腹壁ヘルニアは手術で治す?治療法を知ろう!原因や症状、発症しやすい部位を紹介!

腹壁ヘルニアという言葉にききおぼえがあるでしょうか?ヘルニアと一言で言ってもどのような病気なのか、きちんと理解している方は少ないのではないのでしょうか?

しかし、腹壁ヘルニアは様々な原因によって発症するリスクが有るため、決して私達の日常生活にかかわりがない病気ではありません。生まれながらの遺伝的なものにより発症してしまう方もいれば、生活の上でおこる物事などによってヘルニアを発症する方もいます。

この記事では腹壁ヘルニアの症状や原因、治療方法を見ていくことで、発症しておき放置しておくと腸閉塞や死の危険にまで発展する可能性があるヘルニアとはどのようなものなのか、また、腸壁ヘルニアとは特にどのような症状のことを言うのかを見ていきたいと思います。

腹壁とはからだのどの部分のことを言うの?

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おなかといわれると私たちはおへその周りから腰までを思い浮かべると思います。しかし、医師にとっては「おなか」という言葉は存在しません。胸部の下の部分を腹部とよんで代用しています。これは、明確に「おなか」が医学的に定義されていないからです。

腹部には胸部と横隔膜が存在しています。腹部の外側は皮膚や皮下脂肪、筋肉などで形成されていますが、その内部は腹膜という薄い膜でおおわれた内臓が存在しています。ここにある内臓はどれも重要なものであり、肝臓、胃、十二指腸などをはじめとして消化器官が詰まっています。ちなみに、この腹膜で作られた腔は腹腔と呼ばれています。

大切な臓器がいくつも入っていることもあり、腹腔は重要な消化器官や泌尿器官、さらに生殖器官などといった重要な臓器を守っている部分であるといえます。

腹壁ヘルニアとはどういう病気のことをいうの?

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腹壁ヘルニアについて紹介します。

そもそもヘルニアとはどのような病気のことをいうの?

ヘルニアとは、臓器や組織の一部が包まれている部分から脱出してしまうことをいいます。特に腸が飛び出すことが多いため、時には脱腸とも呼ばれてきました。実はヘルニアの歴史は長く、古代エジプトのパピルスといった歴史的に古い書物にもヘルニアについて記述されているといわれています。

主に脱出しまっている部分を文頭に置いてヘルニアをつけて呼ぶことが一般的です。ヘルニアが生じるのは、主に胸部から腹部にかけてであるといわれています。

ヘルニアの中でも腹壁ヘルニアとはどのような病気なの?

腹部に存在している腹腔から、中に詰まっている内臓が脱出してしまう状態のことを主に腹壁ヘルニアと呼びます。このときは内臓は腹膜につつまれたまま脱出し、一般的にヘルニアという表記の場合にはこの腹部のヘルニアのことを指している場合が多いといわれています。

時に目視で飛びだした部分が膨らんで見えることがありますが、その飛び出し方によってははっきりと目で確認できない場合もあります。

腹壁ヘルニアの原因とはどのようなものがあるの?

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続いて腹壁ヘルニアについて原因を紹介します。

生まれながらもっている原因により発症する先天性ヘルニア

生まれつき腹部にある腹壁になにかが欠けていたり、弱くなっている部分があったりするとヘルニアをし発症しやすいといわれています。これは、何らかの外因がない場合にも腹壁がもともと通常の健康な人間より弱いため、臓器が外に飛び出しやすくなっているためです。

また、発育異常部が原因となる場合もあります。上記の場合は正常な腹壁に欠陥がある場合のことを指していましたが、この場合には腹壁などの成長段階や生まれつき普通と違ったように形成されてしまうことで発症します。医学的にはこれらのヘルニアを先天性ヘルニアと呼んでいます。

外因により二次的に発症する後天性ヘルニア

生まれつきではないものの、加齢や栄養障害、外傷や手術などの傷が原因で二次的に腹壁の弱い部分におなかから圧力がかかることで発生するものが後天性ヘルニアです。お腹から強い圧力がかかる原因には様々なものがあります。激しく泣いたり吹奏楽器の演奏など、腹式呼吸を使うものは当然強い圧力が生じます。

ほかにも、咳や排尿障害、便秘や妊娠などといった、腹腔内に存在している臓器がかかわる動作では大抵強い圧力がかかるといわれています。ほかにも重量物の持ち上げや筋肉トレーニングなど、全身りきむようなものも原因となるといわれています。

ヘルニアは人間の腹部の柔らかさのせいで生じやすいの?

人間の腹部はとても柔らかいため、内臓のヘルニアが発症しやすいといわれています。これは、特に消化器官のほとんどが詰まっているため、食べた食物や消化した食物のかすをスムーズにとおしていくために腹部の圧力は強くなっています。

これは虫垂炎などの手術などは腸を腹腔から出して行いますが、その際に切り取る以上に腸を出しすぎてしまった場合、腹部の圧力が強く、元に戻しにくいといわれていることからわかります。

しかし、強い圧力に比例して腹部は柔らかいため、筋肉の裂け目などから内臓の一部が飛び出しやすいといわれています。

開腹手術や外傷を腹部に受けた場合生じるの?

開腹手術やひどい外傷を腹部に受けた場合、ヘルニアの発症頻度はかなり高くなるといわれています。これは、開いた傷口がしっかりとくっつくことがないためにその傷跡から内臓が出てきてしまうからです。

傷口がしっかりとくっつかない理由はいくつかあります。開腹手術の場合には特に傷口が感染してしまい、通常の治癒能力が働かないことや、縫合が適切に行われず、治療として傷口が癒合ことが原因です。ほかにも腹壁といった腹部の内部に余分な皮下脂肪がたくさんついている場合、脂肪に邪魔されて傷口の治癒は完全にならない場合があります。

また、妊娠中の方や腹水や腹部に腫瘍ができているかたは通常の健康の方よりも腹筋が弱まってしまっているため、原因として挙げられます。

特にヘルニアが起きやすい手術とはどのようなものがあるの?

ヘルニアが起こりやすい手術は胃の切除や虫垂炎によって虫垂の切除、また胆のうを摘出するときであるといわれています。これらの臓器は手術で厳重に縫合していればヘルニアを発症することはありません。

しかし、腹壁が病気などで弱っている場合には縫合した部分が腹部の強い圧力に負けて切れてしまったり、緩くなってしまう場合があります。このような状態でさらに腹部の圧力が高まっていった場合には傷跡から臓器が出てくる場合があります。

また、手術が無事に終わっても加齢のせいで組織が弱くなってくるといきなり立ち上がるなどの刺激のせいで傷跡から臓器が出ることもあります。ほかにも何らかの原因で皮膚の下にある筋膜などが開いてしまうことがあり発症することもあるため、傷が回復してからも何年がたってから発症することもあります。

腹壁ヘルニアとは体のどの部位に発症しやすいの?

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腹部にできるヘルニアの中で最も発症しやすい部分は鼠蹊部であるといわれています。

鼠蹊部とは、おなかから両足の付け根の部分であり、人間が生まれつき弱い部分でいわれているといわれています。この周辺で発生するヘルニアは一番発症頻度が高いため、医師の中でもほかの部位で発症するヘルニアと区別して1つの独立した病気として扱うことが一般的だとされています。

鼠蹊部以外にもお臍やおなかの左右、横腹など様々な部分で発症するといわれています。腹壁ヘルニアに含まない部分もありますが、特殊なものとしてせなかから腰のあたりにできる腰のヘルニアや骨盤の奥から発症するヘルニアなどもあります。

腹壁ヘルニアの症状とはどのようなものがあるの?

疑問

最も一般的なものは、腹部の手術のあとから発症するヘルニアです。ヘルニアのによってでっぱりはたいていお腹の力を調節することで自然に改善することが多いと言われています。

しかし、力を抜いたりしてももとに戻らなくなる場合があり、その場合は腸閉塞に進行する場合があります。

腸壁ヘルニアから生じる腸閉塞とはどのような病気なの?

腸が飛び出すことによって発症する腸閉塞は、更に、腸が飛び出している腹壁の弱い部分が小さいと悪化していく場合があります。これは、腹壁の弱い部分が強い部分に比べて小さいせいで、腸壁の圧力が伝わりやすく腸が締め付けられるためです。

これにより、腸の血液の流れは妨げられるため、絞扼性腸閉塞という病気に発展します。この病気になると、診断が遅れたり治療が遅れた場合命に関わってくるので腸閉塞の場合注意して医者の指示に従うのが重要です。

腹壁ヘルニアが他のヘルニアと症状が違う部分とは?

一般的に、腹壁ヘルニアの症状は鼠径ヘルニアとあまり変わらないと言われています。鼠径ヘルニアの場合は皮下脂肪が少ない部分に発症することが多いと言われていますが、腹壁ヘルニアは特定の部位をつきぬけて突出するのではなく、全体的に出っ張って見える形で発症することが多いと言われています。

これは、腹壁ヘルニアの場合筋肉の隙間から臓器、もしくは臓器をおおっている腹膜や脂肪がでてくることによってヘルニアが発症するため、飛び出てくる範囲が他の部位でのヘルニアに比べて大きいからです。軽症の場合、あまり痛みは感じないと言われています。また、腹部の大きな部位での膨らみのため、違和感を感じる程度で終わってしまい場合もあります。

しかしヘルニアをそのまま放置しておくと症状は進行していくため、触ると痛かったり、ふくらみが引っ込まない、吐き気を覚えるなどの症状があったりする場合はすぐに医師の診療にかかることが重要です。

ヘルニアが大きいほどに症状が自覚しやすくなることがある?

ヘルニアを発症しても、症状を自覚しない場合もありますが、傷跡が発症源の場合はその場所に不快感を覚えたり、腹痛、便秘を引き起こす場合もあります。ヘルニアが大きいほどに症状を自覚しにくい場合もありますが、気付かずに放置することで飛び出していった患部が腹部で損傷して大きな手術での治療が必要になる場合もあります。

また、飛び出していった内臓がうまく腹腔の中に戻らない場合があります。この症状になると腹部に強い痛みを感じるとともに、腸自体が血流をうまく流せなくなってしまい、飛び出した部分やその近くに血液が流れず、壊死したり穿孔ができてしまい場合もあります。これらも処置がおくれると危険なので、医師とよく相談して治療していくことが重要です。

腹壁ヘルニアと便秘の関係とはどのようなものがあるの?

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腹壁ヘルニアを発症したときにはたいてい腸が飛び出してしまう場合が多くあります。食事をし、消化していくときに必要な器官として腸が機能しているため、その腸に不調があると便秘などの症状につながってきます。

腸が突き出ていくと見た目はお腹が張ったようにみえるものの、出っ張っている部分を触ってみると柔らかく、押すと引っ込むのが単なる便秘などによるお腹の張りと違う部分だと言われています。

また、便秘を発症した場合にはよく腸マッサージをする人が多いものの、下手にマッサージをした場合飛び出た患部が傷つく可能性があるため間違ってもむやみにマッサージをするおではなく、適切な治療を受けて病気と向き合っていくのが重要です。

腹壁ヘルニアの検査方法とはどんなものなの?

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腹壁ヘルニアの検査方法を知りましょう。

触診などによる診察

腹壁ヘルニアか、その他の病気による症状であるかを調査する場合にはまず開腹手術を過去に行い、お腹にある程度大きなキズがついているかどうかの確認をすると同時に、腹壁ヘルニア特有の症状が発症しているかどうかを確認します。腹壁ヘルニアは見た目にも腹部が突出し、特に開腹手術をしたことがある方の場合にはその傷跡から突出している可能性がかなり高いため、ある程度容易に診断できます。

また、立ち上がったままでも突き出ている部分は確認できることが多いのですがなかなかはっきりと確認できない場合には、あおむけになった体勢で横をむくことで腸を重力から楽にし、深呼吸をすることで一時的に腹圧を上昇させると突き出ている患部が確認できる場合もあるそうです。

CT検査などによる診察

また、腹壁ヘルニアの突き出ている部分のサイズなどを確認するために更に詳しい検査を行う場合もあります。

他のヘルニアの場合にはCT検査などで画像をとってもなかなか診断をつけることが難しいのですが、腹壁ヘルニアの場合は患部がお腹なので切断画像を撮影しやすく、突き出ている部分がきれいに撮影できる場合が多いためCT検査によって画像検査をする場合もあります。

腹壁ヘルニアの治療方法にはどのような種類があるの?

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最後に治療法について紹介します。

手術を必要としない場合の治療方法にはどのようなものがあるの?

腹壁ヘルニアの場合、すべての人が手術を必要とするわけではありません。ヘルニアによって起こる症状が強いものでない限り、他の方法での治療も十分可能です。

傷跡や手術跡から内蔵が出てしまっている場合には内臓が脱出してしまうのを防ぐことができるような装具を身につけることによって症状の進行を止めて問題の改善をしていきます。

他にも、肥満や、他の病気が原因で発症している場合には腹壁ヘルニアのもともとの原因である病気や症状を解決していくことでヘルニアも改善していくようにアプローチしていきます。

手術を必要とする場合の治療方法にはどのようなものがあるの?

腹壁ヘルニアによって強い症状を感じていたりヘルニアの患部が大きい場合には手術による治療が提案される場合が多くあります。これは長期的な改善をしていくより、外的治療によって根本的な原因を取り除くほうが患者さんにとって負担が少ないからです。

手術の内容は腹壁を強化することによってこれ以上腸がでていくのを防ぎ、改善していくものになります。

他にも、腸が腹壁から飛び出してもとに戻らなくなっている場合にはすぐにその状態を改善し、もとに戻さないと腸閉塞に発展する場合があるため緊急手術が行われます。また、手術をせずに腹壁から飛び出している状態が戻った場合でも腹壁ヘルニアのそもそもの原因は改善されていないため、手術をすることでその原因である構造を修復する必要があります。

大抵の場合腹壁ヘルニアでは外からの診察ではなかなか適切な診断をつけられないため、開腹手術を行うことによって初めて原因を解明する場合がほとんどであると言われています。

まとめ

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腹壁ヘルニアと一言で言っても、さまざまな要因があることがわかったかと思います。単純にこれだから起こったというものではなく、日々の生活習慣や、他の病気や怪我が原因となる場合があるので健康的な生活をいつもこころがけることが大切です。

また、腹壁ヘルニアにかかったあとも自覚症状があまりない方もいるため、腹部になにか違和感を感じた場合にはなにかの病気であるという危険性を認識した上で、自己判断ではなくただしく診察をうけて適切な治療を受けていくことが重要です。

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これらを読んでおきましょう。

  
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