日本人は便秘で悩む人が多いですね。国民生活調査によれば、480万人以上が慢性的な便秘に苦しんでいます。頑固で慢性的な便秘は、「むくみ腸」かもしれません。
「むくみ腸」とは、身体全体がむくむとともに、腸にもむくみが生じている状態です。むくみ腸になると、ダイエットしても、なかなか痩せません。ニキビや吹き出物など肌トラブルが改善しません。そして、最も怖いのは、腸内の便の溜まっている部分にガンが発生しやすいことです。
むくみ腸の原因と症状、改善方法について、お伝えしますね。
頑固で慢性的な便秘は「むくみ腸」?
「むくみ腸」とは、腸管の壁から吸収された水分がうまく排出されず、腸管にたまって、腸管がむくんでいる状態です。腸管がむくむために、腸の動き(ぜんどう運動)が悪くなり、便秘になります。
脂質や糖分の分解障害が起き、エネルギーとして消費されません。便が溜まっている部分に大腸ガンが発生する可能性が高くなります。
[むくみ腸の自己チェック]
「もしかしたら、むくみ腸かな?」と思う人は、次の項目をチェックしてみてください。
- 下痢または便秘がちである。
- 3日以上便が出ないことが1ヶ月に数回ある。
- 定期的に便は出ているが、スッキリ感がなく、残便感がある。
- お腹が硬く、コチコチになっている。
- 腹部膨満感(お腹が張っている感じ)がある。
- ポッコリお腹で、お腹が出ている。
- 五年以上、下剤を服用し続けている。
- オナラが臭い。
- 顔や身体、手足がむくんでいて、なかなか治らない。
- ダイエットしても、なかなか痩せない。
- ニキビや吹き出物ができやすく、治りにくい。
[むくみ腸の原因]
「むくみ・浮腫」とは、身体の部分に異常な水分が溜まることです。朝、起きた時に顔がはれぼったかったり、夕方、足がむくんで靴がきつくなったりするのは、多くの人が経験しています。これは、血液やリンパ液の流れが滞るためです。
腸周辺の血液やリンパ液の流れが障害されると、腸にも「むくみ」が生じるのです。
血流障害でむくみ腸になる
むくみ腸の原因は、血流障害(血の流れが悪くなる)です。
便は、大腸の壁から水分を吸収されてから排泄されます。大腸壁から吸収された水分は血液に入り、血管を通って腎臓に運ばれ尿として排出されます。
腸周辺の血液の流れ(血行)が悪くなると、腸癖から吸収された水分が流れて行かず、腸壁にたまってしまいます。腸にむくみが生じます。
腸周辺のリンパ液の流れが悪くなると、腸壁の余分な水分を取り除くことができなきなります。腸壁に水分が溜まり、むくみ腸になります。
腸周辺の血流障害は、なぜ起きる?
腸周辺の血流障害の原因は、①腸の冷え ②腸内環境の悪化 ③腸粘膜の炎症 などです。
①腸の冷え
冷たい食べ物や飲み物、身体を冷やす食べ物を摂りすぎると、腸が冷えて血行が悪くなります。
身体全体が冷えると、当然、腸も冷えます。運動不足・冷房などで身体が冷えると、全身の血流が悪くなります。また、中高年以上は、血管にコレステロールが溜まる動脈硬化などでも全身の血流が滞り、腸周辺の血流も悪くなります。
②腸内環境の悪化
便秘をすると、腸内の環境が悪くなります。また、腸内の環境が悪くなると、悪玉菌が増えて、さらに便秘しやすくなるという悪循環が起こります。
腸内環境が悪くなると、腸の血流が悪くなります。
③腸粘膜の炎症
腸粘膜に炎症が起きると、腸の血流が悪くなります。
ただし、急性大腸炎などで起きる血流障害と腸のむくみは一過性です。急性大腸炎が治れば、むくみ腸も解消します。
便秘薬の下剤でむくみ腸になる
便秘しがちの人は、つい下剤を服用して便通をつけようとします。しかし、下剤は腸を刺激して排便を促します。下剤を慢性的に服用していると、腸粘膜が炎症を起こしやすくなります。腸粘膜が炎症を起こすと、血流が悪くなり、むくみ腸になります。
慢性便秘で下剤の服用を続けていると、むくみ腸になりやすく、むくみ腸になると、さらに便秘するという、悪循環に陥ってしまいます。
妊娠中はむくみ腸になりやすい
妊娠すると、ホルモンバランスの変化や子宮の腸への圧迫などで、腸周辺の血流が悪くなりますし、便秘を起こしやすくなります。妊娠中は、むくみ腸になりやすいのです。
[むくみ腸になると、どうなるの?]
腸壁に水分が溜まるということは、腸周辺だけの血流が悪くなるのではありません。全身の血流が悪く悪くなります。そのために、全身の機能が低下して、いろいろな障害が起こります。
①腸の蠕動(ぜんどう)運動が悪くなる
口から摂取した食物は、食道と胃でドロドロの状態にされ、小腸に送られます。小腸の腸壁から、身体に必要な栄養分が吸収されます。これを消化・吸収といいます。
小腸で栄養分が吸収された後、残りカスは大腸に送られます。大腸に送られたばかりの残りカスはドロドロした状態です。
大腸は、ギュッと縮んで、ゆるむという動きを繰り返しています。この動きを「ぜんどう運動」といいます。ぜん動運動により、大腸の内容物(残りカス)が動きます。蠕動運動で運ばれる間に、ドロドロの内容物は腸壁から水分を吸収されて固まり、便として排泄されます。
血流障害が起きていると、腸壁から吸収した水分が流れず、溜まってしまいます。そのために、腸のぜんどう運動が悪くなり、便が腸管に溜まるようになります。
(過敏性腸症候群を発症する可能性がある)
腸のぜんどう運動が悪くなるので、過敏性腸症候群を発症する可能性があります。
②脂質や糖質の分解障害が起きる
むくみ腸になると、腸の動きが悪くなるので、脂質や糖質の分解障害が起きます。脂質や糖質がエネルギーとして消費されなくなります。
そのため、ダイエット効果が上がらなくなります。「こんなに食事制限しているのに、なかなか痩せない」のは、むくみ腸が原因の可能性があります。
③便秘症が解消されない
むくみ腸になると、腸のぜん動運動が低下するので、腸管に便が溜まります。便秘が解消しないどころか、お腹にガスが溜まったり、ポッコリお腹になったりします。ニキビや吹き出物などができやすくなり、なかなか治りません。
便秘が続くと、腸内環境が悪くなり、悪玉菌が増えます。慢性便秘は、悪玉菌が長期間体内に留まるので、いろいろな病気を引き起こします。
(便秘が大腸ガンを引き起こす?)
便秘症は大腸ガンを引き起こす可能性が高くなります。小林弘幸医師の研究によれば、「便の溜まりやすい部分は、大腸ガンの発生頻度が高い」そうです。
便秘症は女性に多いようです。女性の死因のトップは大腸ガンですが、このことは、女性の便秘症との深い関連を示しています。
(便秘が引き起こす病気)
便秘は大腸ガンを引き起こすだけではありません。腸管に食べ物が詰まるイレウスや、痔が起こりやすくなります。
悪玉菌が増える影響でアレルギー症になる可能性もあります。
高血圧症を発症するリスクが高くなります。高血圧症は、動脈硬化や脳卒中の原因になることがあります。
④むくみ腸は全身の血流が悪い
むくみ腸は、腸周辺だけの血流が悪いのではなく、全身に血流障害が起きていることが多いようです。また、むくみ腸になると、全身の血液の流れが悪くなります。血流が悪いので、全身のさまざまな機能が低下します。
(冷え性になる)
全身の血流が悪いと、「手足が冷える・身体が温まらない」という冷え性になります。特に、女性に多いようです。
(肩こり・頭痛・腰痛が起きる)
便秘症の女性は、肩こりや頭痛、腰痛を併発することが多いようです。むくみ腸で便秘になると、血流が悪いために、肩こり・頭痛・腰痛が起きやすくなります。
⑤むくみ腸は免疫力が低下する
むくみ腸になると、全身の血流が悪くなります。リンパ液の流れも障害されます。
ヒトの免疫システムの多くは、血液中の白血球の仲間、リンパ球やマクロファージ、顆粒球などの免疫細胞が担っています。血流が悪くなると、白血球が体の隅々にまで行き届かず、免疫力が低下します。
(感染症になりやすい)
免疫力が低下するため、細菌やウィルス、真菌などに感染しやすくなります。感染症を発症するリスクが高くなります。風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
(ガンを発症しやすくなる)
ヒトの体内では毎日数千個のガン細胞が生まれています。しかし、免疫細胞がガン細胞を攻撃して排除するので、ガンを発症しないですみます。
むくみ腸になると免疫力が低下しますから、大腸ガンだけでなく、他のガンも発症しやすくなります。
食生活でむくみ腸を改善する
むくみ腸は、改善しないと、とんでもない恐ろしい病気を引き起こす可能性があります。むくみ腸の改善方法は、1つは腸や身体を冷やさないことです。1つは腸内環境の改善です。腸内環境の改善は、便秘解消にもなります。
便秘解消ができないと、むくみ腸は改善できません。下剤を使用しないで、食物で腸内環境を改善することが、最も良い便秘解消方法です。
[腸や身体を冷やさない]
腸や身体全体を冷やさないようにして、血流を改善します。
①冷たい飲み物や食べ物を多く摂らない
冷たい飲み物や食べ物(アイスクリームやシャーベット、かき氷など)を多量に摂らないようにします。
美容のために水を多量に飲む人が少なくありません。水分を十分摂ることは、便秘解消効果もあります。しかし、冷たい水を大量に摂取すると、腸が冷えて血流が悪くなり、むくみ腸になります。水は体温(36~37℃)以上で、飲むようにします。
②温かい飲み物で血流改善
腸周辺の血流を改善するには、温かい飲み物で腸を温めます。腸を温めるのは、即効性の便秘解消方法です。
朝、起きたら、お湯を飲むようにします。寝る前に「しょうがココア」を飲みます。ショウガは全身を温めて血流を良くします。ココアは、脳を活性化するとともに、リラックスさせる効果があります。
③夕食は温野菜サラダ
後述しますが、野菜など食物繊維は、便秘解消に効きます。しかし、夕食に生野菜を食べると、胃腸を冷やします。生野菜のサラダは、朝食や昼食に食べるようにして、夕食には温野菜を食べるようにします。
[腸内環境の改善]
腸内環境を改善して、善玉菌を増やすと、便秘解消につながります。食物繊維は、腸のぜん動運動をサポートするので、便秘解消効果があります。
①ホットヨーグルトで乳酸菌とビフィズス菌を摂取する
乳酸菌は、大腸内で小腸から送られてきた食物の糖質を分解・発酵させて、乳酸を産生する細菌の総称です。乳酸菌の仲間は600種類以上もあります。乳酸菌は、糖質を分解・発酵する時に、身体に有効な有機酸類や酵素、ホルモン、ビタミン類を合成します。
乳酸菌は、ヨーグルトや味噌・醤油・納豆・キムチなどの漬物のような発酵食品に多く含まれています。乳酸菌サプリもあります。
(乳酸菌の効果)
乳酸菌には、便秘解消効果や便秘予防効果があるだけでなく、免疫力を高め、花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー症の予防・軽減になります。腸内の善玉菌の代表であるビフィズス菌をサポートして、ビフィズス菌が生息しやすいように腸内の環境を整えます。
(ビフィズス菌の効果)
ビフィズス菌は乳酸菌の1種のように考えられていますが、生物学的には、別の細菌です。ビフィズス菌は、ヒトの腸内に最も多く生息している細菌です。
ビフィズス菌は食物の糖質を分解して、乳酸と酢酸を産生します。酢酸は腸のぜん動運動を促進するので、便秘解消効果があります。また、酢酸には殺菌作用があるので、腸内の悪玉菌の繁殖を抑制します。
(ビフィズス菌入りのヨーグルトを温めて食べる)
普通、ヨーグルトには乳酸菌があるだけで、ビフィズス菌は含まれていません。生きて腸まで届くタイプのビフィズス菌が加えられているヨーグルトがオススメです。
ビフィズス菌の入っているヨーグルトを、腸の温度と同じになるように温めると、有効成分の吸収が良くなります。腸のぜんどう運動が活発化して、便秘改善ができます。
ホットヨーグルトは、電子レンジを600wにして30秒加熱して作ります。温めると酸味が強くなるので、ハチミツやメープルシロップなどを加えると、食べやすいでしょう。
②2種類の食物繊維をバランス良く摂取する
食物繊維は、腸の活動をサポートしますが、食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2種類があります。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維では、働きが違うので、2種類をバランス良く摂取することが、便秘の対策になります。
すでに慢性便秘になっている人は、便秘の症状に合わせて、2種類の食物繊維のバランスを変えるようにします。
(水溶性食物繊維は痙攣性便秘に効く)
リンゴやバナナなど果物、キャベツや大根などの野菜、ワカメや昆布など海藻類に含まれる食物繊維は水によく溶けます。
水溶性食物繊維は、腸の中でゲル状の軟らかい便をつくり、排出しやすくします。腸が緊張した状態で、コロコロした硬い便が出る痙攣(けいれん)性便秘に効きます。
(不溶性食物繊維は弛緩性便秘に効く)
腸の活動が低下している弛緩(しかん)性便秘は、水に溶けない不溶性食物繊維で改善できます。ゴボウなどの根菜や穀物、豆類に多く含まれています。
水に溶けないので、水分を吸収してふくらみ、便のかさを増します。腸管を刺激して、ぜん動運動を活発にし、排便を促します。
ただし、痙攣性便秘の人が不溶性食物繊維を摂りすぎると、お腹が張って苦しくなることがあります。
(大根で便秘改善)
大根には、水溶性食物繊維だけでなく、酵素が含まれています。血液の流れを良くする働きがあるので、むくみ腸の改善に効果があります。
大根を生で食べると、便秘解消効果があります。大根おろしにしたり、大根サラダにしたり、食べやすい食品です。
便秘改善のためのおすすめレシピは「大根おろしヨーグルト(大根ヨーグルト)」です。ヨーグルトは、ビフィズス菌入りを使います。ヨーグルト1職分にハチミツと大根おろしを大サジ1杯ずつ加えます。
もう1つのおすすめレシピは、ニンジンと大根の「紅白なます」です。ニンジンは食物繊維とβカロテンが豊富です。千切りにした大根とニンジンをゴマ酢で和えます。
[カリウムで水分の循環を改善する]
むくみ腸の人は、全身に血流障害が生じていることが多いようです。腸に水分が溜まりやすくなっているだけではなく、全身の水分循環が悪くなっています。顔や足などにもむくみが生じやすくなります。全身の水分循環を改善しなければ、むくみ腸も改善できません。
カリウムは、身体の水分循環を促し、むくみを改善します。
カリウムは、昆布やワカメなど海藻類、豆類、野菜に豊富に含まれています。野菜では、パセリやアボカド、ホウレンソウなどに多く含まれています。
[カリウム・乳酸菌・食物繊維をいっしょに摂る]
むくみ腸を食生活で改善するには、カリウム・乳酸菌・食物繊維の3つをいっしょに摂取することが大事です。乳酸菌を豊富に含む発酵食品は、ビフィズス菌が添加されている物をオススメします。
[ドカ食いはしない]
むくみ腸の改善策としては、食事の内容も大事ですが、食事の仕方にも注意します。
ストレスが溜まったり、厳しいダイエットを続けたりしていると、ドカ食いしてしまうことがよくありますよね。ドカ食いすると、胃腸の負担が大きくなり、消化・吸収の機能が追いつかなくなります。十分に消化されない大量の食物が、胃から腸に送られ、大腸に停滞します。便秘が悪化するばかりです。
食事は、1日3回、規則正しく、腹八分目に摂ることが、胃腸の負担になりません。栄養バランスを良くすれば、ダイエットにもなります。
胃腸の弱い人には、食事を1日4~5回、少量ずつ摂ることをススメる医師もいます。
生活習慣で、むくみ腸を改善する
むくみ腸の改善は、食生活を変えるだけではできません。血液循環・水分循環を改善し、腸の活動を高めるには、日常の生活習慣を改善する必要があります。
また、ストレスが大きすぎると、自律神経が乱れ、腸の働きが悪くなりますから、ストレス発散も必要です。
[腹筋トレーニングとマッサージ]
排便をスムーズにするためには、腹筋を強くします。腹筋が強くなると、便を押し出す力が増強されます。
腹筋が強くなり、腹圧が高くなると、お腹の周りの血の流れが良くなります。血流が良くなるので、腸管が刺激され、ぜん動運動が活発化しますし、水分循環も改善されます。
便秘は下剤よりもマッサージで解消
3日も便秘が続くと、ガスも溜まって苦しくなり、腹痛が起きることもあります。少しも早く便秘を解消したい時は、下剤など薬に頼らず、お腹を温めて、マッサージします。温かい飲み物を摂るとともに、ホカロンなどでお腹を外から温めます。掌で、おへそを中心に時計廻りに撫でさするようにマッサージします。
[腸はストレスに反応する]
腸は「第二の脳」「考える臓器」と言われます。脳の情報は、自律神経と脊髄を通じて、腸管粘膜の神経にダイレクトに伝わります。脳が感じるストレスに、腸もただちに反応します。
ストレスの影響で、腸の活動に異常が生じ、下痢や便秘になります。
便秘解消で幸福感が増す
セロトニンは幸福ホルモンの1種で、安心感と落ち着きを与えます。セロトニンの90%は腸に存在します。便秘が解消してスッキリすると、セロトニンが活性化して、幸福感が増し、不安感など心の問題も改善します。
ストレス解消には運動が効く
ストレス解消の方法はいろいろありますが、身体を動かすこと、運動することが一番です。「脳を鍛えるには、運動しかない」と、ジョン・J・レイティ医学博士は言います。
身体を動かすことは、ストレスを発散するだけでなく、全身の血液循環も良くします。
[運動して血液循環を改善する]
むくみ腸の原因は、血流障害ですから、全身の血液循環を良くすれば、むくみ腸も改善できます。血流の改善方法は、身体を温めることと運動です。血流の改善は、冷え性改善にもなります。
身体を温める
身体を冷やさないように、冷房に当たりすぎないようにします。下半身は重力の関係で血液循環・水分循環が滞りやすいので、特に下半身とお腹周りを冷やさないように気をつけます。
暑い時季も、シャワーだけでなく、就寝前に、ゆっくりお湯につかって、全身を温めるようにします。
有酸素運動で血液循環を改善
ウォーキング、スロージョギング、水泳、サイクリングなど、会話を楽に続けながらできる程度の動きで、普段よりも多くの酸素を摂り入れる運動を「有酸素運動」といいます。軽く汗をかき、爽快感を感じながら、30分から1時間くらい、気楽に続けられる運動です。
ウォーキングやスロージョギングを始める前には、ストレッチ(ストレッチ体操)をして、関節の可動域を広げ、筋肉を刺激して、身体を動かしやすくします。
有酸素運動もストレッチも、血液循環を促進します。
(有酸素運動はダイエット効果がある)
有酸素運動は、摂りこんだ酸素で体内の脂肪や糖質をエネルギー源として燃焼させます。体脂肪が燃焼されるので、ダイエット効果があります。
ただし、中高年齢者や妊娠中の女性は、むくみ腸の改善を第一目的として、軽めの有酸素運動にします。ダイエット効果を目的とする場合は、強めの有酸素運動を30分以上続ける必要があります。体調や目的に合わせて、運動量を調節します。
(日本の伝統芸能は有酸素運動)
全身を使う有酸素運動というと、ジャズダンスやエアロビクスなどを思い浮かべる人が多いのですが、能の仕舞や日本舞踊は、全身の筋肉を使う有酸素運動です。仕舞も日本舞踊も、中高年になってから始めることもできますし、八十代半ばを過ぎても続けられます。全身を使うので、かなりの運動量にもなります。
5本の足指で舞台をしっかりつかむようにして動きますから、後述する浮き指改善にも効果があります。
[浮き指で血行が悪くなる]
「浮き指」とは、普通に立っている時に、足の指が浮いていて、地面や床についている状態です。足は、土踏まず以外の部分が全部接地している状態が正常です。足指5本が丸まっていたり、反っていたりすると、重心が踵(かかと)と足指の付け根の2点にかかるようになります。
踵にかかる重心が大きくなると、身体全体のバランスが崩れ、足の筋肉や股関節に無理な力がかかります。腰痛や膝の痛み、肩こり、O脚、ふくらはぎが太くなる、などが生じます。血行が悪くなり、自律神経の働きが乱れます。
浮き指も、むくみ腸に大きく関係しています。浮き指改善は、むくみ腸改善につながります。
浮き指改善の方法
浮き指は、外反母趾のような「足が痛い」という自覚症状がありません。浮指を自分でチェックする方法は、足の親指を甲側に引っ張ってみることです。足の親指は、普通45~75度しか曲がりませんが、浮き指は90度も曲がります。
浮き指の改善策のポイントは、①足指ジャンケン ②正しい歩行 ③足に合った脱げにくい靴 です。
①足指ジャンケン・足指でタオルをつかむ
足指で、グウ・チョキ・パアを作ります。床にタオルを置き、5本の足指でたぐり寄せます。
②正しい歩き方で歩行する
爪先を蹴り上げ、踵から着地するように歩きます。
③足に合った脱げにくい靴を履く
足に合わない靴を履いていると、浮き指だけでなく、外反母趾も引き起こします。ミュールやサンダル、スリッパなど脱げやすい靴を履かないで、足にぴったり合った脱げにくい靴を履きます。
足を踏ん張る力をサポートするインソールを使うことも、良い方法です。
正しい歩き方は血流改善・ダイエットにも効果がある
運動不足は血流を悪くし、ストレスが溜まりやすくなります。運動不足の解消には、ウオーキングが手軽な方法です。歩く時に、背筋を伸ばして姿勢を正し、爪先蹴り上げ・踵着地の正しい歩き方をすると、脂肪燃焼を促して、ダイエットの効果も高くなります。
[頑固な便秘は、医師に相談する]
食事を改善し、毎日、有酸素運動をするなど、自分でできる便秘の解消法を行っても、慢性便秘がなかなか改善しない場合があります。
これは、単なる血流障害によるむくみ腸が原因だけでなく、他の深刻な疾患が潜んでいる可能性があります。便秘解消に焦って下剤などの薬に頼る前に、かかりつけのお医者さんか、「便秘外来」に相談することをオススメします。
便秘は深刻な疾患を引き起こしたり、深刻な疾患の症状であったりします。「便秘外来」を設置するほど、便秘は重要な問題です。
まとめ 頑固な慢性便秘はむくみ腸の可能性がある
「むくみ腸」とは、腸周辺の血液やリンパ液の流れが悪くなり、便から吸収した水分が腸壁に溜まってしまう状態です。むくみ腸が起きる時は、腸周辺だけでなく、全身の血液やリンパ液の流れが悪くなっていることが多いようです。また、むくみ腸になると血流が悪くなります。
むくみ腸の原因は、腸の冷え・腸内環境の悪化・腸粘膜の炎症です。
むくみ腸になると、腸のぜんどう運動が低下するので、便が腸内に停滞します。便秘や下痢が起きたり、お腹にガスが溜まってパンパンにふくれたりします。腸の活動低下のため、糖質や脂質の分解・吸収が障害され、エネルギーとして消費されないので、太りやすくなります。ダイエットしても、痩せにくくなります。便秘のためニキビや吹き出物ができて、なかなか治りません。血流が悪くなるので、免疫力が弱まり、身体のいろいろな機能が低下します。
むくみ腸の対策は、腸や身体を温め、腸内環境を整えることです。食生活と生活習慣を改善します。
食生活の改善ポイントは、①冷たい飲み物や食べ物を避ける ②乳酸菌・ビフィズス菌の摂取 ③食物繊維の摂取 ④カリウムの摂取 ⑤3食規則正しく腹八分目に食べる の5つです。
生活の改善ポイントは、腹筋トレーニングと血流改善です。腹筋を鍛えると、便を押し出す力が強くなります。運動不足になると、血流が悪くなり、ストレスが溜まって、腸の働きが低下します。毎日、ウォーキングなど有酸素運動をして、血流を良くし、身体を温め、ストレスを発散させます。
頑固な慢性便秘を下剤で解消しようとすると、腸粘膜が炎症を起こしやすくなり、むくみ腸を起こすことになります。便秘が悪化するばかりです。
頑固な便秘には、深刻な疾患が潜んでいる可能性があります。食生活や生活習慣を改善しても、なかなか便秘が解消しない場合は、便秘外来など医師に相談することをオススメします。
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