「朝起きたら胃が重くてだるい…」「食事の後胃が重くて動きたくない…」こんな経験ありませんか?胃が重く痛みを感じると何をしようにも集中出来ずに、イライラしてしまいますよね。胃が重くなる原因は様々あります。
軽い症状でも放置していると悪化してしまう事もあるので気を付けなければいけません。
胃が重いなという症状を感じた場合に考えられる病気の可能性がある疾患を紹介します。これらの病気の可能性が危惧される場合の治療法を知って改善法を試していきましょう。
また、早めに病院での診断を受診し病気の早期発見をし、早期治療を目指しましょう。胃に症状が現れている場合は、胃腸科、消化器科、消化器外科などの専門病院での受診を行うのがいいでしょう。
まずは胃の機能についての紹介をした後に、胃が重いと感じる原因を紹介していきます。
胃とは?
まずは胃の役割を知っておきましょう。
胃の構造
胃とは食道の次、十二指腸の前にある消化器官です。横隔膜の下、肝臓の左側に位置しておりみぞおちの辺りにあります。胃は人間が食べた物を消化する器官です。
入口と出口が狭くなっていて、その間には袋状の構造になっています。食道と繋がっている部分を「噴門部」十二指腸に繋がる部分を「幽門部」それ以外の部分を「胃体部」と呼びます。
- 噴門部=粘液を分泌
- 幽門部=ガストリンを血液中に分泌
- 胃体部=胃酸とペプシンを分泌
胃には3層の壁で構成されています。胃の壁の事を胃壁と呼び、内側から「粘膜層」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜下層」「漿膜」から成り立っています。粘膜には胃小窩と言われる小さな穴が無数に開いています。胃小窩のそこには胃腺と呼ばれる管状の分泌腺があり、ここから胃酸、消化酵素が分泌されています。
胃の役割
胃の働きは大きく分けて5つあります。
●食べた物を貯蓄しておく働き
食道のぜん運動が胃まで届くと噴門部が開き摂取した食べ物が胃の中に入ってきます。胃の中に食べ物が入ってくると胃の袋が膨らみ、栄養の吸収するまで胃の中で蓄えておきます。
胃の中で暫く蓄えておく事で、栄養をしっかり吸収し、消化しやすいように細かく粥状に出来ます。胃に何も入っていない時は胃体部はしぼんでいる状態になります。
●食べた物を消化しやすいようにする働き
摂取した食べ物はそのままの形では栄養分が吸収されません。ですので、胃の中で胃液含まれる塩酸によって食べ物を粥状にして消化しやすいようにします。胃では栄養が吸収されませんが、小腸などで栄養が吸収されやすいようにしてくれる重要な働きをしています。
●タンパク質を消化する働き
胃液に含まれる消化酵素とペプシンによって食べ物に含まれるたんぱく質を分解して、消化する役割があります。
●食べた物に含まれている細菌を殺す働き
塩酸には食べ物のと一緒に入ってきた細菌を殺菌する働きもあります。
●アルコールを吸収する働き
栄養分の吸収は主に小腸と大腸で行われますが、アルコールは胃で吸収されます。全部が吸収されるわけでなく、10~20%ほどになります。水やジュースといった飲み物よりもアルコールは沢山飲めるなぁと思った事はありませんか?それはアルコールの一部が胃で吸収・分解され肝臓に送られているので、吸収される時間が短い事から他の飲み物と比べて沢山飲めるのです。
胃が重い原因
胃に何か不調を起こしていると、重いと感じたり痛いと感じる時がありますよね。
そもそも「胃が重い」「胃がもたれる」などと表現されますが、表現の仕方が違うだけで医学的には区別していません。では、その原因は何から来ているのでしょう。
胃炎
胃炎にも色々な種類があります。
●急性胃炎
急性胃炎は様々な原因で起こるもので、日常的に起こりやすい胃炎です。原因が無くなると1~3日で回復してしまうという事も特徴的です。原因は主にピロリ菌の感染・ストレス・飲食物になります。
一番身近な物が、コーヒー・緑茶・香辛料・嗜好品の撮りすぎです。これらを摂取しすぎてしまうと胃に負担が掛かり急性胃炎になりますが、症状はとても軽い物になるので気にならない程度の不快感だけで終わる事がほとんどです。ですので急性胃炎になっている事を自覚していない人もいます。
症状としては胃が重い・不快感・痛みがあります。酷い物になるのと嘔吐も引き起こします。
●慢性胃炎
年齢が増すごとに居の粘膜が荒れていくという考えが常識的で、慢性胃炎の原因は年齢に伴った現象とされていました。しかしピロリ菌が発見されてからは、慢性胃炎の大半はピロリ菌の長期感染によって引き起こされている事がわかりました。勿論加齢によって慢性胃炎になる場合もあります。急性胃炎とは違い、完璧に胃炎が治るという事があまりないそうです。
症状としては胃が重い・不快感・空腹時の痛み・吐き気などがあります。
●萎縮性胃炎
慢性胃炎が長期間に渡って続く事で、胃酸を分泌する胃腺が縮小してしまい胃の粘膜が薄くなってしまう胃炎です。一般的な胃の色はピンク色をしていますが、萎縮性胃炎になるとくすんで血管が透けて見えるほど薄くなります。これを放置してしまうとガンになる可能性が高くなります。
萎縮性胃炎には特徴的な症状がありません。一般的な胃炎と同じような症状になります。
●びらん性胃炎
びらん性胃炎には急性と慢性があります。通常は急性びらん性胃炎として症状が現れます。びらんとは粘膜組織が剥がれてただれている状態の事です。胃の粘膜がただれる事によって、正常な胃の働きを行わない為、胃がもたれたり痛みが出てきます。原因としては細菌やウイルス感染・嗜好品の過剰摂取・香辛料の過剰摂取などがあります。
症状としては、初期症状が無く粘膜に傷が出来て半日ほどすると突然痛みが襲ってきます。びらん性胃炎は胃の入り口付近に出来る事が多いので、出血を起こし吐血する場合もあります。
詳しくは、びらん性胃炎の症状って?原因や治療方法について!を参考にしてください。
●神経性胃炎
神経性胃炎はストレス性胃炎とも呼ばれていて、日常的な強いストレスや疲労が原因で起こります。週に1回は必ず胃の痛みを感じ胃酸が喉まで上がってくるといった症状が見られます。感じるストレスが大きく自律神経が激しく乱れてしまうと、胃が痙攣したような激しい痛みを引き起こし普段の生活が出来ない程にもなります。
●肥厚性胃炎
萎縮性胃炎とは逆に胃の粘膜が厚くなってしまう胃炎です。胃の粘膜が厚くなると必要以上に胃酸が分泌されてしまい、胃酸過多になってしまいます。胃酸過多になってしまうと、空腹時に通常分泌されない胃酸によって胃が痛んでしまったり、胃酸が喉まで込み上げて来る症状が出てきます。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は腸の病気ですが、腸も胃も同じ消化器官です。口から肛門までの一本に繋がった器官ですので、同じような原理で症状が発生し、どちらかに病気の症状が現れると同じように何かしらの問題を発症する可能性が非常に高いです。
胃が痛かったり重いなどの原因が胃にだけあると思わず、この様な病気の可能性も疑ってみましょう。
症状
過敏性腸症候群の症状は代表的なものでは、下痢や便秘などの症状がどちらかひとつ、または交互に現れる症状で、主に小腸を始めとする腸全体に問題が発生して症状が発症します。
特に先進国に多い病気で、日本では人口の約10%〜20%ほどにこの病気の発症が認められます。年齢は20代〜40代の女性に特に多く見られます。消化器系の病院を受診する患者の3分の1は過敏性腸症候群の患者であるというデータもあります。
この便秘や下痢などの症状によって大きなストレスを受けることで交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまい、胃痛などの症状を引き起こしやすくなります。
原因
この病気の原因は特に先進国に多く見られる症状であることから、多くの場合は過剰なストレスや、ストレスに敏感であることが原因の一つではないかと言われています。
その他には消化管運動の異常や消化管の知覚過敏が原因ではないかとも言われています。この症状を発症する人それぞれに違った特徴があり、はっきりとした原因が把握しづらいのがこの病気の特徴でもあります。
また、一部では感染性腸炎を発症した後に過敏性腸症候群の症状が現れるケースが多いことから、免疫異常の可能性もあるのではないかと疑われています。
胃腸などの器官は自律神経が乱れることでもその機能が大きく損なわれてしまうので特に興奮状態や強いストレスを長時間受けてしまうと、内臓の血管が収縮してしまい、胃や腸の機能が低下し胃もたれや腹痛などの症状が現れます。
胃潰瘍
消化性潰瘍とも呼ばれており、強力な胃液と胃壁を守っている粘膜のバランスが崩れてしまうことで起きる病気です。胃潰瘍にも急性胃潰瘍と慢性胃潰瘍があり、それぞれ原因や症状が違ってきます。
●急性胃潰瘍
原因は、ストレス・嗜好品の過剰摂取・刺激物の過剰摂取になります。
症状は、胸焼け・食後の胃痛・食欲不振などがあります。悪化すると吐き気や嘔吐も引き起こし、突発的な痛みが起こり暫くすると何事もなかったかのように痛みが無くなるというところが特徴的になります。これは、胃の粘膜がびらん状態になって引き起こされる症状になります。
●慢性胃潰瘍
原因のほとんどがピロリ菌です。ピロリ菌によって胃の粘膜が炎症を起こし、その部分に胃酸が入ってしまうと更に粘膜を破壊して潰瘍を作る事によって慢性胃潰瘍になります。
症状は、空腹時の胃痛・背中の痛みなどがあります。急性胃潰瘍は突発的な痛みでしたが、慢性胃潰瘍は常に痛みがあり、空腹時に激しい痛みになります。ですので、食べ物を消化している就寝中などに痛みが遅い眠れなくなる場合もあります。
胃潰瘍については、胃潰瘍の症状をチェック!治療するための方法は?を読んでおきましょう。
生活環境
食事は胃に直接影響を与えているので、食べ物には注意しなければいけません。自分の好きな物ばかり食べていると胃に負担を掛けてしまう可能性があります。脂っこいものや刺激の強い食べ物を大量に摂取したり、暴飲暴食や早食いなども胃に負担を掛けてしまうのでやめましょう。また、アルコールの過剰摂取も胃を荒らしてしまう原因です。
胃の働きをコントロールしている自律神経は、交感神経と副交感神経から成っています。ストレスによって交感神経だけが活発に働く事になり、2つのバランスが保てなくなります。そうすると自律神経の支配下である胃に影響がいきます。胃は一番ストレスの影響を受けやすい器官になっているので、少しでも胃に不調がある場合ストレスが溜まっているかもしれません。
胃が重くならないように気を付ける事
予防方法について紹介します。長期間や慢性的に胃痛などの症状を発症している場合は、原因となる生活習慣などの改善を行って症状の沈下と予防を行っていきましょう。
食生活
胃に直接関係してくるのが食べ物です。まずは自分の食生活を見直してみましょう。
1.胃の活動を助けてくれる食べ物を食べよう
「キャベツ」にはビタミンUが多く含まれていて、胃の粘膜を保護したり血流を良くする効果が期待されます。また脂肪分の消化を助ける働きもあるので胃にとても優しい食材なのです。食材を加熱してしまうと成分が変わり効果が無くなってしまうという事がありますが、キャベツは生でも加熱しても効果が変わらないので料理する時にも助かるので、取り入れやすい食材になっています。
「大根」にはジアスターゼが多く含まれていて、胃の消化を助ける効果が期待されます。特に大根の葉っぱ近くの部分に多く含まれているので、ぜひ食事に取り入れてみてください。ただ注意して頂きたいのが、ジアスターゼは熱に弱い成分になっているので、加熱してしまうと効果が無くなってしまいます。ですので、食べる時は大根おろしなどにして生のまま食べるようにして下さい。
2.暴飲暴食・早食いはやめましょう
暴飲暴食は胃に大きな負担を掛けてしまいます。食べる時はゆっくりよく噛んで、消化しやすいようにしてあげましょう。
市販薬の使用
慢性的に胃の重い症状などが引き起こりやすい人は、外食などで普段よりも多い食事をする可能性のある場合は胃腸薬などの市販薬を使用するようにすると症状の緩和や予防になるので良いでしょう。
有名なものではソルマック胃腸液プラス(食べ過ぎや、飲み過ぎによる胃のむかつきや吐き気や満腹感などの症状の緩和)や新タカヂア錠(消化酵素を含んだ薬品で消化不良になりやすい、糖質やタンパク質のどの成分の消化機能を助けてくれます)やエビオス錠(ビール酵母の働きによって胃の消化不良や吐き気、食べ過ぎ、飲み過ぎなどの症状を和らげてくれます)などの薬を使用してみるのもいいでしょう。
自分の症状や身体に合った効果の高いものを選択して常備しておくといいでしょう。
病気の可能性のある場合は、このような薬の服用で症状を和らげて放置することで発見が遅れる場合などがありますので注意が必要です。
症状が慢性的な場合やその他の病気の可能性がある症状が発症している場合は一度専門病院での検査を受けましょう。
ストレスを溜めない
胃が重くなる原因でも説明しましたが、胃はストレスの影響を受けやすい臓器です。少しでも普段のストレスを解消する事で、胃が重くなる事を避けてくれます。自分の趣味や好きな事をする時間を少しでも取れるようにして、ストレス発散を試みて下さい。
また、ストレスの他に睡眠不足や疲労なども良くないので私生活の見直しをしてみて下さい。
胃や腸などの器官はストレスによる影響を特に受けやすい器官でもあります。その為、これらの器官に何かしらの症状が現れた場合は、安静にしストレスを与えないようにしてあげることが大切です。
このストレスには精神的なストレスだけでなく、胃に負担をかけすぎる食事や寒暖差などの身体的なストレスも含まれます。ストレスをなるべく溜めない生活習慣を身に着けて、症状の予防を図りましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。胃が重くなる原因の多くは私生活での生活習慣の中に潜んでいることが多いです。ですので胃痛の症状は生活習慣病の一つといえます。
軽い症状だから…と甘く見ていると、自覚症状が弱いだけで実は病院に行ったときには胃に穴が開いてしまったりするので、少しでも不調を感じたら胃を休ませてあげるようにして下さい。また、我慢しすぎずに病院での検査を行いましょう。
誰にでも起こる症状なので対策をしっかりして快適な生活を送りましょう。
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