失語症とは?症状や原因、分類方法を知ろう!リハビリの方法は?

失語症は脳梗塞や脳血栓によって、脳の一部に損傷が起きたときに、言葉を司る言語領域が損傷するために起こります。高齢化社会と共に、高齢者が多くなり、脳卒中が起こる確率が多くなってきてました。そのような中家庭や周りの人が、失語症に対する人に心ない言葉で傷がつき、益々失語症の方の意欲がそがれたりしています。

失語症には色々なタイプがありますが、理解が出来ているのに、言葉がスムーズに出ない失語症もあります。その場合全く理解できない失語症と違って、ストレスはとても大きいものになるでしょう。失語症についてもう少し理解を深めて頂いて、患者さんのさらなる社会復帰に、理解を深めて頂ければと思います。失語症について詳しく調べてみました。

失語症とは

言語障害

言語領域という大脳の左側(普通の人は左側)に言葉を受け持っている部分の、言語中枢があるのですが、脳卒中の脳梗塞や脳血栓などの、脳血管障害になった場合とか、けがで脳の言語領域に障害を受けた場合に起こります。

失語症は運動障害の身体のマヒなどと違い、判断力、記憶力は確かなように見えても、言葉が出なかったりして、失語症は解りにくい所があります。周りの人の正しい理解で、失語症の人とコミュニケーションを取ることで、失語症の人の回復を早める事にもなります。

脳の傷がついた場所によって、失語症の場合は話す言葉だけでなく、読み書きもできなくなることがあります。左脳の障害の場所の違いで、聞く、話す、書く、読む、ができなくなる部分が違ってきます。失語症の障害によってのタイプは次のようになります。

失語症のタイプ

  • 聞いて理解する能力と、それに対して話す能力、読んで理解する能力、書く能力が障害を受ける事になるのですが、それが左脳の部分の個所により、違いが出てきますので、脳の言語を司る場所によりその違いが出ます。
  • 話すことがぎこちなくて、理解することは比較的できるのは、脳の前の方の部分に障害を受けた場合の失語症です。ブローカー失語などがこれに当たります。
  • 聞いて理解することが困難で、言い間違いが多くしかし、話は滑らかにしゃべれるのは、脳の比較的後ろの部分に、障害が起きたときの失語症になります。ウェルニッケ失語がこれに当たります。
  • 物の名前が出てこなくて、回りくどい言い方になる失語症があります。聞いて理解はできるのですが健忘症となるため、物の名前が思い出せません。これを健忘失語と言います。
  • 重度の障害で、読む、書く、聞く、話すに全てが出来ない全失語などがあります。

認知症

認知症は一度知識として得たものが、知能の低下により忘れられてしまいますが、失語症の様な言語障害が見られることもあります。

しかし失語症と違って著しい記憶障害があります。

失語症の原因

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失語症は大脳の一部の言語中枢に、障害を受けたときに起こる、高次脳機能障害で言語機能において、言語障害を起こした場合に生じます。大脳の左の部分に言語中枢があり、この失語症を起こす部位を、言語野と言います。この言語野は90%の人が、左大脳に存在しています。いわゆる右利きの人が多いです。

ですのでこの言語野が障害をうけると、右半身麻痺が起こり、言語障害の失語症が起こります。原因は脳卒中いわゆる脳梗塞や脳血栓など脳血管障害や、脳の破損などの後遺症によって、言語機能が障害を受けたときに起こります。失語症には感覚性失語と運動性失語があります。

失語症の症状

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言語障害の種類には構音障害と、失語症とあります。

失語症の症状には色々な種類があります。

どのタイプにも見られる症状

喚語困難

話をしている時に何か言おうとしているのですが、言葉が出てこない症状です。いわゆる言葉のど忘れです。健常者でもありますが、失語症にはよりひどい傾向が見られます。

理解力障害

話している言葉は聞こえているのですが、その言葉の意味が理解できない状態で、ウェルニッケ失語の場合は特にひどいです。しかしどの失語症にも見られます。

錯誤

言い間違いの言葉です。語性錯誤と、字性錯誤があります。語性錯誤とは「はし」「おちゃわん」というように物の名前を間違えます。字性錯誤とは「はし」を「はす」「はせ」と発音を間違えることです。まったく意味不明のジャルゴン状態が、言葉の言い間違いがひどい場合なってしまいます。重症のウェルニッケ失語の場合がひどいです。

残語

重症の失語症の全失語の場合には、限られた言葉のみが出てくる場合、「はい」「だめ」という言葉が繰り返し使われて、聞く方は全く意味不明になります。

保続

保続は何度も同じ言葉出ることを言います。例えば名前を言えた後に、住所や電話番号を聞いているのに、名前しか言えない状態を言います。

また文法的に「て・に・を・は」を正確に言えなかったり、失読のように字が読めなかったり、失書のように文字が書きにくかったり、失算のように計算が、出来なかったりの症状が出てきます。

迂言

迂言とは言葉が出てこないので、回りくどい言い方をすることです。

表出

心の中で思っていることが、態度に出てくることです。

読む障害

読解障害

文字や数字の意味が理解できなくて、仮名より感じの方が理解しやすい障害です。

音読障害

数字や文字を声を出して読むことが出来ない障害です。

失語症のタイプの分類

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失語症の分類には流暢性失語と、非流暢性失語があります。流暢性失語は健忘性失語や、感覚性失語、伝導性失語があり、非流暢性失語には、運動性失語と、全失語などがあります。

ブローカー失語

ブローカー失語とは運動性失語とも言って、言葉を理解する能力は比較的あります。左大脳半球の下前頭回後部の、ブローカー領野の周辺による損傷です。話す能力の障害が重く、話せてもたどたどしく、本人はストレスが溜まって、八つ当たりをすることもあります。

理解できているのですが、それを表現できないストレスが溜まります。漢字は比較的良いですが仮名が、余り読み書きできません。一般的に運動機能の障害により、右片マヒ性を伴っています。

発話障害や復唱障害、錯語、語想起障害、喚語困難、文法障害、呼称障害、音読障害、書字障害などが症状として見られます。運動性失語の場合全失語になっても、徐々に改善してたどたどしい、発語が見られることもあります。

ウェルニッケ失語

ウェルニッケ失語とは感覚性失語、受容性失語とも言って、言葉を聞いて理解する能力がありません。左大脳半球の上側頭回後部のウェルニッケ野や側頭葉中下部や、頭頂葉などの領域の損傷によるものです。しかし話は比較的流暢にしゃべれます。言い誤り錯誤が多いために、聞いている方としては、意味が中々理解できない事になります。漢字は比較的良いのですが仮名の理解力が乏しくなります。殆ど右片マヒは起こっていません。

聴覚理解障害、復唱障害、錯誤、ジャーゴン、語想起障害、言語理解障害、などの症状が見られます。

超皮質性運動失語

自発性言語の低下や復唱が上手にできるのが特徴です。この超皮質性運動失語は話そうとしない失語で、自分から話すことが出来なくなった状態で、理解はできますが決して自分からは話そうとしません。簡単な言葉しか話せません。

復唱や質問は問題なく話が出来、長文もよくて、話を聞いて理解することはでき、読んで理解する事は出来ます。音読障害があり書字障害があります。ブローカー領野の前方や上方や、補足運動野を含む、左前頭葉内側面などの障害によるものです。視床失語もこの分類に入ります。

視床失語は自発語の減少や、保続、理解障害、錯誤、呼称障害、声量の低下などがあり、症状が早期に改善することが多いです。

超皮質性感覚失語

言葉の意味が理解できませんが、言葉の音を認知したり、復唱もできます。発話は流暢で誤った言葉の錯誤が多いです。復唱ができますが聴覚的理解障害があります。言葉を理解することはまねて復唱することは得意な失語症です。

読解障害や書字の障害があります。音読はできます。理解することはできませんが、マネしていうのは上手です。側頭後頭葉移行部、側頭葉、頭頂葉、前頭葉と言われていますが、はっきりしたことはまだ特定されていません。

口頭理解障害、呼称障害、音読障害、書字障害、読解障害などあります。

超皮質性失語

言語中枢が健全なため復唱ができますが、他の高次認知機能と抹消との感覚、運動系から離断されている状態です。

健忘失語

障害が比較的軽く、相手の話すことも良く理解でき、滑らかにしゃべることもできます。しかし物の名前がすぐ出てこない喚語障害があるため、曲がりくどい言い方の迂言(うげん)が多く聞かれます。読解や音読は障害があまりなく、書字能力は個人差があります。

伝道失語

伝道失語の場合相手の言っていることは理解できています。話し方も流暢ですが、言い間違いが多く、その言い間違いに気が付くので、それを訂正するため話の内容が、分かりにくくなります。仮名が障害され、漢字は比較的良いです。

復唱が出来ない様で、言語理解において復唱が際立って悪い。聞いた言葉を短期間覚えて、おくことの力が低下しています。復唱障害、音読障害、書字障害などがあります。

全失語

全失語の場合殆ど理解できなく、理解障害が起こっています。しかし挨拶や、自分の状態に関する質問は理解できることもあります。言葉は残語程度しか話せません。読み書きは殆どできません。殆どの人が右片マヒを伴います。口頭理解障害、復唱障害、呼称障害、音読障害、読解障害、書字障害などがあります。

失語症のリハビリテーション

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失語症のリハビリについて紹介します。

リハビリテーションの目的

リハビリテーションはただ機能だけを、回復するというのを目的ではなくて、患者さんがこれからの人生でハンディーを背負いながら、その人らしく人生を切り開いていける事が、出来るようにすることがリハビリテーションの目的です。

リハビリテーションでは残された言語機能を活用することと、障害そのものの改善が必要とされます。失語症の場合患者さんに、会話をしたり、本を読ませたり刺激を与えながら、何らかの反応を、引き出すようにしてリハビリを行います。

言語障害者の言語機能の、聴覚訓練は言語聴覚士により、できるだけ早い段階から行います。失語症の治療は脳卒中の場合、2週間の間に改善がみられるという報告があるそうです。失語症の人の中には、今までにも述べましたように、脳の障害を受ける部分で、失語症の障害も違ってきます。それを理解して、患者さんの障害に合った周りの人の理解が必要になります。

コミュニケーション

障害で残された言語機能を最大限使って、刺激を与えたり反応を引き出すなどの訓練をして、コミュニケーションのより良い効率を使って、患者さんが身に付けられるように訓練をしていきます。

コミュニケーションを取るうえで会話ができるよう、患者さんが何かを伝える場合に刺激と反応の繰り返しだけでは十分でないので、ジェスチャーや絵を描いたりする動作も取り入れて、患者さんからのコミュニケーションを、取ることが出来るようにも指導していきます。

運動障害性構音機能障害

運動障害性構音障害の場合は、ゆっくり区切って話すなど、発音が明瞭に聞こえるように指導したり、五十音表や発声発語を補助する機器を勧めたり、患者さんがよりコミュニケーションが取れるようにアドバイスをしたりします。

コミュニケーションへの努力

失語症でも運動機能障害でも、患者さん本人が人とコミュニケーションを、取ることに意欲を持ち続けることが、言葉の回復につながるということを、周りの人も家族もこの点に注意を、注ぐことが一番大切です。脳卒中など言語障害は、完全に元に戻るものでもなく、またリハビリテーションをしたからと言って、必ずしも良くなるものではありません。

それには個人差があり脳の障害によりまたまちまちです。その点は周りを含め患者さんも、つらいところがありますが、コミュニケーションの意欲がなくなれば、残された残語も忘れ去られてしまうこともあります。

その為にも周りの人や家族を含めて、コミュニケーションを取る事が一番必要な課題です。言葉の障害があってから、廻りや家族とどれだけコミュニケーションを、取れるかが重要で残された能力を最大限生かして、積極的に毎日が過ごせるかが大切です。

失語症の人への会話の注意点

家族で話し合う

失語症の人に話をするときの注意点があります。

  • ゆっくりとわかりやすく、分かりやすい言葉で話しかけることが必要です。
  • やさしい漢字や絵、図などを描いたり、ジェスチャーを交えて会話をすると理解されやすいので、話しかけるときは健常者と同じ様にせずに、相手がどのようにしたら理解できるか、考えて話しかけると良いでしょう。
  • 患者さんが難しい答えが引き出せないと思うときは、「はい」「いいえ」でこたえられるように、質問の内容を考えて話しかけると良いと思います。
  • 言葉が出ない時は、少し待ってあげて、せかせたりしない事です。時には「〇〇〇かな?」と推測して答えを導き出してあげるのも良いでしょう。
  • 患者さんの言い間違いを笑ったり、咎めたり、何度も言い直しをさせることは、患者さんのプライドを傷つける事になります。これだけは絶対に避けることが必要です。
  • 失語症の患者さんは五十音表で、言葉が言えないことが多いので、使わないほうが良いです。

この様な周りや家族の人の心配りが、どれだけ患者さんにとって安心感が出るか、そのため患者さんがリハビリに意欲を高められて、元の生活に戻れるように奮起できるきっかけになるのです。

まとめ

話さない

失語症についてお分かりいただけましたでしょうか?失語症には本当に色々なタイプがあり、個人個人症状が違っています。まず大きく分けて、言葉が理解できる言語理解の人と、言葉の意味が全く分からない人との、接し方が同じであってはいけません。

失語症になられた方も、プライドがあると思いますが、悲しくも病気となった今、いかに立ち直って社会復帰ができるか、それに対するストレスは、とても大きいものがあると思います。そのような中周りの人が、話がスムーズにできないからと言って、患者さんのプライドを傷つけることは、回復に意欲をもっている人でも、回復がままならない事にもなりかねません。

どの様な人にとっても、人にはそれぞれプライドがあると思います。そのプライドに傷をつけない様な接し方をいかにして行くかが、患者さんに対する理解で、また患者さんも社会復帰に意欲が持てるものと思います。

自分が失語症の人と接しているとき、相手を傷つけてないか、もう一度相手の立場に立って、接することが、自分も人間としての価値を高め、相手も失語症への回復が早くなる切っ掛けにもなると思いますので、できるだけ失語症の人と、何気ない会話をしながら、コミュニケーションをとっていく事が、お互い人間としての価値が深まる様に思います。

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これらを読んでおきましょう。

  
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