肩がこることはよくありますが、首の後が痛くなることって実はそんなに多くはありません。首の後に痛みを感じる時、馴染みの少ない症状を含めて、いくつかの原因が考えられます。それを今から紹介してみようと思います。
痛みはすぐにとれるものから、数週間と永く続くものもあります。また中には、放置して見逃してしまうと命に関わってくるようなものもあるので、しっかり確認して体調管理に役立てていきましょう。
寝ちがい
首の後ろが痛いのは、寝違いである可能性が考えられます。寝起きなどに、首に痛みを感じる際は特にこの可能性が高いでしょう。
寝違いの症状
首の後の痛みで、よく見られる症状はおそらく「寝ちがい」でしょう。特に多いのは、枕が合わないことで起こる寝ちがいです。
中には「枕には特に不満はないし、自分の寝る姿勢にちゃんと合っている気がする」という人もいます。そういう人の場合にはベッドの沈み込み方が原因になっていることがあります。
体の性質や体質にもよるため一慨には言えませんが、ベッドが柔らかすぎること、逆に反発力が強いこと、などのために起こると言われています。
寝ちがいになると、首の痛みの他に、首が回らなくなるとか、肩が上がらないなど運動機能障害も起こります。その状態が永く続くと、そのことから別の体の不具合を起こすこともあります。早めの手当てをしましょう。
基本的には一時的なもので筋肉のこりや血行が良くなることで解消されてきますのでそこまで心配する必要が無いのがこの症状です。
寝違いが起きる原因
寝違いは変な寝方をすることでも発生しますが、姿勢の他にも肩の筋肉や背中の筋肉との関係が大きく関係しています。その背中や肩の筋肉の緊張などはどこから来るかというと、内臓から引き起こされます。
特に肝臓が疲れることで背中や肩の筋肉が緊張し、凝りを引き起こし血流が悪くなる上、首が左右どちらかの方向に傾きその状態で首が固まってしまいます。
お酒の飲み過ぎや、脂っこい食事を多く摂っていると、内臓系の弱まりによってこの様な現象が起きて寝違いを起こす確率が高くなるでしょう。
寝ちがいが原因の首の後の痛みへの対処
寝ちがいは、およそ四日から七日ほどで緩和していくことがほとんどです。自然治癒を待たず、できるだけ前向きな対処を行う方法としては、動かせる範囲でゆっくりと首周りを動かしていくことです。急な力を込めた動作ではなく、そろりそろりと静かに無理なく動かすことが重要です。
ツボを押すことも良い対処法のひとつです。いくつか効果のあるツボがありますが、例えば「天容(てんよう)」と呼ばれるツボ。胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という筋肉の際、また顎と肩甲骨の間に位置しています。耳下から頭上に向けて指をぐっと押し込むのがポイントです。痛みのひどい側だけでなく、反対側のツボも押すようにします。
高血圧
血圧が急激に高まった状態が続くと、首の後から頭部にかけて鈍痛が響くように起こることがあります。
高血圧の症状
これは体が上気した状態で、上半身がぽっぽして下肢が冷えている場合などによく見られます。
血圧が高くなって首の後の痛みや頭痛が起こる場合、人によっては鼻出血を併発することもありますし、また吐き気が起こります。状態が悪くなっていけば、目眩や不眠、イライラ感も出てきて悪循環していきます。
高血圧によって痛みが生じる原因は、血液の流れやリンパの流れが阻害されることで、頭の重さが加わり、ますます痛みが増悪していくわけです。
高血圧になる原因
そんな痛みを発生させる可能性のある高血圧になる原因は、代表的なものでは加齢や運動不足や塩分の摂り過ぎや肥満や遺伝などが考えられます。
その他にも、ホルモンの異常や肝臓や血管の異常などの病気によっても二次的に高血圧の症状が現れることがあります。しかし、高血圧は原因が特定されているものだけではなく、原因が不明のケースも多々あります。特に遺伝の可能性が高いケースも多く見られるため、生活習慣を気をつけるだけでなく、自分の家系の血圧が高いのかどうなのかを調べておくことも重要でしょう。
特に男性では50代から、女性では60代から高血圧の症状が老化とともに現れやすく、5割以上の人に高血圧の傾向が確認されます。
高血圧が原因の首の後の痛みへの対処
対処としては、何より血圧を下げることを心がけましょう。病院にかかって降圧剤を処方してもらうのが最も手早い対処方法です。また日頃の対応策としては、塩分の摂取量を減らすようにすること、肉類や野菜などバランスを考えて食事をとるなどがあります。
老化による高血圧の症状は防ぎ様がないので、肥満、運動不足、食事、温度差、ストレス、睡眠不足、喫煙などのことに注意して血圧の上昇を回避しましょう。
ストレートネック
首の後ろが痛いのはストレートネックである可能性があります。
ストレートネックの症状
一般の多くの人の首(頸椎)の形はS字になっていると言われています。首の上には体の中でも重たい部位に入る頭が乗っかっています。首(頸椎)をS字にすることで、ほど良いクッション効果で首(頸椎)にかかる衝撃を和らげているわけです。
しかし中には、首(頸椎)の形がS字ではなく、ほとんどまっすぐに伸びた形になっている人がいます。これをストレートネックと呼んでいます。
ストレートネックの人は、重たい頭から加わる衝撃を和らげることが出来ず、よく首(頸椎)の痛みを訴えるようになります。首の痛みを訴えて整体などにかかり、首を引っ張り上げる「けん引」を間違った強さ、回数、角度などで行ったために、かえって逆に首を悪くするケースも多く報告されています。
首は大事な場所なだけに慎重な治療が必要になります。
ストレートネックになる原因
パソコン作業やスマートフォンの長時間の使用によるうつむき加減の姿勢や猫背などの正しくない姿勢を長時間行うことによって首の理想的なカーブである30〜40度の曲線が失われ、首が真直ぐになってしまうことが大きな原因です。
またその他にも、社交ダンスやバレエなどで過度な姿勢の矯正を行っている人もこのストレートネックを発症する可能性があります。この場合では姿勢を良くしようと、顎を引き首をまっすぐにすることで、逆に首がカーブするほどの症状になる人も居ます。
その他にも、事故やスキーやスノーボードによる外傷や衝撃でもこの様な症状が出ることがあります。似た理由で、ボクシングや格闘技でも背中を丸めて顎を引く姿勢を長時間続けることでストレートネックになるケースもあります。
ストレートネックによる首の後の痛みへの対処
首の痛みだけでなく、ひどくなると手のしびれや目眩にも悩まされます。きちんとした対処が必要です。
まず簡単に行えるのは、使っている枕を見直すことです。人はおよそ一日の三分の一を枕の上で過ごしてます。それだけの時間、頭をあずけている物なので、無理なく眠ることが出来る枕を使うようにします。枕は自分で探すよりも、専門家に相談をする方が近道です。どういうタイプの枕がいいか、整形外科にかかってみましょう。
しかし、ストレートネックに関する劇的な効果のある対処法はまだ確率されていないというのが正直なところのようです。出来るだけ首に負担がかからないように、デスクワークのように長時間同じうつむいた姿勢を続けないことや、無理な姿勢でテレビを見続けたりしないこと、またやはり枕を見直すことが基本になると思います。
むち打ち症(頸椎捻挫)
「寝ちがい」や「ストレートネック」などに似ていますが、状態としてはそれ以上にひどく、長期間重症化が続くことがあるのがむち打ち症です。専門的には「頸椎捻挫」と呼びます。
むち打ちの症状
むち打ち症は、首の痛みに加えて、吐き気、頭痛、目眩、ひどい耳鳴り、肩こりなどの自律神経症状が継続的に起こります。
また、むち打ち症は交通事故などによって、例えば車に乗っていて後方からぶつけられるような事故があった際によく現れる症状です。頭は重たくて、首はどちらかといえば柔軟でふにゃっとしています。備えがないまま、車を後からぶつけられたとすると、体はその衝撃で瞬間的に前に押し出されます。首はふにゃっとしているので、少し遅れて重たい頭を引っ張る形で前に押し出されます。
この動作が、まるで「むちを打つみたい」になることから名付けられています。またこの動作によって、首が捻挫(ひどい時は骨折することもあります)を起こすのです。
むち打ちの原因
むち打ちの主な原因は事故ですが。これは頚椎椎間板ヘルニアが原因になって発症します。直接脊髄神経を圧迫するのではなく、外傷により頚椎椎間板ヘルニアが外側に出てしまい、脊髄神経を過ぎて腕や首に続く神経系や自律神経を圧迫して症状を引き起こします。
むち打ちは頸椎椎間板ヘルニアによって引き起こされていたのです。
またその他にも首の靭帯が傷つくことで引き起こるものもあります。この場合はマッサージをすると悪化する可能性があります。
むち打ち症(頸椎捻挫)による首の後の痛みへの対処
何より早めに整形外科などにかかり、レントゲンを撮るなど状態を把握します。そして「頸椎カラー」などの器具で首を固定して極力動かさないようにすることです。
整形外科では、けん引や注射、処方によって治療をします。また、鍼灸にかかって鍼治療やお灸を据えることも効果があります。鍼灸治療を行う場合、薬局に売っているものを自前で使うのではなく、整形外科にかかるように、きちんと専門家に診てもらうようにしましょう。
首ヘルニア(頚椎椎間板ヘルニア)
首ヘルニア(頚椎椎間板ヘルニア)は、首の痛みを訴えるもののなかでも重症度が高いもののひとつです。首(頸椎)は、骨と骨が組み合わせって成り立っています。首の骨と骨の間、つまり頸椎の間にある椎間板がヘルニアになってしまった状態を指しています。
首ヘルニアの症状
通常はすらっと並んでいる椎間板が、何らかの原因によって飛び出してしまい、頸椎に沿って伸びている神経を押すことによって、神経が情報伝達をうまく出来なくなるのです。
神経伝達がうまくいかなくなるとどうなるのか。例えば首回りの痛みはもちろんのこと、上肢のしびれや感覚異常、排尿がうまくいかない、筋力の低下などを引き起こすことが知られています。美容師などが首ヘルニアになると、ハサミが使えなくなるといいます。単なる首の後の痛みだけでは済みそうもありません。
頚椎椎間板ヘルニアの原因
原因が特定しづらいと言う特徴がある頸椎椎間板ヘルニアですが、症状から考えられるのは老化による椎間板の変形が原因になることや、激しいスポーツや姿勢の悪化などが原因で引き起こる場合もあります。激しいスポーツをしている場合は、若い年代の人にも発症する可能性があります。
その他にも脱臼や外傷が原因で症状を発症する場合もあります。特に30代〜50代の間で多く見られる傾向があります。
首ヘルニア(頚椎椎間板ヘルニア)による首の後の痛みへの対処
頸ヘルニアには、重症のものと軽度のものに分けられます。重症のものは四ヶ月以上も首や頭の痛みや手先のしびれなどが続き、歩行障害などにも発展します。これは整形外科にきちんとかかって治療を受けなければなりません。
それ以外のものは軽度のものです。激しい運動は控えること。枕の高さや形状、固さなどを見直すこと。鎮痛剤などで痛みをコントロールしながら、現段階の状態にあったマッサージや鍼灸治療などを行うことで、少しずつ改善していきます。
マッサージを行う場合、自分で直感的にやるよりも、やはり専門家に相談しながらやることをおすすめします。また痛みのある首を直接手がけるのではなく、痛みの周辺の遠い場所から少しずつ痛みの中心に向かって様子を見ながら手技を行うのがいいでしょう。
リンパの腫れ(悪性リンパ腫)
最も注意をしたいのがリンパの腫れ(悪性リンパ腫)による痛みでしょう。
リンパの腫れの症状
リンパは体内に侵入してきた外敵(細菌やウィルスなど)を攻撃して、その後に残った老廃物を体外へと排出する働きを行う重要な器官です。
リンパが腫れるということは、防衛をしている中で、何らかの理由で炎症が起きたりして腫れている可能性があります。また、血液の病気と言われる「悪性リンパ腫」にかかっている可能性もあります。
悪性リンパ腫とは、体外から侵入してきた外敵(細菌やウィルスなど)から防衛している時に、リンパ球が異様に増殖しすぎた結果、それが腫瘍となってしまうのです。
ただし、悪性リンパ腫の場合、初期症状としては痛みはありません。むしろ患部の腫れによって気がつくことが多いようです。しかし発熱したり緊張型頭痛が引き起こったり、全身の倦怠感が起こり、また皮膚のかゆみを訴えるようになります。そして次第に首回りの痛みも発症することになっていきます。つまり患部に痛みを感じるようになった時には、だいぶ状況が進行した後だと言えます。
リンパの腫れの原因
リンパの腫れの原因はリンパに侵入したウィルスなどの悪さをする物質から体を守るために体内の白血球が戦うことで腫れの症状を起こします。特に首のリンパを腫らす場合は湿疹や風邪の症状が原因になっている場合が多いです。
また少ないケースですが、虫歯の菌がリンパに流れることでも首の当たりに腫れが起こることもあります。
首のリンパが腫れると、首が動かしにくくなるだけでなく、動かすことで痛みを発生させる場合が多いです。悪性リンパ腫が起こる原因は不明な点が多いです。現段階ではエプスタイン-バー・ウィルスというウィルスが関係しているのではないかと言われています。
リンパの腫れ(悪性リンパ腫)による首の後の痛みへの対処
最も手軽で効果的なのは、おかしいなと思ったら早期に内科にかかることです。悪性リンパ腫は、その名の通りリンパで発症する病気ですが、リンパは体中に800ヶ所程度あると言われており、それぞれが繋がっているため、リンパを伝わって転移する可能性が高い病気なのです。
しかも発症してからの進行も早いので、なるだけ早めの対応を心がけます。また、そうした性質から家庭の医学程度の知識では対応が出来ません。悪性リンパ腫ではないかと思うところがあれば、個人で解決しようとせず専門家に相談して下さい。
詳しくは、リンパ腫の良性、悪性の違いは?症状や原因についてを読んでおきましょう。
まとめ
首の後の痛みにはいろいろなケースがあることが分かりました。また、首のケアをする場合には、痛みのある患部を直接マッサージなどするのではなく、周辺から少しずつ優しく中心に向けて様子を見ながら行いましょう。
特に肩凝りなどの症状を患っている人に多く発症する可能性があるようです。ストレッチなどの行って疲労回復能力を高める治療法もいいでしょう。
命にかかわるものの中には、リンパ節を伝わって転移するものもあります。進行が早いため異常に気がついたら放置せずに、すぐに対応しましょう。
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