重曹で歯磨きをするのは危険?メリット・デメリットを紹介!

歯磨きをするとき、重曹を取り入れることで、虫歯予防やホワイトニングに絶大な効果があると、テレビやネットでも話題になっているようです。場合によっては、市販の歯磨き粉よりも安全で効果的、という声もあり、実際に海外では重曹が入っている歯磨き粉が多く見られます。

しかしその反面、口内に使用するには刺激が強く、逆に悪影響を及ぼすという情報も多々流れているのが現状です。

ここでは、重曹で歯磨きをするメリットとデメリットの、両側面を再度確認しながら、その真相を探ります!

重曹で歯を磨く方法とメリット

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ドラッグストアなどで、簡単に手に入れることができる重曹。価格もお財布に優しく、歯磨きだけではなく、お掃除や洗顔など、幅広い使い方ができるので、常備しておいても損はなさそうです。

では、実際に重曹で歯を磨く方法と、なぜ良いと言われているのか、そのメリットと理由について、早速見ていきましょう。

重曹で歯を磨く方法

メリットを見る前に、どのようにして重曹で歯を磨くのかを、簡単にご説明します。まず、重曹を、市販の歯磨き粉と同じような形状にするために、重曹ペーストを作ります。

大匙一杯の重曹に、市販の歯磨き粉よりも硬めになるよう量を加減しながら水を加え、練ります。

次に、それを指にとり、歯全体に付けて5分ほど待ちます。これは、重曹が汚れを落とす化学反応が起きるのを待つための時間です。5分経ったら、歯ブラシでいつも歯磨きをするように磨いていきます。

虫歯予防

さて、ここからは、メリットを見てきましょう。化学式で見てみると、わかりやすいので、まず、重曹の元素記号から見てみましょう。

重曹は、化学物質名は「炭酸水素ナトリウム」と言い、その名の通り、炭酸と水素、ナトリウムからできている、塩(ナトリウム)の仲間です。元素記号で示すと、『NaHCO3』と表します。

歯磨きで重曹を使用するために、水を使用すると、このNaHCO3が電離し、『Na』と『HCO3-』になります。このHCO3-(炭酸水素イオン)はアルカリ性のため、『酸』を中和させます。

口の中が酸性になると、虫歯になりやすいという言葉を聞いたことがありませんか?食べかすなどに含まれる糖分は、口の中で「酸」を作り出し、これが、虫歯の原因となります。すなわち、重曹で歯を磨くと虫歯の原因となる「酸」を中和させてくれるので、虫歯予防に効果的というわけです。

実は、私たちが出す唾液にも、このHCO3-が含まれています。「よく噛んで食べると身体に良い」と言われるのは、消化を助けるためだけではなく、よく噛むことで唾液をたくさん分泌させると、虫歯も予防することができるという側面もあるのです。

さらに、口の中では、常に「再石炭化」と呼ばれる現象が起こっており、これが虫歯から歯を守ってくれているのですが、再石炭化にはPHバランス(酸性・中性・アルカリ性)が保たれた環境が必要です。

酸性に傾いた口内を、重曹によって中和させ、崩れたPHバランスを正常に戻し、再石炭化を促進させることも、虫歯予防に効果的だと言われている理由の一つです。

また、重曹には殺菌効果もありますので、初期段階の、程度の軽い虫歯ならば、治るという声もあるようです。

ホワイトニング効果

これは、掃除にも重曹が使用される理由と同じと言えるでしょう。

なので、厳密に言うと、過酸化水素水を含む薬剤で、歯のエナメル質そのものを白くする、歯科医院で行われているような「ホワイトニング」とは異なり、クレンザー作用によって、「歯を綺麗に磨くことができる=白くなる」という認識の方が正しいかもしれません。

歯の着色汚れは、蓄積された汚れと、歯の表面にあるタンパク質が結合することによって生じます。重曹は、油脂を乳化させたり、タンパク質を分解するといった働きがあるため、歯の汚れと結合したタンパク質を分解し、着色汚れを落としてくれるというわけです。

また、重曹は、比較的水に溶けにくいので、粒子による研磨作用もあります。分解された着色汚れを、重曹の粒子による研磨作用で落としていく、ということですね。

歯周病予防

「歯茎の腫れを、塩でマッサージする」という方法を聞いたことがありませんか?とくに年配の方は、指に塩をつけて、歯茎をマッサージするという人も多いようです。

この作用と同じことが重曹での歯磨きにも見られるのです。塩は、収れん作用によって、歯周病の症状の一つである、「歯茎の腫れ」を緩和させてくれると言われていますので、塩の仲間である重曹にも同じような効果を期待できるというわけです。

しかし、歯周病は、細菌による感染症です。歯周ポケットの奥深くにいる細菌を殺菌しないことには根本的に治すことはできないので、あくまでも、歯茎を引き締めて歯周病を予防するという程度に捉えておくと良いでしょう。

口臭予防

口臭の原因の一つとして、舌にこびりついた「舌苔」と呼ばれる汚れがあげられます。舌苔は、舌についた、タンパク質などの汚れが原因となって発生します。

虫歯の項目でも述べたように、重曹にはタンパク質を分解する作用があるので、舌苔が原因の口臭には効果的と言えるでしょう。

しかし、口臭の原因の多くは、歯周病だと言われています。重曹歯磨きでも効果を得られない場合は、根本的な歯周病の治療をすることをおすすめします。

重曹で歯を磨くデメリット

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メリットもありますが、使い方によってはデメリットもあります。歯に負担をかけた使い方をしないよう、デメリットもしっかりと押さえておきましょう。

強い研磨作用による歯への負担

掃除などの汚れ落としにも使用されるくらいですから、その研磨作用は決して弱いものであるとは言えません。あまり磨きすぎると、歯のエナメル質まで削れてしまいます。

エナメル質の下は、象牙質と呼ばれる部分にあたり、これは黄色味を帯びています。エナメル質を削りすぎると、この象牙質の部分がむき出しになるので、ホワイトニングどころか、歯が黄ばんでしまう原因にもなりかねません。また、知覚過敏につながる恐れもあります。

歯石がつきやすくなる

重曹はアルカリ性物質です。頻繁に重曹を使用することで、口内がアルカリ性に傾きます。すると歯石は、アルカリ性の環境下で作られやすいと言われているため、歯石がつきやすくなるのです。

そして、歯石の表面は、細菌が活発になるだけではなく、歯の表面と異なり、ざらざらしているので、新たな歯石が次から次へとつき、虫歯や歯周病を招きます。

口内が酸性に傾くと、虫歯になりやすくなりますが、アルカリ性に傾くと、歯石ができやすくなってしまうのです。虫歯と歯石の不思議な関係とも言えますね。ようは、PHバランスが大切ということです。

口の粘膜を溶かす

粘膜は、爪や髪の毛と同じようにタンパク質でできています。アルカリ性である重曹は、タンパク質を溶かす作用があるため、歯磨きに使いすぎると、口の粘膜や歯茎を痛めてしまう可能性があります。

歯磨きをしたときに、頬の内側や歯茎などの粘膜がざらざらしたり、口の中がしょぼしょぼすると思ったときは、使用を控えましょう。また、使用する際の重曹ペーストの量も少量にするなどの工夫が必要です。

塩分の摂りすぎにつながる

これは、よほどのことがない限り、「重曹歯磨き=塩分過多」と直結するわけではありませんが、誤って重曹ペーストを飲み込んでしまった場合などは、塩分の摂りすぎにつながる可能性があります。高血圧や、腎臓、膵臓に疾患がある方は、念のため使用を控えたほうが良いかもしれません。

また、内臓の粘膜にも、良いとは言えませんので、使用する際には普通の歯磨き粉と同じように、飲み込まないように気をつけましょう。

重曹で歯磨きをする注意点

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メリット、デメリットの両側面を見ると、一概にどちらが良いとは言えませんが、「試してみる」くらいの感覚で使用して、効果を感じなければやめるのも選択肢の一つです。

また、重曹のアルカリ性が持つタンパク質分解力は、口内には強すぎるという意見も多くあるようです。使う場合は、次のような点に気をつけましょう。

毎日使用しない

重曹で「毎日(1日に3回)」歯を磨くのは、歯への負担が大きいので、3~4日に1度で十分と言えるでしょう。

また、粒子の大きな重曹ではなく、きめ細やかな食用の重曹を使うのも、歯に負担をかけずに使うためのポイントです。

初めて使用するときは「歯磨き」ではなく「うがい」にする

重曹ペーストを歯に塗った後、さらに歯ブラシでゴシゴシこするのは、確かに刺激が強いかもしれません。初めて重曹を使用する場合は、歯ブラシを使用せず、水に重曹を溶かして、口をゆすぐ程度でも、メリットとされる効果を得られます。

しかし、その場合にも重曹の入れすぎには注意が必要です。分量の目安としては、500mlの水に、ティースプーンに軽く一杯と言われています。うがい程度の場合、これだと量が多いので、コップ一杯の水にティースプーン3分の1程度の重曹で十分でしょう。

重曹ではなく、塩を使う

重曹は塩の仲間であることは、すでにお伝えした通りです。刺激の強い重曹を使用するよりも、私たちの生活に馴染みの深い、塩を使うのも一つの手段と言えるでしょう。

塩は、歯茎を引き締める効果はありますが、市販の歯磨き粉のように、歯石を分解させて取り除く効果は期待できません。

しかし、歯磨き粉のもたらす爽快感から、歯を磨いた気になってしまうという問題もあり、実際に歯科医師の中には歯磨き粉を使用せず、歯ブラシだけでも、しっかり磨けば、十分だという方もいるようです。そう考えると、塩で歯を磨くだけでも、良いと言えそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。重曹には、強い効果がある反面、デリケートな口の中には、刺激が強すぎるというデメリットもあるようですね。ようは、身体本来の自己治癒力をしっかり働ける状態にしておくのが一番ということかもしれません。

汚れがひどい場合には、重曹の力を借り、そうならないよう、普段から丁寧に歯を磨いておくのが、最も健康的と言えるでしょう。

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