言葉は変わりゆくもの。使いやすい、伝わりやすい言葉を使用すればいいことはもちろんですが、アナウンスの場やビジネスシーンでは正しい言葉使いができなくてはいけません。そんな中、若者言葉の代表例としてあるのが「問題ない」や「必要ない」と言う意味で使用する「大丈夫です」という表現。この表現はビジネス敬語としてNGな表現方法です。
今日は、この「大丈夫です」や「大丈夫ですか?」と言う時の正しい敬語表現について紹介します。大事な場面で失礼のないようにしっかり言葉使いを正していきましょう。
「大丈夫です」「大丈夫ですか?」が敬語でない理由
若い人ほど「大丈夫です」という表現になんら違和感を覚えない傾向にあると思います。一般的な会話の中ではそれでもいいでしょう。しかしビジネスやフォーマルな場ではNGとなる表現であると言わざる終えません。その理由についてご紹介します。
「大丈夫」は上から目線に聞こえる
本来「大丈夫です」という言葉には「問題ない」や「OK」という意味が込められています。そのほかにも必要ありませんと言う意味の「結構です」という意味もあります。
これらは基本的に目上の人が目下の人に対して許可を出すと言う意味となり、目下の人間が使用すべき言葉としては適していません。たとえその気がなくても、無意識に相手を下に見ている風に映ってしまうので印象がよくないでしょう。
「大丈夫ですか?」も上から目線となる
「問題ないですか?」と言う意味で使用する「大丈夫ですか?」も同じく上から目線となる意味が含まれるのでNGです。「ですか?」とついていて一応丁寧な表現になってはいるのですが、尊敬語や謙譲語となる表現が含まれていないのでビジネス敬語としては適していません。
自分の仕事の確認を「これで大丈夫でしょうか?」上司や先輩に尋ねる場合は問題ありません。直属の上司や先輩などとの通常の会話では「大丈夫です」や「大丈夫ですか?」は常用できるでしょう。しかし常用しすぎてお客様や取引先の方との会話の中で使用してしまわないように注意しましょう。
誤解を生む可能性がある
上記でも紹介した通り、「大丈夫です」には「いいです」と言う意味と「結構です」という両方の意味があります。基本的には会話の流れでどっちを意味しているのかがわかるものですが、例えばコンビニでのやり取りのように「袋お分けしてよろしいですか?」「大丈夫です」と返してしまうと「いいです」と言っているのか「分けなくていいですよ」と言っているのか伝わりにくいケースがあります。
極端な例では「契約書お作りしてもよろしいでしょうか?」「大丈夫です」と答えてしまった時には、誤解が発生してすれ違いが発生してしまう可能性もあります。ですからはっきりと明確に言葉を選んで誤解のないように正しい敬語を使用することが重要です。
より丁寧な表現がある
「大丈夫です」「大丈夫ですか?」という表現をしたい時、もっと相手を尊敬した表現となる敬語表現が存在しますので、それよりも敬意が感じられない言葉はビジネスシーンでは使用しない方が無難です。
相手に最大限の敬意を払いながら会話をするのがビジネス敬語ですので、しっかり言葉を選んで意思を表現するようにしましょう。
「大丈夫です」「大丈夫ですか?」の敬語表現
では「大丈夫です」と「大丈夫ですか?」の敬語表現はどうすればいいのかについて紹介していきます。
大丈夫ですか?を正確に敬語表現に言いかえるためには返事をおぼろげに表現するのではなく、明確な意味で回答することが重要です。正しい表現方法を見ていきましょう。
「承知しました」「承知いたしました」
「いいですよ」という意味での「大丈夫です」を変換する場合は「承知しました」と言いかえるのが尊敬語として正しい表現となります。
さらにかしこまった印象を高めたい場合は「承知いたしました」と謙譲語である「致す」を付け加えて謙譲語表現に言いかえると、より敬意を強めることができます。
「問題ございません」
「この流れでいいですか?」というな内容に対して「大丈夫です」と回答する場合は、「問題がざいません」が自然です。堅苦しくなく敬語としても成立している表現ですので、比較的使いやすい敬語表現と言えるでしょう。
「差し支えありません」
「私の方は差し支えありません」すなわち「大丈夫です」
「問題ないでしょうか」「問題ございませんか?」
「大丈夫ですか?」と相手に尋ねる場合、例えば「この日程で大丈夫ですか?」などと言いたい場合に使用する例として、「問題ないでしょうか?」「問題ございませんか?」とするとシンプルでいいでしょう。
かしこまりすぎると「問題ございませんでしょうか?」と表現しそうになりますが、これは丁寧語の「です」と「ます」が両方使用されている”二重敬語”と言って好まれる表現ではありません。
その場合はどちらかを削って、「問題ございませんか?」や「問題ないでしょうか?」とどちらか片方だけを残して表現する方がスマートでしょう。
「本日中にご回答いただきたく存じます」
「問題ないでしょうか」や「問題ございませんでしょうか?」は、なんとなくかしこまった雰囲気が低下して、ぶっきらぼうに感じられてしまう部分もあります。そんな場合は思い切って意味は同じでも表現をガラッと変えてしまうこともおすすめ。
「本日中にご回答いただきたく存じます」とすると、「この日程でも大丈夫ですか?」という表現と同じで、相手に返事を本日中に回答してもらうことには変わりないので無難に敬語が使えます。
「ご了承いただけますでしょうか?」
「こちらで大丈夫でしょうか?」と確認を促す場合は「ご了承いただけますでしょうか?」と言いかえることができます。
お客様などにメールで使用する場合によく使用される表現でもあります。「ご了承いただけますようよろしくお願いします」や「ご了承ください」など、へりくだることで相手に尊敬の意識を向ける謙譲語にあたる表現方法です。
「ご了承いただけますでしょうか?」の返事に対して尊敬語表現で返事をする場合は「御申し出の件、拝承いたしました。」などと表現するといいでしょう。
敬語表現に言い変える上での注意点
「大丈夫です」を言い変える時に「結構です」「構いません」と表現することができますが、この表現方法は敬語ではありません。このように言い換えても敬語とならないケースもありますので注意が必要です。
まとめ
「大丈夫」は非常に多くの意味を含みますので汎用性が非常に高い言葉です。それゆえに回答を曖昧にできたりと、何かと使い勝手がいいのでこれだけ使用されるようになったのでしょう。
反面敬語は日常では使用することが少ないので、自然に使えるようになるまで時間がかかったり、何が正しいのかわからなくなったりします。しかしビジネスマンやサービスに関わる人間として外せないスキルであることは間違い無いので、慣れるまでは常に敬語を使用して現場でスラスラ敬語が使えるよう勤めましょう!
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