踵骨骨折の治療には手術が必要?予後、後遺症について!原因や症状、検査方法も紹介!

少しくらいと簡単に考えて飛び降りたら、足が痛くなってしまった経験がある人は多いと思います。そんな時に、注意をしてほしいのが今日のテーマでもある「踵骨骨折」なのです。

骨折は、誰にでも起こりうる突発的な病気・怪我なのですが、もしこれからお伝えする症状がみられるようでしたら気を付けてあげてほしいと思います。

それでは、踵骨骨折に入る前に少しだけ踵(かかと)についてご説明させて頂きますね。

踵(かかと)の仕組み

運動

とても難しい漢字を使っているので、調べてみると「踵骨」は「しょうこつ」と呼ぶようです。

踵(かかと)の骨と書いて、踵骨(しょうこつ)なのですが、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)とは「かかとの骨折」という意味なのです。そんな踵(かかと)は、歩く時に衝撃や重み等を受けてくれていますので、トラブルは防ぎたいですね。

そういう意味でも、踵(かかと)の骨を少し一緒に勉強したいと思いますので、まずは踵(かかと)の骨について見ていきましょう。

踵(かかと)の周囲の骨

踵骨(しょうこつ)に近い骨としても知られている、一般的に「くるぶし」と呼んでいる付近の骨を「距骨」と書いて、「きょこつ」と呼びます。

この2つの骨が合わさったあたりの関節を「距踵関節」と書いて、「きょしょうかんせつ」と呼びます。ちょうど正座をしたら、畳に当たって一番「痛い」と感じるあたりですね。

この踵骨(しょうこつ)という「かかとの骨」は、例えていうとスポンジのように柔らかい骨がいっぱい詰まっているような状態です。

そして、その柔らかい骨は、海綿骨(かいめんこつ)と呼ばれています。それは、皮質骨(ひしつこつ)とういう薄い膜で出来た殻の中にあり、その様子から「もなかのような構造」という風に、分かりやすく表現をされることもあります。

骨の名称が分かったところで、踵(かかと)の周囲を知るために、次は構造を見ていきましょう。

踵(かかと)の骨の付近の構造

身体の構造でいうと、一番下から順番にご説明いたしますね。踵骨(しょうこつ)の上には、距骨(きょこつ)が乗っかるように存在しています。その2つの骨が重なる部分の前方には、立方骨(りっぽうこつ)という骨があり、これらは足の中でも身体という「全体を支える」重要な役割を持っています。

では、今日のテーマである、踵(かかと)周辺で起こるトラブルについて、お伝えいたしますね。

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)とは

足首 靭帯損傷

先ほどの骨の仕組みでもお話したように、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)とは、その踵骨(しょうこつ)が骨折してしまった状態をいいます。

状態としては名前のままでありますが、この踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の場合には、後々困ることが起こりやすいという難題が生じやすいのです。

何に困るかというと、実は潰れてしまったり、変形をしやすい骨折ということで、治療には長い時間がかかるということがあります。

この踵骨骨折(しょうこつこっせつ)を、もう少し分かりやすいようにご説明いたしますね。

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の原因とは

先ほどの「もなかのような構造」を思い出してみましょう。その「もなか」のように、繊細なものを高いところから落としてしまったら、どうなると思うでしょうか?

おそらく「もなか」は、原型を留めることが出来ずに、壊れてしまうか、潰れてしまうでしょう。踵骨骨折(しょうこつこっせつ)とは、まさに「柔らかい踵骨(しょうこつ)を高いところから落として壊した状態」といえます。

もうお分かりのように、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の主な原因は、高いところからの転落事故によることが多いのです。

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)は、高いところからの転落事故が原因であることが多いために、「足が垂直に落ちる」ことで踵(かかと)に負荷がかかって骨折を起こしてしまいますが、そのために周囲の靭帯は損傷していないことが多いようです。

それから、病院での受傷時の年齢・性別をグラフにしたものを見てみると、「若年層の男性」に多いことも分かりました。

これは、おそらく「高いところに登る」などの仕事やスポーツ等をしている可能性が高いために、活発な男性が当てはまることが多いのでしょう。稀に、労働災害と呼ばれるように、仕事中での不慮の事故や、交通事故等で、強い衝撃が加わった場合で起こることもありますが、9割以上が転落事故と言われています。

他には、出かけ先で足を踏み外して踵(かかと)を強打してしまったなど、強い衝撃を踵(かかと)に受けてしまった時に、受傷するようですね。

そのため、男性に多いとはいえ、女性でも安心は出来ないようです。元々いろんな事故で条件が重なってしまった時に起こる骨折なので、女性が受傷しないという保証はどこにもないのです。

また高いところからの転落が多いので、踵骨(しょうこつ)への衝撃による破壊力を考えると、角度によっては踵骨(しょうこつ)が潰れてしまうことも起こり得るのです。また、踵骨(しょうこつ)は、歩行時に一番体重がかかってしまう部位なので、強い衝撃が加わった時には一番先に受傷してしまう部位でもあります。

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の特徴としては、転落をしたとき等に折れてしまった踵骨(しょうこつ)の上にある距骨(きょこつ)との間にある距踵骨関節(きょしょうかんせつ)がズレてしまい、踵(かかと)の幅が広がってしまい、甲の高さが低くなることです。

では、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)をしたような疑いのある時には、どんな症状があるのでしょうか。

これから、お伝えいたしますね。

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の症状

1.踵(かかと)の骨が骨折するのですから、一番顕著に出てくる症状は「強い痛み」です。

特に、踵(かかと)を付けることが困難になってきます。

2.骨折した部位が腫脹してくる

踵(かかと)周辺が腫れてきたり、熱を持ったりします。

3.足の安静を保てない場合には、骨がズレてしまい変形が起こってきます。

4.受傷した時から、歩行は難しいと思いますが、痛みの感じ方には個人差があります。

上記のような症状があれば、出来るだけ早く受診しましょう。

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)での検査

高いところから転落、または着地してから足の痛みがとれない時や、同時に腫れを感じた場合には、踵骨(しょうこつ)の骨折が疑われますので、速やかに整形外科を受診するようにしましょう。

その時には、出来るだけ踵(かかと)をついて歩かないようにして、できれば冷やしたまま病院へ向かいましょう。

整形外科では、症状によっては複数の検査を行ってくれますので、次にまとめてみました。

単純X線

まず、整形外科に行くと単純X線といって、一般的なレントゲンを撮ってもらうことが多いです。

この検査は、初期で行う検査となります。放射能の被ばくも最小限で、費用も低く抑えられるので、特に骨の痛みがある場合には、この検査で骨の状態を確認していきます。

レントゲンの意義

レントゲンで骨の状態を知ることは、正しい診断を受けることに繋がり、後遺障害の予防になるので必要な検査といえます。

レントゲンでは、今後の治療を決める重要なデータでもあります。

骨のずれを修正するために、徒手整復をしたり、その後には「ギプス固定」を行うのか、「手術」が必要なのかの診断の決め手ともなります。

そのことから判断基準を考慮するためには、最低限必要な検査なので受けるようにしましょう。また、整復を行った場合には、再度レントゲンを撮ることで骨が整って戻って固定が出来ているかという確認にも用いられる検査となります。

また、受傷した状況が「高いところから転落して、踵(かかと)を強く打ち付けた」等に当てはまるようであれば、レントゲン検査の結果と重ね合わせることで、容易に診断を付けることが出来ます。

骨折線が見つかると断層撮影やCTを撮ることもあります。

CT検査

骨折線が見つかった場合に受けるCT検査は、「距踵関節面(きょしょうかんせつ)に骨折線が入っていないか」という確認のために行われます。

踵骨(しょうこつ)と、その上に乗っている状態の距骨(きょこつ)との間の関節に骨折線が認められると、単純X線ではなく、関節内が見えるCT検査の方が状態をより正確に診断することが出来るためです。

CT検査では、データを計算することで3Dのように立体的な画像を作成することが出来るのです。

また、単純X線では診断が付きにくいような場合にも、CT検査は行われます。踵骨骨折(しょうこつこっせつ)は、主として3種類に分けられます。

骨折の種類

1.踵骨骨折(しょうこつこっせつ)をアキレス腱が引っ張る場合

この場合には、骨折が後ろの距踵関節(きょしょうかんせつ)に影響がないとして「関節の外で起こった骨折」と診断されます。

このアキレス腱の引っ張りで骨が折れてしまう時には、粉砕骨折(ふんさいこっせつ)のように細かく砕けているわけではないので、整復の処置をしたあとにギプス固定をすることが多いようです。

2.踵骨骨折(しょうこつこっせつ)が真横に割れてしまう場合

この場合には、踵骨隆起骨折(しょうこつりゅうきこっせつ)といって、踵骨(しょうこつ)が高く盛り上がり骨が折れている状態です。

そして、この踵骨隆起骨折(しょうこつりゅうきこっせつ)と、踵(かかと)の立方関節の両方に骨折線が入ってしまった時のことになります。

この場合には、横から見ると口を開けたように見えるので、ちょうどゲームでみた「パックマン」を思わせるような形で、レントゲンに現れます。

治療は、骨のズレ方の状況によって変化します。

3.距踵関節(きょしょうかんせつ)に骨折線が入り、さらに粉砕状態に近い場合

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の場合には、距踵関節(きょしょうかんせつ)の両方の骨折があり、ズレたり粉砕してしまっているために、転位(てんい:ずれたまま)を残していると重症化して、重い後遺症が残ることがあります。

ここまで重症化した場合の踵骨骨折(しょうこつこっせつ)は、踵骨(しょうこつ)自体が押しつぶされたようになり、例えていうと「踏みつけられたパン」のようになっています。

したがって強い痛みや、偏平足になってしまうことで重い歩行障害が残ってしまうということです。

どんな病気でも怪我でも、早期に専門医に診断や治療をしてもらうことは、本当に大切です。

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の治療

手術

先ほども少し触れましたが、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の治療は、距踵関節がズレているか、ズレていないかで大きく変わってきます。

では、骨折による治療を経過ごとに、見ていきましょう。

固定と安静

距踵関節(きょしょうかんせつ)が折れたり、ズレていない場合にはギプス固定をすることで、治癒してくれますので安心ですが無理をして踵(かかと)に衝撃を与えることは、やめておきましょう。

また、患部をそのまま保存をする時には、大きく分けて3段階にステップアップしていきながら治療をしていきます。

1.装具療法

この時には、患部の安静を保つ意味でも、ギプス固定や、膝下の装具を付けることになります。

2.物理療法

再度レントゲンで骨のズレがなく、踵骨が付いていることが確認できると、だいたい4週間ほどで、超音波などの電気治療や、温熱療法等を行っていきます。

3.運動療法

骨が付いてくると、今度は他の部分まで落ちてしまった筋力の回復や、歩行の回復のために、運動療法が用いられます。

この場合には、医師の指示を受けた専門の理学療法士が、対応をきちんとしてくれますが、数週間ごとに負荷をかけた訓練が行われます。

しかし、外部からの固定では治療が難しいと診断されると、手術療法が行われますので、次に見ていきましょう。

手術療法

踵骨骨折の治療としては、粉砕骨折になることや、距踵関節(きょしょうかんせつ)がズレていることが多いので、基本的に手術が適用となることが多いです。

その時に重要なのが、「時間の経過とともに、踵(かかと)が腫れあがってしまうと治療が難しくなる」ということです。

そうなると整復自体も難しくなり、、皮膚に水疱(すいほう)が出来る等、次第に手術が困難になってしまうのです。

手術の方法

手術の方法というのは、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)の場合、金属のねじやプレートを用いての強力な固定術になります。

外部から整復をできるだけ行い、足の変形を調整してから腰椎麻酔下で行われます。話し声等は聞こえますが、痛みは感じないので安心して治療をしてもらえます。足の内側でする固定方法としては、踵骨専用プレートを使用する手術とスクリューとピンだけで固定する小侵襲内固定手術の2種類あります。

手術療法の選択は、症状に応じて医師が行うために、インフォームドコンセントとして術前には説明があります。

術後、一定の期間が経過したら検査をしますが、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)が治癒したことがレントゲンで確認されると、足の中で固定していた固定具を除去するために抜釘術(ばっていじゅつ)という手術が行われます。

この時には、簡単な手術ですので大きな心配はないことが多いです。治療で、心配なことは固定や安静のために、骨萎縮(ほねいしゅく)を起こしてしまうことです。次に見ていきますね。

治療の予後と後遺症

小魚

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)は、踵(かかと)の骨がズレていなければ、ギプス固定をすることで時間の経過と共に治っていくのですが、踵骨(ちょうこつ)の持っている特徴的な問題もあるので注意して治療する必要があります。

後遺症を残すという意味では、骨萎縮(ほねいしゅく)という後遺症がおこることがあります。

次には、その骨萎縮(ほねいしゅく)について、お伝えいたします。

骨萎縮(ほねいしゅく)

骨萎縮(ほねいしゅく)とは、文字通り「骨が萎縮(いしゅく)してしまう」ことを指します。骨を長期間、固定等で動かさないでいると、骨や筋肉に栄養がいきわたらずに足の骨が縮んでしまい、固まったまま動かない(動かしにくい)状態になることです。

また、骨萎縮とは、専門的にいうと「X線画像から評価される低骨密度」ということになります。

これの言い方を変えると、「骨減少症(こつげんしょうしょう)」といって、骨粗しょう症のように、骨密度が下がってしまい、再び骨折をしてしまう可能性が高くなってしまいます。

骨減少症は、骨組織が局所性(きょくしょせい:部分的に)に減少した状態となり、局所性の骨吸収の亢進(こうしん:活発に進んでいくような)によって生じます。

踵骨(しょうこつ)の大半は、海綿骨という柔らかい骨なので血行が良く、骨も付きやすいのですが、弱点といえば「骨吸収が起こりやすい」ということから「骨萎縮(ほねいしゅく)」が残ってしまうと痛みが長期にわたって続くということになる可能性が高くなってしまうことです。

この場合には、専門の理学療法士等の指導を受けながら、少しづつ訓練をしていくことが大切になります。

しっかりとカルシウムを摂取して、治療を受けましょう。骨萎縮(ほねいしゅく)等の後遺症を残してしまうと、完全に歩行ができるまでには難しい問題もありますが、時間をかけることで治癒する可能性もあります。

そういった骨萎縮(ほねいしゅく)を防ぐためにも、早期にリハビリを開始することが重要となりますね。

では、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)と間違えそうな関連する病気は、どのようなものがあるでしょうか。

次は、似たような症状を見ていきますね。

距骨骨折(きょこつこっせつ)について

くすり

少しづつ触れてきましたが、踵骨(きょこつ)と、距骨の間で形成されている距踵関節(きょしょうかんせつ)は、足首の周囲の関節に対して動きを左右する重要な関節といえます。

その部位に影響を与えてしまう踵骨(しょうこつ)の上にある距骨(きょこつ)が骨折することを言います。

原因

やはり、これも踵骨骨折と同じように、事故による原因が圧倒的に多いようです。

垂直に強力な力が加わることが起こってしまったら、出来るだけ早く病院に行くことが大事です。

検査と診断

踵骨骨折(しょうこつこっせつ)と同じように、単純X線やCTが用いられます。

検査等は同じなのですが、治療は若干異なるようです。

治療

初期治療としては、骨折した骨をもとの状態に戻す整復(骨の形を整えること)をして、シーネやギプス等で固定する保存療法がおこなわれます。

整復の状態が良好であると確認できたら、そのまま骨折部位の骨が癒合するのを時間をかけて治癒するのを待ちます。

痛みに対する処置としては、ボルタレンやロキソニンなどの非ステロイド消炎鎮痛薬を使用することが多いようです。

その時には、お薬で胃潰瘍を合併することがあるので、胃薬が出されることが一般的なので、痛み止めを使用する時には、一緒に飲むようにしましょう。

手術の場合もありますので、見ていきましょう。

手術療法

手術の適用になる場合は、主に以下の状態のときです。

  • 骨片がたくさんある・・・砕けている等
  • 骨欠損がある
  • 整復した骨片の位置が正常な位置関係にない
  • 保存治療では癒合しない

このような場合には、手術適用となりますので、医師の指示に従いましょう。

予後

固定療法や、手術療法をするとしても距骨骨折は、踵骨骨折(しょうこつこっせつ)と同じように、難しい骨折の一つとされています。

また「阻血性骨壊死(そけつせいこつえし)」を合併した時には、手術療法だけでなく、骨固定術を追加で行う場合もあります。

骨が付くのを確認しながら、リハビリをしていくので、お仕事や通学、運動は医師の指示に従うようにしていきましょう。

まとめ

検査 レントゲン X線

では、今日のまとめです。

  • 踵骨骨折とは、踵(かかと)の骨に骨折線が入ったものなので検査で診断をしてもらう
  • 踵(かかと)の骨は、やわらかいので壊れやすいため強い衝撃を受けた後、痛みがある時には踵骨骨折が疑われる
  • 踵骨骨折は、高いところから垂直に転落したような突発的な事故によるものが多い
  • 踵骨骨折には、3種類の骨折の種類があり検査の結果で、治療方針が決められる
  • 後遺症として、骨萎縮を起こすことがあるので注意が必要である
  • 同じような骨折に、距骨骨折があるが治療は少し異なるので指示にしたがう

同じ骨折と名前が付いても、色々と治療が変わったり、予後が変化するということが分かりました。

普段から骨を大切にするために、カルシウムを摂取することはもちろん、太陽の陽ざしを浴びてビタミンDを体内で作ることも積極的にしたいですね。

  
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