ふっくらしていてプルンとはじけるような弾力のある頬の筋肉は、健康的で女性の若さの象徴でもありますよね。
でもその”頬肉”も体重が増えたことでたくさん付きすぎ“ぷっくり”し過ぎれば、これはもう余分なぜい肉でしかなくなってしまいます。また顔の筋肉は年齢を経るにつれて衰えが顕著で、代わりに脂肪がつきやすくなることでその表情にも少しずつ変化が現れてきます。
笑うと目がほそ~くなったり、ちょっと目線を変えるだけで二重あごになったりするのは女性であればできればなりたくないはずです。
そこで本稿では我々人の気持ちを見た目で代弁できる唯一の器官、顔の持つ特性について理解を深め、特に頬筋を含めた表情筋のシェイプアップを図り「スッキリ顔美人」を実現するためのお得な情報をお届けします。
顔の構造と特徴
頬(ほほ)は別名「チークcheek」とも呼ばれ頬筋(きょうきん)、咀嚼筋(そしゃくきん)、口筋(こうきん)からなる表情筋の一部です。
頬は咀嚼という、食べ物を細かく粉砕して飲み込みやすくするまでよく嚼(か)むことに深く関わる部分です。咀嚼によって栄養分を体内で吸収しやすくするのはもちろんのこと、咀嚼に関わる表情筋も発達します。
筋肉の構造と機能
顔には目・鼻・耳等の重要な感覚器があり、周りの状況やその変化を素早く察知し対応できる機能を持っています。顔の表情はその表層にたくさんある浅頭筋(せんとうきん)の伸縮状態によって作り出されるため、別名「表情筋」と呼ばれます。
通常筋肉はその両端が骨と骨に付着していますが、この浅頭筋は片方が皮膚に付着する「皮筋(ひきん)」です。骨と皮膚に繋がるため細かい複雑な表情をだせるというわけです。
この表情筋、普通に生活していては全体の3割程度しか使われません。表情筋はその使われ方が十分でないので、積極的に使用して衰えないようにすることが大切です。顔のハリやもっちり感を保つためにも是非、日常生活から気を付けてみましょう。
顔は人の器官では唯一表情を作り出すことができ、それは感情(心の様態)と密接に関係しています。表情とは言葉を使わずに相手とやりとりができる「非言語コミュニケーション」ツールの代表で、その多才さは地球上の生物の中で唯一人間が持つ特権といっていいでしょう。
顔の変化を左右する表情筋の特性
一般に顔の大きさを左右するのはほっぺたや顎の肉付きです。顔が大きく見えるのは頬筋を含む「ほっぺた」の“ぷっくりさ”加減と二重あごの状態なのです。
そしてこの2ヵ所のぜい肉をコントロールすることは顔をシャープにして全体的に小顔に見える効果があります。
若年層では当たり前!?
若いころは表情筋にしっかりとハリや弾力性があるので「顔がパンパン」なんてことは当たり前です。むしろそれは若さの証(あかし)でさえあるのですが、本人からすればコンプレックスの何ものでもないということもあるはずです。
美容整形の分野では小顔矯正向けの脂肪溶解注射等も取り入れられていますが、使用の趣旨が異なることからお薦めはできません。
どうしても気になるという大人への移行期でもある10代後半の女性なら、お化粧に気を遣うのも一つの方法かもしれません。チークに少し暗めのファンデ―ションを使ってシェーディングを入れてみてはいかがでしょう。小顔効果が高まるはずです。
筋肉の衰えが及ぼす影響
表情筋の衰えは代わりの脂肪蓄積や顔の皮膚が緩む原因となるため頬がボリューミーになったり、たるみが出現する原因となります。
筋肉が衰えるということは細くなったり硬くなることを意味します。硬くなった筋肉は増々動かしにくくなりさらに細くなることで“動かない”筋肉へと変貌します。
一般に若年層の顔がぷっくりしやすいのはこの筋肉の“質”の問題に起因することがほとんどで、逆に中高年になればなるほど“使いにくい”筋肉に変わります。笑顔の表情も年齢によってだいぶ差がでてくるのはこういった理由があるからです。
顔の筋肉、表情筋が刺激を受けない状態であれば弱体化が徐々に進み筋肉は硬くなるか、重力に抗うことができず徐々に垂れ下がっていきます。若者から中高年、そして高齢者になるに従って顔が変わってくるのはこの表情筋が衰え細くなるのに皮膚の伸びはそれほど変わらず、従ってあまった部分がシワやたるみになるわけです。
浮腫みのナゾ
浮腫みとは静脈のつまり、リンパ液の滞留の他、さまざまな原因によって細胞間の水分(間質液)が血管に戻らず、余分な水分として過剰に溜まっている状態です。
人のからだは体重の約6割が水分です。この内、細胞外の水分である細胞外液が1/3、細胞内の水分である細胞内液が2/3を占めます。
細胞外液の8割は、各々の細胞間に存在する水分で「間質液」といいます。残りの2割は血管、リンパ管の中にある血液の液体成分である「血漿(けっしょう)」やリンパ液等です。体内の間質液量は、全体重の約15%を維持するようになっています。
間質液の役割は以下の2つです。
①動脈側の毛細血管から染みだし酸素や栄養素を末梢の細胞に届ける
②細胞の活性化による炭酸ガス(二酸化炭素)・老廃物を、静脈側の毛細血管やリンパ管へ戻す。
毛細血管壁は網目の非常に細かい網戸のような構造で微小な穴が無数に開いていて、常に間質液が出し入れされています。
通常は血管から染み出る水分量と、血管に戻る水分量は常に同じになるよう身体が調整しています。しかしなんらかの原因によってこのバランスが崩れ、染み出る量が多かったり、逆に戻る量が少ないと過剰な水分が皮下に溜まることになり、浮腫みを誘発します。
体重と姿勢と表情筋の関係
体重が増えると適切な姿勢の維持は難しくなります。余分な部分に余分な重りが付くことで筋肉で身体を自由にコントロールできなくなるのです。
それは顔の表情筋とて同じことです。さらに姿勢が崩れると頭は前に倒れやすくなります。首の部分でちょうど“く”の字に折れ曲がるようになり、僧帽筋を主とする後頚部の筋肉だけで、重い頭部の前方への傾きを支えることが困難となるからです。
顔が下を向くといくら頬筋が頑張って口角をあげようとしてもやはり限界があります。皮膚はもちろんたるみやすくなり全体としての寂しい顔の表情になり顔の張りや艶がなくなります。
太っている人は頬筋周りに余計な脂肪が付いてぷっくりした顔になります。表情筋が動きにくくなるため筋肉の伸縮機能が低下し代わりに脂肪の蓄積が増えるからです。逆に皮膚は内部から圧迫されることでたるみが増加し、さらには表情筋の衰えが目立ちはじめます。
問題のある姿勢
横からみて背骨にカーブがあれば解剖学的には理想的な姿勢となります。その姿勢なら筋肉が適度に動くので疲労蓄積や張りが出にくいのです。理想的な姿勢であれば頚椎が前彎、胸椎が後彎、腰椎が前彎というような【生理学的彎曲(わんきょく)】があり、そのカーブによって頭の重さや重力による下方向への圧力を吸収・分散させています。
しかし適正な体重を超えてしまうとその彎曲が徐々になくなり、背骨は真横からみると「生理学的彎曲」が消失し頭部が前に数十度傾くようになります。当然頭の重さと重力が脊椎間のクッションである椎間板に直接加わるため姿勢は悪化するサイクルに陥るというわけです。
骨格のメカニズム
頚椎の一番目と二番目は特に環軸関節(かんじくかんせつ)と呼ばれ水平面、つまり顔が横を向く動きを可能にしています。その第一頚椎(環椎:かんつい)よりも上に位置するのが頭蓋骨です。
仮に頭蓋骨の周辺に筋肉がない、あるいはまったく機能しない状態だとすれば頭は前に“コクン”と傾くようになっています。頭を支える中心点となる「支点」は後頭部より前頭部までの距離が長いため、後頭部側の筋肉で頭部が水平になるように常に引っ張ってあげる必要があるのです。
シーソーの一方(後頭部ー支点)がその反対側(前頭部ー支点)より距離が短かければバランスがとれず片側に傾きます。それと同じことが頭蓋骨とその下の頚椎との関係で起こっているのです。
「第1のテコ」と言われるこの関係は、シーソーのバランスがとれず片側に傾くのを防止していて、その役目を果しているのが後頚筋といわれる僧坊筋や頭板状筋です。特にこれらの筋肉は姿勢によってその使われ方が大きく変わります。
表情筋シェイプアップその1:姿勢と日常生活
顔にハリを出したり小顔にするといった予防や対処法はあなたの日常生活でできることが多くを占めます。再度、自分の生活状況を見つめなおすことでより良い成果をあげることも十分可能です。
筋肉を刺激する~よく嚼む~
食事のときによく嚼むことは頬筋のエクササイズにもなりこの筋肉の衰えを防ぐ意味でも大変重要な要素です。
よく嚼むためには食べる時の姿勢も大切です。姿勢が悪いと「食す」という行為への集中が妨げられ、「よく噛む」ことが少なくなり飲み込むような食べ方になるからです。
両足を地面につけ股を閉じるでもなく開くでもないちょうど良い開き具合を維持して食べ物に正対して食べましょう。肘をついたりするのはもってのほかです。
また仕事中イスに座っているときや立っているときも身体の中心にその対象物を置くことを心掛けましょう。例えばパソコンは画面やキーボードをしっかりと自分の正面に置いて視ることです。
身体の中心(線)からずれてしまうと身体が捻れたり傾いたり、いわゆる身体に歪みが生じる原因となり顔の筋肉の使い方も左右で違ってきたり、よく動く側ばかりが発達したりとバランスが悪くなってしまいます。
【大きな】な声で【はっきり】喋る
表情筋エクササイズは「顔ダイエット」のひとつとして一般的にもかなり浸透しています。舌(ベロ)を出して動かすエクササイズ、ペットボトルを使ったトレーニング、さらには割り箸を口で挟み口角を挙げる顔ダイエット法等もあります。
こういった「顔引き締めエクササイズ」等も表情筋を鍛える・刺激する運動として効果的ですが、日常の行為・行動を改善することはあなた自身の習慣にもつながることなので一層効果が高まる可能性があります。
最も有効な運動は普段から【大きな声】で【はっきり】と喋ることです。モグモグと口ごもるような喋り方は表情筋を使わずに済むためあまり得策とはいえません。
また、【姿勢】が崩れていては【大きな声】で【はっきり】喋ることはできません。
もしあなたが普段から小さい声で口ごもるような喋り方だとすれば、それを改善していけば【姿勢】改善にもつながり、顔の筋肉の動きや表情が驚く程変わる可能性があります。
笑う【弾ける笑顔】
表情筋エクササイズのひとつとして【笑う】こともお薦めです。
笑うためには日常生活が充実してなくてはなりません。【心の扉】が開いていて様々が事象や人間関係を受け入れることで、その反応をアウトプットする状態の一部が笑うことなのです。
笑うと皺(しわ)ができやすいも言われますが、笑いジワも含めその行為自体身体にも精神的にも大変良いことです。「クックックッ」とこらえるような笑い方ではなく、面白いときは声を大にして笑ってみてください。
姿勢改善
姿勢を根本的に変えようとするなら(骨格そのものを完全に変えることは不可能ですが)骨盤がよく動くようにすることが重要です。実際に骨盤は骨なので動くわけではありませんが、周りにある筋肉によって立体的に動かされる状態が理想です。
人の身体は筋肉で関節を介して骨を動かす仕組みなので、筋肉が細くなったり硬くなれば関節運動も影響を受け骨が動かなくなります。骨盤が良く動くためには周りの筋肉の伸び縮みがしっかりできるようにすることが前提なのです。
具体的には骨盤をしっかりと立てることです。イスに座る状態ならちょうど左右にある坐骨に上半身が乗っている状態が理想です。左右の坐骨に均等に圧がかかっているかを確認してみましょう。
立っている時は背中を壁に付けてみましょう。左右の踵は壁から5cm離し、お尻と左右の肩甲骨、そして後頭部を壁につけてください。腰の部分に手のひら1枚程度空く余裕ができれば骨盤が立っている証拠です。
頭部が身体の上にしっかりとのっているため表情筋を動かしやすくなります。是非、試してみてください。
表情筋シェイプアップその2:むくみ、その他
浮腫みの出現するメカニズムを理解すれば食生活やダイエットやシェイプアップ目的の運動等、日常生活で適切な対処をすることが可能です。普段から表情筋に適度のストレスをかけることも顔痩せにとって大切な要素です。
むくみ解消マッサージ
溜まった体液(水分)や老廃物を心臓に返してあげることは。小顔効果やシャープなフェイスライン、そしたるみのリフトアップにも欠かせません。リンパ、特に顔の付近に点在するリンパ節を中心に圧をかけるようにマッサージをすると効果があります。
「耳下腺リンパ節」、「顎下リンパ節(おとがいしたりんぱせつ)」、「鎖骨リンパ節」の3つは特に重要です。
「鎖骨リンパ節(鎖骨上リンパ節と鎖骨下リンパ節がある)」は体内を巡るリンパ液と老廃物が最終的に流れ込む場所であり、隣接する静脈へ老廃物を流すための重要な拠点なのです。こういった理由から鎖骨リンパ節を中心とした指圧・マッサージはむくみ解消にもとても効果的です。
できればデコルテラインだけでなく1日の終わりに顔全体のマッサージも取り入れましょう。いわゆる個形石鹸(顔石鹸)を使って汚れや余分な皮脂を取り除けば肌のハリやクスミがとれて細胞の活性化も促されませす。
片側(例えば左)の人差し指と中指を右鎖骨の上に置きゆっくりと圧を加えてみましょう。力が入らない、またはもっと力を入れて押したいという方は、力を加えるのではなく、頭を左に傾けてみてください。右の首周辺が伸ばされることでそれほど力を加えることなく“押されている”感が強くなるはずです。
頭部・頭皮マッサージ
顔痩せや頬の肉を落とし小顔やシャープなフェイスラインづくりに欠かせない要素として頭や頭皮のマッサージも有効です。
髪の毛穴が緩んだり大きくなると頭皮全体の緩みやたるみにつながるだけでなく、その影響は顔全体にも及びます。頭頂部の筋肉の硬さ・使われやすさ等のバランスが悪くても頭蓋骨が圧迫された状況にさらされ、表情筋に負荷がかかります。従って頭皮や頭の筋肉をマッサージして解すことも表情筋のリフトアップには欠かせない要素です。
皮下組織、特に筋肉等の衰えによる顔の弛みやほうれい線ができる場合も頭頂部へのアプローチが効果を発揮します。リフトアップや二重あごの予防等その重要性は専門家の間でも年々高まっているので是非、試してみる価値があります。
まとめ
表情筋の一部である頬筋(きょうきん)は口角をあげるだけでなく顔全体のイメージを高める重要なボディパーツの一部といっていいでしょう。
皮膚のたるみ、浮腫み、筋肉の衰え等を原因とする顔全体の変化を予防するためには、顔という部分だけでなく、身体全体のコンディションを整えるよう日常生活の中で配慮する必要があります。
特に顔はその表情を主として外界と繋がるための様々な機能(視る・聞く・話す・感じる等)があるのですから、しっかりと使ってあげることでその反応はどんどん高まるはずです。
いかがでしたか?今日から鏡をみることが楽しくなったとすればそれは変化への第一歩です。
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