレスによって自律神経が乱れて、交感神経が優位になってしまったり、自律神経失調症になっている可能性も考えられます。

緊張状態が継続的に続いている場合に発生しやすいので注意しましょう。

四肢の冷えなどによる体調不良

女性に多いのが手足からの冷えが原因におって起こる頻脈です。脱力してふらつき足腰に力が入りにくくなります。また熱もないのに脈拍は継続して速く、呼吸も荒くなります。

人によっては下痢気味で、食欲が細くなるのが特徴です。この状態を放置していると、病態が悪化して別の深刻な状態に移行する可能性があります。

肺機能疾患によるもの

たとえば喘息や肺炎などの病態が進行している時に、脈が速まります。肺がうまく機能せず酸素が足りないために、たくさん呼吸をして肺に酸素を取り込もうとします。

とくに高齢者の肺機能疾患の場合には、心不全を併発している場合もあるため、カゼ薬や咳止めなどでごまかして放置しておくことのないように、早めに病院に相談するようにして下さい。

心臓疾患によるもの

最も気をつけたいのが心臓疾患による頻脈です。

主に心臓疾患で起こる頻脈は「弁膜症(べんまくしょう)」が原因とされています。弁膜症になってしまうと、例えば心臓を形作っている心房や心室と呼ばれる部位に偏り(歪な形)が生じて、心臓を動かす信号に乱れが出てくるとされています。またこのような原因で鼓動が乱れると、冷や汗や吐き気が伴うことがあります。

また、極端な頻脈が起きている場合、急に意識がなくなったり失神することがあります。夜トイレに行って気を失って倒れたとか、お風呂に入っていて動悸がして気分が悪くなってきたなどがあれば、心疾患の可能性があります。

もしもこのような状況で心臓疾患を疑うことがあれば、弁膜症になっていないか、早急に内科や循環器科の専門医、または救急病院で診てもらいましょう。

脈拍の観察の方法

方法動悸が乱れて速く打つようになると、いくつかの自覚症状が現れます。これらの症状を観察して頻脈の症状が発生しているかどうかを判断しましょう。

脈診をする

昔から行われてきた方法で、かつ最も手軽にすぐ出来るのは,脈診(みゃくしん)です。

例えば自分の左の手の平側を上に向けます。右手の人差し指と中指を使って、左手の後側から手首に二本の指をかけるようにします。左手の親指側の手首に触れた時にぽこっと盛り上がった骨(トウ骨)が分かると思いますが、そこに二本の指を当てて脈診を行います。これをトウ骨動脈で脈をとると言います。

人によっては、手首の真ん中近く、または逆に手首の側面近くに動脈が位置している場合があり、指をスライドさせながら最も脈拍を強く感じる場所で脈診を行って下さい。

間隔が短く速い場合が頻脈となりますが、脈診をとり慣れていない場合、今の脈が速いのか遅いのか分からないこともあると思います。ですから、平常時、健康である時の自分の脈を何度かとってみて、どれくらいの早さが普通の状態なのか把握しておいて下さい。

もう少し詳しく知る

また、もう少し厳密に脈拍を知ろうとする人は、二十秒だけ脈拍を数えて下さい。出た値に三をかけて六十秒間計ったことにします。例えば二十秒間に二十回脈打ったとすれば、それに三をかけると六十回となります。

一般的に安定した脈の回数は六十~九十回の間とされています。それ以下の場合には徐脈の可能性、それ以上の場合には頻脈の可能性があると分かります。

血圧計やSPO2メーター(オキシメーター)で測定する

最も手軽で正確に脈拍を知ることのできるアイテムがあります。それは血圧計です。最近では薬局などに置いてあり、腕周りで計るタイプのものは数千円から販売されており手軽に入手が出来ます。

脈拍と血圧の関係を知ることで、不調を感じた際に体の状態をすぐに把握出来ることもあって、体力の衰えを感じることも多くなる熟年層以上で、血圧計を購入している人が多いようです。

またSPO2メーター(オキシメーター)と呼ばれる測定器も便利です。これは主に血中酸素濃度と脈拍を計るアイテムになります。喘息持ちの人や、肺疾患のある人にはなじみのあるものでしょう。

突然の呼吸の乱れや息苦しさ、胸の圧迫感などの発作の際に、病院に駆け込むと指にキャップをかぶせる形で測定されます。酸素がきちんと肺や肺から全身に送り届けられているか、脈拍は高いか低いかを測定して、体の状態を把握します。
血圧計とは違い、やっとここ一、二年の間に一般用としての普及が始まったこともあり、一万円前後の価格で売られています(医療機関専門用は数万円)。

また短距離走や長距離走、マラソンといった陸上競技などのスポーツをする人も、呼吸数と心拍数を把握するために、SPO2メーター(オキシメーター)を使う選手が増えてきています。

専門的に診てもらう

より専門的に脈拍の状態を知るためには、病院で心電図をとってもらうことでしょう。内科や循環器科で調べてもらえるのはもちろんのこと、救急病院などでも診てもらえます。

自分で調べる脈診や血圧計などよりも、より詳しく状態を知ることが出来ます。

慌てなくていい場合

脈診や、血圧計、SPO2(オキシメーター)によって脈が分かったとします。九十以上になっている、速いと思っても、すぐに大きな病気だというわけではありません。

例えば、10代までの若い世代の子どもたちは、そもそも平常時の脈が百回前後と速い状態です。それが年令を増すごとに、少しずつ遅くなっていきます。20代から30代では90回前後。40代から50代では80回前後、60代以上では60回前後が平常時の脈拍の回数の目安になります(あくまでも一般的な目安で個人差があります。必ず自分の平常時の脈拍を確認しておきましょう)

また、年齢が高くなってくると、自然と不整脈は起こりやすくなるとも言われています。病気と言うよりも、体そのものの機能低下、老化が起こっているのが原因と考えられます。もちろん放置しておけば、別の深刻な病態に移行することもありますので、体調の変化に気づいた場合には病院に相談するようにしましょう。s

それから発熱して三十八度を超えた場合にも、脈拍は上がります。個人差はありますが、三十八度を超えるとおおよその場合、脈拍も百回を超えることがほとんどです。熱によって脈拍が速くなっているので、すぐに慌てることはありませんが、もちろんこの状態が何日も何週間も続くことは体への負担が増し、別の病態に悪化することもあるので、放置しておいていいというわけではありません。

またマラソンなどの運動をしている時にも、呼吸数と比例して脈拍は上がります。この場合にも体の異常があって起こっている頻脈ではありませんので、慌てることはありません。しかし、例えば喘息などの呼吸疾患や心疾患があるなど、肺や心臓に負荷がかかることが好ましくない状態で脈拍が上がってしまうと、状態が悪化することもありますので激しい運動をする前には注意が必要です。

頻脈の改善の仕方

頻脈の改善

まず簡単なのは、食生活や暮らし方そのものを変えることでしょう。睡眠不足だったり、睡眠時間が不規則だったり、長時間労働などで過労が積もっていたりすれば、体や心臓に負担がかかってしまいます。

とくに細かい性格で、責任感も強い人の場合、ストレス過多によって脈拍が乱れるとも言われています。できるだけストレスを溜め込まないように、一日一日リフレッシュ出来る自分なりの方法を探して下さい(映画を見るとか、おいしいものを食べる、自然の中で沐浴などをするなど)。

また病院にかかって専門の治療を受けることで治療します。とくに不整脈を疑う場合には、心臓ペースメーカーなどを導入して心臓のリズムを整えることが出来ます。
心臓カテーテルアブレーションと呼ばれる術によって心臓を焼いて(医療機関では「アブる」と言われる)頻脈を起こりにくくする治療もあります。

まとめ

軽い状態での頻脈は気がつきにくいと言われています。最近ちょっとしたことで脱力するとか、疲れやすい、胸が痛むことがあるなど、ちょっとした異変に気づいたら、まずは観察してみましょう。
そしてどんなふうに症状が変化するのかをみながら、必要なら病院に相談をします。出来るだけ放置したりせず適切な対応をすれば、頻脈はそうそう怖がるものではないことに気づくと思います。

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