かかとが痛い原因を部位ごとに紹介!炎症ごとの症状を知ろう!

健康のためにランニングやウォーキングをしている方も多いと思います。そして、それに比例するように、足の痛み、特にかかとの痛みを訴える方も多くなっているようです。

かかとは人の体重を支え、歩行するために重要な役割を担っていますから、かかとに痛みが現れると生活に影響が及びます。そのため、かかとに痛みが現れると不安になってしまいますよね。

そこで、かかとに痛みが現れる疾患について、概要をまとめてみましたので参考にしていただければ幸いです。

かかとの痛みの症状

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かかとの痛みと一言で言っても、痛みが生じる場所、痛みが生じる場面・タイミングは色々ありますよね。そこで、かかとの痛みが生じる代表的な症状を挙げてみます。

かかとの底(足裏)に生じる痛み

  • 止まっている状態から歩き始めると、かかとに痛みが生じる
  • 朝起きてからの数歩で、かかとに痛みが生じる
  • かかとの骨の内側を手で押してみると、痛みが生じる
  • 仕事などで長時間立っていると、かかとに痛みが生じる
  • かかとの中央を手で押してみると、かかとに痛みが生じる
  • かかとが全周的、全体的に痛い
  • 止まっていても、かかとに体重をかけると、かかとに痛みが生じる

かかとの後部(アキレス腱側)に生じる痛み

  • かかとの後ろ側からアキレス腱にかけて、痛みがある
  • かかとの後部に慢性的な鈍痛が生じる

かかと全体に生じる痛み

  • かかとを内側と外側から圧迫すると、かかとに強い痛みが生じる

かかとの底(足裏)に生じる痛み

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かかとの底(足裏)に生じる痛みで考えられる疾患には、どのようなものがあるのでしょうか?

足底筋膜炎(そくていきんまくえん)

足の裏には、足底筋膜と呼ばれる薄くて幅の広い腱が存在します。この足底筋膜は、足指の付け根を起点に、かかとの骨(踵骨)まで弓の弦のように張っています。

この足底筋膜に、なんらかの原因で炎症が生じたものが足底筋膜炎です。そして、炎症が痛みの発生元になっています。

ちなみに足底筋膜炎は、足底腱膜炎とも呼ばれます。

足底筋膜炎の原因

足底筋膜炎の原因は、主に次の2つとなります。

  • 足底筋膜の酷使
  • 加齢による足底筋膜の硬直
足底筋膜の酷使

そもそも足底筋膜は、人の体重を支える足裏に存在してますので、とても丈夫です。

しかしながら、足底筋膜が酷使されると、足底筋膜は常に伸長して緊張状態に陥ります。そして、足底筋膜と踵骨のつなぎ目に炎症が発生してしまうのです。

たとえば、長い距離の歩行やランニング、ジャンプの繰り返し、長い時間立っていることを続けていると個人差はありますが、足底筋膜を酷使していると言えるでしょう。

加齢による足底筋膜の硬直

50才前後になると、加齢によって足底筋膜が硬直し始めます。そして、硬直した足底筋膜に何かのはずみでヒビが入ったり、裂け目ができると炎症が発生してしまいます。

足底筋膜炎の特徴的な症状

  • 朝起きてからの数歩で、かかとに痛みが生じる
  • しばらく座っていた後に、急に歩き出すとかかとに痛みが生じる
  • かかとの骨の内側を手で押すと、痛みが生じる場所がある
  • 仕事などで長時間立っていると、かかとに痛みが生じる

足底筋膜炎の治療方法

足底筋膜炎の治療は、とにかく足底筋膜への刺激を避け、足底筋膜の伸長による緊張を和らげることが基本になります。ほとんどの人が、自然治癒します。

痛みが激しい場合は、消炎鎮痛剤を服用します。

踵骨棘(しょうこつきょく)

踵骨棘は、足底筋膜が過度に伸長することによって、足底筋膜と踵骨のつなぎ目に骨棘(こつきょく)ができたものです。骨棘は、骨に加えられた刺激に反応して骨組織が増殖してトゲ状に突出したものです。

踵骨棘は、足底筋膜炎が慢性化すると踵骨棘に移行していくものとも言えます。

踵骨棘による痛みは、骨棘が原因ではなく、あくまでも足底筋膜と踵骨のつなぎ目の炎症によるものであることには注意が必要です。

踵骨棘の原因と特徴的な症状

踵骨棘の原因や特徴的症状は、足底筋膜炎に準じます。

踵骨棘の治療方法

踵骨棘の治療は、足底筋膜炎と同様に足底筋膜への刺激を避け、足底筋膜の伸長による緊張を和らげることが基本になります。また、靴のインソールなどを調整して、足のバランスを矯正すると痛みが軽減されることがあります。

ただし、半年程度経過観察しても改善しない場合や、立ち仕事など仕事に支障がある場合は手術による治療も考えられます。

踵部脂肪褥(しょうぶしぼうじょく)

踵部脂肪褥は、かかとの骨(踵骨)の下にある踵部脂肪体が弾力性を失い、踵骨が直接接地してしまう為に痛みが生じる疾患です。

踵部脂肪体は、踵骨と足裏の皮膚の間にあって、衝撃を緩和する役割を担っている脂肪組織です。この踵部脂肪体で衝撃緩和ができなくなると、踵骨が皮膚を挟んで地面に当たってしまうので、痛みが生じるのです。

踵部脂肪褥の原因

踵部脂肪褥の原因は、加齢による踵部脂肪体の弾力低下です。

踵部脂肪褥の特徴的な症状

50才前後の中高年以上の方に、現れることが多いとされています。

  • かかとの中央を手で押してみると、かかとに痛みが生じる
  • かかとの中央を手でおしてみると、かかとの骨(踵骨)を感知できる
  • 止まっていても、かかとに体重をかけると、かかとに痛みが生じる

踵部脂肪褥の治療方法

加齢による踵部脂肪体の弾力低下が原因なので、踵部脂肪褥を根治できるような治療方法は残念ながら存在しません。

したがって、対症的に痛みを緩和することになります。つまり、踵部脂肪体の弾力低下を補うのです。

その補い方については、ヒールカップと呼ばれるかかと保護用のインソールを靴に入れたり、テーピングによりかかと周辺の脂肪を寄せ集める方法などがあります。

ファットパッド症候群

ファットパッド症候群は、かかとの骨(踵骨)とその下にある踵部脂肪体の間にズレが生じようとすることで痛みが発生する疾患です。

かかとの骨(踵骨)の下の踵部脂肪体に継続的に負荷がかかることで、脂肪組織の安定性が衰えます。その結果として、軟らかい踵部脂肪体と硬い踵骨の間にズレようとする力が働くのです。このズレようとする力で痛みが発生すると考えれらています。

ファットパッド症候群の原因

ファットパッド症候群の原因は、かかとに急な負荷を与え続けることにあります。

たとえば、スポーツ初心者が毎日ランニングを始めたような場合が考えられます。

ファットパッド症候群の特徴的な症状

・かかとが全周的、全体的に痛い

ファットパッド症候群の治療方法

ファットパッド症候群の治療方法は、ズレが生じようとする踵骨と踵部脂肪体との関係が元に戻るまで、かかとへの負荷を減らして安静にすることが基本になります。

また、踵部脂肪褥と同様に、ヒールカップと呼ばれるかかと保護用のインソールを靴に入れたり、テーピングによりズレが生じないように固定することでかかとの保護を行います。

踵骨下滑液包炎(しょうこつかかつえきほうえん)

踵骨下滑液包炎は、かかとの骨(踵骨)の下にある踵部脂肪体の中に存在する漿液性粘膜嚢(しょうえきせいねんまくのう)に炎症を生じる疾患です。そして、この炎症が痛みの発生元になります。

漿液性粘膜嚢は、踵部脂肪体の中にある軟らかい組織のことです。漿液性粘膜嚢は、厳密に言うと液体ではないのですが、通称として踵骨下滑液包(しょうこつかかつえきほう)と呼ばれます。

踵骨の下では踵部脂肪体が衝撃緩和の役割を担っていますが、漿液性粘膜嚢も踵部脂肪体の中にあって衝撃緩和の役割を担っています。

踵骨下滑液包炎の原因

踵骨下滑液包炎の原因については、様々なものが考えられます。

  • 急なスポーツ開始や過度なスポーツにより、かかとに負担がかかった
  • 体重の増加により、かかとに負担がかかった
  • クッション性の無い靴により、かかとに負担がかかった
  • 踵骨棘による刺激

踵骨下滑液包炎の特徴的な症状

  • かかとの骨の内側を手で押してみると、痛みが生じる
  • 仕事などで長時間立っていると、かかとに痛みが生じる
  • かかとの中央を手で押してみると、かかとに痛みが生じる
  • 止まっていても、かかとに体重をかけると、かかとに痛みが生じる

踵骨下滑液包炎の治療方法

踵骨下滑液包炎の治療方法は、かかとの負担やかかとへの荷重圧を低下させることが基本となります。

そこで、かかとへの衝撃を緩和するために足底板と呼ばれる緩衝材を靴に入れます。

坐骨神経痛

坐骨神経は、腰から足にかけて伸びている神経です。そして、坐骨神経痛は、この坐骨神経が様々な原因によって圧迫されることによって現われる痛みやしびれの症状のことです。

坐骨神経痛の原因は、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄のいずれかによって生じます。

坐骨神経は、かかとまでつながっていますので、稀にかかとに痛みが現れることがあります。坐骨神経痛の痛みは、しびれに近い痛みとされています。

詳しくは、坐骨神経痛の原因とは?症状や治療方法、予防方法も紹介!を読んでおきましょう。

かかとの後部(アキレス腱側)に生じる痛み

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かかとの後部(アキレス腱側)に生じる痛みで考えられる疾患には、どのようなものがあるのでしょうか?

アキレス腱皮下滑液包炎(あきれすけんひかかつえきほうえん)

アキレス腱皮下滑液包炎は、アキレス腱の後ろ側と皮膚の間に存在するアキレス腱皮下滑液包に炎症が生じる疾患です。そして、この炎症が痛みの発生元になります。

アキレス腱皮下滑液包は、アキレス腱の起点となる踵骨やアキレス腱の後ろ側と皮膚の間にある液体の入った袋のことです。

アキレス腱皮下滑液包は、皮膚が外から擦られるなどの刺激を受けた際に、アキレス腱や踵骨を保護する衝撃緩衝材としての役割を担っています。

アキレス腱皮下滑液包炎の原因

アキレス腱皮下滑液包炎の原因は、主に靴を履いている時に皮膚と靴の間で起こる摩擦が繰り返されることです。特に、ハイヒールやスポーツシューズなどで発生しやすいとされます。

アキレス腱皮下滑液包炎の特徴的な症状

・かかとの後ろ側からアキレス腱にかけて、痛みがある

アキレス腱皮下滑液包炎の治療方法

アキレス腱皮下滑液包炎の治療は、かかとの後ろ側にかかる摩擦などの負担を減らし、安静にしていることが基本になります。ほとんどの人が自然治癒します。

踵骨後部滑液包炎(しょうこつこうぶかつえきほうえん)

踵骨後部滑液包炎は、かかとの骨(踵骨)とアキレス腱の間に存在する踵骨後部滑液包に炎症が生じる疾患です。そして、この炎症が痛みの発生元になります。

踵骨後部滑液包は、踵骨とアキレス腱の間にある液体の入った袋のことです。いわば、踵骨後部滑液包とアキレス腱皮下滑液包で、アキレス腱を挟み込んでいるようなイメージです。

踵骨後部滑液包は、足首を激しく動かすと踵骨とアキレス腱の間に生じる摩擦を緩和する役割を担っています。

踵骨後部滑液包炎の原因

踵骨後部滑液包炎の原因は、足首の酷使により、踵骨とアキレス腱の間で摩擦が繰り返されることです。

踵骨後部滑液包炎の特徴的な症状

・かかとの後ろ側からアキレス腱にかけて、痛みがある

踵骨後部滑液包炎の治療方法

踵骨後部滑液包炎の治療は、踵骨とアキレス腱の間にかかる摩擦などの負担を減らし、安静にしていることが基本になります。ほとんどの人が自然治癒します。

アキレス腱炎

アキレス腱炎は、かかとの骨(踵骨)とふくらはぎをつなぐアキレス腱に炎症が生じる疾患です。そして、この炎症が痛みの発生元になります。

また、アキレス腱全体に炎症が生じている場合を、アキレス腱周囲炎と呼びます。

厳密に言えば、アキレス腱炎は、かかとの上の部位に痛みが生じます。しかし、アキレス腱が踵骨を起点にしていますので、かかと周辺に痛みを生じる場合もあるのです。

アキレス腱炎の原因

アキレス腱炎の原因は、足首の酷使です。

アキレス腱炎の特徴的な症状

  • かかとの後ろ側からアキレス腱にかけて、痛みがある
  • 見た目でもわかる程度に、アキレス腱のあたりが腫れることがあります

アキレス腱炎の治療方法

アキレス腱炎の治療は、足首やアキレス腱の負担を減らし、安静にしていることが基本になります。ほとんどの人が自然治癒します。

踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)

踵骨骨端症は、かかとの軟骨部に負荷がかかることによって、軟骨部が炎症を起こしたり、軟骨部が踵骨から剥がれたりする疾患です。

踵骨骨端症は、子供に生じることがほとんどです。子供のかかとの後部は踵骨と踵骨骨端核という骨が軟骨によって結合しています。この踵骨骨端核と軟骨は、成長によって15才前後で踵骨と完全にくっつき骨化(癒合)します。

この癒合前の軟骨成分が多い子供の骨は衝撃に弱いのため、かかとの打撲やアキレス腱によって引っ張られることで簡単に炎症や軟骨の剥離が生じてしまうのです。

踵骨骨端症の原因

踵骨骨端症の原因については、様々なものが考えられます。

  • 運動などでアキレス腱に軟骨部が引っ張られる
  • かかとの打撲といった外傷
  • スポーツやジャンプといったかかとへの継続的な衝撃

踵骨骨端症の特徴的な症状

踵骨骨端症は、小学生年代の子供に現れることがほとんどです。

・かかとの後部に慢性的な鈍痛が生じる

踵骨骨端症の治療方法

踵骨骨端症の治療方法は、かかとへの負荷を減らして安静にすることが基本になります。ほとんどの場合、自然治癒します。

かかと全体に生じる痛み

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かかと全体に生じる痛みで考えられる疾患には、どのようなものがあるのでしょうか?

踵骨疲労骨折

踵骨疲労骨折は、かかとの骨(踵骨)に小さな負荷が繰り返し加わり徐々に骨が弱ることによって生じる骨折です。

踵骨疲労骨折の原因

踵骨疲労骨折の原因は、主に次の2つになります。

  • 過度のスポーツなどによる足の酷使
  • 骨密度の低下(骨粗鬆症)
過度のスポーツなどによる足の酷使

そもそも踵骨は、人の体重を支える足に存在してますので、とても丈夫です。

しかしながら、過度のスポーツなどによって足が酷使されると、踵骨に継続して負荷がかかり踵骨が徐々に弱くなります。そして、最終的に踵骨が骨折してしまうのです。

骨密度の低下(骨粗鬆症)

もともと丈夫な踵骨ですが、なんらかの原因によって骨密度が低下すると、疲労骨折が起きやすくなります。

骨密度の低下の原因には、過度の運動による体重減少、カルシウム摂取不足、加齢などが考えられます。

踵骨疲労骨折の特徴的な症状

  • 止まっていても、かかとに体重をかけると、かかとに痛みが生じる
  • かかとを内側と外側から圧迫すると、かかとに強い痛みが生じる

踵骨疲労骨折の治療方法

踵骨疲労骨折の治療方法は、過度のスポーツを休止することが基本になります。そして、骨がくっつくまでの間、かかとへの衝撃を緩和するために足底板と呼ばれる緩衝材を靴に入れます。

また、骨密度低下の場合は、カルシウムを積極的に摂取するように努めます。

踵骨骨折

踵骨骨折は、かかとを強打した場合などに発生する踵骨の骨折です。症状は、骨折ですので激痛を伴います。治療も、他の骨の骨折と同様にギプスによる固定と安静が必要です。

踵骨骨髄炎(しょうこつこつずいえん)

骨髄炎は、骨髄に細菌が侵入・感染することで、化膿性の炎症を生じる疾患です。その骨髄炎が、かかとの骨(踵骨)に発症する疾患を踵骨骨髄炎と言います。

踵骨骨髄炎では、発熱、倦怠感、かかとの痛みや腫れといった症状が現われます。

踵骨骨髄炎の治療は、基本的に入院による安静、細菌に有効な抗生剤の投与を行います。たいていは抗生剤の投与によって回復しますが、症状が重い場合は手術の可能性もあります。

まとめ

いかがでしたか?

一口にかかとの痛みと言っても、様々な痛みの現われ方、様々な痛みの場所があることがご理解いただけたと思います。

一方で、かかとの痛みの原因については、そのほとんどが足の酷使となっています。

つまり、足に負担がかかったとしても、人によって痛みの感じ方や現れ方は一様ではないと言えます。

したがって、かかとに痛みが現れた際には素人判断をせずに、早期に医師の診断を仰ぐことが肝要です。

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