十二指腸潰瘍というと何か複雑な病気のようです。通常、胃や腸は強い酸で解けないように粘膜で保護されています。この粘膜がなくなってくることを潰瘍といい、さらに粘膜がなくなり、臓器そのものを溶かしてしまうことを穿孔といいます。これらは潰瘍が悪化したものです。
これらは、かなりの痛みが発生します。それと、胃にも潰瘍が起きますが、この十二指腸潰瘍と胃潰瘍は症状も痛み方も違います。
そして非常に厄介で、治すのにもかなりの苦労を必要とします。基本的には、普段の食生活さえ普通であれば、かかることはないのですが、なってしまった以上は速やかに治す努力をして、今後はならないような食生活を行いましょう。今回はその十二指腸潰瘍と症状などについてお伝えいたします。
十二指腸潰瘍の症状
まずは、十二指腸潰瘍の症状を紹介します。
痛み
この潰瘍は当然腹痛を伴います。胃潰瘍は食事をすると痛みます。一方、十二指腸潰瘍は空腹時に痛みます。これは胃液が潰瘍部分を刺激するからです。食事をすると、胃液が分泌されて、胃の部分の潰瘍を刺激します。胃液は酸が強く当然細胞を溶かすぐらいのものなので、胃液が出ている時は、当然胃壁や腸壁を刺激します。
逆に食事をすると、その消火のために胃液が使われるため、十二指腸はあまり影響を受けません。これらをずっと我慢していると、さらに患部が悪化しますので、我慢せずに早々に治療を開始することが重要です。
特に十二指腸潰瘍は腸壁が薄いので、少しの潰瘍でもかなりの痛みを生じます。悪化し、すぐに穿孔となります。
これらの痛みは、胃潰瘍は胃全体が痛いのに対し、十二指腸潰瘍は、腹部の下の方が痛むようで、これは腸の入り口の部分が主に粘膜が薄くなり、腸壁を痛めているからです。
胸焼け
人によって感じ方も違いますが、胸が焼けるように痛みや圧迫感がでます。なにか腹部の奥から、胃液がこみ上げるような感じがします。また、胸がむかむかするのも胸焼けの症状です。
一時的に水やお茶などを飲んだり、何か食べることにより、この不快感は消えます。ですが一時しのぎにしかすぎません。
食欲不振
当然、腸は自然治癒の動きをしようとするため、何も入ってこないようにするのが、この食欲不振です。つまり、ここで食べ物が入ってくると、胃液が出てきて、腸の患部を刺激してしまうからです。かといって何も食べない訳にはいかないので、食べる際には負担になりにくい、消化のいいものを摂取しましょう。
腹部膨満感
患部が炎症を起こしている関係で、ガスが発生し、その影響で腸や胃の中が張った感じがする状態です。この症状は風邪の菌が胃に入った時や、便秘の時にも起きますので、何が原因かをよく確認すべきかと思います。
口臭
十二指腸潰瘍を起こしますと、胃酸過多といって、胃酸が多くなります。すると、その胃酸過多により、ゲップがたくさん出るようになり、酸っぱいものがこみ上げたりします。その影響と思われますが、口臭もひどくなります。
十二指腸潰瘍の原因
原因はどういったことが考えられるのでしょか?
ピロリ菌
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者にはほぼ90%の確率で見つかるのはこのピロリ菌です。以前は、この強い胃酸の中でも菌類は生息できないものと考えられていましたが、最近の研究では胃粘膜に生息することが確認されました。
このピロリ菌が活動すると、有害な物質が発生し、それが胃や腸の粘膜に影響を及ぼしていると考えられています。ただ、実際にはこのピロリ菌があるからと、必ずしも潰瘍になるとは限らないとの報告もあります。
服用中の他の薬
肩こりの薬などは、胃や腸に過度の負荷をかけます。もしこの肩こりの薬を服用し潰瘍のような症状が起きた場合は、少し用心したほうがいいかもしれません。この薬が粘膜を弱くしている可能性があります。
その他にも粘膜を弱めてしまう薬がありますので、医師との相談の元で服用することをお勧めします。また、そのような症状がでましたら、すぐに医師の診断を仰いでください。
暴飲暴食
当然、過度の飲み過ぎ、食べ過ぎはいけません。何も十二指腸潰瘍だけでなく、内臓全般には非常に良くないことです。それはわかりきったこととは思います。ですが意外に止められないものなのです。
人は元来、普通に食べていれば、なんら問題は起きないはずです。ですが、なぜか人間だけは食べすぎの傾向があります。これは本能と言っていいかもしれません。いずれにせよ、なるべく抑え気味に腹八分を目指したほうが無難かと思います。
もし仮に食べ過ぎの傾向があるという場合は、週に一度でいいので断食をするのもお勧めです。これは例えば、金曜日の夜に軽い食事をして、翌日は水のみで夕方までを過ごします。そしてその日の夕飯を普通に食べるという具合です。内臓も疲れているので、何も食べないで過ごすと消化ということが起きず、その日の疲れがほとんどなくなります。こちらもお試しください。
喫煙
喫煙はあらゆる病気の原因の第一に上げられることが多いのですが、十二指腸潰瘍の時でもやはり原因となります。有害物質が胃や腸の免疫機能や粘膜を刺激すると言われています。
この喫煙による十二指腸潰瘍にかかる危険率は、非喫煙者の5倍だそうです。また、喫煙者の3人に1人は潰瘍症状を引き起こしているとの統計も出ています。一見あまり関係なさそうな感じですが、間違いなく影響があると思います。
ストレス
ストレスはあらゆる病気の根源となりえます。うつ病や適用障害などの時も出てきましたが、この十二指腸潰瘍でもストレスが原因と言い切る医師もいます。ですが、実際にはストレスがどう影響を与えているのかは正確には、解りきってはいません。
十二指腸潰瘍の治療法
治療する方法を知っておきましょう。
薬の投与
年をとっている人にとっては、潰瘍となると手術をして、その悪化した部分を取り除くという治療が頭にあります。現に以前の治療はそのほとんどが、患部摘出手術でした。ですから潰瘍イコール手術という怖いイメージが残っているかと思いますが、最近では手術をほとんどしないで、薬の投与での治療となります。
要は患部を切ったところで、ピロリ菌は残っていますし、粘膜が薄くなることにより潰瘍となるのですから、逆に手術は効果が逆となる可能性があります。
また、この薬の投与による治療で良くなったからと勝手に薬を止めてしまう人が多いようですが、再発することがかなりあります。ここはご自身の判断は慎んでください。医師の判断で、完全に薬を止めてもいいという指示が出るまで、継続してください。
これは、十二指腸潰瘍の投与による治療法は、薬の服用は場合によっては、一年間投与をし続けるケースもあります。これらは主に、ピロリ菌が原因のケースですが、それだけ菌が強いということもあるのです。
食事法
いくら薬を投与しても、根本的にその生活スタイルが変わらないのであれば、再発する恐れは充分あります。原因のそのほとんどが、食生活によるものです。
基本、熱いもの、冷たいもの、刺激の強い辛いもの、酸味の強いもの、コーヒー、たくさんの肉類、揚げものなどは通常の食事の際は、少なくしたほうがいいと思います。逆に納豆や漬物などの酵素が含まれているもの、豆腐、魚類などはいいとされています。
ある意味、予防につながりますが、きちんとした食事を取ることが有効な治療法にもなるのです。
ピロリ菌の除去
ピロリ菌が影響している十二指腸潰瘍は、ほぼ薬の使用で良くなるということですが、完全ではないようです。実はピロリ菌は幼少時からの環境で感染しているケースが多く、水や衛生状態のよくない地域に住んでいると感染する、もしくはすでに感染している可能性が非常に高いようです。
また、大人になるとさらに感染しているケースが多くなっているという報告もあります。ピロリ菌は感染していてもあまり表立った影響が出ないことが多いので、気づいていないのです。
ちなみにこのピロリ菌が活動するときは、免疫力が落ちることにより他の病気を併発することが多いようです。他にも何かのちょっとしたはずみで突然予期しなかった病気も発症します。
当初から何か症状が出ていれば感染している、もしくは感染していないの判断がつくのですが、検査をして始めて感染しているか、していないかがわかるケースが多いようです。
十二指腸潰瘍の予防法
発生させないようにするには、どうすれば良いのでしょうか?
食生活を正す
アルコールの摂取が多いと、当然胃や腸に負担がかかります。合わせて取る食事も、健康的なものを取るように努力してください。先にも書きましたように、暴飲暴食は十二指腸潰瘍を誘発し、一旦治っても食事の改善がなければ、再発の可能性は高まってしまいます。
食事で取ってはいけないものは、刺激物など香辛料がたくさん入っているものや味の濃いもの、フライもの、繊維質の多いものなどです。逆に積極的に取りたいものは、野菜、チーズ、ヨーグルト、卵、豆腐などです。この食事内容を変えることで身体はかなりいい方向に向うと思います。
ストレスを減らす
現代社会でストレスを減らすのは至難の業ですが、それでもストレスを解消しないと、これはどんどん積み重なってしまいます。本来ですと、日々のストレスをその日中に解消できればいいのでしょうが、なかなかそのようにはいきません。
ただ、何もしないのは、それこそ破滅の道となってしまいます。日々出来ないのであれば、週末にでもまとめて解消することをするのがお勧めです。
ピロリ菌の除菌をする
十二指腸潰瘍というのは、かなり再発する可能性が高いようで、これは胃潰瘍も同様とのことです。そのためには、胃の中のピロリ菌も早めに検査をして、除菌するようにしましょう。
また、病状が回復したときにも、完全にピロリ菌が除菌されているかどうか、最終的な検査をしたほうがいいと思います。ピロリ菌を除去できれば、再発する可能性は本当に低くなります。
まとめ
以前、ある医者が「人は準備して病気になる」言ってましたが、まさしくこの十二指腸潰瘍もそうかと思います。
普段の食生活がめちゃくちゃで胃や腸に負担をかけ続けた結果が、潰瘍を招いたのです。正直他の病気もそうではないでしょうか。糖尿病にしても、動脈硬化にしても少しずつ少しずつ身体に負担や害を加え続けて、その小さく積み重なった結果、ある日そのキャパがオーバーして発症するのです。
ですが人は往々にしてそのことを認めません。「運が悪いことに○○になってしまった!」「別に何もしてないので○○になっちゃった!」と言っています。
賢い皆さんはそのようなことのない様に、普段から身体のメンテナンスにも気をつけて是非健康的な生活を送ってくださいね。
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