抗リン脂質抗体症候群とは?検査方法や治療方法を知ろう!原因や症状は?合併症に注意!

皆さん抗リン脂質抗体症候群という、名前の病気をご存知ですか?私は初めて聞きました。

でもエリテマトーデスと関係ある様で、膠原病の一つの様です。難病に指定されていませんが、ですが自己免疫疾患の一つで、全身に流れている血液が、凝固しやすくなって、動脈硬化や、静脈塞栓を繰り返し起こります。習慣性流産や、若年者が発症する脳梗塞が多くて、20~40代の人たちがこの病気を発症しています。

どの様な病気か知ることで、もし抗リン脂質抗体症候群になった時の、対処法を考えて頂けたらと思います。

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抗リン脂質抗体症候群の歴史

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抗リン脂質抗体症候群の歴史とは、どの様な経過で分かってきたのでしょうか?

抗リン脂質抗体症候群の歴史は、1983年にヒューズハリス(Harris)氏により、全身エリテマトーデスの、合併症として報告されましたが、その後合併症がなくても、抗リン脂質抗体症候群が、起こることが解りました。

全身エリテマトーデスの合併症は、ループスアンチコアグラントや抗リン脂質抗体が、陽性になって血栓の病気や、3回以上の自然流産の繰り返しで起こる、習慣流産の原因となっています。

抗リン脂質抗体は歴史的に、梅毒血清反応陽性として、検出されていました。抗原として梅毒の陽性は、カルジオリピンの抗体を示していますが、梅毒でない抗カルジオリピン抗体を、持つ患者の場合、抗リン脂質抗体が、梅毒血清反応の生物学偽陽性、として検出されていました。

▼ループスアンチコアグラント

ループスアンチコアグラントとはリン脂質抗体の一つで、リン脂質とプロトロビン(血漿の中に含まれる酵素たんぱく質)との複合体に対する自己抗体です。

▼リン脂質抗体

リン脂質抗体とはリン脂質と、たんぱく質との複合体に対する自己抗体で、細胞膜のリン脂質です。

▼自己抗体

自己抗体とは自分の身体を守るために、細菌やウイルスなどを追い出す、役目の免疫細胞です。

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抗リン脂質抗体症候群とは

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さて抗リン脂質抗体症候群とは、一体どのような病気なのでしょうか?

抗リン脂質抗体症候群の病気とは

抗リン脂質抗体症候群とは、血液の中に抗リン脂質抗体(APS)という自己抗体が存在します。抗リン脂質抗体症候群は血栓症の再発率が高くて、長期に渡って抗血小板療法や、抗凝固療法がおこなわれます。

抗リン脂質抗体症候群は、抗リン脂質抗体が直接間接的に、血栓症や不育症を発症する病気です。抗リン脂質抗体とは細胞膜のリン脂質や、リン脂質とたんぱく質の複合体に対して、自己抗体の自分を守るための免疫出動です。

抗リン脂質抗体症候群の合併症

この抗リン脂質抗体症候群の病気には、動脈血栓症や静脈血栓症が見られます。また習慣流産などの、妊娠合併症が起こります。自己免疫疾患の女性に流産、子宮内胎児死亡が多かったのですが、今まであまり詳しく解りませんでした。

母体の免疫異常が、妊娠維持の障害を、起こす可能性が指摘されていました。最近になってそれが、この自己抗体により引き起こされる、抗リン脂質抗体と、関連があることが解りました。そこで不育症や血栓症をまとめて、抗リン脂質抗体症候群と呼んでいます。

簡単に言うと自分の免疫が、血液の中のリン脂質やリン脂質たんぱく質を、ウイルスや細菌と間違えて攻撃して、血液を固まりやすくしているのです。そのために不育症や動脈血栓、静脈血栓などの病気が起こる、自己免疫疾患ということですね。

全身性エリテマトーデス

この抗リン脂質抗体症候群は、習慣流産などの妊婦の、合併症の中に半数の人が、全身性エリテマトーデスの、膠原病に合併していて、二次性抗リン脂質抗体症候群と言われます。

エリテマトーデスの約10~20%の合併割合で、二次性抗リン脂質抗体症候群の患者は5,000~10,000人いるといわれています。

詳しくは、エリテマトーデスとは?原因・症状・治療法・経過について知ろう!を読んでおきましょう。

抗リン脂質抗体症候群の人数と予後

また基礎疾患を持ってない、原発性抗リン脂質抗体は、患者の約半数がいるのではないかと、言われ原発性抗リン脂質抗体症候群も5,000~10,000人程度と推測されます。

欧州で行われた抗リン脂質抗体症候群の、予後は1000例で5年生存率94.7%ととても良くて、10年生存率でも90.7%と予後は非常に良い結果を出しています。死因の原因としては感染症や悪性腫瘍、また脳梗塞や心筋梗塞、肺血栓塞栓症などの血栓症や出血などが、報告されています。

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抗リン脂質抗体症候群の原因

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抗リン脂質抗体症候群の原因は、解っているのでしょうか?

抗リン脂質抗体の自己抗体が、なぜできるのかと言うことは、まだわからないようです。ただ遺伝子要因と、環境要因が関係しているのでは、ないかと言われています。遺伝性はありませんが家族内や、親族内で発生されていることがあります。

血液中に抗カルジオリピン抗体の、自己抗体が検出されます。この抗カルジオリピン抗体とは、カルジオリピン・レシチンというリン脂質を用いた、梅毒時の検査の時に現れる抗体です。

またループスアンチコアグラントなどの、自己抗体も検出されます。このループスアンチコアグラントとは、リン脂質とプロトロンビンとの複合体に対する、自己抗体で抗リン脂質抗体の一つです。健常者の血液中には存在しません。

考えられる抗リン脂質抗体症候群の原因

考えられる原因としては、血管の中に容易に血栓ができない様に、リン脂質依存性凝固反応を抑制している、β2-GPIをこれらの抗体が、阻害しているのではないかと考えられています。

β2グリコプロテインはプロトロビン等、リン脂質に結合する血漿タンパク質に結合します。血管内皮細胞は血管内で、血液が凝固しない様に、血小板を抑制しています。そのヘパラン硫酸やトロンボモジュリンに作用して、血管内の皮障害を引き起こします。

血管の拡張を妨害する、プロテインCの活性化を妨害して、血管皮質細胞から生理活動物質のホルモンの一つの、プロスタグランジンを作り出すのを傷をつけています。

リン脂質依存性凝固反応を抑制し、血管内に血栓が簡単に作れない様にしている、β2-GPIをこれらの抗体が邪魔しています。

血管内皮障害を起こすのは、血管内皮細胞のヘパラン硫酸や、トロンボモジュリンに作用していて、血管内皮細胞から生理活動物質の、ホルモンの一つのプロスタグランジンを、作り出すのを邪魔して、血管の拡張を妨害して、プロテインCの活性化をも妨害しています。

▼皮障害

皮障害とは血管内皮機能障害の事です。血管内の皮細胞が傷つけられることです。傷つけるのは血液中の悪玉コレステロールや、血圧上昇、酸化ストレスなどが増加することです。

▼トロンボモジュリン

トロンボモジュリンとは血液中に出現する、凝固阻害因子のプロテインCの、活性化をしています。トロンボモジュリンは血管内の、皮脂表面に存在しています。

▼プロスタグランジン

プロスタグランジンとはホルモンの一種で、さまざまな生理活動に影響を与える、生理活動物質の一つです。

▼ヘパラン硫酸

ヘパラン硫酸とは硫酸化多糖で、中枢神経の細胞がマトリックを構成しています。さまざまな分子と結合するのが上手です。ヘパリン硫酸とも言います。

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抗リン脂質抗体症候群の症状

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さて抗リン脂質抗体症候群の症状には、どの様な症状があるのでしょうか?

血栓症

血栓症は身体の中の動脈、静脈のどの部分でもできます。

動脈血栓

脳梗塞(13%)心筋梗塞(5%)一過性虚血発作(7%)皮膚潰瘍、四肢壊疽、副腎梗塞、腸管膜動脈塞栓症、胃十二指腸動脈梗塞

脳梗塞に比べ心筋梗塞は意外と少なく、脳血管に色々な症状が出ています。また末梢動脈の閉塞によって、皮膚の潰瘍や網膜の動脈の、血栓症などが症状として出て、視野障害や失明なども起こっています。

静脈血栓

下大静脈血栓症(32%)、血栓性静脈炎(9%)深部静脈血栓症、脳静脈洞血栓症、バッド・キアリ症候群、肺塞栓症

下肢の深部静脈血栓症が非常に多く、下肢の腫脹や疼痛が見られる。下肢の静脈にできた血栓が肺に飛んで肺血栓塞栓症を起こし、胸痛や呼吸困難となり、命に係わることもあります。

劇症型血栓

一度に多発的に同時に血栓症を引き起こし命に危険な、劇症型抗リン脂質抗体症候群があります。

詳しくは、血栓症の症状とは?種類や予防法、治療法を詳しく紹介!を参考にしてください!

流産

習慣流産の原因の一つに、抗リン脂質抗体症候群があります。胎盤の血管に出来た血栓症を引き起こし、胎盤梗塞が起こり胎児に血液が流れなくなり、酸素と栄養を胎児に送ることができません。

妊娠合併症として、発育遅延(不育症8%)習慣流産、子宮内胎児、妊娠高血圧症候群などがあります。

其の他

その他の症状として網の目の皮疹の網状皮斑(20%)、血小板減少(22%)溶解性貧血(7%)リーブマン・サックス心内膜炎、腎障害、神経症状、自己免疫性溶結性貧血、抗リン脂質抗体関連症状、等の合併症があります。

多臓器の血栓症、臓器の障害など急激な経過をたどって、致死率の高い劇症型抗リン脂質抗体症候群という病型もあります。心臓の弁の異常弁膜症は四肢に見られます。

腎臓障害では塞栓や微小血栓による、腎機能障害、腎静脈血栓症によるネフローゼ症候群があります。皮膚の症状としては、網状皮斑と呼ばれる、下肢を中心とした、網目状の皮疹が認められます。血小板減少は通常出血傾向を示すのは稀です。

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抗リン脂質抗体症候群の検査

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抗リン脂質抗体症候群の検査は、どの様に行われ基準はどの様に、なっているのでしょうか?

抗リン脂質抗体症候群の検査の、国際的な診断基準は、1998年に札幌で開催された、国際抗リン脂質抗体学会で、まとめられたものです。1999年に北海道大学の小池隆夫により発表された、札幌基準(クライテリア)です。これは血栓塞栓症状、または習慣流産と自己抗体の一つが、6週間開けて2回検出されることが条件です。

2004年に国際分類基準(札幌基準シドニー改訂版)が出されました。特徴的な臨床基準と、現状で普及している、抗リン脂質抗体検出法の中で、臨床症状と強く関連する、検査基準が含まれていて、両者を1項目以上満たせば、抗リン脂質抗体症候群と診断します。2006年に1998年で国際抗リン脂質抗体学会で、まとめられたものが2006年に、改訂版として出されました。

臨床基準

1.血栓症

画像検査や組織学的検査で確認された動脈、静脈、小血管での血栓症

2.妊娠に伴う所見

  • 妊娠第10週以降の形態学的な正常な胎児の原因不明の死亡
  • 重症の子癇前症・子癇または高度の胎盤機能不全による妊娠第34週以前の形態学的な正常な児の早産
  • 母体の解剖学的・内分泌学的異常、染色体異常を除外した妊娠第10週以前の3回以上連続した自然流産

2006年に改訂版は自己抗体確認が、12週に延長になり12週以上5年未満の間隔で、2回以上陽性になった場合と改訂されました。

抗リン脂質抗体は健常な人でも、陽性になる場合があります。10~40年齢とともに陽性率が上昇して、80歳以上は40%の人が抗リン脂質抗体の陽性となっています。

▼子癇(しかん)

子癇とは妊娠高血圧症候群により、妊産婦の意識消失や、けいれん発作が起きる症状の事です。

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抗リン脂質抗体症候群の治療

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抗リン脂質抗体症候群の治療には、どの様なものがあるのでしょうか?

1.治療の必要のない経過観察の、抗リン脂質抗体症候群もあります。それは妊娠既往性もなくて、血栓症もなく、抗リン脂質抗体症候群だけの、一次血栓予防の場合です。

2.抗リン脂質抗体症候群まで至らないが、血栓症の既往性があり、抗リン脂質抗体が陽性の場合の人は、低用量のアスピリン(バイアアスピリン)などの抗血小板薬のみを使用します。

3.二次血栓予防の血栓症の既往性を有する、抗リン脂質抗体症候群の場合は

  • 静脈血栓症の既往性を有する例 INR2~3ワーファリンによる抗凝固療法
  • 動脈血栓症の既往性を有する例 脳梗塞・虚血性疾患(塞栓症を除く)の場合は低用量アスピリンまたはクロピログレル(プラビックス)またはワーファリン(INR3~4)塞栓症、脳梗塞虚血性心疾患以外の血栓症の場合はINR2~3のワーファリン 治療中に血栓症の再発をした場合、INR2~3のワーファリン、または低用量アスピリンとワーファリン(INR2~3)の併用、未分画もしくは低分子ヘパリン皮下注射

治療に伴うステロイドや免疫抑制剤による、血栓症の予防効果は示されてなくて、出血症合併に伴う注意が必要です。

2次血栓の予防のため、血栓症の進行を防ぐ薬剤投与は、アスピリンなどの抗血小板薬などは、脳梗塞のような動脈系の血栓である場合に使用します。血栓症の予防には通常の血栓症の治療と同じく、抗血栓療法がおこなわれます。

抗リン脂質抗体症候群では、血栓症の再発が多く、急性期の治療に加えて、再発防止の治療が必要となります。

再発防止の動脈血栓症では、主にアスピリンなどの抗血小板剤が使用されます。また静脈血栓症には主に、ワルファリンなどの抗凝固療法が行われます。

また下大静脈血栓症、動脈系の血栓などで効果がない時は、ワルファリンを投与します。劇症型抗リン脂質抗体症候群は、ステロイド薬やシクロフォスファミドを投与します。

抗リン脂質抗体症候群の、妊娠合併症の患者が妊娠した場合、少量のアスピリンに加えて、バリンの投与を行います。妊娠合併症の既往性がなかったり、血栓症がない場合の抗リン脂質抗体が陽性であっても、治療の必要はありませんが、通常は経過観察を行います。また高血圧や、脂質異常など他の血栓症の危険因子を考慮して、アスピリンなどの予防投与が、行われることもあります。

低用量アスピリン療法

低用量のアスピリン療法は、一日に投与するアスピリンは60~100mg/が一般的です。

100mg/よりも多く投与しても、かえって減弱します。低用量のアスピリン療法は、どの様な弊害も認められなく、奇形児などのデーターも得られませんでした。欧米では周産期のトラブルを避けるために、低アスピリン療法が分娩当日まで使用されています。

ヘパリン療法

12時間ごとに(1万単位/日)未分画ヘパリン5000単位を注射する療法です。海外では自宅で注射するのが、一般出来だそうです。日本では保険が在宅ではきかないので、在宅での注射は一般的ではありません。ヘパリンは胎盤早期剥離や、妊娠高血圧症候群などの、予防効果があり副作用は心配ありません。

ヘパリンの投与は分娩前日に終了します。ヘパリン投与中に、陣痛が発生したときは、次回のヘパリンを中止して、血中の濃度のピーク(注射後2~4時間後)が、分娩に重ならない様にしなければ問題ありません。

ヘパリンは血液凝固系に作用するだけでなく、胎盤形成を促進したり、流産防止など妊娠するときに、とても大きな役割を果たしています。

詳しくは、ヘパリン類似物質とは?成分や働き、正しい使い方を知ろう!を参考にしてください!

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抗リン脂質抗体症候群の予防

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抗リン脂質抗体症候群の予防は出来るのでしょうか?

日常における抗リン脂質抗体症候群の予防は、血栓症の危険因子を減らすことです。血栓症の予防は、安静にしないことです。積極的な運動、早期離床が必要となります。

毎日適度な運動を行うことは、血栓症を予防するにはとても大切なことです。また脱水症状などはとても危険です。ですから水分をこまめに摂ることは大切です。

弾性ストッキングや、間欠的空気圧法(脚を空気の圧迫によりマッサージする医療機器)などの理学的予防法があります。

また禁煙や高血圧の予防など、自分で予防できる方法を試みることは大切です。また脂質異常の改善や、経口避妊薬の中止などが必要となります。

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まとめ

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少し難しい感じもします。抗リン脂質抗体症候群は、免疫性疾患でありますが難病指定に、入っておらず医療費は補助はされません。

抗リン脂質抗体症候群を簡単に言うと、前にも書きましたが、自分の免疫が血液中のリン脂質やリン脂質たんぱく質を、ウイルスや細菌と間違えて攻撃してしまうため、血液が固まりやすく、なってしまって不育症や動脈血栓、静脈血栓などの病気を引き起こす、自己免疫疾患ということです。

原因はなぜ間違えて攻撃するか、ということははっきり解っていません。抗リン脂質抗体症候群の、メカニズムも解明されていますので、薬なども開発されています。

ですからワーファリンのような、血液をサラサラにする薬で、治療することが出来ますが、血栓ができやすくなるので、命取りになることになりますので、抗リン脂質抗体症候群だと思われたら、専門医のアドバイスを必ず受けてくださいね。

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