アロディニアという病気をご存知でしょうか?私たちが健康に生活を送るためには、セロトニン神経のミトコンドリアが正常に働いて機能していることが不可欠です。
セロトニン神経が異常を起こすと、色々な障害が出てきます。アロディニアは普通健常者の人なら痛みを感じないような少しの刺激にも、痛みや不快感を感じるようになります。
アロディニアについて、また痛みが起こる発生について詳しく記事にしてみました。
痛みが発生するセロトニン仮説について
痛みが発生するメカニズムについては色々意見がありますが、有力な説のセロトニン仮説について見てみました。
セロトニン神経は以下の重要な働きをしています。
- 自律神経を調節する
- 大脳皮質を覚醒させる
- 筋肉に働きかける
- 意識のレベルを調整する
- 痛みの感覚を抑制する
- 心のバランスを保つ
痛みが発生するミトコンドリアとセロトニンの関係
ミトコンドリアの働きが悪くなると同時にセロトニン神経の働きも悪くなります。
ミトコンドリアの低下により偏頭痛が発症します。ですから、偏頭痛の人は生まれつきミトコンドリアの低下があり、そのために、セロトニン神経の機能まで低下しています。また、これとは別に生活習慣の中からセロトニン神経の機能低下が起こることがあります。
セロトニン神経系とは情報伝達を行う神経系で、脳内セロトニンを神経伝達物質としています。神経終末で合成され放出されるのが脳内セロトニンです。
脳内セロトニン低下が起こると、こだわり、緊張、過敏性、衝動性が強く現われて、触覚、視覚、聴覚、味覚、臭覚の五感が全て過敏になり、小さな刺激でも痛み刺激やさまざまな症状を訴えます。
セロトニンと偏頭痛とアロディニアの関係
脳内のセロトニン低下によって偏頭痛が起こり、それによりアロディニアの症状を引き起こします。
セロトニン神経は以下の2つの神経に対して抑制作用があります。セロトニン神経は興奮と不安状態を解消し、心の状態を常に安定した状態に保っています。
- ドーパミン神経・・・・快感や陶酔感を増幅する
- ノルアドレナリン神経・さまざまなストレスによって覚醒反応を引き起こす
セロトニン神経が衰えてしまう生活習慣は、歩行、呼吸、咀嚼などの基本的なリズム運動がスムーズにできない生活を続けた場合です。
こうしたリズム運動を行っている段階では、セロトニン神経は正常なレベルで保たれますが、極端にこのような運動を抑えた生活を継続するとセロトニン神経が少なくなってきます。
脳内セロトニンの低下が起こった60~80%ぐらいの患者がアロディニアの症状を発症します。偏頭痛が起こり5年以上たった時にアロディニアが出てきます。
アロディニアについて
普通は痛みを感じないような刺激に対しても、痛みを感じてしまう感覚異常のことで、微小刺激によって強い疼痛として感じる感覚異常をアロディニア(異痛症)といいます。しかし、その定義はすごく曖昧です。
感覚を痛覚としてとらえることをアロディニアといっていますが、気圧や湿度、低周波、電磁波、超音波、重力、化学物質などによる痛み刺激も、アロディニアの定義に当てはまります。
しかし、現在はアロディニアと考察できない現医学の体制です。そのため、アロディニアは医者でも誤解を招いて診断している場合があります。
アロディニアとアロディア症について同じと考えられますが、アロディニアというのは脳が痛みに敏感になる現象、あるいは、感覚の質が変化している状態のことです。
アロディア症というのはアロディニアを持った病気のことです。
痛覚過敏とアロディニアの違い
痛覚過敏とアロディニアは違います。
痛覚過敏
どんなに軽微な侵害刺激に対しても、感作(気持ち)が生じているために本来の刺激以上に強い痛みが生じてしまう状態
アロディニア
皮膚に触覚刺激、軽い圧刺激など、普通痛みを起こさないような非侵害刺激が加わっただけでも痛みが生じてしまう状態
痛覚過敏はものすごく痛いと感じる侵害刺激に対して、アロディニアはすごく痛いと感じる非侵害刺激だと理解することで分かります。
アロディニアの種類
アロディニアには2つの種類があります。
- 頭部アロディニア・・・頭部を中心に起こる症状・偏頭痛患者に多い
- 頭蓋外アロディニア・・頭部以外の手足や胴回りに出る症状・脳が過敏になる
頭部アロディニア
頭部アロディニアは頭部に刺激が加わるだけで痛みを発症し、人によっては頭部に風が当たっただけで痛みを生じます。また、触覚だけでなく強い光が目に入った場合も頭痛が悪化する人もいます。
頭部アロディニアの場合、頭部や顔面の感覚が過敏になるのは、三叉神経が炎症などで刺激するためです。
頭蓋外アロディニア
頭以外のところに刺激が加わるだけで痛みを発症します。ベルトや腕時計、アクセサリーなどが当たっているだけで不快感を覚え、手足の痺れや違和感を覚えます。
手足の痺れや違和感を覚えると布団がかかっているだけで、痛みを生じ違和感を覚えます。アロディニアは感覚異常で、音、光、感触に対して過敏になってしまいます。
頭蓋外アロディニアの場合感覚神経が過敏になるのは、偏頭痛による刺激が三叉神経を通り越し中枢神経に直接届くからです。
アロディニアの分類
アロディニアのメカニズムは未だ解明されていません。アロディニアは、痛覚神経ではない他の触覚神経などがからの信号が、痛みの信号と間違えて伝えられているといわれています。
これは人間を対象とした実験で、血圧のマンシェット(腕に巻き付けるゴム状の帯)で証明されています。
静的アロディニア
静的アロディニアは、末梢神経でAδ線維(えいでるたせんい)とC線維の痛いと認識される刺激の最低強度値が低下することです。
静的アロディニアは障害部位に限局された部位に少し圧力を加えただけでも痛みます。
動的アロディニア
Aβ線維における伝導路の変異により起こります。動的アロディニアの場合は部位は限局せずにどこでも指でなぞるような刺激で痛みを発します。
アロディニアと偏頭痛の関係
三叉神経は顔の動きや、顔の感覚をコントロールする神経で、この三叉神経まで血管の拡張や炎症が伝わるために偏頭痛が起こります。
ここの神経が炎症を起こすと、視覚、触覚、臭覚などの感覚も刺激されます。そのため、光や音、触覚などが敏感になり、普通は感じられない痛みや不快を感じたりします。
頭部アロディニアの場合には、頭部や顔面の感覚が三叉神経の炎症で刺激され敏感になります。
頭蓋外アロディニアは、偏頭痛の神経が中枢神経に三叉神経を通り越し直接届くことで神経が過敏になり、頭部以外の部分から刺激に対しても違和感や痛みを生じます。
アロディニア症について
アロディニア症とはわずかな刺激に対し疼痛が発症する感覚異常の疾病で、男性より女性に多く見られます。また、偏頭痛の人に多い症状です。
女性に多いアロディニア症
女性に多い理由は元々男性に比べてセロトニンの脳内合成が少ないことと、月経などでホルモンバランスが崩れることが多いので、女性に偏頭痛が多くアロディア症が多くなっています。
アロディニア症の痛みのメカニズム
この症状は神経の痛みではなく、脳が勝手に痛みを感知して起こす症状です。普通の人が痛みを感じる場合は痛みを認識すると脳はセロトニンを出して痛みを抑えます。
アロディニア症の場合は脳が異常を起こすので、セロトニンなどの痛みを抑える物質が減少し、少しの刺激で激痛を起こし脳が機能障害を起こします。
アロディニア症は脳内セロトニン低下により容易に痛みが出現し、偏頭痛慢性化の重要な予知因子と考えられセロトニン神経系の働きの低下が大きく関わっています。
この病気にかかりやすい要因は、性格的なものがありストレスに弱くストレスの感受性が強い性格の人です。脳の誤作動が起きるのは病気で身体が弱っている時に、性格が左右する場合があります。
アロディニア症が混在した病気
感覚異常性大腿神経痛
足に痺れが起こる病気で、伸びない衣服などをサイズより小さいものを着ていた場合、血管や神経が圧迫されて痺れが出てきます。
肥満体国米国に多くの患者がいます。太り過ぎでサイズがなく無理やり履くと神経の末梢部分が異常をきたします。
神経性炎症
一次侵害受容ニューロンはAδ線維とC線維があり、主にC線維における興奮伝導が、逆方向における逆行性伝導によって放出される神経ペプチドの炎症症状を含めたさまざまな作用のことを神経性炎症といいます。
神経ペプチドは、神経伝達物質として脳内に多く存在していてさまざまな種類があります。
アロディニアの対処療法
アロディニアの治療をするのに、偏頭痛を抑える薬として「トリプタン製剤」がよく使われ、正しい使われ方をすると頭痛消失率は、93%の偏頭痛を服用後2時間以内に抑えることができます。
アロディニアの対処療法の治療薬の使い方
アロディニアの症状がでてからトリプタン製剤を使うと効き目が悪く効果が上がりません。
アロディニアの症状は、偏頭痛がでてから20分以内は症状がでないといわれています。ですから、アロディニアの出やすい人は、偏頭痛が起こると同時にトリプタン製剤を使用する方がよいです。
アロディニアの症状が出現する前の先手先手の治療が必要です。オピオイド鎮痛薬が反応しにくいアロディニアの症状です。どんな経口薬や神経ブロックを用いても現医学で痛みを制御することはできないのです。
鎮痛補助薬
鎮痛薬は解熱性鎮痛薬や麻薬性鎮痛薬といった侵害受容性疼痛に対する治療薬です。鎮痛補助薬は解熱性鎮痛薬や麻薬性鎮痛薬以外の鎮痛作用を発揮する薬物の総称です。
鎮痛補助薬の抗うつ薬は中枢神経のセロトニン、ノルアドレナリン再取り込みを阻害します。鎮痛効果を発揮するのは下行性抑制系の活力を与えることで発揮します。
▼侵害受容性疼痛とは外傷や身体に異変が起こった時に発する痛みのことです。
大和田潔のブログからアロディニア及び頭痛の改善治療
大和田潔は秋葉原クリニックの院長で福島県立医科大学卒業、東京医科歯科大学医学部大学院卒業です。頭痛の専門医で頭痛の専門の本なども出されています。
アロディニアの治療の方法など秋葉原クリニックで行われています。
痛みに対する国際疼痛学会について
国際疼痛学会は、痛みのメカニズム解明とその治療の可能性を探る痛みに関心を持つ医者・基礎研究者・歯科医師・心理学者・看護師・理学療法士・薬剤師などの他の専門家が参加する国際的な学会です。
痛みは主観的症状であり、心理的、社会的、精神的な要素などがあります。痛みの神経学的分類、パターン、原因(疼痛症候群)の診断を的確に行うことが大切です。
そして、その診断結果に従って速やかに適切な治療を行うことが重要です。
痛みの神経学的分類で侵害性受容疼痛の場合(がん疼痛)の考え
国際疼痛学会はがん疼痛の分類で下記のように定義されています。
- 組織損傷が何らかの原因で起こった場合
- あるいは組織損傷が起こりそうなとき
- 不快な感覚体験及び情動体験が損傷の際に表現される
がん疼痛は病巣から離れたところが痛みを発生しますがこれを関連痛といいます。関連痛は例えば上腹部内臓のがんで、肩や背中が痛くなることがあります。
体性痛
体性痛の定義は機械的原因で発生する痛みで、皮膚や骨、筋肉、関節、結合組織などの体性組織への切る、刺すなどの痛みです。
痛みの特徴は術後早期の創部痛、骨転移の痛み、筋膜や筋骨格の炎症および痙攣に伴う痛みで、ほとんどの人が急性痛や慢性痛を経験して、組織への損傷や可能性が原因で発症します。
損傷部位に痛みが集中し圧痛を伴い、一定の強さに加え、時に拍動やうずくような痛みが起こり、体動に関連して痛みが増していきます。
痛みの機序の体性痛は2種類のAδ線維、C線維の感覚神経により脊髄に伝えられます。
- 伝導速度の早いAδ線維は針をつくような痛さ
- 伝導速度の遅いC線維は鈍い不明瞭な痛み
内臓痛
定義は食道、胃、小腸、大腸などの管腔臓器炎症や閉塞で起こったり、肝臓や腎臓、膵臓などの炎症や腫瘍による圧迫、また、急激な臓器被膜の伸展で発生する痛みなどです。
痛みの特徴は胸部・腹部内臓へのがんの圧迫や浸潤が原因で起こる痛みで、内臓は体性組織とは異なり、切る、刺すなどの刺激で痛みを起こしません。
痛みが発生するのは固定臓器の場合被膜の急激な伸展いよるもので、管腔臓器の場合は消化管内圧の上昇を起こす伸展、圧迫、内腔狭窄が原因です。
痛みの機序はC線維の割合が多く、体性組織より線維の数が少なく、Aδ線維やC線維の末梢神経で脊髄に伝えられます。また、複数の脊髄レベルに分散されて伝えられるため、痛みが広い範囲で漠然と感じられます。
さらに、内臓周囲に炎症が発生すると、神経の興奮閾値が低下してより興奮状態になり、痛みの程度も非常に強く、関連痛といわれる病巣から離れた部位に痛みが発生します。
神経障害性疼痛について
国際的に定義が決まっていません。現代定義とされているのは、直接的損傷に伴って発生する末梢・中枢神経の痛みです。
痛みの特徴
- 灼けるような持続痛(灼熱痛)や槍で疲れるような電撃痛など刺激に依存しない自発痛などが混じります。
- 通常では痛みを感じない痛覚過敏や刺激に対して感受性が昂っている感覚過敏、通常では痛みを発しない刺激によって起こるアロディニアなどが特徴です。
- 自発的、または、誘発性に生じる異常な感覚で痛みではない症状が見られます。異常感覚の不快を伴わないものと、不快を伴うものがあります。
痛みの機序
神経障害性疼痛の関与は主に末梢性感作、中枢性感作、脱抑制の3つの仕組みです。
末梢性感作
末梢神経が障害を受けることで、Na+チャネルが障害局所や脊髄後根神経節に過剰に発現します。それにより、自然発火を繰り返し持続的に障害された神経を刺激することにより、興奮閾値(こうふんいきち)が低下します。
興奮閾値とは興奮の限界値のことです。末梢神経は運動神経、感覚神経、自律神経の3つがあり、末梢感覚神経が障害を受けることで起こります。
中枢性感作
脊髄神経が通常より強く興奮をする痛覚過敏やアロディニアが起こります。
脱抑制
末梢神経障害による抑制性介在ニューロンの消失により抑制系が機能低下したり、内因性の下行性抑制系の機能低下が起こります。
以上のことで痛みが増幅します。
神経障害性疼痛は侵害受容器が刺激されてない状態で痛みが発生するのが特徴です。侵害受容器は化学的・機械的・温熱的刺激のいずれにも反応する受容器です。
神経障害性疼痛においてはオピオイド受容体の機能低下がみられオピオイド鎮痛薬の効果が乏しいことがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?アロディニアという病気を知って、偏頭痛とアロディニアが関係あることが解りました。
偏頭痛は女性には多い病気です。私も偏頭痛に悩まされています。しかし、アロディニアという病気もしっかりと治療してくれる先生がまだおられないようで、早く良い薬ができるとよいですね。
予防薬としてありますので、偏頭痛が起こる人は受診されたほうが良いのかもしれません。私は痛みは仕方がないと諦めて、飲み薬が嫌いなので耐えられない痛さになるまで放置していますがやはりつらいですね。
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