がん検診の重要性が叫ばれている現在、胃がんの検診を受けてみようかなという方も多くいらっしゃると思います。病院で行われる胃の検査としてはバリウム検査、胃カメラによる検査などが一般的です。
他に比べて痛みが少ないため、バリウム検査を選ぶ方も多いのですが、実はバリウム検査は終わってからがなかなか大変!という事で、検診前にバリウムが出なかったらどうなるのか、どうすればスムーズに排出が行われるかを事前に確認しておきましょう!
バリウムは意外と日本以外では行われていなかったり、実は胃カメラのほうが正確に症状を検査できたり、デメリットも多い検査方法でもあります。
そんな中でもバリウムがでてこないと言う問題が隠れている事も合います。バリウムがでない!とはどの様な問題なのでしょうか?また、手術などを行わなくてはいけないこともある・・?など気になる問題について紹介していきます。
バリウムを受ける事のある人には是非事前に読んでおいて欲しい記事でもあります。
バリウム検査とは
バリウム検査がどういったものなのかを紹介します。バリウム検査の詳細を知ってバリウムで検査できる病気の種類や、バリウムでは出来ないことなど、メリットとデメリットを見ていきましょう。
多くの人は痛みや苦しさが少ない検査方法を望むと思いますが、検査結果が明瞭で効果がなければ検査をする意味がありません、またバリウム検査による苦しみが本当に無いのかどうかも見ていきましょう。
バリウムは日本発祥
バリウム検査は1960年にX線のレントゲンの機能を応用し、当時の死因1位であった胃がんの問題を検査するために胃がん検診として考案された日本発祥の技術になります。
1962年に東京国立がんセンターが設立され集団検査事業を展開し、一般人の胃の検査を行うようになったのが始まりになります。検査方法としては非常に古い技術で、海外でも類を見ない検査方法になります。
現在でも先進国では日本以外の国で採用している国はないといいます。さらに日本でも事情を知っている専門家や医師などの人は検査方法にバリウム検査を選ぶことはないともいいます。
バリウムはどんなもの?
胃の検査では、X線を使って胃の形や影を見て凹凸などの病変がないか等、医師がいろいろな判断をしますが、そのままの状態ではX線が胃を通り抜けてしまい何も見えないので、バリウムを飲む事で形を見えやすくしています。
経験者は口々に「バリウムはとにかくまずい、飲めたものではない」といった声が聞かれますが、それもそのはず、バリウムはアルカリ土類金属の一つで、銀白色の柔らかい金属です。白い液体の状態しか見た事がない方も多いかと思いますが、水に溶けているわけではなく思いっきり撹拌されて溶けているように見えているだけなのです。
金属を飲んでいたとは予想外です。
検査の流れ
検査前には、病院からいろいろな指示があるのでそれに従いましょう。
検査は胃を空っぽにした状態で行わなければならないため、検査日前日夜から食事をしない事が一般的です。胃にバリウムを付着させて粘膜の凹凸を見る検査なので、余計なものはくっついていない状態にする必要があるのです。
当日は、発泡剤で胃を膨らませていよいよバリウムを飲み、検査を行います。上下・斜めに動く台の上に立ち、右を向いたり左を向いたりしながらバリウムを胃全体に回して付着させます。
この状態で撮影を行い、げっぷを我慢し、息を止めるなどの指示があります。撮影がきちんとできれば検査は終了です(ただし、げっぷをしてしまうとやり直しの場合があります)。スムーズに撮影ができれば、検査自体は大体5分程度で終わります。
バリウムは危険?
実際に医師でバリウムを飲んでいの検査を行ったことのある人がいないのは驚きですね。現在でも1年間に1000万人程の人間が集団検査で胃の検査を受けています。そんな現状の中で医師が誰も検査を行っていない理由は何なのでしょうか?
ひとつは胃がんの問題であるピロリ菌の発見率が低いことです。実際に現在では胃がんの発生原因は高い確率でピロリ菌であることが言われています。そんな中でピロリ菌の検査を同時に行うことの出来ないバリウム検査は非効率であるともいわれています。
二つ目はバリウム検査では最大8枚のX線写真をとります。この時に被爆する放射線の量は13,4mmシーベルトであり発がん性が危惧されている100mmシーベルトに近い数字でもあります。現にこの世代でX線写真を撮って検査をしている世代の75歳以上での発がん患者の3%は医療被爆が原因で発がんしているとも言われています。
更にもう一点がバリウムがでないことによる問題です。大腸の中でバリウムが固まってしまい腸閉塞や炎症を引き起こし、どうしても自力で排出できない場合は手術で取り除く処置が行われることがあります。
検査後の注意点について
バリウムの検査が終わった後の注意点をまとめています。バリウムがお腹なの中で固まってしまって問題に繋がってしまわないために、これらの注意点をしっかり読み、対策していきましょう。
上記でも説明したとおり、バリウムが長時間腸の中に滞在してしまうと手術をしなければいけない問題に繋がってしまいます。そうならないように注意して出来ることを行っていきましょう。
もし已むを得ずバリウム検査をしなければいけない時はこれらのことを意識しておきましょう。
速く排出する事が大切
5分で終わるなら、とりあえずバリウムを飲むのを我慢できればよい簡単な検査のように見えますが、実はバリウム検査の難関は検査後にもあります。つまり、バリウムを体外に出すまでがバリウム検査、しかも検査後に苦労している方も多く見られます。
バリウムは、硫酸バリウム、水、粘着剤で出来ています。胃の壁にぴったりとはり付かないと意味がないので粘度が高くなっていますが、この特性のため、腸にもひっかかりやすくなっているのです。
腸に長くバリウムを停滞させておくのはお勧め出来ません。飲む時には液体状になっているバリウムですが、元々は金属なので、わざわざ体内に置いておいて良い事はありません。また、時間が経つとどんどん固まってしまい、そうなると通常の腸の活動では排出が難しくなってしまいます。最悪の場合は、腸閉塞を起こす場合もあります。
さらに腸に孔を空けてしまう可能性もあります。そこまでいかなくても長期間バリウムが腸内で固まる事で、便として排出する時に肛門を傷つける恐れがあります。
出ているかどうかの目安
通常だと検査を行った夜〜翌朝を目安に排出が始まり、白っぽい便が出ます。イメージとしては完全に真っ白な排便が出る印象がありますが、このあたりには個人差があり、全く真っ白という場合はあまりないので、真っ白じゃない!と心配する必要はありません。その後は何度かにわけて排出されます。
それではどれくらいでバリウムが体外に出れば良いのでしょうか。通常であると、2.3日後には全部出ると言われています。個人差はあるものの、5日以上出てこない場合には病院に行った方が無難です。
検査後の食事についての注意点
前日の食事制限の反動から、暴飲暴食してしまいそうですが、先ほども書いたように「全部出るまでがバリウム検査」です!
特に、アルコールにはバリウムを固める作用があるため避けるべきです。また、アルコールの摂取には脱水症状を引き起こす可能性もあるので、バリウムが完全に排出されるまでは避けましょう。
アルコールを飲む場合は3日以上日を開けてから飲むようにしたほうがいいでしょう。
バリウムが出たことを確認するためには
基本的にバリウムが出きったことを完全に把握するすべはありません。病院で再びX線検査を腸に当てて検査するしか方法がないことが現状です。
バリウムを排出する為に病院から下剤などが支給されるのですが、これを飲むタイミングなどが重要になります。自然に排出される場合は飲まなくてもいいものなのですが、飲まないと便秘になって町の中で固まってしまったりすることがあります。
食事バランスの整った食事を摂り、食物繊維などをしっかり意識して糞便をしっかりしていれば数日でバリウムは出きってしまうのでしっかり食事を行うことが重要でしょう。
気にしすぎて逆に腹痛が起こることや便秘になってしまうこともあるようです。
アルコール以外でしっかり水分を摂って様子を見ていきましょう。
食事はいつからしていいの?
バリウムの検査終了後の食事は基本的には注意点はなく、すぐにでも食事をおこなってもらっても問題ありません。しかし、胃のなかにバリウムが入ってしまったことで、膨満感と検査での疲労とで食欲がない人が多いこともありますが、食べられる場合はアルコールなどの刺激物は避けてなんでも食べてOKになります。
しかし、水分量に注意してしっかり食事中も水分をお目に取るようにしましょう。
ラーメンなどは油分が多いですし、消化にもいいのでおすすめでもあります。
バリウムがなかなか出ない場合の対処方法
バリウムがなかなか出ないと焦ってしまいます。そういった時はどうすれば良いかを紹介します。実際に何人もの人がバリウムが正常に出たのかどうかを心配されています。
他の人達が実際に実践しているバリウムの出すときの対処法を知って対策していきましょう。
水分を採る
バリウムを早く出すため、検査後には下剤を処方されますが、それだけでは対策としては不十分です。体外への排出を促すため、水をたくさん飲む事が大切です。通常時でも一日1〜2リットルは水を飲んだ方が良いとされていますが、バリウム検査をしたあとは2.5リットル程度の水分を取ることが良いとされています。
また、この場合お茶などは水分にカウントせず、「水で2.5リットル」を心がけるようにしましょう。
しかし、水分を一気に飲みすぎると身体を冷やしてしまったり、水中毒になってしまうこともありますので、神経質に水を摂取することはありません。
油で腸のすべりを良くする
普段は脂っこいものはあまり胃腸に良くないのでは?と考えますが、バリウムを飲んだ後に関して言えば油は良い働きをします。物理的にバリウムの流れを速くするには腸管を滑りやすくする事が有効です。マヨネーズやサラダ油、中華料理などが効果的です。
野菜ジュースにオリーブオイルを大さじ1~2杯入れて飲むというのもおすすめです。
牛乳や冷たい水分も普段でしたら避ける所ですが、今回はとにかく腸を動かした方がいいので積極的に採りましょう。
また、腸を動かすという意味では辛いものなどの刺激物も適しています。胃腸炎の心配がある方や、何か病気の心配があって検査を受けている場合は避けた方がよいですが、通常の健康診断として行ったという事であれば食べて腸を動かすのも一つの手です。
食物繊維を採る
便秘の予防には食物繊維が効果的ですが、水に溶ける食物繊維と溶けない食物繊維があるので注意が必要です。
・水溶性食物繊維…こんにゃく、ところてん、寒天、山芋、納豆などに含まれます。
粘性があり、保水性が高いという特徴があり、水に溶けるとドロドロのゲル状になります。粘性のあるもので体内にあるバリウムを押し流す助けをしてくれます。また、腸の粘膜を守る効果もあるので積極的に摂りたい成分です。
・不溶性食物繊維…キャベツ、ごぼう、豆類等に含まれます。
水に溶けない食物繊維なので、便のかさを増す、有害物質を吸着し体外に排泄させるといった効果があります。健康な状態の腸ならば問題はないのですが、消化がしづらく、便を硬くしてしまう場合があるのでバリウムを飲んだ場合には控えた方が良い素材です。
下剤を飲む
下剤を飲む事は抵抗がある人もいるかと思いますが、しっかり確実に出すことを意識するなら下剤をしっかり飲んだほうが確実性は増します。
下剤は基本的にバリウムの検査を受けた病院から処方されます。しかし、検査後すぐに下剤を服用してしまうと、腸の中でバリウムと混ざり合い、吸収されずに一緒に固まってしまう可能性もあります。なので、検査後3時間程の時間を開けてから水を沢山飲んだ後に下剤を飲むことが最も効果的になります。
タイミングによっては下剤が効果を発揮しないタイミングがあることを知っておき、問題に繋がら無いようにしましょう。
下剤を飲んだ後はしばらく下痢のように便意が近くなりますので、なるべくトイレにいつでも行ける状態のタイミングで飲むのがいいでしょう。
どうしても出ない場合
前述のように、3〜5日以上経っても出てこない場合は病院に診てもらいましょう。検査後には下剤を処方されていますが、なかなか出ないからといって処方された以外の下剤を飲む事はあまり良くありません。
また、腹痛がある場合などは腸閉塞が起きている恐れがあるので、すぐに病院に行った方が良いケースです。なかなか病院に行けずに困ってしまうこともありますが、もし便が全く出ていない状態が続いているのであれば5日以上放置してしまうのは危険です。必ず病院での検査を受けるようにしてください。
もし3日以上立たないうちでも異常な腹痛や腹部への違和感が出てしまっている場合も病院での検査を受診したほうが安心でしょう。
まとめ
つらいバリウム検査を受けた挙げ句便秘になるなんてなんだか納得いかない気もしてしまいますが、病気はとにかく早期発見が重要です。前後の対処方法まで心の準備をした上で積極的な検査受診を心がけましょう。まずいまずいと散々聞きますが、最近ではずいぶん改良されているものもあります。味が飲みやすい味になっていたり量も少なく改良されているものもあります。
普段便秘気味の方はバリウムの排出も時間が掛かる場合があります。普段から食物繊維を採るなどの対策(日常生活なら不溶性の食物繊維もたくさん採って大丈夫です)をしておく事がおすすめです。また、検査後にお腹が痛い、調子が悪いなどの症状がある場合は、早めの医療機関受診をしましょう。
もしバリウムが面倒臭い場合は胃カメラでの診察の方が病気の発見率や見つけられる病気も多いのでそちらをおすすめします。もし胃カメラの検査を受ける場合は医師の腕が大きく苦しさを決定しますので経験の豊富な医師の元での検査を受けるようにしていきましょう。
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