夏本番にむけて、夏日、真夏日という言葉がニュースから聞こえてくるようになりましたね。みなさん、体調管理は万全ですか?
最近は、熱中症対策ということでテレビなどでも取り上げられるようになりました。これからお出かけの際には予防が欠かせないですよね。
今回は熱中症の症状や、どんな風に起きるのか?また、名前が似ている熱射病や日射病との違いは?などなど、まとめてみました。外出の前に、一度目を通してみてくださいね!
熱中症とは
まずは熱中症の基礎知識からお話しします。
熱中症って?
人間の体は、常に発熱しています。
それは、風邪をひいて熱を出したというときや、激しいスポーツなどをして体が熱いというとき以外にもです。人間は、生きていく上で絶えず熱を作り続けています。
常に熱を作り続ける人体ですが、通常であればその熱を放出して体温の調節を行います。その体温調節機能がうまく働かず、体温が上がりすぎたり、逆に発汗しすぎて水分や体内の塩分を急激に失ってしまった状態のことを熱中症といいます。
熱中症は屋外でなるイメージが強いのですが、実は屋内にいてもなる危険性があります。締め切った暑い部屋の中で作業をしていると、発汗作用が充分に働かなかったりして熱中症になる恐れがあります。
熱中症の原因とは?
熱中症の原因には、大きく分けて3つの要因が絡み合っているといわれています。その3つとは『環境』『からだ』『行動』です。順に見ていきましょう。
①環境的要因
●高音
●多湿
●急激な温度の上昇
●風通しの良し悪し など。
②からだ的要因
●年齢(乳幼児や高齢者は特に)
●持病
●脱水症状
●食生活
●睡眠
●二日酔い など。
③行動的要因
●激しいスポーツ
●水分補給をしているか
●屋外での長時間労働 など。
これらの要素が重なり合うと、熱中症を引き起こす可能性が高まります。特に、薬を服用している人は薬の副作用で脱水症状になりやすい場合がありますので、気をつけましょう。
熱中症の症状とは?
熱中症の重症度での分類は、I度からIII度まであり、III度が最も重症という位置付けです。
それぞれ、どのような症状なのか見ていきましょう。
I度●めまい
- 立ちくらみ
- 大量の発汗
- 筋肉痛
- こむら返りなど、筋肉の硬直
II度
- 頭痛
- 吐き気
- 倦怠感
- 虚脱感(身体に力が入らない状態)
- 集中力や判断力の低下
判断力が低下すると、自分の名前や現在地などがわからなくなる見当識障害があらわれます。
III度
- 意識障害
- 小脳症状(急にふらつく)
- 痙攣発作
- 血液凝固異常
- 肝臓や腎臓の臓器障害
声かけなどを行わないと目を開かないなどの状態です。症状が進むと、刺激に対しても鈍い反応しか返ってこないことになります。さらに進行すると死に至る可能性もあります。
熱中症と日射病、熱射病の違いは?
現在、熱中症の分類は上記のようにI~III度で分類しています。これは異常を発見しやすく、周りの人が迅速に対処できるようにということで主流になりました。
それまでは、症状を以下のように4分類していました。
●熱失神
=皮膚の血管が広がることによって血液量の減少、血圧の低下、脳血流(脳へ送られる血液量)が減少して起こります。脈が速く、弱くなります。
●熱痙攣
=大量に汗をかき、血液中の塩分濃度が低下して起こります。足、腕、腹の筋肉に痛みを伴った痙攣が起きる症状です。
●熱疲労
=大量に汗をかき、水分補給が追いつかないと起こります。身体が脱水症状に陥り、吐き気や頭痛、倦怠感を引き起こします。
●熱射病
現在の分類に当てはめると、熱失神と熱痙攣はI度、熱疲労はII度、熱射病はIII度というように分類されます。
これを見てわかるように、熱射病とは熱中症の重症度を表す言葉の1つというのがわかります。さらに詳しく見ていきましょう。
熱射病とは
先に見たように、III度の症状が現れた状態が熱射病です。これは、長時間の運動で体内の塩分や水分が発汗により著しく不足することで、脳の体温調節機能が失われることで引き起こされます。
意識障害のほかには、体温が40度以上まで上昇します。しかし、体温のコントロールがきかない状態のため、発汗がなく、皮膚が乾燥しているのが特徴です。
日射病とは
日射病の原因は、その名の通り『日』です。つまり、直射日光による日焼けと熱により発症します。
暑い日差しの中で、長時間作業などをしても発汗しなかったり、もしくは発汗が間に合わず体温が下がらず、オーバーヒートした状態です。
簡単に言うと、熱中症の中でも日光により引き起こされるのが日射病だということです。熱射病は、熱中症の中の症状の重度をあらわす言葉である、と区別をつけるといいでしょう。
熱中症の予防法は?
環境省の、『熱中症予防情報サイト』では、予防法について以下のように提唱しています。詳しく見ていきましょう。
涼しい服装
通気性のいい麻や綿生地のものを選んだり、下着は吸水性、速乾性に優れたものを選ぶといいでしょう。
日陰を利用
長時間日差しにさらされないよう、小まめに日陰で休憩をとるのも大切です。
日傘・帽子
これも日差しをよけるための手段です。直射日光にあたらないように有効です。
水分・塩分補給
食事を通して、適度な塩分補給を心がけましょう。また、スポーツドリンクなどの飲料は糖分や塩分を含み、吸収が良いとされています。特に汗をかくような時には、汗で失った塩分補給になるので積極的に飲みましょう。
その他、室内であっても気温や湿度を気にして、風通しを良くする工夫をしたり、冷却グッズを使用するのも手段の1つです。
特に気をつけたほうがいい人は
同じ場所にいても、熱中症になりやすい人がいます。たとえば、以下の人たちは気をつけたほうがいいでしょう。
- 高齢者
- 子ども
- 肥満体型の人
- 体調不良の人
- 内分泌疾患(糖尿病、心臓病、高血圧など)の人、寝たきりの人
- 暑さに慣れていない人
- 厚着をして作業する人
この中でも、特に発症リスクの高い、高齢者と子どもの予防法についてピックアップします。
高齢者の熱中症予防法
高齢者は、体温調節機能の働きが若者よりも低下しています。なので、汗をかきにくく、うまく体温を下げることができないのです。
加えて、体内の水分量が少ないため血液濃度が高いのです。普通であれば、濃度を下げるために、喉の渇きを覚えて水分補給させるのですが、その働きが低いため、水分補給をする意識がなく、知らぬ間に脱水症状を起こすということが多々見られるようです。高齢者の場合は、屋外に限らず屋内での熱中症患者というのも多いそうです。
これを防ぐためには、自発的に水分補給を行うことです。喉が渇いていないと思っても、とりあえず水を飲む習慣づけが必要です。水だけでなく、なすやキュウリなど、水分の多い野菜を食べるのも効果的です。
子どもの熱中症予防法
子どもは、高齢者の逆で新陳代謝が活発で汗や尿ををたくさん出すため脱水症状になりやすいのです。
また、乳幼児の場合、暑さを感じても衣服を脱ぐことが自分では困難なので、周囲が手助けしてあげる必要があります。
子どもの熱中症予防に必要なのは、周囲の気遣い、観察です。たとえば顔が赤い、汗の量が多い、などは熱中症手前のサインの可能性があります。すぐに日陰で休ませ、水分補給させるようにしましょう。
また、子どもは地面との距離が大人よりも近く、照り返しの影響を大きく受けます。大人はなんともなくとも、子どもの様子を見て、すぐに対処するようにしましょう。
その他、少しの時間だからとクーラーの効いていない車内に子どもを置き去りにするのは絶対してはいけません。自分の力で移動できない乳幼児には、それが命取りになってしまいます。
夢中で遊んでいると、休憩や水分補給を怠ってしまうのが子ども。大人が必要に応じて、水分補給や休息を促してあげましょう。
周りの人が熱中症になってしまったら
症状が軽いうちは、自分で水分補給をしたり日陰などの涼しい場所で休むという判断もできますが、一気に症状が悪化して意識が朦朧としてしまっては、自分で対処することは不可能になります。
そのような状態の人を見かけたら、どのように対処したらいいのでしょうか?応急処置の仕方についてまとめました。
涼しい場所へ移動させる
屋内であればクーラーのきいた部屋や、車内へ移動させます。屋外であれば、日陰で風通しのいいところで安静にさせます。
服を脱がして体温を下げる
体の熱を放出させてあげることが大事です。ほかに、氷まくらや保冷剤で体を冷やしたり(足の付け根、わき、両方の首筋につけると効果的)、水をかけてうちわなどであおいであげるのも効果的です。
塩分や水分補給をさせる
スポーツドリンクがあれば、それを飲ませてあげましょう。ただし、嘔吐の症状が出ていたり、意識がない場合は無理に飲ませると窒息の恐れがあるので、無理やり飲ませてはいけません。
大きくはこの3つの対処をすることが大事です。ですが、熱中症は悪化すると命にも関わる病気です。すぐさま救急車の手配をして、その間に上の対処に取り掛かる必要があります。
普段から熱中症に備えるためには
出かける時には、水を持ち歩いたり、帽子をかぶるなどで予防できますが、普段の生活の上でも気をつけるポイントがあります。
- 室温は28度を目安にして、クーラーなどを活用する
- 遮光カーテンや打ち水、すだれの活用で涼感アップ
- 食事は水分と塩分をバランスよくとれるものを。特にレモンに含まれるクエン酸や、豚肉に含まれるビタミンは夏バテ予防にもなるので積極的に
- お茶やコーヒー、ビールなどのアルコールは熱中症予防に向きません。これらの飲み物には利尿作用があり、逆に水分を排出してしまいます
- 睡眠をしっかりとる。疲れがたまっていると、体温のコントロールがうまくいかず、熱中症になりやすくなる
生活を一工夫して、手軽に涼を取り入れることで熱中症予防になります。いろいろ試してみてくださいね。
まとめ
今年に入ってから、すでに熱中症により救急搬送された人は800人超ということです(消防庁発表、集計期間6月20〜26日)。梅雨の合間の晴れ間などは特に注意を、と呼びかけています。
誰しもがなる可能性がある熱中症。水分補給を小まめにし、休息もとりながらこの夏を楽しみましょう!