テレビや雑誌で取り上げられるダイエット法のほとんどが「痩せたい」方向けです。しかし、世の中には「痩せたい」方がいっらっしゃれば、「太りたいのに太れない」方もいらっしゃるのも事実です。
太りすぎと同様に、痩せすぎも顔色が悪かったり、貧相に見えてしまったり、見た目で損をしていると感じる方もいらっしゃると思います。また、肥満が原因の病気がある一方で、体重や体脂肪が少な過ぎても疾病リスクが高まることがわかっています。
ここでは、体重が増えない原因と体重を増やす方法をご紹介します。
脂肪や筋肉の役割
そもそも人間や動物の体は 、食料不足などの飢餓状態に備え、エネルギーを脂肪の形で蓄える機能を持っています。また、脂肪にはエネルギー源としてだけではなく、体温を適切に保つ、衝撃から身体を守る、細胞やホルモンを構成する成分である、肌に潤いを与えるなど様々な働きがあります。
また、筋肉には骨格を支える役目もありますが、筋肉量が少ないと骨格も歪みやすくなります。骨格が歪むと、頭痛・肩こり・腰痛・膝痛・慢性疲労などに繋がり、普段の生活にも支障が出ます。
体重が増えない原因
では、体重が増えない原因について紹介します。
食欲不振になりやすい
食欲不振は消化器官の疾患が原因でも起こりますが、不規則な生活リズム・睡眠不足・過度のストレスなどが、自律神経に悪い影響を与えることでも起こります。また、日頃から活動量や運動量が少ない場合も、食欲が減る傾向があります。
その他、虫歯や歯並びが悪いために噛み合わせが悪いと、噛む時に顎へ負担が掛かり、食欲が低下する原因にもなります。また、顎関節症など、顎の関節や筋肉・靭帯に支障がある場合も、口が開けづらかったり、食事中に顎が痛んだりするため、食欲が落ちてしまいます。
詳しくは、食欲不振の原因を紹介!ストレスや病気が関係してる?を参考にしてください。
摂取カロリーが足りない
「食べているのに太れない」と思われている方には、実際の摂取カロリーが平均的な人よりも少ない可能性があります。1回に食べる量が少なかったり、1回に食べる量は平均的であっても食べる回数が少なかったりすると、1日に必要な標準摂取カロリーに達していないこともあります。
また、身長が高い方や運動量が多くアクティブな方も、必要な摂取カロリーが消費カロリーを下回っていることがあります。
栄養の吸収率が低い
痩せすぎの方は、食べものに含まれる栄養素を効率よく吸収出来ていない可能性があります。食べものをよく噛まないと、食べものがよく分解されず、栄養分が体に吸収される前に便として排出されてしまいます。食べものをよく噛むと、唾液に含まれる消化酵素によって効率よく分解され、体内での吸収率も高まります。
また、痩せすぎの方は胃腸が弱いことも多いので、よく噛まないと胃に負担を掛けてしまいます。結果的に、食べる量が全体的に少なくなってしまうので、痩せすぎの方はよく噛んで食べたほうが良いでしょう。
基礎代謝量が高い
平均よりも基礎代謝量が高い方は、普段から消費カロリーが高いため、他の方と同じように食べてもなかなか太りません。一般的に、若い方たちは大人と比べて基礎代謝量が高いため、体重を増やすことが難しいことがあります。
基礎代謝量は年齢と供に下がる傾向があり、20代になると太る方もいます。基礎代謝量は無理に下げる必要はないので、代わりに摂取カロリーを増やすようにしましょう。
拒食症を患っている
摂食障害の1つである拒食症は、「食べることを拒んでしまう」心の病気です。精神的なストレスや過剰なダイエットがきっかけで発症することが多く、若い女性の発祥率が高いのが特徴です。
拒食症になると、極端なダイエットや偏食をしたり、過食・嘔吐を繰り返したり、急に活動的になったりします。また、栄養失調が原因で、脳の機能が低下し、感情を表現出来なくなることがあります。
拒食症の症状としては、低体重、低体温、味覚異常、むくみ、思考力の低下、生理不順などがあります。拒食症は心の病ですが、身体にも大きく影響を与え、場合によっては死に至ることもあります。
拒食症については、拒食症の原因はストレス?治療法や症状も紹介!を読んでおきましょう。
食べていても急に体重が減るのは病気の疑いがある
食べても体重が減っている場合は、危険な病気の可能性があります。
糖尿病
膵臓はインスリンを分泌し、血糖値を調整する役割を持っています。しかし、糖尿病になると膵臓の機能が弱まり、分泌されるインスリン量が減ると、慢性的に血糖値が高い状態になります。
糖尿病になると、食べものから摂取した糖質をエネルギーとして利用出来なくなります。筋肉中のタンパク質や脂肪が代わりにエネルギー源として使われるため、体重が減少します。
糖尿病については、糖尿病は完治する?症状や治療方法について!を参考にしてください。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンは、エネルギー代謝を調節する重要な役割を持ち、喉にある甲状腺から分泌されます。甲状腺機能亢進症になると、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝が促進されるため、食欲があり沢山食べていても体重は減っていきます。
体重が減る以外には、動悸、息切れ、体温上昇、下痢、月経不順、疲れやすい、汗を多くかく、熱がりになる、イライラする、落ち着きがなくなる、手が震えるなどの症状が出ることもあります。20代から30代の女性に発症することが多く、男性の発症ケースも珍しくありません。
消化器官の病気
胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化器疾患は、消化と吸収を阻害し、体重減少に繋がります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ストレスが原因で起こることが多く、胃の保護粘膜を胃酸が消化してしまうことにより起こり、腹痛を伴います。
胃潰瘍は食後に痛みを感じ、食べ過ぎた場合は痛みが長時間続きます。十二指腸は空腹時に腹痛を感じますが、食事をすると治まることが多いようです。
悪性腫瘍
2つ目はがん悪液質の状態になった時です。悪液質になると、目はくぼみ、皮膚と毛髪の艶はなくなり、皮下脂肪がない状態になります。がん悪液質が原因で亡くなられる方は、ガンで亡くなられる患者の方全体の、約4分の1にものぼると言われています。
精神疾患
精神的なストレスは自律神経に作用し、食欲を感じにくくなったり、代謝が促進されたりします。また、胃炎や胃潰瘍、下痢なども起こることが多く、消化吸収機能に支障が出るために体重が減ってしまいます。
うつ病は、睡眠障害・全身のだるさ・疲れやすさなどといった症状の他、食欲不振や体重減少を伴うことがあります。食事をしても味がよくわからなかったり、美味しく感じられなかったりするため、食欲が落ち、1ヶ月から2ヶ月の間に体重が5キロから10キロも減ってしまうこともあります。
結核
結核は結核菌により感染し、日本では昭和20年代まで亡国病として恐れられてきました。現在でも根絶されたわけではなく、風邪だと思っていたのに、咳が長引くので病院で受診したところ、結核であったということもあります。
結核になると体重が減る他に、微熱と咳が出ますが、体重減少以外に症状が出ない場合もあります。症状が風邪や肺炎に似ていますが、2週間以上咳が出る、風邪薬を飲んでも効果がない場合は、結核を疑う必要があります。
HIV感染症(エイズ)
エイズはHIVというウィルスに感染し、免疫不全になる病気です。普通では発症しないような些細な病気が、エイズ患者の方によっては命に関わることがあります。吐き気、下痢、嘔吐などの症状が出て、急に体重が減ります。
昔は、エイズは効果的な治療がなかったため、不治の病と考えられてきました。現在は、完治は出来ないものの、症状を抑えたり、発症しないようにする治療法があるので、HIVに感染したからといって、必ず死に至るということはなくなりました。
詳しくは、HIVが完治する可能性はない?原因や対処方法についてを参考にしてください。
肝硬変
肝硬変は、ウィルス・アルコール・薬物・毒物、肥満、寄生虫など、様々な原因で発症します。軽症の肝硬変では、食欲がなくなり、消化吸収機能に支障が出て、体重が減ります。また、倦怠感・疲労感・吐き気・嘔吐・腹痛などの症状も多くみられます。
悪化すると黄疸の他、腹水・吐血・女性化乳房・皮膚の色素沈着・皮下出血・白色爪などの症状も出ます。肝硬変を放置しておくと、肝臓がんへと進展することがあります。
肝硬変については、肝硬変の余命は?原因や症状、治療方法を紹介!を参考にしてください。
体重を増やす方法
体重を増やす方法を紹介します。
食事をしっかり摂る
基本的に1日3食は食べましょう。例え1食だけ欠食したとしても、1食分の摂取カロリーが減ります。また、一度に沢山食べられない方は、食事の回数を増やすと良いでしょう。
基礎代謝量が高い方、運動量の多い・アクティブな方の場合、摂取カロリーが消費カロリーに比べて少ない可能性があります。意識して、食べる量を少し増やすようにしましょう。
規則正しい生活を心掛ける
生活リズムが不規則だったり、睡眠が十分ではないと自律神経に悪い影響を与えるため、食欲減退の原因になることがわかっています。なるべく規則正しい生活を心掛け、睡眠もしっかりとるようにしましょう。
消化器官をチェックする
3食しっかりと食事を摂っているのに体重が増えない方は、消化器官の働きが悪く、十分に栄養が吸収されていない可能性があります。
特に、食べたものがしっかりと消化されず、そのまま便として出てくる、下痢が多い場合 は注意する必要があります。また、消化器官系の疾患を疑われる場合は、なるべく早めに病院で診察を受けるようにして下さい。
精神疾患が疑われる場合は病院を受診する
拒食症、うつ病などの精神疾患は体重減少の原因になるだけでなく、その他にも身体に様々な弊害をもたらします。場合によっては命に関わる病気であるため、出来るだけ早く病院を受診するようにしましょう。
運動量を増やして筋肉量を増やす
筋肉は20歳を超えて、運動をする習慣がないと、年齢と供に減っていきます。筋肉の量が減れば、体重も減ります。また、筋肉量が少ないと骨格も歪みやすくなるので、頭痛・肩こり・腰痛・膝痛・慢性疲労などを予防するためにも、適度に運動をするように心掛けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?体重が増えない原因も様々で、特に心配する必要がないものもあれば、日常生活に支障が出たり、深刻な病気に繋がる可能性もあることがお分かり頂けたかと思います。
対策としては、全体的に食べる量や回数を出来るだけ増やし、出来るだけストレスが溜まらないようにすることが大切です。また、適度に運動し、規則正しい生活を心掛けるようにしましょう。
一方で、食べているにも関わらず体重が減ってしまう原因が、病気である可能性もあります。体重減少だけでなく他にも症状がある場合は、なるべく早い段階で病院を受診されたほうが良いでしょう。
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