大きな葉と書いて「おおば」と呼びますが、基本的にはこれ単体で食することはあまり多くありません。ほとんどが刺身のつまや薬味としてメイン料理に添えられています。
この脇役的な使われ方をしている大葉ですが、じつはものすごく栄養化が高く、身体にいいのです。今回は、この大葉の栄養やいろいろな効能、健康効果について、お伝えいたします。
大葉とは
大葉とは単なるしその別の呼び方です。
本来は「しそ」でいいのですが、市場などで卸す時には葉の部分と芽の部分があり、それを区別するために、葉の部分を「大葉」、芽や花の部分を「芽」としました。
しそ
しそには青紫蘇と赤紫蘇があります。通常は、赤じそ、青じそと銘記するようですが、基本的な栄養素や効能は同じです。赤紫蘇にはポリフェノールが多く含まれています。食用には主に青紫蘇が使われ、赤紫蘇は梅を赤く染めることに多く使用されますが、昔から漢方にもよく使われています。この赤紫蘇は咳止めにも使われていました。
日本では食用として利用されてますが、あまり海外では食することがないようで、中国などでは漢方としての位置付けが主流のようです。
呼び名
通常、大葉というと青紫蘇のことで、市場でその呼び名を間違えないようにしたことは述べました。赤紫蘇とは見てすぐわかるように、赤いというより、紫色をしたしそが赤紫蘇です。
産地
以前は夏場に多く収穫するものでしたが、現在は通年生育されて、スーパーなどでもいつでも販売しています。主に愛知県などで多く生産されています。成長が早いため、伸びてきたら、なるべく早い段階で刈らないと、葉が固くなり食用に適さなくなります。
大葉に含まれる栄養素
大葉には身体にいいとされる栄養素がたくさん含まれています。
ただ、基本的には調理方法もそれほどバラエティに富んでないので、単調な使い方になってしまいます。
ビタミン類
一応野菜類の分類に入るので、普通の野菜同様にビタミンは豊富です。ビタミンB1、B2、B6、C、E、Kが特に多く、ビタミンKは骨の凝固作用が強く、骨を丈夫にします。
ただ、これらのビタミン類は、いくら大葉に含有量が多いといっても、大葉そのもの自体は何十枚も食べることはあまりしないので、量的には実際はそれほど取れないというのが実情といったところではないでしょうか。
βカロテン
こちらは含有量も豊富であり、この栄養素は抗酸化作用が働くために老化予防、動脈硬化などの生活習慣病を防ぐ役目を持っているので、効果が期待できます。
この栄養素もやはり大葉自体を大量に摂取する訳でもないので、その効果を望む半面、普段の生活スタイルを改善する必要があります。つまり、食生活が乱れていたら、いくらその身体にいいものを摂取しても相殺されてしまうからです。その点は十分に注意しましょう。
鉄分
女性に多いのですが、生理の関係で鉄分が不足し、貧血気味の人も多いようです。
鉄分を補うには、レバーとかプルーンなどが適していますが、大葉も相対的に量は多くありませんが、鉄分を含みますので、貧血予防にはなります。
ミネラル
ミネラルは少量でも身体に必要な栄養素です。俗に第五の栄養素と言われるぐらいに重要なもので、このミネラルが不足すると、頭がボーっとしてしまい、だるい感覚が抜けません。
また、食事で得た栄養などが効率よく吸収されなくなるといったことも起きるので、大葉で不足分を補うと同時に、塩分からもミネラルは補充したほうがよいとされています。
よく塩分は高血圧の素と諸悪の根源扱いをしていますが、この塩分が不足すると脳から身体への指令がスムーズに伝達しないので、体調が悪くなったり、活発的な反応ができなくなります。
αリノレン酸
最近特に注目されているのがこのαリノレン酸です。この種の脂肪酸には、オメガ3、6、9の種類に分類されており、一般に身体にいい脂肪がオメガ3とオメガ9系のものです。
大葉にはこのオメガ3であるαリノレン酸が多く含まれています。このオイルは、青魚に多く含まれているEPA、DHAと同じ働きをするもので、老化防止、アレルギーの解消に効果があると言われています。高齢なってきた時には積極的に取りたいオイルであり、実はこのオイルは基本的に自分の体の中では造成しないので、積極的に取る必要があります。
オメガ6はサラダ油など、家庭用の炒め物や揚げ物によく使われますが、身体によくないということなので、なるべく控えるようにしたほうがいいでしょう。このオメガ6はサラダ油だけでなく、スナック菓子、ファストフードなどにはほとんど使用されているので、かなりの量を間接的に摂取しています。
特に認知症にこのオイルが影響しているのではないかといわれていることもあり、その摂取や使用を控える方が賢明なのではないかと思われます。
ロズマリン酸
多くはシソ科の植物に含まれ、血糖値の上昇を抑えます。この血糖値が上がりすぎることが続きますと、糖尿病になると言われています。
ですから、糖尿病予防の一つの方法として、血糖値の上昇を抑えるためには、糖質を摂取する前に大葉を食べるようにしましょう。
ポリフェノール
効果としては、抗酸化作用があるために血液をさらさらにする、アンチエイジング効果、心臓病予防や認知症予防などが上げられます。
このポリフェノールは実は種類が非常に多く、4000種類あると言われています。一般的に有名なのが、赤ワインに含まれているアントシアニンや、ココアとチョコレートのカカオス、そばに含まれるルチン、緑茶などのカテキン、コーヒーのクロロゲン酸などです。
どのポリフェノールも非常に身体にいいものなので、大葉同様に積極的に取ることをお勧めします。ちなみにフランス人には心臓病患者が少ないのは、ワインに含まれているポリフェノールの影響といわれています。
大葉の効能
多くに使用されるのが、刺身などの生ものに添えられています。
これは防腐などの作用があるためですが、それだけにとどまらず、生活習慣病予防などにはもってこいの食材です。
防腐効果・食中毒予防
季節がら、食べ物が痛みやすい時期には食中毒などが気になります。そのような時期には、生のまま大葉を添えることにより、殺菌効果や防腐作用が働きます。
当然に長い時間を気温の高めの場所に置いておくことはいくら大葉をあてがっても効果は無くなってしまいますので注意が必要です。それと、食して身体の中に入ってもその効果効能は継続します。
食欲増進
夏場などの気温が高めの時期には、食欲が落ちるものです。食欲が落ちることは、水分の取り過ぎや汗をかくことで体内のミネラルが減ることです。、ミネラルを補充するには、大葉の摂取が適しているのですが、それとともに、大葉に含まれる成分である香り成分、シソアルデヒドが胃液を分泌する作用を促すために食欲が増すことにつながります。
免疫力の向上
抗酸化作用などがあるので、消化吸収することで、免疫アップにつながります。
免疫力は病気から身を守るために働くものであり、食事や生活習慣をよくしていないと、悪い方へと行きがちになります。
アレルギー改善
ルテリオンという物質が、アレルギー症状を改善させる作用を及ぼします。アレルギー症状とは、体内に溜まった毒素などが皮膚を通して排出しようとすることで、肌が荒れ、がさがさになります。
このような症状には、大葉に含まれるルテリオンとロズマリン酸が同様の働きをして、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症などの改善効果に役立つのです。アレルギー改善には、大葉を日々定期的に摂取する習慣があれば、その改善はかなりの高い確率となることでしょう。
このようなアレルギー改善は、紫蘇から作られるしそ油でもその効果が認められています。この油を毎日スプーン1杯摂取する習慣で、大葉を日々食べなくてもその効果は高まります。油で摂取する分、吸収も早く量も多めに採れるので、逆に効率的と言えます。
血液をさらさらにする
加工食品や、添加物が多い食事をする人は、いわゆるどろどろ血といって、血液が酸化性を帯びていて血流が悪くなっているケースが多いです。この場合は大葉を摂取することで酸化作用を中和し、血液をさらさらにします。ですがやはり何度も述べるように大葉の摂取はそれほど多く取れないのが普通なので、普段から血液を汚さない習慣も必要です。
血液さらさら効果は、他にも酢や野菜ジュースなども効果がありますので、合わせて摂取するといいでしょう。
美肌効果
肌にもいいということで、美容効果があります。これは肌に塗るということではなくて、内面からきれいになるという効果が望めるので、積極的に摂取しましょう。
精神安定
カルシウムが多く含まれているので、精神安定にはもってこいです。よく糖分などをとる人は、気が短くてカッカしやすく、すぐキレるといいますが、これなどはカルシウムが糖分過多のために、排出されてしまうからです。
このような場合にも、カルシウムが豊富な大葉を摂取することで、改善につながりますが、ある程度は糖分を控えることも必要です。
動脈硬化を防ぐ
普段から、食事を節制している方には動脈硬化の心配はありませんが、忙しくてパン食であるとか、インスタント食品をよく食べる人、野菜をあまり摂取しない人は、血管にコレステロールが増えすぎたり、血管の壁に脂肪がくっ付いて、血管の柔軟性が失われてきます。
そのような状態を防ぐことができます。
リュウマチに効果的
この病気は主に関節などが痛んだり、腫れたりするもので、原因は免疫の機能不全が影響していると考えられます。つまり、関節回りの骨や組織が自己の免疫が攻撃してしまうことにより痛みを発症させてしまうと言われています。
大葉には免疫機能の回復効果が望めますので、摂取することで快方に向かうということも考えられます。
骨粗鬆症予防!
骨粗鬆症とは骨がもろくなってしまい、ちょっとの衝撃でも骨が折れたり潰れたりする症状です。
これはカルシウムなど、骨を強くする栄養素が足りなくなっているのですが、ある日突然に身体に異常が発症しますので、日常の食事スタイルには十分に注意しましょう。
老化防止や病気の予防
抗酸化作用が働くので、病気の原因や老化を予防してくれます。抗酸化というのは通常の生命維持活動でどうしても体内で発生してしまう酸化のことで、これを活性酸素と呼びます。つまり、身体もこの活性酸素というもので、錆びるということなのです。この活性酸素が増えると、酸化している部分が多くなり、老化が進んだり、病気になりやすい状態を作ってしまいます。
この状態を緩和させるのが、大葉に含まれる成分なので、習慣として摂取することで、老化や病気を防ぎます。この活性酸素を作り出し、酸化する原因となるのはタバコ、ストレス、日焼け、添加物を多く含む食事などが原因です。
しかし、いくら大葉など抗酸化作用のあるものを一生懸命摂取しても、その原因が抗酸化作用を上回るようでは、意味がありません。この点は勘違いしないようにしてください。
大葉の保存方法や摂取法など
これだけの効能が認められる大葉ですが、その食べ方や保存方法などはどのようにすればいいのでしょうか。
冷凍
それほど長持ちするものではないので、購入してきたり採取してきたら、早めに食べることがいいとされます。
保存法に関しては、水気を失わないようにある程度の水分を加えてからラップでくるみ、冷凍すると割と長い期間は保管ができます。水分がなくなりますと、しおれてしまいますので、見栄えも栄養価も落ちてきます。
摂取法
簡単に食するのであれば、刺身のつまとしてそのまま食するのが一般的ですが、他には刻んでスパゲティの上に乗せたり混ぜたりするような食べ方、薬味として豆腐に乗せる、ハンバーグやとんかつの上に和風仕立てで食するなどがあります。
どうしても付け合わせとして添えられている場合が多いので、きちんと栄養分を吸収したいと考えるならば、通常よりも量を多めにしたほうがいいでしょう。
また、しその花も食することができます。同様の栄養分があり、塩漬けにしたりてんぷらにしてもいいでしょう。
しそ酢
食する方法ではどうしても限られた量しか摂取できません。であれば、しその成分が入っているしそ酢などが適しているでしょう。
この酢にはクエン酸も含まれていて、疲労回復も望めます。ですが、酢としての成分があるために若干すっぱいので、ジュースなどと混ぜて飲用するとか、ドレッシングなどと混ぜて使用することで、摂食しやすい方法を選ぶと効果が高まります。
しそ油
最近注目されているオメガ3系のオイルで、アマニ油同様にαリノレン酸が豊富に含まれています。油とはいっても、こちらは熱に弱いので、炒め物や揚げ物に適していません。
効率よく摂取するには、生のまま食することです。そのまま飲む、サラダや豆腐などにかけて食することで、いい成分がきちんと摂取することができます。
しそ茶
アレルギー改善などに効果があるしそ茶は、簡単に作れることができます。赤紫蘇もしくは青紫蘇を20枚ほど束ねて、煮出すことで有効な成分が溶け出します。
このお茶は食する時と同じ作用がありますので、日常において飲むことでアレルギー改善をはじめ、老化防止やダイエットなどにも効果があります。
しそ酒
これは焼酎にしそを漬けこんで作るものですが、やはり健康効果が非常に高いものとなります。ただ、作るのが面倒くさいと思う方は、購入するのもいいのではないのでしょうか。
少量を毎日飲み続けることで、抗酸化作用の影響が発揮され、老化防止などが見込まれまれると同時に、アレルギーにも効果が高く上手に摂取してください。ただしお酒なので、子供のアレルギー対応にはよくありません。
家庭菜園
大葉は成長するのも早いので、家庭のプランターなどで自前の大葉を生育することができますし、安く手に入れることができます。
ただ、食べごろの時期になったらすぐに刈りいれることと、虫も付きやすいのでその辺のフォローが必要になることは否めません。
家庭菜園などでハーブや野菜を作ることが得意な人は挑戦してみてもいいかもしれません。新鮮な大葉が効率よく手に入るようになるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は、大葉の栄養などについての記事でした。
一見、添え物のような扱いの大葉ですが、実はこれほどの栄養化の高いものとはあまり思っている人も多くないと思います。つまとして添えられていると、どうしても残してしまうことが多いのですが、これからはそれを食さないと損をしてしまうということがよく解ったと思います。
大葉の栄養もさることながら、普段の食生活や生活スタイルが滅茶苦茶であると、いくら身体にいいからと多く摂取しても意味がないこともあります。これからは、そのようなことも含め、全体感で考えることが必要になります。
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