喉が痛い、くしゃみや咳が出る、鼻水が辛い、これが花粉症なのか風邪なのかわからないといったことはありませんか?花粉症には、いろいろな症状があり、それに対して様々な原因があります。
また、花粉症と風邪の症状は類似しており、見分けが難しいこともあります。症状が出現する理由や、風邪と花粉症の違いについて押さえ、花粉症の症状に対する対処法を見ていきましょう。
花粉症の原因と症状
花粉症の症状は、目や鼻に出現し、更に目や鼻の症状が原因となって喉にも症状が出現します。
どういった症状が出現するのか、それらはどういった原因で起きるのか、また、目や鼻の症状と喉の症状の関係性について説明をします。
刺激物
唐辛子やこしょうなど、刺激の強い香辛料や、タバコ、アルコールといった物は、喉を刺激し、免疫力を低下させて炎症を引き起こし、花粉症の症状を出現・悪化させる可能性があります。
花粉症の種類
スギやヒノキ、ブタクサなどの植物や、ハウスダストなども花粉症の原因となります。人によって、全てに対してアレルギー反応が出るひとがいれば、ヒノキだけが原因、ハウスダストだけが原因と、様々です。
5~6月の春時、夏、秋、冬と、季節によって出現する花粉は異なります。ハウスダストが原因の場合は、年中、埃に気を付けなければなりません。
過剰な免疫反応
喉のかゆみの主な原因は、過剰に起きる免疫反応によるものです。花粉が口の中や鼻水に付着して喉の奥にいくと、喉は、異物を外へ排除しようとします。
これが、体が起こす防御反応(免疫反応)であり、IgE抗体が働きます。アレルギーを保有している人は、これらの異物を排除しようとする免疫反応の働きが過剰になり、結果、喉のかゆみ、くしゃみや鼻水が起きやすくなります。
目の症状
かゆみ、充血が起きます。
花粉に対してアレルギー反応が起きて充血するほか、かゆみがひどく目をこすりすぎて眼球が傷つき、充血する場合もあります。
鼻の症状
鼻炎によって、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが起きます。
花粉によって起きる喉の痛みやかゆみの原因は、口から入る花粉だけではなく、鼻から入る花粉も原因となります。鼻腔・口腔はいずれも喉に通じています。鼻の粘膜や鼻水に花粉が付着すると、喉の奥に流れ込んで、喉の粘膜に花粉が付着します。これが、炎症の元となります。
また、鼻水の症状が悪化すると、鼻詰まりが起きます。すると、鼻呼吸が難しくなって口呼吸になります。鼻腔は狭いため、一度の呼吸で喉に通る空気が少ないため、喉は乾燥しにくいですが、口腔は広く、一度に喉に送り込む空気が多くなります。
喉の症状
主に、鼻炎の症状によって、喉の痛みやイガイガといった違和感、腫れ、くしゃみや咳といった症状が悪化する可能性があります。
鼻炎の症状が長期間続き、鼻水が喉へ付着し続けると、炎症を引き起こして喉に痛みが起きます。喉のイガイガとした違和感は、花粉を口から吸い込むことで、体が花粉という異物を体外へ排出しようとするためです。この時、花粉を痰に絡ませます。喉に花粉が付着すると、免疫反応が起きてくしゃみや咳で花粉を排除しようとします。
これらの原因のほとんどは、口呼吸による大量の花粉(アレルゲン)の取り込みです。鼻詰まりで口呼吸になるため、悪循環でこのようになります。
口呼吸の悪影響
口呼吸は大量に空気を体内に送るぶん、口腔内や喉が乾燥しやすく、殺菌作用のある唾液の量も減らし、喉の粘膜も傷つけさせます。すると、呼吸器にも悪い影響を与えます。
呼吸器は、鼻・口・気管・気管支・肺と、全て繋がっています。これらに適切に対応をしていかなければ、慢性気管支炎や気管支喘息といった病気に進行する危険性があります。
風邪と花粉症の見分け方
風邪と花粉症は類似していて、紛らわしいですが、原因は異なりますし、症状も全く同じではないです。自己判断が難しく、医師に診てもらうことが確実です。
では、それぞれどういった違いがあるのか、比較していきましょう。
・風邪の特徴
原因は何種類もあるウイルスによって起きます。個人差がありますが、熱は出ることがあります。鼻水は、サラサラした状態から粘着性のある鼻水に変化します。
くしゃみの程度は軽度です。鼻詰まりは、ありますが両鼻が同時に詰まることはありません。目のかゆみは起きません。症状の状態は天候には左右されません。症状は長くて約1週間です。
・花粉症の特徴
原因は、植物の花粉やハウスダストです。長期的な鼻炎によって喉の痛みが生じる可能性があります。発熱は、あっても微熱程度の状態が続きます。鼻水は、鼻粘膜や鼻水に付着した花粉を体外へ排出しようとするため、風邪の時とは異なり、水の様にサラサラとしています。鼻の粘膜が傷つくと、組織液や血液が鼻水に混ざって粘性をもたせることがあります。自身の意志とは反してどんどん出てきます。
くしゃみは風邪と違い、1回のくしゃみに連続して何度も出ます。鼻詰まりは重度で、両鼻に詰まることが多いです。目のかゆみは起きます。程度は個人差がありますが、充血することもあります。晴天の日や、風邪が強い日や乾燥している日は症状が悪化しやすく、天候に左右されます。症状の経過は、花粉に反応している間は続き、ひどい人で年中続きます。
花粉症の治療方法
花粉症は、自力では治すことが難しいことがあります。自己免疫能力が低下して起きるためです。栄養をしっかりとっていても、発症しえます。
病院へ行って、自分の症状と、状態の経過をしっかりと伝えて、より的確な治療を受けるようにしましょう。
病院へ受診
花粉症の時期が過ぎても、1ヶ月以上、咳や喉の違和感が起きる場合があります。
この時、花粉症が原因となる「後鼻漏」や蓄膿症など、他の病気も発症している可能性があります。その場合は、耳鼻科専門の医師に診てもらい、治療を受けましょう。
免疫療法
花粉症は根治性の疾患です。そこで用いられている治療方法は、免疫療法です。これは、疾患の原因となる物を体内へ取り込む際に、少ない量から徐々に量を増やしていき、免疫を作っていくという治療方法です。
そこで、注目されている免疫療法は、2014年より認められている舌下免疫療法です。舌下免疫療法は、舌の裏にシダトレンという薬を滴下する方法で、自分で行うことができます。そのため、治療の度に通院する必要はありません。現在のところ、約2割の人が治癒し、残り8割りの人は症状が軽快しているという、良い結果が報告されています。
薬物療法
花粉症は、アレルゲンに反応して炎症が起きる病気です。反応する時、アレルギーを引き起こすヒスタミンという化学伝達物質が、体内に存在するアレルギーに対する抗体と結合して症状が出現します。
この抗体との結合を阻害してアレルギー反応を抑制するために、抗ヒスタミン薬を内服薬として服用します。抗ヒスタミン薬にもいろいろな種類と段階があるため、専門医に処方してもらう方法が1番です。
市販薬にも花粉症の薬はたくさん売られていますが、どうしても病院に行く時間が無い、でもどうしても必要だという場合には良いでしょう。間違えた処方をすると、逆に体に悪影響が起きます。せめて、薬剤師の所属するドラッグストアを選び、薬剤師に相談しましょう。
なお、抗ヒスタミン薬は即効性があり、効果が強い物ほど効果が得られやすいですが、成分が強い薬ほど「眠気」の副作用があります。
都合上、どうしても運転しなければならない、仕事などで日中眠くなると困る、といった場合は、医師と相談しましょう。
薬以外の予防・対策方法
病院の治療や薬を利用する以外に、生活をしていく中で家にいて自分でできる予防や対策がたくさんあります。
では、どういった対処法をとると良いのか、おすすめの方法を紹介します。
電化製品を利用する
部屋を換気してしまうと空気が乾燥し、喉や鼻の粘膜も乾燥して炎症を引き起こし、免疫
力が低下して花粉症になりやすかったり、既に花粉症をもっている人は、症状が出現しやすくなる原因になります。また、花粉が屋内に入り込む可能性もあるため、できるだけ空気の入れ替えは避けましょう。
家の部屋の空気を入れ替えたい場合は、空気清浄機を用いて空気をきれいにしましょう。空気がきれいにして、加湿器で部屋の湿度を高くし、乾燥を防ぐことで、ハウスダストや花粉による花粉の症状出現・悪化のリスクを軽減することができます。
部屋の拭き掃除をする
花粉症対策に最も効果があるとされている方法は、部屋の拭き掃除です。床に落ちた花粉症の原因元が部屋の中で舞うため、それらを掃除で拭きとることで、花粉症を防ぐことができる可能性があります。
マスクを着用する
花粉を家の中に入れないように注意をしていても、少しの隙間から入り込みます。そういった時のために、家の中にいてもマスクを着用することで花粉が体内に入り込むことを防止します。また、喉の乾燥対策にもなります。なるべく、入浴時以外の時はマスクを着用するように意識づけましょう。
着用するマスクは、できるだけ気密性の高い物を用いましょう。安い物は、耳の紐が切れやすい、耳の紐の長さが左右違って耳が痛い・擦り傷ができる、生地がペラペラで気密性に劣るといったデメリットのあるマスクが多いため、購入時は気を付けましょう。
また、マスクを濡らして使うと湿度を保てるため、おすすめです。鼻まで覆うと呼吸が苦しい人は、口だけでも覆いましょう。
マスクが寝ている間に外れてしまうという人は、睡眠時専用のマスクも販売しているため、利用してみると良いでしょう。ネックウオーマーでマスクと顔を固定するのも1つの方法です。体の冷えも防止でき、マスクの上にネックウオーマーがあると乾燥も更に防止できるため、一石二鳥です。
ハッカ油を使用する
マスクにハッカ油を付ける方法がおすすめです。こうすることで、スーッとした香りが喉や鼻の奥に行き渡り、スッキリさせます。
ハッカが苦手な人は、ミント味やキシリトール味のガムを噛んだり、食べ物を食べると良いでしょう。
飴を舐める
のど飴や普通の飴の舐めることで、喉を潤すことができます。飴は乾燥対策にもなり、喉のかゆみや痛みに対する対策にもおすすめです。
ミント味やキシリトール味の物を舐めると、喉や鼻の通りをスッキリさせることができます。
飲み物をしっかり飲む
喉の炎症に対しては、特に緑茶やはちみつが良いとされています。また、刀豆(なたまめ)を取り入れたお茶もおすすめです。
刀豆に含まれる成分は、鼻水・鼻詰まり・くしゃみといった花粉症の症状を軽減させる可能性があります。
冷たい食べ物や飲み物は避ける
冷たい物は喉に刺激を与え、喉の免疫力が低下して炎症を引き起こし、アレルギー反応が起こる可能性があります。
もちろん、冷たい物だけではなく、唐辛子やこしょう等といった香辛料も刺激となるため、避けましょう。
腸内環境を整える食べ物を食べる
腸内の善玉菌を増やすことで、腸内環境が良くなると、アレルギー反応も起きにくくなります。悪玉菌が増えて腸内環境が悪くなると、免疫力が低下してアレルギー反応が全身に起きやすくなります。
よって、ヨーグルトや納豆、甘酒やはちみつ、食物繊維が豊富な野菜類、ビタミンA、C、Eなど、善玉菌を増やしてくれるような食べ物を食べることをおすすめします。
代謝を良くする食べ物を食べる
体の正常な免疫機能を維持するためには、体内の代謝効率を良くしておくことも大切です。そのためには、パイナップルやリンゴ、梨など、豊富に消化酵素を含む食べ物を選ぶと良いです。
体内の代謝に必要な消化酵素の合成量を維持することで、免疫力を維持しましょう。
うがいをしっかりとする
簡単に取り入れやすく、効果的な方法は「うがい」です。ただ単に、いい加減にうがいをしても意味はありません。「あー」と声を出しながらうがいをすると、喉の奥(咽頭全体)までしっかりと菌をゆすぐことができます。
イソジンという消毒ができる薬でうがいをすると良いと、よく言われますが、逆に喉の痛みを悪化させる可能性があります。水も良いですが、緑茶がおすすめです。緑茶に含まれるカテキンには殺菌作用があるためです。こまめにうがいをして、対策をしましょう。
粘液は飲み込まない
朝、目が覚めた時に口の中に粘液が溜まっていたり、花粉症によって起きている間も痰などの粘液が絡みます。
これらを洗い流して外に出さず、飲み込むと喉に付着して炎症を引き起こすなど、症状を悪化させる可能性があります。必ず、うがいで外部に出すようにしましょう。
鼻水はこまめにかむ
鼻水にはたくさんの菌が含まれています。こんな鼻水を飲み込んでしまったり、誤って喉の奥に流れると、喉のかゆみや痛みにつながります。
また、鼻水はサラサラしているため、喉の奥に流れていきやすいです。喉の痛みやかゆみだけでなく、更に症状が悪化する可能性もあります。こまめに鼻をかんで、症状の悪化を防ぎましょう。
鼻うがい
鼻うがいには食塩水を用います。食塩水を鼻から入れて口から出す、という流れを3~5回繰り返します。最初、慣れるまでは痛みがあります。
うがい液は、塩水0.9%(体液に近い)の物を利用します。作り方は、1ℓの水を沸騰させてぬるま湯で一度冷まします。そこに小さじ1.5の9gの塩を入れます。鼻に入れる際は、100円均一に売っているスポイト等を利用すると行いやすいです。顔は少し下に向け、片方の鼻を押さえて、もう片方の鼻に入れます。
食塩水を入れる際に、「えー」と声を出しながら入れていくと、口から洗浄液を出しやすいです。繰り返し行った最後に、鼻をかみます。
洗濯物はこまめに洗う
コートや服には、家の中でも外でも花粉が大量に付着します。それを大事に片付けると、タンスやクローゼットの中にも花粉が大量に舞い、他の衣類にも花粉が付着しかねません。床に置いておいても、部屋中に花粉が舞い、刺激となります。これらを避けるために、洗濯物はなるべく早く洗濯したり、クリーニングに出しましょう。
また、なるべく外干しは避けましょう。せっかく洗濯をして花粉を取り払っても、洗濯物を外干ししてしまっては、また花粉を付着させてしまいます。
生活習慣の見直し
上記の様に、いろいろな行動を起こしたり、食べ物を配慮することは大切です。
それに加えて、生活習慣をしっかりと見直すことも大切です。適切に睡眠や休養をとらずに疲労が溜まっていたり、ライフサイクルが乱れていると、免疫の機能が低下し、体の抵抗力は低下して炎症反応が起きやすくなります。
まとめ
花粉症は、上記のことより、いろいろな原因でいろいろな症状が出現することがわかります。それらを防ぐためにも、いろんな事に日常から注意をする必要があります。予防や対策として自分でできることは行いましょう。
また、花粉症は風邪と類似しており、人によっては、どちらなのか自覚できない場合があります。どちらの病気なのかわからなかったり、症状がひどい場合は早めに耳鼻科の医師に診てもらうなど、早めに対応しましょう。
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