アスペルギルス症とは、初めて聞く名前ですが皆様ご存知ですか?なんと身近な病気でした。私が知らないだけだったのかもしれません。アスペルギルス症とは、日常見られるカビの一種で、ほとんどの方が毎日吸い込んでいます。空気の中に病原体が漂っていますから、全く吸い込まない人は殆どいないと考えられます。
それなのに私はアスペルギルス症に、なってないという貴方、それは貴方が健康な身体だからなのです。免疫機能の落ちた人とか、疾患を持った人はアスペルギルスのカビ菌を吸い込むと、病原性のアスペルギルス症になってしまうのです。
アスペルギルス症のことについて、詳しく調べてみました。
この記事の目次
アスペルギルス症とは
アスペルギルス症とは、どのよう病気なのでしょうか?人の免疫状態でこの病気は変わってきます。
アスペルギス症のカビ
アスペルギルス症とは、糸状菌(しじょうきん・カビ)である日和見感染症です。アスペルギルスの胞子を吸入することで、血管にアスペルギルス菌が侵入して、出血性壊死や梗塞を引き起す病気です。
アスペルギルス症は感染症で、アスペルギルス属の真菌(カビ)を吸入することで、肺に入り身体の中で増殖して起こり、細胞性免疫が活躍できないために起こります。真菌性疾病の総称で、カビ胞子の吸入によるものです。
アスペルギス症の感染経路
このアスペルギルスの菌が、肺や副鼻腔炎内に入り込むと、菌の糸状になった血液のかたまりの白血球が絡まった、球状のかたまりが形成されていきます。また肝臓や腎臓の臓器に広がると、臓器の器官の機能が低下することになります。
堆肥の山や、通気口、空気中のほこりの中などに見られる、アスペルギルスはどこにでも存在する真菌です。ほとんどの人たちが、毎日吸入しています。真菌の胞子を吸い込むことで、アスペルギルス症が起こります。ですが健康な人は免疫力が優位に立ち、アスペルギルス症は起こりませんが、免疫機能の衰えた人や家畜が、菌を吸い込むことでアスペルギルス症を、発症させてしまいます。アスペルギルス症にはいくつかの種類があります。
アスペルギルス症の原因
アスペルギルス症の原因になるものは、何なのでしょうか?空気の中に存在します。吸わない訳にはまいりません。
病院のアスペルギルス菌
病院内でよく見られるのが、観葉植物の鉢内の堆肥や土に、原因菌が存在しています。また生花やドライフラワーの表面や、花瓶の水などにも存在しています。また病院内のエアコンやヒーターの吹き出し口、あるいは病院改築や改装の際に出る、空気中に増加したり、浮遊粉塵などから病院内でも、ありとあらゆるところから、高頻度で検出されています。
一番清潔にしているはずの、病院の中でもこのような状態です。ご家庭の中では大丈夫と、言い切れるでしょうか?
アスペルギルス症の感染
アスペルギルス症は呼吸器系の感染では、血性痰や気管支喘息、副鼻腔炎などの原因となります。副鼻腔からの直接的な感染は少ないです。また血管内に侵入すると、口蓋また歯肉の潰瘍化や血栓や、出血性壊死などの病変が起こります。
また皮膚感染では手術で縫合された、手術創に発生することが殆どで、そして急速な組織は壊死性により破壊されます。中枢神経系感染では脳腫瘍を呈し、全身に種子をまいたように広がる、全身播腫性感染の部分症となります。
アスペルギルス症の種類
アスペルギルス症の種類と、どのような人がかかり易いか調べてみました。
慢性型アスペルギルス症
慢性型アスペルギルス症は体内の、空洞になっている部分に発症します。以前肺の病気によって肺の中が、空洞になっているところなどは、発症しやすくなります。感染症が外耳道や副鼻腔に発症し、副鼻腔や肺では菌糸やかたまった血が、白血球などに絡まって、球状のかたまりを作ります。
これはアスペルギルス腫と呼ばれます。このアスペルギルス腫の真菌球は、だんだんと大きくなって、肺の組織を破壊します。慢性壊死性の症状を呈することもあります。しかし殆どの場合は、ほかに感染することはありません。
肺の病変部分に空洞ができることで、アスペルギルスのカビ菌が、口や鼻から吸い込まれ、その部分に棲みついて、カビの塊のようなものが形成される、菌塊(きんかい)ができます。この様な状態になった病態を、肺アスペルギローマまたは慢性型肺アスペルギルスと言います。この肺アスペルギルス症は、壊死性病変がおこり、慢性壊死性肺アスペルギルス症にもなり、肺膿瘍になることもあります。
かかり易い人
慢性型アスペルギルス症にかかり易い人は、肺に何らかの問題がある肺疾患や、身体の器官の器質的な疾患を患っている方、過去に肺結核を患ったことがあり、空洞性病変のある方、気管支拡張症のような、気管支が拡がったまま戻らない、気管支壁が障害される疾患のある方、または免疫不全患者がかかり易い病気です。
侵襲性(しんしゅうせい)アスペルギルス症
侵襲性アスペルギルス症は、余り見られることはありませんが、急速に肺胞の中に広がり、時々血液の流れに乗って脳、心臓、肝臓、腎臓にまで及ぶことがあり、急速に広がった侵襲性アスペルギルス症は、主に免疫低下している人に良く見られる侵襲性疾患です。
かかり易い人
アスペルギルス症にかかり易い人は、免疫が著しく低下した、コンプロマイズドホストの易感染宿主(いんかんせんしゅくしゅ)の人がかかり易いです。
免疫力が著しく低下した状態にある人は、白血球の一種の異物から、自己を守る好中球が減少して、真菌や細菌にかかり易くなっています。白血病や抗がん剤などの免疫抑制剤を、使用している方などはアスペルギルスの菌体が侵入しても、体の中で免疫を発揮することができません。その結果アスペルギルスが肺に棲みついて、増殖してしまいます。
肺の疾患の中でも、侵襲性肺アスペルギルス症は侵襲性肺疾患で、重症度が非常に高く、治療が遅れると、呼吸不全を起こして、死に至ることもあります。侵襲性アスペルギルス症は、予後がとても悪い病態で全身性の病気となります。これは難治性の病気ではありません。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、喘息や嚢胞性線維症の、基礎疾患を持つ人の中に侵入して、気道の粘膜にアスペルギルスがコロニーを作ると、気管支炎をおこし、咳、喘鳴(ぜんめい)発熱の生じる慢性のアレルギー反応を起こします。
アスペルギルスは、空気中に1立方メートルあたり、10個から20個の割合で、存在していますので、ほとんどの人が吸入しています。アスペルギルス症の中でも、このアレルギー性気管支肺アスペルギルス症はとても多いです。名前がとても長くて中々覚えられませんが、名前をアレルギー性気管支と肺アスペルギルス症と覚えると覚えられます。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、スペルギルス・フミガーツスと言う一種の真菌に対する、肺のアレルギー反応です。ぜんそくや遺伝性疾患の嚢胞性線維症の、患者に発生することが多くあります。
アスペルギルスは一般的な、侵襲性肺疾患の原因で、アフラトキシンのカビ菌はもっとも頻繁に、侵襲性肺外性疾患を持った人や、免疫不全患者においては引き起こされます。
アスペルギルス・フミガーツス
アスペルギルス・フミガーツスと言う真菌を吸い込むと、一部の人は感じやすい状態に感作(かんさ)されて、慢性的なアレルギー反応を起こします。
このほかの真菌には、ペニシリウム・カーブラリア・ヘルミントスポリウム・カンジダなどがあります。これらの真菌は、アスペルギルス・フミガーツスと同じく、同様の病気を引き起こします。また真菌による影響と、アレルギー反応による影響が組み合わさって、気道や肺を損傷します。
アスペルギルス・フミガーツスの真菌は土壌で繁殖し、植物、水を腐敗、食品、ごみなどに存在しています。
気管支拡張症
典型的な肺炎の細菌やウイルス、大半の真菌によって、引き起こされる肺炎のものとは異なり、この病気は直接真菌が肺に侵入して、肺組織を壊滅するようなことはありません。粘膜の量が多すぎる傾向にある、喘息や嚢胞性線維症患者では、真菌が呼吸の通り道にコロニーを作ります。
そして繰り返し肺でアレルギー炎症を起こします。肺胞は好酸球でいっぱいになる、酸球性肺疾患をともない、この病気が広範囲に進んでくると、気管支拡張症と呼ばれる、肺の炎症により気道が、恒久的に広がる病気になり瘢痕(はんこん)化を残し、アレルギー性肺疾患を患います。感染性肺炎を起こします。
菌性肺炎
また別の種類のアスペルギルス症が発生することがあり、免疫システムが低下している人は、アスペルギルスが肺に侵入し、重い菌性肺炎を起こすこともあります。また結核などの他の病気で損傷した、肺の空洞や嚢胞の中にアスペルギルスは侵入し、アスペルギルス菌球と呼ばれる、球状の塊の真菌を形成することがあり、大量の出血を起こす症状を引き起こします。
また時には発熱や軽度の喀血(かっけつ)が見られるようになり、咳や喘息の症状が現われるようになります。医師は胸部X線検査、血液検査、皮膚テストなどを行って、診断を下すことになります。一般的には喘息の治療薬が使用され、治療しないと慢性的な肺損傷を生じます。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症にかかり易い人
肺アスペルギルス症には、慢性・急性の他にアレルギー性があります。アスペルギルスに対してアレルギー反応を起こします。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は、アレルギー体質の方に発症します。
アスペルギルスに対するアレルギー反応で起こる病態は、気管支喘息や過敏性肺炎など様々あります。このうちもっとも多いのが、「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症という病態です。
ちなみに夏エアコンなどの中で発生した、アスペルギス菌が空気中に放り出されて、アスペルギスを吸い込んだ場合、免疫が低下しているときなど、夏型過敏性肺炎などが引き起こされます。
この3つのアスペルギス症の場合に、共通して言えることは、人間側に原因があることです。健康な人は吸い込んでも症状を引き起こすことはありません。
アスペルギルス症の症状
アスペルギルス症の最も一般的な型は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症で、その次がアスペルギルス腫、侵襲性アスペルギルス症です。
急速に進行する肺の侵襲性アスペルギルス症が発症すると、咳、発熱、胸痛、呼吸困難などの症状が起こります。侵襲性感染のこのタイプの侵襲性アスペルギルス症は、早期発見されなければ死に至ることもあります。
肺内の真菌の塊が症状を起こさないで、胸部X線検査などで発見されることもあります。また何度も咳に血が混じる血痰が出たり、まれに出血がひどくて生死に関わる事もあります。
外耳道のアスペルギルス症では、夜寝ているときに耳から液がにじみ出て、朝起きると枕にシミができ、かゆみや痛みを生じることがあります。また副鼻腔のアスペルギルス症では、鼻腔が詰まり痛んだり、鼻汁がでたりします。
アスペルギルス症がほかの臓器に広がると、発熱、悪寒、ショック、せん妄、血液の凝固などの症状が見られるようになり、体調が非常に悪くなります。黄疸をおこす腎不全や、肝不全、呼吸困難なども起こり、致死性の高い疾患といえます。
症状の出ない人もいます。痰に血が混じったり、発熱、胸痛、呼吸困難など起こる人もいます。
アスペルギルス症の検査
アスペルギルス症の検査では、血液検査、レントゲン検査、CT検査、培養検査などがあります。
血液検査
血液検査ではアスペルギルスのIgE抗体と、IgG抗体を調べて、この2種類が陽性であると、アレルギー性気管支アスペルギルス症が疑われます。アレルギー性気管支アスペルギルス症と疑われた場合は、こんどはアスペルギルス症の血液検査を行います。
それと同時に胸部X線検査も行い、アレルギー性気管支アスペルギルス症と診断されたら、一般に喘息の治療薬を使用します。
画像検査
血液検査で病気が疑われたら、レントゲンあるいはCT検査をします。診断を下すときの手掛かりとして画像所見が行われます。
組織病理検査
感染組織のサンプルが採取可能な時は、染色及び培養検査に出して増殖させ、真菌の種類を特定します。肺や副鼻腔から気管支鏡や鼻鏡の内視鏡をつかい、感染組織を採取することもあります。
診断が行われるのはCTコンピュータ断層撮影か、レントゲンX線検査により、画像所見が下されて、可能であればサンプル培養の検査をします。
アスペルギルス症の治療
アスペルギルス症の治療には、どのような治療方法があるのでしょうか?治療法を見てみます。
アスペルギスを吸い込んで、アスペルギス症になった場合、副鼻腔や肺の一か所だけである場合は、進行性が遅いため、治療は必要ですが、通常即座に危険な状態に陥ることはありません。
しかし感染が広く進んでいる場合、また患者の状態が良くない場合、急いで治療を開始することになります。
菌治療
侵襲性アスペルギルス症の治療には、薬としてアムホテリシンB、ポリコナゾールなどの抗真菌薬を使います。しかしアスペルギルスのカビ菌の中には、薬が効かない種類もあり、単独また他の薬剤と併用して治療する必要が生じます。
アスペルギルス症の疑いのある場合には、確定診断を待たず適応菌種が広い、抗真菌薬投与が行われます。また外耳道アスペルギルス症では、外耳道から真菌を掻き出し、治療は高真菌薬を点耳します。
アレルギー性気管支アスペルギルス症を発症した場合は、吸入ステロイド薬や抗真菌薬を長期に使用することで、安定な状態に落ち着きます。
手術
肺内の真菌の塊が大きな血管の近くにできたものは、手術で摘出します。これはアスペルギルス菌が血管内に侵入して、出血を起こす恐れがあるためです。
また病変部位が局所的な場合にも、手術が行われる場合があります。
アスペルギルス症の予防
アスペルギルス症の予防はどの様にしたら良いのでしょうか?
アスペルギルス症の予防はまずカビ対策が必要となります。一家で家の隅々まで清掃して、空気清浄器なども利用すると良いと思います。
部屋の湿度を調節して、カビの増殖を抑えることが必要です。そして一番気を付けなければならないのが、エアコンなどの室内の掃除です。エアコン内部は、ダニやその糞などカビが餌にするハウスダストなどがあり、エアコンを回すことで、カビの胞子が部屋に蔓延します。
またキッチンの油よごれや、花粉、フケ、ペットの毛、外から排ガスの成分がアレルギーとなります。部屋の湿度を調節して、カビの増殖を抑えるなど、特に梅雨時などは気を付けなければなりません。
まとめ
如何でしたでしょうか?アスベルギルス症について、少しは理解できましたでしょうか?アスベルギルス症は身近な病気で、免疫力が落ちたときは、特に気を付けなければなりません。何よりも身近な部屋の掃除を、徹底することがこの病気を、引き起こさない事にもなります。
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