排便時の出血の原因は?病気や予防方法を紹介!

排便後、トイレットペーパーに鮮血がついている、あるいは血便が出たら誰しも「ドキ!」っとしますよね。どこからの出血なのか、不安に思う人が多いかと思います。

排便時の出血には様々な原因が考えられ、便秘や痔、時には重大な病気が隠れている可能性もあります。今回は出血が起こる原因と病気、気を付けなければいけないことについてご紹介します。

排便時の出血の原因

トイレ

排便時の出血について考えられる主な病気と特徴をまとめました。

切れ痔

排便時に痛みがあり、トイレットペーパーに血が付着します。排便時以外で出血することがない場合、裂肛(れっこう)、いわゆる切れ痔が考えられます。

原因の多くは便秘等により固い便を出す際に肛門が切れることで発症します。逆に激しい下痢を起こした場合に肛門が傷ついて切れる場合もあります。

出血量はトイレットペーパーに少し付着する程度からポタポタと鮮血が垂れるまで、状態によって幅があります。

基本的に手術は必要がありませんが、慢性化してしまうと「肛門狭窄(こうもんきょうさく)」という肛門が狭まる合併症を起こすことがあり、この場合は手術での治療が必要となります。

いぼ痔

出血以前に、肛門付近にしこりのような出来物があったり、ズキズキした腫れを感じていて、ある時排便後にトイレを覗いたら真っ赤に染まっていた!といった場合、いぼ痔が考えられます。

いぼ痔には肛門の外側にイボができる外痔核(がいじかく)と、内側にできる内痔核(ないじかく)があります。

こちらの主な原因は便秘でいきんだ時、あるいは下痢によって肛門の血管が内出血を起こし血栓が出来、イボとなります。そのイボが破裂すると大出血を起こします。

突然発症することが多く、痛みはズキズキとした鈍痛から、酷い時は椅子に座っているのも苦しいくらいの激痛を伴います。また、内痔核がずっと外に出っぱなしになってしまうこともあります。

基本的には軟膏や座薬等の薬を使って治療しますが、イボが大きくなったり悪化している場合は手術が必要となります。

尚、直腸がん等の悪性腫瘍がある場合、いぼ痔と似た症状が出ることもあります。いずれにせよ、早めに病院を受診することをお勧めします。

あな痔

痛みや出血に関してはいぼ痔と変わりませんが、膿(うみ)が出てきたり、発熱も見られる場合、あな痔(痔ろう)の可能性があります。

肛門と直腸の境目あたりにある小さなくぼみに細菌が入って感染してしまうと膿が溜まり、粘膜に穴を開けて膿が出てきてしまう病気です。

あな痔は自然治癒や市販の薬で治すことができない為、手術で治療を行うしかありません。

あな痔を放置すると肛門がんになることがあり、そうなると肛門を切除し、人工肛門をしなければならなくなります。放置や自分で治そうとせず、必ず病院を受診しましょう。

痔については、痔の原因や種類について!ストレスや食べ物が関係している?の記事を読んでおきましょう。

直腸がん(大腸がん)

赤い(または赤黒い)便、粘膜の混ざったようなドロっとした便、残便感等がある場合、悪性腫瘍、つまり”がん”の可能性がある為、すぐに病院を受診して下さい。

ただし、腫瘍のできる場所によってはある程度がんが進行しないと症状が出ないことが多いようです。特に、痛みは初期段階であまり感じません。

内部で出血している為、先に貧血の症状が出る場合もあります。少しでも血便や下血を起こした場合は早急に病院へ行きましょう。大腸がんについては、大腸がんの原因とは?運動不足や食生活に要注意!の記事を読んでおきましょう。

その他の病気

出血が見られるその他の病気として、大腸ポリープ、クローン病、細菌性腸炎、虚血性大腸炎等があります。

出血の色は肛門から離れる程に黒ずんでくるので、鮮血であれば痔の可能性が高いですが、赤黒くなっている場合にはこういった内臓器官からの出血が考えられます。

排便時に出血した場合の対策

応急処置

出血をしてしまった場合、自分で行える対策方法をご紹介します。

トイレットペーパーで圧迫する

出血がなかなか止まらない場合、トイレットペーパーやティッシュで肛門を10分程度押さえます。

この時、グッと圧迫するように押さえて下さい。

いぼ痔は温め、あな痔は冷やす

イボが出ていて強く痛む時は、使い捨てカイロ等でお尻を温めると痛みが少し和らぎます。

膿の出るあな痔の腫れが痛む場合は、うつぶせになりお尻にタオルを置きます。その上から袋に入れた氷等で冷やして下さい。

市販薬の使用

出血の原因が痔だと分かっており、比較的軽症な場合は市販薬でも効果を発揮します。また、肛門の痛みが酷い場合、病院を受診するまでの応急処置にもなります。

切れ痔や外痔核、肛門周辺のかゆみがある場合には軟膏タイプの塗り薬を。

内痔核の場合は注入、座薬タイプが使いやすいでしょう。

ただし、痔の薬の多くはステロイドが使用されています。妊娠している方等ステロイドを使用したくない場合は、必ずステロイド不使用のものを選ぶ、あるいは薬剤師に相談の上ご使用下さい。

代表的な市販薬としては、ボラギノールとブリザエースがあります。

(ステロイド不使用はボラギノールMになります。)

効能はほぼ同じですが、メントールの有無等の違いがありますので、自身の痔の症状や好みにあった物を選んでみて下さい。

恥ずかしがらずに病院へ

どんな原因であれ、排便時に出血した場合は病院を受診することが先決です。

受診する科ですが、できれば大腸の検査を行ってくれる消化器科、内科をお勧めします。もしそこで痔が原因となれば肛門科に行くことになります。

女性の場合は肛門科に行くことが恥ずかしくて、受診をしたがらない傾向があります。ですが、悪化すると日常生活に支障が出たり、本来であれば薬物治療で治るものが、受診が遅れたことで手術をしなければいけない状態になってしまった、ということもあります。

恥ずかしがらずに早めに受診をしましょう!

排便時の出血を予防するには?

ヨーグルト

それでは出血が起こる前に、日頃から気をつけたいことについてご紹介します。

腸内環境の改善

腸内環境が整えられているということは、全身の健康は勿論、排便がスムーズとなることで、出血の主な原因となる痔の予防や改善に繋がります。

その為には、よく耳にする「善玉菌」を腸内に増やすことです。

善玉菌を増やす方法を幾つかご紹介しますと、

1.ビフィズス菌、乳酸菌、発酵食品を摂る

代表的なものとしては、ヨーグルト、納豆、味噌、お漬物等です。比較的、日常の食事に取り入れやすい食品ですので、毎日朝食に食べる等習慣にすると良いでしょう。ただし、摂り過ぎには注意しましょう。

2.オリゴ糖、食物繊維を摂る

こちらは便をやわらかくする作用もありますので、便秘で悩んでいる方は特に積極的に摂りたい栄養素です。お勧めの食品は、りんご、バナナ、昆布、ワカメ、えのき、しいたけ等。

3.規則正しい生活

不規則な生活は悪玉菌を増やす原因となります。毎日6時間以上の睡眠、できるだけ決まった時間に食事を摂る、暴飲暴食はしない、といった基本的な生活に気を付けましょう。

4.適度な運動

運動をすると腸が刺激され、動きが活発になります。毎日続けることが大切なので、意識的に歩くよう心がけたり、朝やお昼休憩、寝る前などに軽く腰をひねる等のストレッチをしてみましょう。

ストレスの解消

実はストレスによって出血が引き起こされることもあります。ストレスを感じると自律神経やホルモンバランスが崩れ、血行が悪くなる原因となります。

特に胃腸はストレスによって影響を受けやすく、大きなストレスを長期間抱えていると、胃腸の外壁が傷ついて胃炎や胃潰瘍を引き起こし、血便が出る場合があります。そして酷くなると胃がんにまで発展する可能性もあります。

上記で挙げた規則正しい生活や運動の他に、入浴やアロマ等のリラックス効果のあるもの、あるいは趣味に没頭する等、日頃からストレスを意識的に解消してあげることが大切です。

まとめ

花畑

排便時の出血は、最初は大きな問題もない症状でも、放置したり治療が遅れた場合、思わぬ大きな病気へと進行してしまう可能性があることが分かりました。

「大したことない」「恥ずかしい」と言った気持ちは捨て、専門医の診察を受け、適切な治療を少しでも早く始めることが重要です。

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