お祖父さんは酒豪なのに、お父さんは全く酒が飲めない。息子は底なしのノンベ(呑兵衛)となると、たいていの人が「お祖父さんの隔世遺伝ですね」と笑います。
親の形質が子に伝わる現象を「遺伝」といいます。親の形質を受け継ぐから、親子は似ているのです。ところが、親が持っていない形質が、子に現れることがあります。祖父母あるいは曾祖父母の形質が現れることを、「隔世遺伝」とか「先祖返り」といいます。
ヒトは、あらゆる分野で遺伝と関わっています。身体的特徴や病気だけでなく、知能や心も遺伝と関連性があります。ただ、遺伝子の優性劣性や、生活する環境で、現れ方が異なります。
隔世遺伝のしくみや、遺伝する体質や才能、病気についてお伝えしますね。
隔世遺伝のしくみ
「隔世遺伝」とは、「個体の持つ遺伝形質が、その親の世代には発現していないで、その祖父母またはその前の世代から、世代を飛ばして受け継がれたように見える遺伝現象」です。「間歇遺伝(かんけついでん)」「先祖返り」ともいいます。
「遺伝」とは、「生殖により親の形質が子供へ伝わる現象」です。しかし、親の全ての形質が子へ伝わるわけではありません。伝わりにくい形質や、発現しにくい形質もあります。そのために、何世代かおいて形質が発現することがあります。
[遺伝情報の伝達]
個体(ヒト)を造る設計図のようなものを「遺伝情報」といいます。遺伝情報は遺伝子上に存在します。
遺伝に関する用語を簡単に解説しますね。くわしいことは、専門用語の辞書や用語解説に書いてあります。
DNAと遺伝子
細胞には核があります。核の中には染色体があります。染色体はヒストンというタンパク質にDNAが糸のように巻き付いているものです。細胞分裂の時に核から出て、凝縮されて棒状の染色体を形作ります。
DNAは英語で「deoxyribonucleic acid」、「デオキシリボ核酸」です。DNAのところどころに遺伝子があります。DNAの遺伝子でない部分にも遺伝子を調節するなどの働きがあるので、遺伝子以外の部分も含めて遺伝情報と考えます。
染色体
染色体は遺伝情報の伝達と発現を担っています。
ヒトの染色体は46あります。22対の常染色体と、1対の性染色体です。性染色体はX染色体とY染色体があります。女性は性染色体がXX、男性はXYになります。
通常の細胞分裂が行われる時は、染色体は同数に分かれ、どの細胞にも46あります。しかし、卵子や精子を作る時には、「減数分裂」といって、染色体が半分になります。22の常染色体とXかYどちらか1の性染色体に分かれます。
ですから、卵子が精子を受け入れて受精卵ができると、染色体の半数は父から、半数は母から受け継いで、46の染色体になるのです。遺伝情報を両親から受け継ぐわけです。
[遺伝情報の伝達と発現は別]
遺伝する形質には、優性遺伝子と劣性遺伝子の別がはっきりしているものがあります。優性とは「形質が発現しやすい」、劣性とは「形質が表に現れにくい」という意味です。優性遺伝子は1つでも形質が発現しますが、劣性遺伝子は2つ(1対)揃わないと、形質が発現しません。
父親と母親、両親ともに劣性遺伝子を1つ持っている場合、父にも母にも、形質は発現しません。優性遺伝子の形質のみが発現します。ところが、子の世代では、1/4 の確率で劣性遺伝子を2つ持つことになり、劣性遺伝子の形質が発現します。祖父母の世代に劣性遺伝子を2つ持っている人がいれば、世代を飛び越して遺伝したように見えます。これが、「メンデルの法則」です。
遺伝情報をちゃんと持っていても、その形質が現れないことがあります。しかし、遺伝情報は次世代へきちんと伝えられますから、どこかの世代で形質が発現します。これが「隔世遺伝」です。
[血液型にも隔世遺伝がある]
血液型には、A型・B型・AB型・O型があります。O型の遺伝子は劣性遺伝子です。
血液を遺伝子型で表すと、AA・AO・BB・BO・AB・OOとなります。AOとBOは、表面上はA型とB型になります。O型になるのは、OOだけです。
A型の父とB型の母からO型の子供が生まれ、「母親の浮気の子ではないか?」とか「産院で取り違えられたのではないか?」とか、大騒ぎになることがあります。
でも、AOの父とBOの母からは、AB・AO・BO・OO の4種類の遺伝子型の子が生まれます。1/4 の確率でO型の子供が生まれる可能性があります。
父方もしくは母方の祖父母の、少なくとも1人がO型なのです。
[伴性遺伝]
「伴性遺伝」とは性染色体に依存する遺伝パターンです。
女性は染色体パターンがXX、男性はXYです。劣性遺伝子によって疾患が発症する場合、X染色体に劣性遺伝子情報があると、男性に発症しやすくなります。女性は、X染色体が2つ揃わないと発症しませんが、男性はX染色体1つだけで発症してしまいます。
X染色体上に異常があると、男性は1/2の確率で母親から異常遺伝子情報を受け取り、1/4の確率で疾患が発症します。しかし、女性は1/2の確率で母親から異常遺伝子情報を受け取っても、父親が正常であれば、発症することはありません。
伴性遺伝の場合、女性はXXが揃わないと発症しないので、何代も遺伝子が隠れたまま伝えられ、ある世代で突然発症するということがあります。
伴性遺伝には、赤緑色覚異常・血友病・性染色体劣性遺伝筋ジストロフィーなどがあります。
赤緑色覚異常
伴性遺伝の例として、赤緑色覚異常がわかりやすいと思います。
赤緑色覚異常の性染色体をⓍ、正常色覚の性染色体をX、Yで表示します。
祖父Aの性染色体はXY、祖母Aの性染色体はⓍXです。すると、その子は、ⓍX・XX・ⓍY・XYのいずれかの染色体パターンを持つことになります。色覚異常が発現するのは、ⓍYの男子だけです。祖父Aと祖母Aに女子a子(ⓍX)と男子a男(XY)の2人しか生まれなければ、2代続けて、色覚異常は発症しません。
祖父B(XY)と祖母B(XX)の男子b男(XY)とa子(ⓍX)が結婚して、C男(ⓍY)が生まれれば、突然、赤緑色覚異常が発症します。先祖を何代か遡ると、色覚異常の女性か男性が必ず見つかります。まさに隔世遺伝・先祖返りです。
遺伝はどこまで影響するか?
ヒトは、体質・気質・知能・才能・体力・身体的特徴・病気などあらゆる分野において、多かれ少なかれ遺伝との関連性があります。もちろん、育つ環境や生活習慣によっても影響されますが、ヒトの一生の多くの部分が遺伝に関係しているのです。
寿命も遺伝します。長生きする家系、短命の家系というのがあるのですね。ただ、遺伝子の組合せには多様性がありますし、何が起きるかわからない世の中ですから、例外もあります。
現在、アメリカでは「遺伝子検査」が人気です。遺伝子情報全体を「ゲノム」といいます。ヒトゲノムの全容がほぼ解明されたため、遺伝子検査で、その人が、いつ、どのような病気にかかるか、どのような状態になるか、わかるようです。
[知的能力は遺伝する?]
脳はヒトの身体の一部ですから、当然、遺伝と深い関連性があります。心や知力は脳の働きによるものですから、遺伝に左右されます。
「身体の特徴は遺伝だが、心は遺伝しない」というのは間違いで、「頭のいい親から、頭のいい子が生まれる」のが本当なのです。
知能は遺伝する
知能と関わるのは大脳前頭葉です。大脳前頭葉の表面積・厚さ・密度は80%遺伝します。IQ(知能)は60%、小学生の学業成績は50%が遺伝に影響されます。IQや学力は、加齢とともに遺伝との関連が強くなります。
脳内の神経伝達物質受容体は遺伝します。この神経伝達物質は集中力や1つのことを考える持続力に関わっているので、「一生懸命勉強する力」「努力する力」は、遺伝ということになります。
ただ、「宝の持ち腐れ」とか「ダイヤモンドも、磨かないと光らない」というように、優れた能力因子が遺伝されていても、自分で活用しないと何にもなりません。脳神経細胞は、使われると発達し、使わないと消滅する性質があるのです。脳をよく使えば、脳神経細胞に活性力がつき、それなりに能力因子が働くようになります。
(数学・文章力)
数学に関係する空間認知能力や計算力も遺伝します。文章を論理的に構成する能力や、執筆する能力は、80%遺伝するそうです。(作文が苦手なのは、親のせいなのね!)
(方向音痴)
空間認識能力や幾何学的才能は遺伝します。そのため、自分の現在位置を認識するのが苦手である「方向音痴」も遺伝します。
発想力や絶対音感は後天性
絶対音感や楽器を演奏する能力は、遺伝よりもトレーニングで形成されます。
発想力など20代~30代にピークに達する能力は、遺伝性より後天性が強いようです。
[運動能力は遺伝する?]
足の速さや跳躍力は遺伝が大きく関わっています。
足の筋肉には「速筋」と「遅筋」があります。速筋は、筋肉の爆発力(瞬発力)は大きいが、持続力が弱く、遅筋は爆発力は小さいが、持続力が強いのです。
競馬用の種牡馬は足の爆発力が極めて重視されます。ヒトも、速筋が多いと、短距離走や野球に向いています。遅筋が多い人は、マラソンやサッカーに向いています。
訓練で速筋を遅筋に変えられる
ところが、ヒトは訓練で速筋を遅筋に変えることができます。短距離走のアスリートがマラソン選手になることができます。
ただし、どんなに訓練しても、遅筋を速筋に変えることはできません。マラソン選手がスプリンターになるのは、難しいのです。
遺伝で活躍することもできる?
アメリカの有名な種牡馬ダンジグ(Danzig)は、自分ではそれほどの実績を残していませんが、その子や孫には優秀な競走馬が生まれています。孫馬には、スタートダッシュの爆発力やスプリント能力を発揮する馬を排出しています。(Danzigの読み方は日英では少し違います。)
遺伝で優れた能力を伝えることで、社会に貢献することもできるのですね。
[浮気性は遺伝なの?]
性的な奔放さや開放性は、50~60%程度遺伝するようです。これには、ドーパミン受容体遺伝子が大きく関わっています。
ドーパミンは「幸せホルモン」の1つで、好奇心や冒険心を司ります。褒められるとやる気が出るので、「やる気」ホルモンとも呼ばれます。「やる気」や好奇心・冒険心が、ちょっと間違った方向に向くと、不倫や浮気に走るのですね。
依存症・軽犯罪傾向
ギャンブルやアルコール、薬物の依存症、窃盗や器物破損、家出なども30~50%遺伝するようです。
心の遺伝は、薄闇の中
心は脳の働きによるものですから、遺伝が関わっているのは確かですが、知力や心の動きには、いろいろな遺伝子が複雑にからみ合って影響しています。その人(個体)のおかれている環境や社会的心理的ストレスも大きく関わります。
心に関連する遺伝の研究は、まだ薄闇の中をそろそろと進んでいるようなものです。全容がはっきりするまでには、時間がかかるでしょう。
[身体的特徴は遺伝する]
身体的特徴は、遺伝との関連性がかなり大きいと言えます。
乳房の大きさも明らかに遺伝します。第二次性徴の出現時期やホルモンバランスが遺伝するためです。
体臭(ワキガ)やハゲ(男性型脱毛症 AGA)など体質も遺伝します。
体格は遺伝する
骨格や身長、手や足の長さは遺伝性が極めて強いのです。身長は90%、足の長さは80~90%遺伝します。親子は体も似るのですね。
肥満には生活習慣や環境も影響する
肥満体(デブ)も遺伝します。肥満しやすい体質が遺伝します。
しかし、肥満は食習慣や生活習慣とも大きく関係しています。脂質や糖質の多い食事を摂り、運動量が少ないと、当然太りますよね。ですから、両親とも太っていて、子供も太っているのは、遺伝に加えて、太りやすい食事をして、太りやすい生活をしていると考えられます。
顔立ちの遺伝
顔の輪郭、目の大きさ、鼻の高さ、肌の色、歯並びは、遺伝します。
ただし、染色体は半数ずつ父と母から受け継ぎますから、どちらの形質が発現するかは50%50%です。似ていない親子もいるのです。
[遺伝する病気]
遺伝で最も気になるのが、遺伝性の疾患です。アメリカの遺伝子検査サービス「23andME」では、170種類の病気と身体特徴など57種類の検査項目について、遺伝子検査を行います。いつ、どのような病気になる可能性があるのか、予測できれば、生活習慣などを改善して予防することができます。
アンジェリーナ・ジョリーが、遺伝子の異常で乳ガン発症の可能性が高いと知って、両乳房を切除した(のちに乳房再建)のは有名な話ですね。
糖尿病・高血圧・若年性アルツハイマー
両親ともに糖尿病だと、その子は65歳までに40~50%の確率で糖尿病を発症します。
両親ともに高血圧症だと、その子は50%の確率で発症します。
両親ともに糖尿病もしくは高血圧症であれば、その子供は病気の予備軍と言えます。若い時から生活習慣・食習慣に注意する必要があります。
若年性アルツハイマーも遺伝的要素が強いのですが、患者数はアルツハイマー患者の1%にすぎません。
ガン
ガンは遺伝子の異常です。細胞の複製をコントロールする遺伝子に異常が起きると、細胞複製が障害され、異形細胞(ガン細胞)が生じます。ガン細胞は際限なく増殖し、全身に広がります。遺伝子異常は加齢とともに起きやすくなります。また、放射線や環境要因によっても遺伝子は変異します。
ガンの中には遺伝するものがあります。遺伝子変異が生殖細胞に持ち込まれ、世代から世代へと受け継がれていきます。
乳ガンや卵巣ガン、大腸ガンは遺伝する確率が高いと言われます。遺伝子検査で予測し、食習慣を改善したり、定期健診をこまめに受けたりすることで、ガンが進行する前に対処できます。
(ガン剤治療)
また、ガン治療にも遺伝治療が行われ始めました。ガンは遺伝子異常の集積ですから、遺伝子異常を減らせばいいのです。最新の遺伝子のガン剤治療では、ガン剤を点滴したり注射したりして、遺伝子異常を減らします。
2~3週間で効果が現れ、ガン剤に耐性(薬剤が効かない)ができることはありません。放射線療法や化学療法で免疫力が低下していても、ガン剤治療ができます。
困った遺伝体質
遺伝すると困る体質はいくつもありますが、その中でも、男性は「男性型脱毛症AGA」に、女性は体臭(ワキガ)に悩むことが多いようです。もちろん、男性もワキガは困りますよね。
[男性型脱毛症]
男性型脱毛症は、進行性の脱毛症です。遺伝と男性ホルモンが関係しています。
男性型脱毛症の遺伝子はX染色体にある
母方の祖父が男性型脱毛症だと、その遺伝子が母親に受け継がれ、その子に男性型脱毛症が発症することがあります。母方の祖父から孫の男子にハゲが隔世遺伝するのです。
男性型脱毛症の遺伝子はX染色体にあります。X染色体上にある男性ホルモン「アンドロゲン」の受容体遺伝子に変異があるのです。
母方の祖父が、ハゲまたは薄毛だと、父が髪の毛の問題が全くなくても、子がハゲや薄毛になる可能性があります。父方の祖父がハゲ・薄毛でも、孫は何ともない可能性があります。
(母方・祖母方の家系に注意)
父も祖父もハゲ・薄毛ではないのに、孫息子が男性型脱毛症で悩むことがあります。祖母方の家系を見ると、祖母の父、または祖母の祖父(高祖父)が男性型脱毛症です。父方や祖父方の家系ではなく、母方・祖母方の家系から、男性型脱毛症の因子が遺伝するのです。
赤緑色覚異常と同様に、X染色体上に遺伝子があると、隔世遺伝することが珍しくありません。
(薄毛家族になることも・・・)
男性型脱毛症は遺伝するので、兄弟揃ってハゲ・薄毛に悩む薄毛家族になることがあります。母方の祖父と父がハゲだと、薄毛家族になる可能性が高くなります。
男性型脱毛症の原因物質は、男性ホルモン
男性型脱毛症には、男性ホルモンが関係しています。
男性ホルモン「アンドロゲン」はステロイドホルモンの1種です。アンドロゲンには、テストステロン・ジヒドロテストステロン・デヒドロエピアンドロステロンの3種があります。
男性型脱毛症の原因物質は、ジヒドロテストステロン(DHT)です。テストステロンは5aリダクターゼという酵素によって、より強力なジヒドロテストステロンに変わります。
ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体(男性ホルモン受容体)と結びつくと、ヘアサイクルが乱れます。髪の毛が太く長く成長する前に抜けてしまいます。短い細い毛が多くなるので、薄毛に見えるようになります。脱毛が多くなれば、ハゲになります。
男性型脱毛症は進行性ですから、前頭部から頭頂部へと薄毛・ハゲが広がっていきます。
脱毛治療
男性型脱毛症に対処する方法は、進行を止める薬剤の服用と育毛剤の使用です。
テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する酵素5aリダクターゼの作用を抑制するフィナステリドを経口投与します。フィナステリドは医療用医薬品です。
頭髪の成長を促すミノキシジルを外用薬(育毛剤)として頭皮に使用します。「リアップ」という育毛剤が市販されています。
早期に専門医に相談して、薄毛対策をすることをオススメします。
AGAドック
男性型脱毛症になる可能性は、自分で調べられます。
「AGAドック」という男性型脱毛症遺伝子の検査キットを購入し、カルポーター(綿棒)で頬の内側の細胞を採取して送付すればいいのです。2~3週間で検査結果が自宅に郵送されます。
[ワキガ]
「ワキガ」は「腋臭症」「臭汗症」ともいいます。脇の下から、特有のすっぱいような刺激臭がすることです。病気ではなく、体質です。自分では気づかず、人に嫌な顔をされて、ハッとする人もいます。
ワキガの原因はアポクリン腺
ワキガの原因は、アポクリン腺(アポクリン汗腺)です。アポクリン汗腺から出る汗は、運動した時に、全身に分布するエクリン腺から出る汗と違い、乳白色で脂質とタンパク質を含み、粘り気があります。この汗が細菌によって分解される時に、特有の刺激臭が生じます。
アポクリン腺から出る汗は、衣服の脇下に黄色いシミを作ります。
アポクリン腺の量が多ければ、臭いが強くなり、「ワキガ」に悩むようになります。
アポクリン腺から多量に汗が出る「多汗傾向」をともないます。
アポクリン腺は脇の下に多く集まっていますが、女性の中には、性器や乳輪に存在することがあります。性器のワキガは「すそワキガ」といいます。
アポクリン腺が活動するのは、第二次性徴の現れる頃で、ワキガが出るのは思春期以降です。
ワキガは優性遺伝
アポクリン腺の量は生まれつき決まっています。つまり遺伝で決まるのです。
アポクリン腺の多いワキガは、優性遺伝です。父親か母親のどちらかがワキガなら、その子は50%の確率でワキガになります。両親ともワキガなら、80%の確率でワキガになります。
ワキガの治療
ワキガの治療は皮膚科または美容外科が専門です。
軽症ならば薬物療法で様子を見ます。手術で対処することが多いのですが、手術の方法は多種類あります。医師とよく相談して、手術方法を選びます。
自分の体臭に悩む女性は少なくありません。まして、人に不愉快な思いをさせるワキガであれば、うつ症状に陥ることもあります。
早めに専門医に相談することをオススメします。
まとめ 人の生き方は遺伝だけでは決まらない
遺伝は、ヒトのあらゆる分野に関わっています。身体的特徴から体質、知的能力や運動能力、心の動きから病気に至るまで、遺伝が関わっています。
ヒトゲノムの全容が解明された現在では、個人の未来を遺伝子から予測することもできます。発症する可能性の高い疾患を予知できますから、予防措置をとることもできます。
遺伝形質は必ず表に現れるとは限りません。遺伝子の仕組みにより、一世代または何世代かおいて、形質が表面に出ることがあります。「隔世遺伝」とは、世代をおいて遺伝形質が発現することです。思いがけない形質が現れて、驚いたり悩んだりする人は少なくありません。
でも、人間の生き方が全て遺伝で決まってしまうとは思えません。どんなに優れた能力を受け継いでいても、それを活かす努力をしなければ、まさに「宝の持ち腐れ」です。
遺伝した能力が優れていなくても、いろいろな事情により、持っている能力を最大に発揮しなければ生きていけないことがあります。そうした人の能力は、遺伝された優れた能力を上回ることが珍しくありません。
ヒトの遺伝子は複雑にからみ合い、影響し合っています。そこへ環境因子や生活、社会的ストレスなど、多様な因子が加わります。遺伝子だけでは決まらないことが多いのです。
困った形質が遺伝されても、悩むことはありません。遺伝情報が解明された現在、人間は遺伝に対抗する方法を見つけ出しています。独りで悩むことなく、専門家に相談することをオススメします。
遺伝は活用するもので、悩みの種ではありません。
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