体の不調は細菌やウィルスに感染すると起こることがあります。発熱や粘膜の腫れ、倦怠感など様々な症状がありますが、早急に治療がすることが望ましいでしょう。
ジスマロックは体内に感染・繁殖した細菌を殺す役割のある薬で、一般名アジスロマイシンといいます。細菌の繁殖を抑え、それ以上体の状態が悪くなるのを防ぎ、病態を回復させる効果があります。
では、このジスマロックがどのような細菌に対して有効なのか。また、どのような症例に対して処方されるのか。これらのことについて詳しくみていくことにしましょう。
ジスロマックの効果・適応菌種
病気を起こす目に見えない病原性の微生物は細菌のほか、真菌やウィルスがありますが、ジスロマックは冒頭で述べたように細菌に作用する薬です。次の細菌に対して有効です。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は健康な人でも保菌している菌で、その数は約30%といわれています。
手で介して人に感染することが多く、素手での料理が主な感染ルートです。吐き気や嘔吐、下痢などの症状を発症します。
レンサ球菌属
せきやくしゃみなど些細なことで人から人へ感染します。
感染した部位は腫れ上がってしまうことがあります。そのほか、喉の痛み、発疹症状を発症します。
肺炎球菌
その名の通り肺炎を招く細菌です。通常、免疫力が高い成人であれば、感染しても症状を発症することはありません。
しかし、高齢者といった加齢によって免疫力が落ちていると、時として命に関わることがあります。
淋菌
淋病という性感染症を招く細菌です。温かく湿った環境で繁殖するという特徴があり、人体であれば男女の性器、そして喉や目でも繁殖し、症状を発症します。
モラクセラ・カタラーリス
様々な炎症を引き起こす真菌です。
小児用であれば中耳炎。成人であれば、慢性肺疾患。また、全年齢において副鼻腔炎を発症させることがあります。
インフルエンザ菌
人から人へくしゃみや咳をきっかけとして感染します。中耳炎や副鼻腔炎のほか、髄膜炎といった深刻な症状を発症することがあります。
免疫力が弱っている人ほど感染・発症することがあるので小児・高齢者は注意が必要でしょう。
レジオネラ・ニューモフィラ
体内に取り込まれると肺胞で繁殖し、肺炎を起こす細菌です。
これも他の細菌同様に、免疫力が弱い人ほど症状が悪化しやすいという特徴があります。
ペプトストレプトコッカス属
口の中や器官、腸管などに生息する菌です。
しばし、他の病気の炎症作用を引き起こすきっかけとなることがあり、抵抗力が弱っていたり、病気を発症したときには注意が必要でしょう。
プレボテラ属
腸内細菌の1つです。しばし歯周病の原因になることがあります。
嫌気性という性質があり、酸素を嫌います。
クラミジア属
性感染症を招く細菌の1つです。非常に感染力が高く、性交渉後の感染率は50%といわれています。
性器からの出血などを発症し、その後の生殖機能にも影響を与えることがあります。クラミジア治療ではジスロマックは有効薬です。
マイコプラズマ属
微生物の1種です。熱に弱いという特徴があります。肺炎や関節炎を発症させます。
ジスロマックの適応症例
前項ではジスロマックが有効な細菌についてご紹介しました。外部から何かしらの感染が起こり、そして症状を発症したとき、症状を和らげ治療する効果があります。
ジスロマックは以下の症状が出ているケースで処方されるケースがあります。なかなか症状が治まらない、という人は医師に相談してみてくださいね。では、具体的にみていきましょう。
呼吸器系の疾患
呼吸器は人の体がもっとも外気と触れ合う臓器です。肺やそこに至るまでの咽頭や気管支などは細菌に感染しやすく、また症状を発症しやすいといえるでしょう。具体的には以下の病気があげられます。
- 咽頭炎
- 扁桃炎
- 肺炎
- 気管支炎
これら症状では喉の腫れや咳、呼吸のしにくさなんかを感じるでしょう。また、環境が変わると呼吸がしにくくなったり、回復したりするかもしれません。
泌尿器系の疾患
ジスロマックでは性感染症を起こす細菌に対して有効です。クラミジア感染症や淋病やその代表例でしょう。誰かと性交渉ののち、症状が出たときは注意が必要です。具体的には以下の病気があげられます。
- 尿道炎
- 子宮頸管炎
- 卵管炎
生殖器から感染し、それに関連する泌尿器に感染を拡大していきます。尿や生理、もしくは長期間の腹痛などがみられるようでしたら、注意が必要でしょう。
皮膚系の疾患
細菌が皮膚で繁殖してしまうと炎症にも似た症状を発症させます。リンパ管が腫れることもあり、これは目に見える形で顕著に現れます。具体的には以下の病気があげられます。
- 深在性皮膚感染症
- リンパ節炎
- リンパ管炎
これら皮膚の病気は怪我の際、傷口から細菌が入り込むことで発症します。怪我をした時はきちんと消毒をするようにしてください。また、症状がでたときは速やかに病院へ行くようにしましょう。
耳鼻科系の疾患
細菌に感染するとしばし耳鼻にも影響を与えることがあります。それは聴力の低下を招くこともあり、日常生活に支障をきたすかもしれません。具体的には以下の病気があげられます。
- 中耳炎
- 副鼻腔炎
どちらの症状も放置すると慢性化する恐れがあります。中耳炎では四六時中頭痛を発症するかもしれませんし、副鼻腔炎も鼻づまりや鼻水が止まらず、精神的なストレスも大きなものになるでしょう。
歯科系の疾患
口の中には多くの細菌が常在しています。普段は悪さをしないのですが、ふとしたきっかけで歯を蝕ばむ歯周病になったり、病気の原因になることがあります。具体的には以下の病気があげられます。
- 歯冠周囲炎
- 顎炎
- 歯周組織炎
歯の病気の予防は毎日のきちんとした歯磨き。そして、定期的な歯科検診でしょう。歯磨きが不十分だとすぐに病気になってしまうことがありますから、用心したいものです。
ジスロマックとマクロライド系抗生物質
ジスロマックはマクロライド系という分類に属します。抗生物質にはその他、ペニシリン系やセフェム系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系などがあります。
ジスロマックは様々な細菌に効果を示す抗生物質ですが、一方で新たな問題を起こしていることがあります。では、マクロライドとは何か、またその問題とはどういったものなのかについてみていきましょう。
マクロライド系抗生物質の特徴
マクロライド系抗生物質は比較的副作用が少ないことが特徴です。他の薬剤では副作用がアレルギーが強いという人でも、マクロライド系であれば服用できるケースがあります。
抗生物質を服用することでよく起こる副作用が下痢です。これは抗生剤が腸管を刺激してしまったり、腸内の善玉菌を攻撃してしまうために起こります。しかし、マクロライドではこの下痢症状が比較的軽度です。
もちろん、体質によって下痢症状を発症してしまう人もいます。この場合、マクロライド系抗生物質と合わせて、腸活動を緩やかにする薬を服用することがあります。
飲み合わせにご注意を
マクロライド系抗生物質はしばし他の薬剤との飲み合わせに注意が必要なことがあります。
持病から薬を他にも飲んでいるというケースであれば、医師に相談する必要があります。具体的には以下の薬に注意が必要です。
抗けいれん薬
てんかんなどの病気に伴うけいれんを抑えるための薬です。薬そのものも副作用が強いことがあるため、併用しての服用量には医師との十分な相談をする必要があるでしょう。
抗凝固薬
血液は出血を止めるために凝固する作用があります。しかし、体内で血液が固まってしまうと塊(血栓)となり、血管で詰まってしまうことがあります。抗凝固薬は血液を凝固しにくくする作用があります。
免疫抑制剤
免疫システムを抑制する作用があります。主に臓器移植の術後に用いられることがあります。併用して服用してしまうと、効果が強くなり副作用が現れやすくなってしまいます。
そのほかの薬との飲み合わせ
ご紹介した薬はほんの一例です。ほかの薬とも飲み合わせがあるようであれば、医師に十分相談の上、薬の量を調整するようにしてください。
マクロライドと耐性菌
抗生物質を服用することで細菌の活動を抑えたり、死滅することが期待できます。これにより病気や症状が治り、体調が良くなっていきます。しかし、一方で耐性菌を発生させてしまうことがあります。
耐性菌とはその名の通り、薬剤に対して耐性がついてしまった菌のこと。これまでの薬剤を服用しても効果が出ず、感染者を苦しめ続ける可能性があります。
マクロライド系抗生物質では、しばしこういった耐性菌に効果を示さないケースがあるようです。中耳炎の原因となる肺炎球菌はその70%が耐性を持っているといわれています。
耐性菌が生まれる原因としては処方された薬をきちんと飲みきらないことがなどがあげられます。完全に細菌を死滅させることができず、耐性をもってしまうのですね。
薬を飲んでいく過程で症状が緩和されますが、途中で服用をやめてしまうと菌が再び繁殖してしまうことがあります。このようなことを避けるためにも、きちんと処方された薬を飲みきるようにしましょう。
ジスロマックの副作用
ジスロマックは比較的副作用の少ない薬です。しかし、少ないながらも副作用を発症してしまうケースがあります。それは具体的にどのような症状なのでしょうか。
胃腸症状
発症は少ないものの、胃腸に関係する症状を発症します。
具体的には吐き気、下痢、腹痛などがあげられます。軽症であれば問題はありませんが、症状が重いときは病院へ行くようにしましょう。
全身症状
目に見えてわかる症状には発疹、水ぶくれ、目の充血があります。また発熱を発症することもあります。
これら症状がみられるようであれば、早急に病院へ行くようにしましょう。
ジスロマックの重症例
胃腸や全身症状が副作用としてあげられますが、それよりも重い副作用を呈することがあります。
具体的には以下のことがあげられ、不調があるときは速やかに対処するようにしましょう。
アナフィラキシーショック
アレルギー源を体内に取り込むことで発症する全身性のアレルギーです。蕁麻疹、脈拍や血圧の低下、顔面の蒼白、手足のしびれなどの症状を発症します。
不整脈
脈拍が遅くなったり、早くなる症状です。前者を徐脈、後者を頻脈といいます。不整脈に伴い全身の倦怠感、胸の苦しさなどを訴え、立つことが難しくなるでしょう。
腎不全
急性腎不全を発症することがあります。腎機能が低下するので尿に異常を起こします。具体的には尿量の低下、血尿、尿の濁り。その他、喉の渇きなどがみられます。
大腸炎
大腸に炎症症状を発症します。強い腹痛に下痢、高熱を発症し、便に血液が混じっていることがあります。早急な対処が必要とされる状態です。
間質性肺炎
肺炎を発症することがあります。息苦しさや発熱、咳などを多発します。呼吸がしにくかったり、どこからから咳がでるようであれば用心するようにしましょう。
その他の症状
薬の作用が広がると体の些細な部分に異変を発症します。具体的には以下のことが見られます。
- 白目が黄色くなる
- むくみ
- 目の充血
- 口内のただれ
- 皮膚のただれ
- リンパの腫れ
目に見えてこれら症状が起こるようであれば、十分注意するようにしましょう。重篤な症状になるケースもあるので、早急な対応が必要です。
服用後は体の状態を見守る
重篤な症例は非常に稀なケースです。服用したからといって誰もがなるわけではありませんので、心配する必要はないでしょう。ただ、一つだけ注意があります。
それは薬の作用時間が長いということ。服用後、すぐに異常を発症するわけではなく、数日経ってから副作用が現れることがあるのです。このため、服用後は体の状態をきちんと把握するようにしましょう。
どうも体の調子が優れなかったり、気分が悪い。このようなことが服用後、数日に起こるようでしたら医師に相談したほうがいいかもしれません。大事に至ることは少ないと思いますが、念のために。
薬の飲み方の注意点
ジスロマックに限らず、薬の飲み方には注意を払う必要があります。処方された薬は種類によって、最も効果的な飲み方があります。
それを間違えてしまうと、効果が薄くなってしまったり、悪い影響が出てしまうこともあります。薬を飲む際には以下のことに気をつけましょう。
処方された分をきちんと飲む
例えば薬を7日分処方されたとします。しかし、薬を飲んで行くうちに症状が治り、薬を飲まなくても体調が良くなった。そういうことはよくあることだと思います。ですが、それでもきちんと薬を飲むようにしてください。
先に述べたように、症状が改善されたとしても、体内に細菌がまだ残っているケースがあります。耐性菌の発生や、病気の再発の可能性もあるので、処方された分の薬はきちんと飲むようにしましょう。
飲むタイミングをきちんとする
薬の飲み方には食後や食前、食間など様々なタイミングがあります。
それぞれ、薬が最も効果的に働くときに服用するので、このタイミングを守るようにしてください。
基本は水で薬を飲む
よく炭酸飲料や清涼飲料水で薬を飲むという人がいますがこれは危険です。飲料に含まれる成分が薬の働きを邪魔することがあるので避けた方がいいでしょう。
薬は基本的に水で飲むこと。十分な水を飲むようにしてください。細粒タイプでは水の量が少ないと喉で止まってしまったり、十分に溶けないこともあるのでご注意を。
ドライシロップタイプの飲み方
ジスロマックではドライシロップの薬もあります。
これは水によく溶かして服用するタイプの薬です。そのままでは効果が薄いことがあるので、指定された水量とよく混ぜて、全て飲みきるようにしましょう。
服用後の注意
ジスロマックは副作用が少ない薬ですが、稀にめまいや意識障害を発症することがあります。
このため、工事などの作業をするようであれば、十分に注意するようにしてください。
ジスロマックのジェネリック薬品
最近、ジェネリック薬品という薬が販売されるようになっています。これは本来の薬とは同じ成分だけども、価格が抑えられている薬品のことをいいます。
ジスロマックを購入の際、購入費用を抑えたいというのであればアジスロマイシンというジェネリック薬品があります。こちらは一錠あたり100円ほど安くなっています。
まとめ
ジスロマックは幅広い細菌に対して効果を発揮します。病気になってしまったときは強い味方として頼れる薬の1つといえるでしょう。
一方で病気を完全に治療するためには、きちんとした薬の飲み方をしなければなりません。また、体調に配慮し、体を休めることも必要でしょう。
薬を服用しつつ、体をきちんと休める。薬だけに頼りきるのではなく、体調や環境管理も行なっていくようにしましょう。
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