マロリー・ワイス症候群の症状や原因を知ろう!治療方法は?食事を改善することで予防できる?

皆さんマロリー・ワイス症候群という名前を、聞かれたことがありますか?私は初めて聞きました。でもこのような症状の人は、周りで見かけたという人も、おられるのでは無いでしょうか?

マロリー・ワイス症候群とは、一体どのような病気なのでしょう?症状を説明すると、そういえば周りで見かけた、という方もおられるかもしれません。

マロリー・ワイス症候群とは、強い腹圧が掛かることで、食道と胃の粘膜が裂創して、おう吐や吐血することです。アルコールを大量に飲んだ時などに、起こることがあります。

マロリー・ワイス症候群について調べてみました。

マロリー・ワイス症候群とは

お酒 飲む

マロリー・ワイス症候群とは、どの様な病気なのでしょうか?

マロリー・ワイス症候群の生い立ち

1929年ジョージ・ケネス・マロリーとソーマ・ワイスの二人が初めてこの症状について報告し、二人の名前を取ってマロリー・ワイスとつけられました。

このマロリーとワイスは吐血した患者さんで、飲食後に嘔吐を繰り返す症状を、診断したのですが胃の噴門部(ふんもん)に、縦走する裂創(れっそう)から出血していたことが、見つかったのです。

マロリー・ワイス症候群になるには?

マロリー・ワイス症候群になって、食道と胃のつなぎ目が切れて出血すると、激しく嘔吐を繰り返し、大量の吐血をしますが、腹痛がないのが特徴です。大量の吐血をしても、腹痛を訴えることはありません。

マロリー・ワイス症候群は食道炎の一種で、一度この病気を発症すると、癖がつきやすく何度でも発症してしまいます。

マロリー・ワイス症候群になりやすい人が、繰り返し嘔吐をしてしまうと、食道と胃のつなぎ目が十分に緩まずに、強い腹圧がかかって粘膜が避けるので、大量の出血をしてしまうのです。

マロリー・ワイス症候群のメカニズム

マロリー・ワイス症候群は食道に圧力が加わるために、食道と胃のつなぎ目付近の粘膜が破れてしまうのです。繰り返す激しい嘔吐が原因で、破れた粘膜から出血する病気です。

何故激しい嘔吐を繰り返すと、マロリー・ワイス症候群になるのかと言いますと、おう吐を繰り返すことで、急激に上昇する腹腔内圧が、食道に加わることになります。

食道に圧が加わることで、食道の胃のつなぎ目付近の、粘膜に裂創が起こります。裂けて傷がつく訳ですから、そこから出血が起こるのは当たり前のことです。この裂創が下層まで裂けて、粘膜下動脈から出血します。新鮮血のまじった吐血がありますが、普通は胸痛や腹痛を伴わないのです。

患者がもっとも強く訴える症状に、吐血で来院される人がとても多いです。上部消化管出血の5%を、占める頻度の高い疾患なのです。

マロリー・ワイス症候群の治療の考え

マロリー・ワイス症候群の治療の考え方は、まず経過観察が多いです。出血量を確認した後に、内視鏡検査で食道と胃のつなぎ目付近に、傷があるか確認します。傷が小さければ自然治癒しますので、経過観察しながら治療します。

また傷が大きい場合は、内視鏡検査でクリップで止血をします。それでも出血が止まらないときは手術をするのが一般的です。

出血は食道の内圧が正常に戻れば、ほとんど自然治癒しますので、特別な治療方法は特にありません。止血後は安静にして経過観察を行い、余りにも傷が大きくて酷い場合は、食事を抜いて栄養を点滴でとりながら、経過観察していきます。人間の治癒力を大事にした、治療が行われています。

出血の原因が食道でなく胃の場合は、外科的手術を行わないといけない場合もあります。おう吐の際に吐血した場合は放置しないで、早めに消化器科を受診してくださいね。吐血を放置するのは良くありません。

▼噴門(ふんもん)

噴門とは胃と食道のつなぎ目付近の事を言います。食道下部から胃の入り口を噴門部と言います。

▼裂創(れっそう)

皮膚が裂けてできた傷の事です。裂け傷のことです。裂傷と同じ意味です。

マロリー・ワイス症候群の原因

血管肉腫

マロリー・ワイス症候群の原因は、どの様な原因があるのでしょうか?

出血のメカニズム

マロリー・ワイス症候群の原因で、最も多いのがアルコールです。アルコールが下部の食道にある、下部食道括約筋の圧を緩めてしまうので、胃の内容物が食道へ逆流してしまうのです。

繰り返しおう吐することで、容易に胃から食道に圧が加わることで、腹圧が上がり食道の出口から、胃の入り口付近の食道胃接合部分に、胃軸にそって左右に強い伸展力(しんてんりょく)の、伸ばし広げる力が加わり、粘膜が縦方向に亀裂を作って、裂創して出血するのです。

マロリー・ワイス症候群の主な原因

マロリー・ワイス症候群の主な原因には、日常とちょっとした動作でも起こることがあります。おう吐の場合飲酒が関係する場合は、30~50%の割合ですが、必ずしも飲酒だけが原因ではないのです。

まず激しい嘔吐の反復の咳、くしゃみ、喘息などでも起こります。また妊娠悪阻(にんしんおそ)つわり、出産時のりきみ等の、女性の妊娠時においても、マロリー・ワイス症候群なども見受けられます。

内視鏡の検査による損傷や、食中毒、乗り物酔い、排便のいきみなどでも起こることがあります。また職業やスポーツにおいても、急激に強い力を入れる作業や、重量上げ選手、心肺蘇生などでも、起こる可能性があるようです。

これは急激に腹腔内圧が、上昇する状況で起こりますので、上記の行動を取った時に起こる場合があるのです。また男女比は11~8:1で男性の方が多く年齢の平均は、40~50歳と言われていますが、小児もいますし幅広い年齢層で起こります。

▼妊娠悪阻(にんしんおそ)

妊娠悪阻とはつわりの時に、吐き気やおう吐を伴いつわりが悪化して、意識障害などを起こす危険な症状の事です。一日中おう吐を繰り返し、水分補給が出来ず全身症状に悪化します。

マロリー・ワイス症候群の症状

胃が痛い

さてマロリー・ワイス症候群の症状には、どの様なものがあるのでしょうか?

マロリー・ワイス症候群の症状の主なもの

マロリー・ワイス症候群の症状は、特徴なのが繰り返す嘔吐です。そして嘔吐後の吐血が最も多いです。

その他に下血、心窩部痛(しんかぶつう)のみぞおちの当たりの痛みや、立ちくらみなどの症状が出てきます。

痛みがある場合は、特発性食道破裂(とくはつせいしょくどうはれつ)の、食道の壁の全層が、破られた可能性がありますので、すぐに消化器科に受診してください。

マロリー・ワイス症候群の重い症状

マロリー・ワイス症候群の症状が重い場合、胃の裂創部分からの出血が多い場合は、出血が多いために、全身にショック状態が起こります。

全身ショック状態となると、輸血が必要になることもあります。出血量は平均1,000ml前後~2,000mlになると、輸血が必要となりますが、その割合は10~50%とされています。

▼心窩部痛(しんかぶつう)

心窩部痛とは食後や、食事しかけた時にすぐに食べ物が、胃にいっぱいになった感じで、みぞおちの焼けるような痛みを伴います。

▼特発性食道破裂(とくはつせいしょくどうはれつ)

特発性食道破裂とはブールハヴィー症候群と言われ、病的変化のない正常な食道が、食道内圧が上昇して破裂する症状です。

マロリー・ワイス症候群の検査

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マロリー・ワイス症候群の検査はあるのでしょうか?

内視鏡検査

一般的にマロリー・ワイス症候群の検査は、血液検査で見ることが出来ます。潰瘍部分の決断は、吐血で受診した患者さんには、上部内視鏡検査の胃カメラを行っています。胃カメラで内視鏡検査を行うことで、どこから出血していて、潰瘍の深さや大きさなど、出血がどのような形態なのかという事もわかります。

内視鏡検査において動脈性出血なのか、じわじわと出血して現在は止まっているのもなのか、という事まで観察できますので、内視鏡検査において、治療も行うことが出来ます。

胃に潰瘍があることがとても多くて、数は潰瘍は1個で大きさも1㎝ぐらいですが、この様な潰瘍が多く見られます。

食道裂孔ヘルニアとマロリー・ワイス症候群

マロリー・ワイス症候群で食道裂孔ヘルニアの症状がある場合、胸腔内のヘルニア嚢(ヘルニアのう)内の圧が胃内圧と同一となります。

食道の胃のつなぎの付近の食道内と、外の圧の較差の違いが大きくなるために、裂創を起こしやすくなります。上部消化管の内視鏡検査では、食道の胃の接合付近に縦走が何条も走っていて、内視鏡検査で裂創を認められます。

▼胸腔(きょうくう)

胸腔とは胸郭に包まれている空間で、胸腔と腹腔を仕切っているのが横隔膜です。胸腔内は縦の胸膜腔縦隔が入ります。胸腔と胸膜を混同しない様にすることが必要です。

▼食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアとは、私たちの身体の胸部と腹部の間に横隔膜という筋肉でできた膜があります。食道や大動脈大静脈が通るための穴が開いているのですが、食道が通っている穴を食道裂孔と言い、この穴がヘルニアになっていびつになっていることです。逆流性食道炎を起こしやすくなります。

▼ヘルニア嚢(ヘルニアのう)

ヘルニア嚢とは本来あるべき姿でなくて、組織や臓器(ヘルニア)を包んでいる袋状の膜です。主に腹膜で包まれています。

マロリー・ワイス症候群の治療

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マロリー・ワイス症候群の治療にはどの様な治療があるのでしょうか?

内視鏡による治療

マロリー・ワイス症候群の、治療には経過観察が主に見られます。内視鏡で潰瘍から動脈からの出血が確認された場合は、内視鏡の下で止血処置を行うことがあります。また出血が止まっていても、潰瘍に凝血魂(ぎょうけつこん)の血栓が付着しているものや、露出血管のあるものなどは、また再出血する可能性が高いので、同様に内視鏡の検査の下で、止血処置を行います。

止血処置を行うには、潰瘍の露出している血管に、クリップをかける方法や、血管を電気焼灼(でんきしょうしゃく)する方法などがあります。

内視鏡による治療の後

内視鏡で治療をした後は潰瘍の深さや、全身の状態によって、一般に潰瘍の深いものは入院します。そして絶食や輸液療法などの、治療を行うこともあります。潰瘍の治療としてH2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬などの、酸分泌抑制薬を服用することもあります。

マロリー・ワイス症候群は、ほとんどの場合食道の圧が正常化することで、自然止血するために、特別な治療は殆ど必要とせずに、治るケースが多いです。

そのためマロリー・ワイス症候群は、保存的に経過観察することが殆どです。99%保存的治療が可能で、出血が持続する例では、内視鏡検査の時に止血医療を行い、経過観察で予後がとても良好な結果を出しています。

▼凝血魂(ぎょうけつこん)

凝血魂とは血の塊ですが、血小板や、たんぱく、細胞が互いに固着することで、血液が固まり血管の壁に、付着した凝血魂は血栓とよばれ、剥がれて血液の流れに乗ってどこかで、血管を詰まらせた場合の、凝血魂を塞栓と呼んでいます。

▼電気焼灼(でんきしょうしゃく)

電気焼灼とは高周波電流の熱で、患部の組織を切開・止血・凝固を行う方法です。

マロリー・ワイス症候群の予防

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マロリー・ワイス症候群の予防にはどの様なものがあるのでしょうか?

マロリー・ワイス症候群の予防には、まず腹圧が高くなると胃の内容物が、逆流しやすくなります。腹圧が日常生活において、かからない様にすることが大切です。まず前かがみの姿勢は避けるほうが良いです。前かがみになると、お腹に腹圧が掛かりやすくなります。

マロリー・ワイス症候群の予防に腹圧を上げる

重い物を持ち上げたり、強く力んだり、お腹に圧力をかける動作はやめた方がよいです。また違う角度から見ると、腹式呼吸をすることで、日頃の腹圧を高めることで、少々の腹圧が掛かる動作をしても、マロリー・ワイス症候群にならないことにもなります。その点歌を歌う時の腹式呼吸を取り入れて、腹圧を高めることは、マロリー・ワイス症候群の予防になります。

マロリー・ワイス症候群の予防の其の他

またベルトやガードルなどや帯などで、お腹を強く締め付けない様にすることも大切です。また肥満や便秘にならない様にして、できるだけ腰を伸ばす姿勢を取ることが大切です。

寝るときは背中の中央部分から、上を少し高くして寝ます。また禁煙も大切です。

食事に対する予防

マロリー・ワイス症候群の予防には、食事の内容はとても大切です。アルコールや炭水飲料のほか、カフェインやイカやタコや、繊維の多い野菜例えばゆでインゲン豆(13.3)や、おから(11.5)ゴボウ(6.1)などの、消化に悪いものは控えたほうが良いです。

マロリー・ワイス症候群の予防を考えるうえで、逆流性食道炎を起こしやすかったり、症状を悪化させやすい食べ物は、酸味が強い物や、脂っこいもの、香辛料や熱すぎるもの、刺激物の多いものです。これらの食べ物は控えるほうがマロリー・ワイス症候群の予防になります。

また食べすぎや飲みすぎは、特に注意が必要です。満腹は健康な方でも逆流性食道炎を、起こしやすくなっています。

結局規則正しい食事とバランスのとれた食事を、腹八分目食べることで、マロリー・ワイス症候群を防ぐことが出来るのです。

姿勢に対する予防

マロリー・ワイス症候群の予防で、姿勢も大きく関わってきます。マロリー・ワイス症候群の場合、基本的に下部食道括約筋が弱くなっている人は、胃よりも食道が下にくるような、姿勢を取った時は、逆流性食道炎の危険性があります。

例えばデスクワークの時の姿勢だったり、背筋をピンと伸ばして、正しい姿勢を取ることで、お腹に負担が掛かるような姿勢を、とっていることを意識的に少なくすることで、効果は期待できます。

食事後すぐに横にならないとか、寝るときに状態を少し高くして寝る事で、寝ているときの逆流を防ぐことで、効果があるといわれている。

肥満による予防

肥満体形でお腹の出ている人は、胃液の逆流が起こりやすいと言われているので、適度な運動をして、体重を減らすことが大切です。

禁煙による予防

喫煙は胃酸の分泌を増やして、括約筋を弛めてしまう作用があるので、禁煙がマロリー・ワイス症候群の予防になります。

まとめ

便秘

如何でしたでしょうか?マロリー・ワイス症候群について、少しは知識が広まりましたでしょうか?マロリー・ワイス症候群は私には関係ないと、思われた方もおられると思いますが、よく見てみますと、結構誰でもかかるような病気の様です。

裂創が酷くなければ自然治癒で大事に至りませんが、裂創が大きくひどくなるとショック症状まで起こり、生死にかかわることもあります。

もしマロリー・ワイス症候群では?と思われたときは、消化器科で一度検査をしてもらうことが、今後の大きな裂創に繋がらないと思いますので、もしおう吐や吐血した場合、自然治癒したからと放置するのではなくて、専門医のアドバイスを受けるようにしてくださいね。

  
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