何気なく取引先やお客様などの言葉に「わかりました」と返事をしていませんか?その言葉使いでは相手に不快な思いをさせてしまったり、言葉遣いによって信頼度の低下に繋がる恐れがあります。
ビジネスシーンでは正しく敬語が使えるか使えないかがその人の印象を大きく決めます。その結果商談がまとまったり、商品の契約に繋がるなど自分の成績に繋がります。正しい敬語スキルを身につけて信頼してもらえる人間性を身につけましょう!
「わかりました」が敬語ではない理由
「わかりました」は「わかる」「わかった」の丁寧語表現ですので正確には敬語になるのですが、ビジネス敬語としてはNGとされることが多いです。それはどうしてでしょうか?
「わかりました」がビジネス敬語表現としてNGな理由について見ていきましょう。
取引先やお客様との敬語対応には不適切
特にかしこまった敬語の必要がない直属の上司や先輩に対しては「わかりました」と口頭敬語え使用しても問題ありません。
しかし、他社の取引先とのやり取りや、一般のお客様とのやりとりを行う場合は「わかりました」ではラフすぎる印象を与えてしまいます。その場合には「かしこまりました」「承知いたしました」などと表現した方が適切です。
もっとかしこまった言い方がある
実際「わかりました」という敬語表現がそこまでNGな訳ではありません。信頼関係がすでに出来上がっている場合は問題ないと言えます。しかし、まだ信頼関係が築けていない場合は、ちょっとラフすぎるかな?配慮に欠けるかな?という印象があります。「わかりました」の他にも「承知しました」「かしこまりました」という表現があるので、どうしてもラフな表現に聞こえてしまうんですね。
もっとかしこまった表現がある場合はできるだけそちらを使用しするようにしましょう。
文章で見たときの敬語感が弱い
メールでのやり取りの際に「わかりました」と打つと非常に馴れ馴れしい雰囲気になります。距離が近いと言いますか、あまり相手を尊敬しているという印象を受けません。「了解です」と同じくらいラフな敬語ですね。
あくまでも「わかりました」は丁寧語としての敬語ですので、敬語の部類としてはもっとも簡易的な言葉であることを覚えておきましょう。
「わかりました」は尊敬語や謙譲語表現ではない
目上の人や、敬う必要のある人に対しては尊敬語や謙譲語を使用するのが無難です。「わかりました」はあくまでも語尾に「です」「ます」をつけるだけで完成する簡単な丁寧語ですので、言葉を丁寧に喋っているだけにすぎず、相手に対する尊敬の意識は低めに写ってしまいます。
ですので通常目上の人に対しては尊敬語や謙譲語使用することを意識して言葉選びをするといいでしょう。
「わかりました」の敬語表現
わかりましたを敬語で使用するときの表現方法についてそれぞれ紹介していきます。
敬語は尊敬語・謙譲語Ⅰ・Ⅱ・丁寧語・美化語の五つに分類されています。今回は「わかりました」に関連する尊敬語・謙譲語・丁寧語の三つの形式からそれぞれの形を紹介していきます。
尊敬語の「わかりました」の表現
尊敬語は話してである自分が聞き手である相手や会話中に登場する人物を高める場合に使用する言葉です。動詞や主語となる言葉をより敬った言葉にすることで尊敬語となります。
「言う・話す」→「おっしゃる」
「くる」→「お越しになる」「いらっしゃる」
などなどです。
「わかる」「了解する」「理解する」などの場合は「かしこまりました」となります。「かしこまりました」は、命令・依頼などを謹んで承る意を表す言葉です。
相手に向けての敬意がしっかり込められているのでビジネスシーンでは適している言葉選びとなります。
謙譲語の「わかりました」の表現
謙譲語は自分がへりくだることで相手を立てる言い回しです。たとえば
「言う・話す」→「申される・申す」
「くる」→「参る・伺う」
となります。
「わかる」の謙譲語表現は「承りました」「了承致しました」などが適切です。
承る(うけたまわる)の漢字が入っている「承知」なども同様、相手への尊敬を込めた意味を持つ言葉です。ですので「承知いたしました」でも大丈夫です。
また、相手に「わかりましたか?」「これでいいですか?」と了承を促す場合は「ご承知いただけたでしょうか?」「ご承諾いただけますでしょうか?」「ご了承ください」などと頭に”御”をつけることが謙譲語の特徴です。自分の行動には”ご”をつけるとおかしいのでそこは注意してください。
自分が「わかりました」という場合
ご了解いたしました×
了解いたしました◯
相手に「ご理解ください」という場合
了承ください×
御了承ください◯
丁寧語の「わかりました」の表現
丁寧語は言葉を丁寧にしているだけの言い方です。語尾に「です」「ます」をつけることでほとんどの言葉は丁寧語になります。
「言う・話す」→「話します・言います」
「行く」→「いきます・行ってください」
丁寧にしているだけですので「わかりました」も「わかる」「わかった」の丁寧語で大丈夫です。丁寧語はやや距離が近いニュアンスがあることと、相手への尊敬の意識はあまり言葉からは感じられないので、親しい間柄になってから使用するのがいいでしょう。
「わかりました」の使用例・メール・電話・お客様対応
日常で「わかりました」を使用するシーンは多いかと思います。メールやお客様対応などをする場合に正しい言葉使いができるように、「わかりました」の正しい使用例について紹介します。
メールでの使用例
取引先やお客様などとのメールのやり取りで「わかりました」を使うことがどれだけ不自然かをまずは理解しましょう。
「○○の件、わかりました。その方向性で上司に伝えておきます。」
「わかりました。お客様のご要望通り手配させていただきます。」
ちょっと違和感がありませんか?こう言い換えるとかなり自然に気持ちい文章になります。
「○○の件、承知いたしました。その方向性で上司に申し伝えます。」
「かしこまりました。お客様のご要望通り手配させていただきます。」
取引している担当の方から「はい、わかりました」なんて文章が送られて来たら「怒ってるのかな?」「高圧的だな」と思われかねません。しかもメールは文章だけで人柄が判断されてしまいますから要注意です。正しい言葉使いをして印象をあげましょう。
電話での使用例
電話でも同じように謙譲語や尊敬語を主に使用していきます。
「かしこまりました、少々お待ちください。」
「承知いたしました、担当者にお繋ぎいたしますのでしばらくお待ちいただけますでしょうか?」
などなど聞き馴染みしている言葉ですよね。
「わかりました、ちょっと待ってくださいね」というサポートセンターや営業の電話よりも「かしこまりました」や「承知しました」をスマートに扱う営業マンや受付の方が信頼できるはずです。実際に正しいビジネス敬語を使用することで、相手の反応も大きく変わります。正しい敬語を使用して信頼度をアップさせましょう。
お客様対応での使用例
サービス業で実際に対面接客をしている人は特に正しいビジネス敬語を身につける必要があります。
「かしこまりました」「承知いたしました」がどうしても肌に合わない、口馴染みがないと言う人は「了解しました」を使うかもしれませんが「了解」はビジネス敬語としてはNGワードとなります。「了解致しました」などと「致す」を付けると敬語っぽくなりますが、それでも不十分です。
了解は基本的に目上の人が目下の人に向けて「了解」と使用する言葉です。友達や距離の近い先輩などと話場合には問題ないですが、ビジネス敬語研修などでは真っ先に使用を禁止される言葉が「了解」ですので注意しましょう。
必ず「かしこまりました」「承知いたしました」に置き換えて、これを癖づけるようにしましょう。
「了解しました」よりも「わかりました」の方が無難
実際話の中で敬語以外の言葉が出てしまうことがありますが、それでも「了解しました」よりも「わかりました」と言う方が無難です。
「了解」に関しては、近年目上の人の依頼・希望・命令などを承諾する意に使う向きもあるが,慣用に馴染まない(ぶっきらぼうで敬意が不足)であるとの見方がります。
実際に不快に思う、砕けた感じに思われることが多いので、もし「了解しました」を使用するのであれば「わかりました」を使用した方がいいでしょう。
まとめ
「わかりました」のビジネス敬語について紹介しました。正しい言葉使いをして周囲を不快にすることなく円滑なコミュニケーションを図りましょう!
特に幅の広い年代の方と仕事をする機会がある人は敬語の能力は非常に重要です。敬語マスターになって美しい日本語を使えば、周囲からの評価も上がって結果が出しやすくなるでしょう。知らない間に信頼を失わないように注意し、お互いに気持ちよく仕事ができるようになりましょう。
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