子宮全摘による後遺症の症状とは?手術の方法で変わる?リスクを知ろう!

子宮全摘をした方がいいのか、しない方がいいのか。医師から子宮全摘を治療の選択肢の一つとして提示された場合、迷う方はとても多いと思います。子宮がんで、しかも進行していれば、(悩みはしても)迷う余地はあまりないでしょう。けれども、子宮筋腫のような良性疾患の時は?

今回は子宮全摘について、「迷う余地」があるような場合に、どの治療法を選択するか、判断材料になるような資料を集めました。また、子宮がんなどで子宮全摘を行った方が確実に生命予後が良いような場合でも、摘出後にどのようなことが起こるのかは、知っておいた方が戸惑いが少ないと思います。

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子宮全摘は全部同じなの?どこを切るの?

子宮 温める

子宮全摘と一言で言っても、子宮全摘術は皆同じではありません。子宮の周りの組織をどのくらい一緒に取り除くか(摘出部分)、お腹を開いて子宮に到達するのか、膣から到達するのか(アプローチ)などによって手術の難しさや、その後の後遺症などが異なってきます。

摘出部分による分類

以下、摘出部分が大きい順に記載します。一概には言えませんが、摘出部分が大きければ大きいほど、手術の後遺症も大きくなりやすく、手術自体も難しくなります。

膣上部子宮摘出術:子宮の出口部分を残して、子宮を全摘します。子宮出口部分が残るので、厳密に言えば子宮全摘ではありませんが、全摘に近い大部分を摘出します。日本ではあまり行われませんでしたが、長期間の薬物療法でも十分な治療効果がない子宮筋腫の人で、かつ子宮全摘に抵抗のある人を対象に腹腔鏡下で行うこの方法が見直されてきています。

単純子宮全摘術:子宮「だけ」を全摘します。子宮を支えている靭帯は、できるだけ子宮に近いところで切断します。これらの靭帯は膣も引っ張りあげており、この靭帯が切断されてしまうので、膣脱が起こることがあります。

子宮筋腫や子宮内膜症など、がん以外の病気に対して行います。

準広汎子宮全摘術:単純子宮全摘術と広汎子宮全摘術の中間くらいの術式で、子宮に加え、3つの靭帯は子宮からやや離れたところで切断摘出します。この際、膀胱子宮靭帯を貫く尿管を脇に寄せて、尿管に触らないようにしながら、靭帯を子宮からやや離れたところで切断します。この術式では、リンパ節郭清の有無は問いませんが、実際問題として、I期以上であることが予想される子宮頸がんや子宮体がんは、子宮摘出と同時に、周囲のリンパ節に転移していないかどうかを検査する必要があるため、リンパ節郭清を行う例がほとんどです。リンパ節郭清によって、リンパ路障害が起こりやすくなります。

広汎子宮全摘術の合併症や後遺症を回避するために考案された術式で、子宮頸がんのIa期(場合によりIb期)までが適応です。

広汎子宮全摘術:子宮に加え、子宮を支えている3つの靭帯をできるだけ子宮から遠いところで摘出します。また、必ず、所属リンパ節も系統的に郭清します。子宮のある腟の一部も摘出します。この術式は、靭帯を子宮からできるだけ遠いところから摘出するために、靭帯を貫いている尿管の剥離も伴い、尿管に関係する合併症も多くなります。

子宮頸癌(Ⅰb 期~Ⅱb 期)に対する手術でしたが、頸部に浸潤のある子宮体がんや腟上部だけとどまる腟がんに対しても行われます。

アプローチによる分類

子宮全摘の際には、お腹を開いて子宮に到達するのか、膣から到達するのか、アプローチによる分類も重要です。

手術

腹式

開腹によりアプローチする手術です。オールマイティにどのような術式に対しても使えるアプローチです。特に広汎子宮全摘術は、2016年10月現在、腹式で行うケースがほとんどです。

膣式

膣側からアプローチする手術です。侵襲の少ない術式で、回復も早いのですが、腹腔内に癒着があるときはできない・子供を経膣で産んだことがある人でないと、膣内操作ができないので行なわない・膣から摘出した子宮を回収するので、子宮筋腫などで握りこぶしよりも大きくなってしまった子宮には行うことができないなど、適応に制限があります。

また、腹式で大きく開いてみるのと違って、膣側からの限られた視野の中で見ながらの手術なので、血管を傷つけたときなどに素早い対応ができないこともあり、安全面からも腹式に劣ります。このアプローチをとれるのは、単純子宮全摘術のみです。

腹腔鏡下

腹腔鏡手術の応用です。摘出子宮は膣から回収しますが、握りこぶしよりは大きい腫瘍(成人の頭より大きいと無理)や腹腔内癒着のある例、膣内操作が難しい例でも、腹腔鏡を組み合わせることで、膣式と大して変わらない侵襲で子宮全摘術を行うことができるようになってきました。

また、成人の頭よりも大きい筋腫でも、性腺刺激ホルモン放出ホルモン投与による偽閉経療法で低エストロゲン状態にして、筋腫を小さくしてから腹腔鏡下で子宮全摘を行うなどの工夫が可能です。このアプローチによる手術は、従来、膣上部子宮摘出術と単純子宮全摘術に限られていましたが、今まで無理だと考えられてきた広汎子宮全摘術にも適応されるようになってきました。

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子宮を摘出すると卵巣や卵管もなくなっちゃうの?

卵巣

狭義の広汎子宮全摘術は、卵巣や卵管など両付属器の切除は含まないのですが、実際問題として広範子宮全摘術を行う際には、両側付属器の切除も行うケースが殆どです。したがって、広汎子宮体全摘術と単に言った時には、卵巣や卵管の切除も含む(卵巣や卵管もなくなる)ことが多いです。

それ以外のケースでは、卵巣や卵管まで切除する場合には「+両側付属器切除」という書き方で表します。つまり、単純子宮全摘「だけ」では卵巣や卵管はなくなりませんが、「+両側付属器切除」なら、卵巣や卵管はなくなります。

例えば、開腹して単純子宮全摘を行い、両側付属器切除も行う場合は、「腹式単純子宮全摘術+両側付属器切除」と書き表しますが、この場合は卵巣や卵管はなくなります。もし、子宮全摘を行うと医師から告げられた時には、卵管や卵巣などの付属器はどうするのかお尋ねになるとよいですね。

なお、子宮体がんでは、卵巣から分泌されるエストロゲンが子宮体がんを増悪させてしまうこと、卵巣への転移率が高いこと、子宮体がんのリスクと卵巣がんリスクが共通であること(子宮体がんがある人は同時に卵巣がんも持ちやすい)から、通常、どのような子宮全摘術を選んでも同時に両側付属器切除術を行います。

また、子宮内膜症でも子宮全摘を治療法として選ぶ場合には、両側付属器切除も行うことを考慮します。

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後遺症の症状は?手術法が違うと後遺症も違うの?

診察2

手術の方法の違いによって、後遺症も違います。

したがって、事前に手術の正式な術式名を聞いておくことと、後遺症についての詳しい説明を聞いておくことはとても大事なことです。

子宮全摘の後遺症って何があるの?

子宮全摘も手術ですから、手術中の麻酔の危険や出血の危険があるのはわかります。でも、手術が成功した後の後遺症は?

子宮全摘の合併症や後遺症には、性交障害、膀胱・尿管の損傷、リンパ路障害などがあります。子宮全摘の術式によって、起こる可能性のある合併症や後遺症は変わってきます。また、同じ術式をとっても、全く起きない人から、その後長期間にわたって苦しむ人まで様々です。

後遺症の症状と、その後遺症が起こる術式は?

以下に、後遺症の症状と、その後遺症が起こる可能性が高い術式について、詳細を挙げました。

なお、膣上部子宮摘出術は例が少ないため、どのような後遺症があるのか記載した資料は見つけることができませんでした。わずかな資料からの根拠ですが、膣上部子宮摘出術の後遺症は単純子宮全摘に準じ、単純子宮全摘よりは若干後遺症が残りにくいようです。また、手術時の出血、麻酔による後遺症など、一般的な外科手術に共通なものについては省略しました。

膣長の短縮による性交障害:単純子宮全摘、準広汎子宮全摘、広汎子宮全摘

子宮全摘では程度の差こそあれ、腟の一部を切除します。切り取った箇所は縫い合わせて袋状にしますので、膣は残りますが、もともとの膣よりも短くなり、このため、性交障害が生じます。特に広汎子宮全摘ではかなり短くなり、4cm以上膣が短くなると、性交障害は必発すると言われています。症状は、無理な挿入による疼痛や断端縫合部の断裂などです。

治療は、樹脂でできた器具(コルポスタートなど)による腟拡張や、手術後できるだけ早い時期からの性交ですが、術後の疼痛や、膣長の短縮による疼痛などもあり、言うほど簡単ではありません。

膣を縫い合わせる際に、初めから腟拡張を併用する方法をとり、腟長を延長することもあります。

神経切除による性交障害:単純子宮全摘、準広汎子宮全摘、広汎子宮全摘

子宮を取り除く際に子宮と膣の神経も取り除かれてしまいますので、運動神経、感覚神経の両方の障害がおこります。症状は性器感覚の減少や膣収縮力の減少などです。2〜4ヶ月である程度回復しますが、特に広汎子宮全摘では、組織を神経ごと根こそぎ切除しますので、元どおりになるのは難しいです。

ホルモン低下による性交障害:両側付属器切除

どの子宮全摘術であっても両側付属器切除術を併用する場合は、卵巣もなくなってしまいます。つまり、卵巣から分泌されるエストロゲンなどの濃度が低下し、ホルモン環境変化が激変します。このため、ホルモン低下による性交障害が生じます。

症状は、性欲が減り性交に対して嫌悪感が起きる、膣の分泌物が減って性交時疼痛がある、性交時に気持ちいいと感じない、オルガスムスが減る/なくなるなどですが、自分一人の問題ではなく、パートナーあってのことなので、実際にはとても深刻です。

治療としてはエストロゲンなどのホルモン剤投与と、性交時のローションの利用があります。

外陰部浮腫による性交障害:骨盤内リンパ節郭清

どの子宮全摘術であっても、骨盤内のリンパ節郭清を併用する場合は、外陰部浮腫(外陰部のむくみ)も起こり、性交に苦痛を伴うことがあります。

手術後2〜4ヶ月である程度、外陰部浮腫は改善しますが、元どおりになるのは難しいことが多いです。立ちっぱなしや座りっぱなしを避け、腹圧のかかる時間を減らすなどの工夫が必要になります。

腟脱:単純子宮全摘、準広汎子宮全摘、広汎子宮全摘

子宮を支えている靭帯は、膣も引き上げる役割を果たしています。子宮を摘出する際に、単純子宮全摘では靭帯をできるだけ子宮側で、広汎子宮全摘ではできるだけ子宮から離れた場所で切り離しますが、靭帯が切り離されてしまうために、膣が宙ぶらりんになってしまい、外側に脱出してしまいやすくなります。

対策は靭帯修復術や、骨盤底の筋肉を鍛えるなどになります。

大出血:広汎子宮全摘

どんな手術でも起こりうる出血については省略しますが、広汎子宮全摘では無視できないほどの大出血を起こすことがあります。理由は、広汎子宮全摘は、切除範囲がとても広く、骨盤腔の奥深くから掘り出すように手術を行うため、骨盤壁や骨盤奥深くの血管からの出血が避けられないからです。

切除する組織や器官にも当然、血管があるわけで、手術は止血しながら行うのですが、輸血が必要になることもしばしばあります。

膀胱・尿管の損傷:単純子宮全摘、準広汎子宮全摘、広汎子宮全摘

子宮全摘術を行う際には、どの術式であっても膀胱や尿管を傷つける恐れがあります。症状としては、血尿と排尿困難が多くみられます。血尿は通常2週間くらいで、排尿困難は4週間くらいで自然に治りますが、排尿困難に対しては、腹圧や下腹部圧迫などの排尿訓練が必要な人もいます。

また、子宮全摘後、尿失禁や繰り返す膀胱炎に悩まされる人もいます。子宮がなくなったために、膀胱が骨盤内にずれ込んだり、膀胱尿道移行部が変形したりするためだと考えられています。

膀胱機能麻痺:準広汎子宮全摘、広汎子宮全摘

膀胱機能麻痺は準広汎子宮全摘と広汎子宮全摘の合併症で,頻度が最も高く、特に広汎子宮全摘では、ほぼ全例に起こります。広汎子宮全摘では、子宮につながる靭帯の全てを、できるだけ子宮から遠いところから根こそぎ切除するのですが、基靭帯や直腸腟靭帯を切除する際、その位置関係から、骨盤神経の損傷を完全に避けることは不可能だからです。

膀胱機能障害の症状は、尿意鈍麻と排尿困難です。尿意が分からないために膀胱がパンパンになるまで尿が溜まるのに、排尿困難のために尿がでません。そのため、排尿の際にも排便のようないきみをすることになり、そのせいで、尿管逆流現象を引き起こすこともあります。尿管逆流現象のために、腎盂腎炎なども起こしやすくなります。

また、尿意が分からないのに排尿困難があるせいで、溢流性尿失禁をおこします。溢流性尿失禁とは、自分で尿を出そうとしても出にくいにもかかわらず、膀胱にパンパンにたまった尿が少量ずつ漏れてしまう現象です。尿失禁はどの子宮全摘の後遺症でも起こりますが、準広範子宮全摘や広範子宮全摘ではますます起こりやすくなり、治りにくくなります。特に広範子宮全摘では、100%元の状態に戻すのは難しいです。

尿路感染症:単純子宮全摘、準広汎子宮全摘、広汎子宮全摘

子宮全摘を行う際には、子宮を膀胱から剥離しなくてはなりません。この剥離の際に、膀胱や尿管を傷つけてしまいます。また、広汎子宮全摘では骨盤神経切断も行うことになるので、膀胱機能麻痺が起こります。

女性はもともと、膀胱炎などの尿路感染症を起こしやすいのに加え、膀胱内に尿の貯留や尿管逆流現象などもあるため、さらに尿路感染症を起こしやすくなってしまいます。繰り返す膀胱炎だけにとどまらず、腎盂腎炎を起こすことも稀ではありません。

直腸障害:広汎子宮全摘術

やはり、程度の差はあっても全例にみられる合併症です。
症状は頑固な便秘です。便意がなくなるので、大量の便が溜まりやすく、さらに排便がとても難しくなります。自分で摘便(指などで便を排泄される方法)などを行う必要があることもあります。

リンパ路障害:リンパ節郭清を行った場合、どんな子宮全摘でも

子宮頸がんや子宮ガンなど、悪性疾患の場合、所属リンパ節郭清は必要不可欠です。しかし、骨盤内リンパ節の郭清をすれば、リンパ路は途中で切れてしまい、下肢や外陰のむくみ(浮腫)が起こります。

下肢や外陰の浮腫は、ある程度自然に治りますが、100%元どおりにすることは難しく、日常生活に支障をきたすものも多くあります。

対策としては、長時間の立ち仕事や座り仕事を避ける、腹圧をかけない、弾性ストッキングなどを着用する、マッサージ、就寝時は下肢を挙上、などになります。

更年期様症状:両側付属器切除を行った場合、どんな子宮全摘でも

子宮体ガンでは、女性ホルモンの存在が再発のリスクファクターになる上、位置関係からガンが転移しやすいので、子宮全摘に両側付属器切除を併用することが必要不可欠です(一部の例外除く)。また、子宮頸ガンでも、病気の進行具合により、両側器切除を併用します。

両側付属器切除を閉経前の行った場合、卵巣で分泌されている女性ホルモンが急激になくなってしまい、更年期様の症状が現れることがあります。人によって症状は様々ですが、本物の更年期障害とは異なり、ホルモンの変化がとても急なので、嵐のようなほてりやのぼせ、頭痛などで悩む人は少なくありません。時間の経過とともに、これらの症状は消えていきますが、あまりにも症状が酷い場合には、女性ホルモンを補充することもあります。ただし、女性ホルモンは子宮体がんの再発のリスクファクターになるため、投与量を期間は慎重に決定します。

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まとめ

子宮全摘にはいろいろあり、子宮全摘の種類によって、その後遺症も変わってきます。

子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がん、子宮体がんなど、子宮全摘を行う疾病は色々あり、どの子宮全摘を行うかは疾病により異なります。

後遺症が少ないからといって、手術で摘出するべきものを摘出せず、結果として命を短くしてしまうのは、本末転倒ですが、起こる可能性のあることを知識として持っておく必要はあるでしょう。

また、子宮筋腫や子宮内膜症などの良性疾病が子宮全摘の適応になるのは、薬物治療でうまくいかず、症状があまりにも辛い場合だけですが、後遺症は全く出ない人から、長期間に渡って苦しむ人まで色々なため、手術を受けるか受けないかの判断材料としてやはり知識を持っておく必要があるかと思います。

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これらを読んでおきましょう。

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