虫垂炎の症状って?検査法や治療法も紹介!

急にお腹まわりが痛くなり動けなくなるほどになる痛みを感じた事はありませんか?ただの腹痛だと思っていたら実は虫垂炎(盲腸)だったという人も少なくありません。

それに、虫垂炎を放置してしまうと重症化してしまい、取り返しがつかなくなってしまう場合もあります。そうならない為にも、症状や原因を事前に知る事が大事になります。

虫垂炎について

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虫垂炎について紹介します。

虫垂

虫垂の場所は右側の下腹部にあり、大腸の一部で盲腸からぶら下がっています。長さは5~10cmほどで太さは0.5~1cmほどになります。

そのぶら下がっている姿がまるで芋虫がぶら下がっているような形に見える為「虫様突起」または「虫垂」と呼ばれるようになりました。この虫垂は長年、無用な臓器と言われてきました。というのも、体に有用な働きがないわりに虫垂炎などにかかると大変だからです。

何も働きがなく病気にかかる場所なら、早めに取っておいた方が良いのではないか?と思いますよね。ですが研究を進めていくうちに、重要な役割を果たしていることが明らかになったのです。その働きとは、腸に免疫細胞を供給して腸内細菌のバランスを保つという事です。

この腸内細菌のバランスが崩れると、食中毒などになりやすくなってしまうので、虫垂は重要な働きをしているそうです。

虫垂炎とは

虫垂部分が何かしらの原因によって炎症を起こした状態を虫垂炎と呼びます。昔は虫垂炎ではなく、盲腸炎と呼ばれていた事もあります。虫垂内部で細菌が増殖すると細菌感染を起こし炎症を起こし始めますが、その炎症が重度のものになると虫垂の細胞が壊死を起こし穿孔してしまいます。

そうすると膿汁と腸液が腹腔内に流れ込み、腹膜炎や敗血症を起こしてしまう場合もあります。日本人の15人に1人がかかると言われていて10代から20代の若い年齢層で発症しているようです。

虫垂炎の症状

実は虫垂炎の症状は本格的に発症するまでに段階があります。その初期症状気付かずに放置してしまったり、診断が遅れてしまい手遅れになってしまう場合もあるので注意して下さい。

初期症状としては、下腹部の中心部分から右側にチクチクした痛みが現れます。その痛みが徐々に右下腹部に移動していく疼痛の移動が特徴的です。そのチクチクした痛みは単発的な痛みでは無く、連続して痛みます。お腹中心部から右下に移動するまで約12時間~24時間かかると言われています。

この痛みと共に「下痢」「吐き気」「発熱」を伴います。37度くらいの微熱が特徴的です。そして吐き気や嘔吐は、虫垂炎になった人の中で一番多い症状です。虫垂炎は消化器系にダメージを与えているので、消化できなくなってしまう事からこの症状が起こります。

お腹まわりの痛みは、消化管の収縮や拡張などによってお腹全体の鈍痛になります。ですので、この部分が痛いというのはわかりにくくなります。大体この辺りが痛いというのはわかるのですが、実際炎症を起こしている場所はまったく違ったりする場合もあります。

虫垂炎の原因

虫垂炎になる原因は様々あります。確実な原因は完全にはわかっていません。

――ウイルス感染――

糞便や異物やリンパ組織の過形成や腫瘍により虫垂のが塞がってしまい、狭くなることをきっかけで、虫垂内の圧力が上昇します。これにより血行が悪くなり細菌を殺菌する作用がうまく働かなくなり感染を引き起こしてしまします。炎症の度合によって分類され、以下の通りになる。

  • 粘膜の軽い炎症=カタル性
  • 全層の化膿性炎症=蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい)
  • 虫垂壁全層の壊死=壊疽性(えそせい)

壊疽性まで行くと重度の炎症になり穿孔まで炎症が広がると腹膜炎を合併します。

――便秘――

便秘が原因で虫垂炎になるのは女性がほとんどです。便秘を起こすことによって虫垂が圧迫され炎症を起こします。

――ストレス――

ストレスによって胃に影響を及ぼすと同じように虫垂にも影響があると考えられています。

――暴飲暴食――

食べ過ぎたり飲みすぎると胃や腸に影響を起こします。それと同じ考えで虫垂にも影響があると考えられています。

盲腸の原因について、盲腸の原因とは?ストレスなの?痛みが強い場合は要注意!を参考にしてください。

虫垂炎の検査と治療

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検査方法や治療方法を紹介します。

検査方法

診断はまず問診とお腹の触診を行います。触診によって虫垂炎と判断する事は難しいので必要に応じて以下診察を行います。

  • 血液検査(虫垂炎の炎症が起こると白血球やCRPなどの炎症所見が高くなる)
  • 腹部X線検査(小腸ガスが見られると虫垂炎です)
  • 超音波検査(糞石があるか無いかを確認します)
  • 腹部CT検査(腫大した虫垂に糞石があるか無いか確認します)

治療方法

虫垂の炎症が軽いものであれば抗菌薬の投与で治療していきます。炎症が粘膜までにとどまっているカタル性虫垂炎の場合はこの抗菌薬だけで大丈夫ですが、蜂窩織炎性や壊疽性の場合は手術が必要になります。

手術

虫垂切除を行う場合腹腔鏡手術と開腹手術があります。

――腹腔鏡手術――

腹腔鏡手術は腹腔内の膿が原因となる感染が開腹に比べ少なく、傷も小さいので目立たないというメリットがあります。更に術後の痛みも少なく入院期間が4~5日と短めで済みます。

しかし治りが遅い人や合併症を発症した場合は再手術もあるので1か月ほど更に入院する必要があります。費用は腹腔鏡手術費用15万円~20万円と、入院費6万円~12万円ほどで約30万円前後が平均費用となっています。

※保険適用していない場合の金額です。

――開腹手術――

腹腔鏡手術に比べ傷が大きくなってしまい、術後も強い痛みを伴い入院期間が長引いてしまうことが痛い点です。しかし腹腔鏡手術よりも確実性があるのは確かです。

腹腔鏡手術に比べて手術費用は安めになっているので、傷や痛みを気にしないという人にはオススメかもしれません。開腹手術費用10万円~15万円と入院費6万円~12万円ほどで約25万円前後が平均費用となっています。

※保険適用していない場合の金額です。

手術後の合併症について

腹部手術に伴い合併症がおこる場合があります。

  • 出血:稀に虫垂の周囲や皮下からの出血が見られる事があり、手術で止血が必要になります。
  • 腹腔内膿瘍:虫垂炎が酷い場合、傷口や腹部に膿が溜まる場合があり、高熱の症状が続く事があります。抗生剤の投与で回復を待ちますが、膿が多い場合は腹腔ドレナージで膿を抜く必要があります。
  • 腸閉塞:腸の流れが悪くなり腸の中にガスが溜まり腹痛や嘔吐といった症状が現れる事があります。基本的には絶食し回復を待ちます。
  • 感染症

食事制限

手術するにしても薬の投与するにしても、虫垂炎の治療には食事制限が欠かせなくなってきます。虫垂炎は消化器官の部分になるので消化管を休ませる必要があるのです。

――手術の場合――

入院中は完全絶食になり、体に必要な栄養分は点滴で摂取する形になります。手術後もしばらく絶食しなければなりません。炎症の回復具合には個人差がありますが、基本的にお腹のガスが出るようになったら食事を取っても大丈夫です。ですが、いきなり全ての食べ物を摂取しても良いというわけではありません。

まずは、お茶・具なし味噌汁・お粥などで消化管の調子を整えていきます。入院中は基本こういった流動食がメインになります。退院後は自由に食事を摂る事が出来ますが、いきなり消化しにくい食べ物や脂っこい食べ物を食べてしまうと負担が大きいので胃に優しい物から食べるよう気を付けて下さい。

――薬の投与の場合――

薬投与の場合も入院して絶食が必要になります。点滴で栄養分と薬を入れていくという感じです。症状が軽い場合は、入院の必要が無く通院しながらで大丈夫です。ただ、そこで注意して頂きたいのが食事の面です。お医者さんの方からも指示があると思いますが、お粥やうどんなどの消化しやすい物を食べるよう心掛けて下さい。

食事の制限は辛いものですが、無理に消化管に負担をかけてしまうと、逆に治りが遅くなり更に辛い物になってしまいますので、一時的な我慢は必要になります。

腹膜炎について

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虫垂炎が重症化すると起こる炎症です。

腹膜炎とは

腹膜とは、胃・腸・肝臓・腎臓・膀胱・子宮(女性)を覆っている膜の事で、細菌感染や物理的に刺激が与えられると炎症が起こり、腹膜炎を起こします。基本的に腹膜炎は消化器官が何かの病気に侵された時に起こる合併症として発症するものです。今回は虫垂炎からの合併症として紹介しています。

腹膜炎の症状

腹膜全体的に炎症が広がってしまう汎発性腹膜炎、腹膜の一部に潰瘍が出来る限局性腹膜炎があります。必ず起こる症状が腹痛です。それも優しい痛みではなく、経験した人が皆揃って「今までに経験した事の無い痛み」と表現します。

腹痛以外は「吐き気」「嘔吐」「発熱」「頻脈」などがあります。症状が出てからも放置をしていると命に係わる重体になる場合もあるので気を付けなければいけません。

腹膜炎については、腹膜炎の症状を紹介!治療にはどういう方法?を読んでおきましょう。

治療方法

腹部X線検査・CT検査・超音波検査・血液検査などで検査を行います。腹膜炎と診断されると緊急手術を行わなければいけません。手術をするために3週間から4週間ほど入院が必要になります。

入院期間中は絶食し、まず抗菌薬で炎症を抑えます。開腹手術で原因の臓器を切除、穴を塞ぐ、腹腔の膿の除去が行われます。盲腸の合併症から腹膜炎を起こした場合、手術費用と入院費用を合わせて20万円ほどの費用になります。

まとめ

虫垂という臓器は今まで体に必要ないという事で取り除いてしまう人が多かったですが、重要な働きをしている事がわかった今、虫垂の摘出は避けたいところですね。

そうならない為にも重症化は避けるように、初期症状の段階で対応する事が一番大事になります。腹部の痛みと一緒に発熱と嘔吐の症状が出たらすぐに病院に行くようにしましょう。

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